有価証券報告書-第138期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 16:21
【資料】
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【項目】
144項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の基本方針
当社グループは、「地球上に限りある資源の有効活用を図り、あらゆる素材の表面改質を通じて、資源の新しい価値を創造し、地球環境の保全と豊かな社会作りに貢献する」を企業理念に、表面改質技術を通じて従前より持続可能な社会の実現に向けさまざまな取り組みを推進しております。こうした取り組みをより具体的に記述した「サステナビリティ基本方針」を制定することにより、持続可能な社会の実現に向けた行動を一段と推進しております。
また、上記企業理念・基本方針を踏まえ当社グループでは、2030年のあるべき企業像と成長の道筋を示した長期ビジョン「Vision2030」を策定し、表面改質のスペシャリストとして「表面改質技術を通じて、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する」を目標に、あらゆる素材の表面に、多様な機能を付加する技術の研究開発に取り組んでおります。
⦅サステナビリティ経営のフレームワーク〉
企業理念に基づき、サステナビリティ基本方針を始めとする各種方針、ガイドライン等を制定しています。「Vision2030」のもと、重要課題(以下、「マテリアリティ」という)に取り組むことで持続可能な社会の実現を目指しております。これらの考え方を踏まえ、中期経営計画では事業活動と融合させたサステナビリティ経営の推進を図っております。

(2) 中長期的な会社の経営戦略
第4次グループ中期経営計画では、当社グループが優先的に取り組むべき6つのマテリアリティに対する具体的な取り組みを推進し、成長戦略、社会課題解決、企業変革の3つを柱として、「Vision2030」の実現に向けた経営基盤作りに取り組んでおります。
当社は1928年の創業以来、表面改質技術を通じて、産業や社会の発展に貢献してまいりましたが、近年、EV化の進展など、事業環境は目まぐるしく変化しております。このような先行きが不透明で、将来の予測が困難な、所謂VUCAの時代を生き抜いていくために、これまで以上の大きなチャレンジに果敢に取り組み、社会と共に持続的な成長・発展を目指してまいります。
(3) 目標とする経営指標
第4次グループ中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の最終年度である2025年3月期の目標として以下を掲げております。
(第4次グループ中期経営計画:2025年3月期の目標)
・売 上 高 1,300億円
・営 業 利 益 169億円
・経 常 利 益 195億円
・売上高営業利益率 13%以上
・売上高経常利益率 15%以上
・自己資本利益率(ROE) 8~10%以上
(4)会社が対処すべき課題
2024年3月期における日本及び世界経済は、資源・エネルギー高やインフレ圧力の継続、世界的な金融引き締めによる景気下振れ懸念、ウクライナ情勢の動向等のリスク要因も多く、先行きは不透明な状況が続くと予想されます。また、依然として、原材料価格の高止まりやエネルギー価格の上昇等が当社グループの業績に影響を及ぼすと予想され、販売価格への転嫁、原価低減、生産性の向上などにより、適正なマージンを確保できるように取り組んでまいります。
また、中長期的には、主要な販売先である自動車業界においては、グローバル競争の激化による価格低下及び国内市場の成熟等による需要減少リスクに加え、脱炭素社会に向けた自動車の電動化への取り組みがグローバルで加速しております。そのような市場環境のなか、当社グループの持続的な企業価値の向上には、既存事業の収益力強化と将来を見据えた技術開発が不可欠と考えており、「Vision2030」の実現に向けて、以下の取り組みを推進してまいります。
① 新規分野の開拓
自動車及び鉄鋼などの伝統的な市場だけでなく、医療機器、電子部品、航空宇宙、ヘルスケア、家庭用品など、新規市場及び新規分野への参入拡大を推進してまいります。
② 既存分野の深耕
次世代自動車に対応した技術開発、環境対応型製品及び高機能製品の開発など、社会のニーズに合わせた製品開発や技術開発により、既存分野の深耕を図ってまいります。
③ グローバル展開の加速
事業活動の更なるグローバル化を推進し、グループ総合力を活かして、社会課題の解決に貢献するソリューションをグローバルに提供する体制を強化してまいります。
④ グループ・ガバナンスの強化
中長期的な企業価値の向上に向けて、グローバルな事業活動を支えるためのグループ・ガバナンスの強化に取り組みます。
⑤ 多様な人材の活躍推進
イノベーションの創出と海外事業の拡大による持続的な成長を実現するため、ダイバーシティ経営をグローバルに推進し、多様な人材の活躍促進とグローバル人材の育成・確保に積極的に取り組みます。
(5)コーポレート・ガバナンス強化による企業価値及び株主共同の利益向上に向けた取組み
当社では、プライム市場上場会社として社会的な使命と責任を果たし、継続的な成長・発展を目指すためには、コーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題であると考えております。
この考えに基づき、(ⅰ)取締役会による重要な意思決定と職務の監督、(ⅱ)グループ全般を視野においた経営管理体制による意思決定の迅速化、(ⅲ)監査等委員会による取締役の職務執行の監査、(ⅳ)社長直轄の内部監査室による内部監査の実施、(ⅴ)化学メーカーとしての責任である製品・サービスに関する安全性確保、品質保証、環境対応及び法令遵守を全社統合的に推進する組織の編成、(ⅵ)コンプライアンス委員会・リスク管理委員会の設置、リスク管理規程・子会社管理規程の整備、(ⅶ)任意の指名・報酬委員会の設置等の施策を実行しております。