有価証券報告書-第155期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 15:40
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165項目

有報資料

帝人グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 帝人グループが目指す姿
帝人グループは、企業理念に基づき、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心に価値を社会に提供し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」になることを目指しています。
長期ビジョンを実現するために、帝人グループは、世界的な社会課題とSDGsが掲げるゴールを踏まえ、自社にとってのリスクと機会を整理し、優先的に取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。すなわち、重要社会課題である「気候変動の緩和と適応」「サーキュラーエコノミーの実現」「人と地域社会の安心・安全の確保」「人々の健康で快適な暮らしの実現」と重要経営課題である「持続可能な経営基盤のさらなる強化」です。
帝人グループはこれらマテリアリティへの取り組みを通し、持続可能な社会の実現と企業価値のさらなる向上を目指します。
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環境価値ソリューション気候変動に対する緩和や適応、サーキュラーエコノミーの実現など、世界的な地球環境目標の達成に貢献する製品・サービスを提供
安心・安全・防災ソリューション災害、事故などの様々なリスクから生命と暮らしを守る製品・サービスを提供
少子高齢化・健康志向ソリューションあらゆる年齢の人々の健康的で快適な生活を支える製品・サービスを提供

(2) 対処すべき課題
2020年2月に「中期経営計画 2020-2022 ALWAYS EVOLVING」(以下、「中期経営計画」)を公表し、中期経営計画期間を「成長基盤確立期」と位置付けました。中期経営計画では、将来の収益獲得のために育成が必要な事業を「Strategic Focus」、既に収益を上げており、さらなる成長を目指す事業を「Profitable Growth」として位置付け、積極的に投資を進める方針を掲げています。
COVID-19の拡大がグローバルレベルで経済、人々の生活、価値観に激的な変化をもたらす中、帝人グループが取り組むマテリアリティは変わらず、COVID-19によりもたらされた変化を機会と捉え、引き続き3つのソリューション領域への成長投資を加速する必要があると考えています。マテリアル事業領域では、「グリーンリカバリー」の潮流の中で、モビリティの軽量化や、社会インフラにおける高機能素材・軽量化素材への置き換えニーズを着実に捉え、事業が受けたCOVID-19の影響からの回復を加速し、成長軌道への早期回帰を図ります。カーボンニュートラルの実現においては、事業活動による環境負荷を最小限化し、目標達成に向けたロードマップの実行や、水素社会を実現するための技術革新を推進していきます。ヘルスケア事業領域では、COVID-19の感染リスクへの懸念から、受診控えや入院抑制がある中で、帝人グループが目指す地域包括ケアサービスや医療へのデジタルソリューションの提供は、一段とニーズが高まっています。IT事業とのシナジーの追求、マテリアル事業領域の各事業やエンジニアリングとの協創による新規事業なども、着実に取り組んでいきます。
a)中期経営計画における定量目標について
「投資効率」「稼ぐ力」の両面に力点を置き、収益性指標として「ROE」(全社)と「営業利益ROIC」(全社・事業別)、成長性指標として「EBITDA」(全社・事業別)を最重要指標とし、中期経営計画で掲げた2022年度定量目標であるROE 10%以上、営業利益ROIC 8%以上、EBITDA 1,500億円を引き続き目指していきます。ただし、事業環境の変化により2022年度EBITDAのセグメント別見通しを変更しました。マテリアル事業領域では、COVID-19の影響により、炭素繊維事業を含む各事業で計画遅延が生じたことを踏まえ、EBITDA 800億円は650億円の見通しに、ヘルスケア事業領域では、武田薬品工業㈱からの2型糖尿病治療剤4剤の日本における販売承継が大きく寄与することを踏まえ、EBITDA 450億円は600億円の見通しに変更しました。
2021年度の見通し値、2022年度(中期最終年度)の目標値及びセグメント別EBITDA見通し値は次のとおりです。
2021年度2022年度
ROE8%10%以上
営業利益ROIC7%8%以上
EBITDA
(内訳)
マテリアル
ヘルスケア
その他 *1
1,300億円
435億円
675億円
190億円
1,500億円
650億円 *2
600億円 *2
250億円

*1 開示セグメントにおける「繊維・製品」「IT」及び「その他」や「消去又は全社」の区分の合算値を表示しています。
*2 直近見通しに変更しています。
b)中期経営計画における資源投入規模について
成長基盤確立に向けた積極投資方針の下、マテリアル事業領域においては、自動車向け複合成形材料の米国テキサス州への工場新設、炭素繊維の米国サウスカロライナ州への工場新設や、パラアラミド繊維の設備増強を進めています。ヘルスケア事業領域においては、2021年2月に、武田薬品工業㈱との間で2型糖尿病治療剤4剤の日本における販売承継に係る契約を締結し、1,330億円を投入しました。また、マテリアル・ヘルスケア・エンジニアリングの融合領域の取組みとして、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(以下「J-TEC社」)を子会社化し、新たに再生医療等製品の事業拡大に取り組んでいきます。
中期経営計画における1,500億円のEBITDA目標の達成、さらには長期目標達成に向けた成長基盤の確立のためには、中期経営計画残り2年においても、引き続きマテリアル・ヘルスケア事業領域の「将来の収益源育成:Strategic Focus」分野への積極投資の継続が必要と考えています。そのため、中期期間(3年累計)における設備投資・M&A枠は、3,500億円から4,500億円に増額します。この投資枠の拡大は、負債調達を原資としますが、一定の財務規律を維持する前提です。安定性・継続性に配慮し配当性向30%を目安とする配当方針も変更しません。
0102010_002.pngc)ソリューション領域への重点投入
「3つのソリューション」領域については、投入額を全体の85%から90%に増加させることで、社会課題への取り組みを加速し、2030年度までに当該領域の売上高比率を全体の75%まで拡大することを目指します。
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d)事業ポートフォリオ
事業分野を「将来の収益源育成:Strategic Focus」と「利益ある成長:Profitable Growth」に大別し、中・長期的視点でのポートフォリオ変革、キャッシュ創出力の拡大に向けた投入資源の配分を継続します。2022年度に「Strategic Focus」分野のEBITDAがグループ全体の15%に、2030年度までに当該分野のEBITDAをグループ全体の1/3以上とすることを引き続き目指します。なお、日本での再生医療のパイオニアであるJ-TEC社を子会社化し、再生医療等製品事業をStrategic Focusに位置づけ、展開・拡大を図っていきます。また、「ネシーナ」をはじめとする2型糖尿病治療剤4剤については、安定的に患者さんへお届けできるよう、円滑かつ効率的に武田薬品工業株式会社からの製造販売承認の承継を進めていきます。さらには、糖尿病領域での主要製品群での取り組みを通し事業基盤を維持・拡大し、薬剤提供のみならず、「Strategic Focus」として手掛ける、糖尿病重症化予防等の生活習慣病の予防に貢献するサービスの拡大も加速します。
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e)リスク低減(環境負荷低減)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、人を中心に考え、「Quality of Life」の向上に資する革新的なソリューションを提供するとともに、事業活動に伴う環境、社会への負の影響を最小限とすることを目指しています。気候変動の緩和や適応、サーキュラーエコノミーの実現においては、欧州サステナブル先端技術開発センターを開設し、世界的な地球環境目標の達成に貢献する製品・サービスの研究開発に注力していきます。また、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、環境負荷低減に関する長期目標に対してロードマップを作成し、達成に向けた削減活動を着実に進めていきます。2020年度には、資源循環の取り組みとして、埋立廃棄物量の削減を新たな目標として設定しました。さらに、当社の自動車向け複合成形材料やアラミド繊維等におけるLCA(ライフサイクルアセスメント)にも積極的に取り組んでいきます。
項 目目標年度目 標
CO2削減貢献量 *12030「削減貢献>総排出」達成
気候変動
(CO2排出量)
20302018年度比 20%削減(総量目標)
2050実質ゼロ実現
20302018年度比 30%改善(淡水取水量売上高原単位)
有害物質20302018年度比 20%改善
(有害化学物質排出量売上高原単位)
資源循環(新設 *2)20302018年度比 10%改善
(埋立廃棄物量売上高原単位)

*1 当社製品使用による、サプライチェーン川下でのCO2削減効果を貢献量として算出。CO2削減貢献量を、グループ全体及びサプライチェーン川上におけるCO2総排出量以上にすることを目指す。
*2 2020年3月期統合報告書にて開示済。
f)経営基盤強化
継続的かつ的確なソリューション提供、市場開拓を加速する仕組みとして、「組織」「シナジー」「技術」「人財」の観点でイノベーションの創出基盤を強化し、事業機会の創出を加速していきます。
「組織」については、2021年4月より「コーポレートビジネスインキュベーション部門」を設立しました。全社的・長期的な視点でのM&A・アライアンスの検討・実施を推進するとともに、次世代を担う新規領域の探索や育成、研究開発や新事業開発を推進し、イノベーション創出の基盤構築を進めていきます。また、当該部門では、新たに連結子会社化したJ-TEC社と、当社ヘルスケア・マテリアル事業領域での技術・事業基盤やエンジニアリング力の「シナジー」を最大限発揮し、再生医療等製品事業の拡大を目指します。
「技術」においては、デジタル技術の展開を加速していきます。当社IT事業の中核を担うインフォコム㈱との協業体制をさらに強化し、ニューノーマル環境に適したワークスタイルや業務プロセスの導入、研究開発や製造現場の生産性向上、さらにはビジネスモデル変革のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)に積極的に取り組んでいきます。
「人財」については、柔軟な働き方を提供し、女性のみならず、多様化する人財が能力を発揮し、活躍できる仕組みを整えることが、イノベーションを創出する企業文化の醸成につながると考えており、国内のみならず、海外においても地域特性に応じた以下の目標を設定し、グループ全体でダイバーシティ&インクルージョンを推進していきます。
項 目2019年度
実績
2022年度
目標
2030年度
目標
役員*1ダイバーシティ女性役員数3名6名以上10名以上
非日本人役員数3名6名以上12名以上
女性活躍重点目標 *2日本管理職数116名174名300名以上
米国上級管理職数 *32名4名10名
欧州グローバルコア人財数 *40名3名10名
中国上級管理職数 *34名9名12名
ASEAN上級管理職数 *35名5名以上8名以上

*1 取締役、監査役、グループ執行役員・理事
*2 地域別の課題に応じて設定
*3 グループ会社社長を含む上級管理職
*4 既に相当数存在する管理職からグループ執行役員候補として選抜・認定された人財
また、上記目標値以外でも、様々な人種・民族・宗教などの人を公平・平等に扱う「インクルージョン」の観点でも、米国においてシニアマネージャーポジションへのエスニック・マイノリティーの目標数を設定する等、取り組みを強化していきます。
g)主要事業戦略
■全体方針
2020年度は特にマテリアル事業領域においてCOVID-19の影響を大きく受けましたが、炭素繊維を中心とした航空機向け需要の低迷は継続するものの、複合成形材料、アラミド繊維を中心とした自動車向け需要は順調な回復基調にあります。
0102010_005.png2021年度は早期にCOVID-19の影響を受ける前の水準への回帰を目指し、中期計画で掲げた「成長基盤確立」に向けた主要課題を具体的な行動計画に落とし込み実行に繋げていきます。
また、2型糖尿病治療剤4剤の販売承継、J-TEC子会社化といった大型投資の効果最大化に向けた取り組みを着実に推進します。
■マテリアル事業領域
「Strategic Focus」分野(将来の収益源育成)
自動車向け複合成形材料・新規プログラム獲得と拡販による米国でのトップポジション維持および欧州・中国含むアジア市場への展開加速
・マルチマテリアル化・ライフサイクルアセスメント対応推進
・生産性向上への取り組み推進
航空機向け炭素繊維中間材料・将来の航空機向け新規大型プログラム獲得に向けた開発の推進

「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
アラミド・生産能力増強・用途開拓の推進による業界トップポジションの維持・強化
樹 脂・高付加価値品の拡大による安定収益の確立
炭素繊維・生産稼働の向上と販売構成の改善による原糸売り事業の収益性改善

■ヘルスケア事業領域
「Strategic Focus」分野(将来の収益源育成)
地域包括ケア関連新事業・重症化予防事業を皮切りに、地域包括ケア関連市場でのサービス事業の立上げ
機能性食品・既存製品の拡販、新製品の着実な上市
新規ヘルスケア
(整形・新規医療機器など)
・埋込型医療機器の拡販、新規医療機器の事業立上げ

「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
医薬品、在宅医療・機能本部制への移行による地域密着型の多職種によるチーム営業体制の構築
・主力医薬品(「フェブリク」、2型糖尿病治療剤)、HOT(在宅酸素療法)用酸素濃縮装置、CPAP(持続陽圧)療法装置の売上維持・拡大
・新規医療機器、医薬品の開発推進

■繊維・製品/IT
「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
繊維・製品・基礎収益力強化施策の着実な実行
IT・電子コミックブランドとしての確固たる地位の保持
・ヘルスケア事業での介護・健康領域での新規サービス展開

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