有価証券報告書-第133期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 13:32
【資料】
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【項目】
118項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の基本方針
当社グループは法律を遵守し、健全で透明な企業経営を行うことを前提に「あらゆる素材の表面改質分野において、市場における技術的信頼性・優位性を維持し、世界のリーダーたること」を経営の基本方針としております。それに向けて、これまで以上に積極的な技術開発を進め、急激に変化を遂げるグローバル市場に差別化された製品・プロセスを提供し続けることで、業界のリーディングカンパニーとしてより一層の社会的貢献を果たし、同時に株主の皆様及び従業員とともに更なる発展を目指す企業でありたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
製品の付加価値向上と差別化技術の開発を柱に、グループ全体で総資産経常利益率(ROA)8%以上を維持しながら、連結売上高を毎年3%以上拡大させていくことを目標としております。
また、グローバルな戦略展開については、表面処理薬品事業での海外進出先におけるマーケットシェアの50%以上を獲得、維持することを目標とするとともに、長期的な業績拡大を目指し、高い成長が期待されるインド、引き続き市場の拡大が見込まれる中国・インドネシア・タイなどのアジア地区及び北中米地区への投資に重点をおき、海外売上高比率50%を目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
① 国内市場への展開
ユーザー各社の潜在ニーズに応えられる技術開発を進めるとともに、従来の枠組みにとらわれない新たな市場の創造を模索し、更なる事業拡大を目指してまいります。
② 海外市場への展開
自動車業界をはじめ、日系ユーザー各社の積極的な海外展開対応や現地ローカルや欧米系ユーザーとの取引拡大による需要の多様化と高度化に対応するため、今後とも海外での事業展開を積極的に推進してまいります。また、進出先の幅広いユーザーニーズにも応えられるサポート体制強化に力を入れており、各地域の特性に応じた事業の最適化を図ってまいります。
③ 新技術の開発
当社グループは、「技術立社」を標榜し、技術を最優先とする創業以来の精神と確固たる実績に誇りを持ち、表面改質分野において、顧客に信頼されタイムリーに提供できる技術の開発に努力してまいりました。社会的に有用な付加価値製品とプロセスを市場に提供することは当社グループの使命でもあり、今後もこの理念に立脚し、国内のみならず世界を席巻する表面改質技術を創出すべく、研究開発を推進してまいります。
④ 地球環境保全への貢献
当社グループの環境方針として、環境保全への取組みを経営の最重点課題の一つととらえ、あらゆる素材の表面改質に関連した事業を通じて地球環境保全に貢献する企業を目指します。
(4)会社が対処すべき課題
当社グループといたしましては、3ヵ年の第2次中期経営計画の最終年度を迎え、あらゆる素材の表面改質の分野で市場における技術的な優位性を維持し、表面改質分野におけるグローバル・リーディング・カンパニーを目指すため、以下のことを重点課題として、持続可能な成長を目指してまいります。
なお、当社は過去に連結子会社において、コンプライアンス上の問題が生じていたことを認識しておりますが、原因解明及び対策等を含めて対応しております。
① 事業基盤の強化・拡大
国内外グループ会社の連携を強化し、既存事業の維持・拡大を図るとともに、積極果敢にグローバルマーケットに挑戦し、新規事業の開拓や新たなビジネスモデルの創出を目指す。
② 技術立社
高付加価値製品の市場拡大や差別化技術の開発を進めるとともに、研究開発体制を効率化し、構築されたコア技術を基にあらゆる産業分野に貢献する。
③ 企業体質の基盤強化
事業全般にわたる原価低減活動によりコスト削減を推進するとともに、グローバルな品質管理体制の構築や人材育成及びコーポレートガバナンスの充実に取り組み、企業体質を強化する。
(5)コーポレート・ガバナンス強化による企業価値及び株主共同の利益向上に向けた取組み
当社では、上場会社として社会的な使命と責任を果たし、継続的な成長・発展を目指すためには、コーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題であると考えております。
この考えに基づき、(ⅰ)取締役会による重要な意思決定と職務の監督、(ⅱ)グループ全般を視野においた経営管理体制による意思決定の迅速化、(ⅲ)監査等委員による取締役の職務執行の監査、(ⅳ)社長直轄の内部監査室による内部監査の実施、(ⅴ)化学メーカーとしての責任である製商品に関する安全性確保、品質保証、環境対応及び法令遵守を全社統合的に推進する組織の編成、(ⅵ)コンプライアンス委員会・リスク管理委員会の設置、リスク管理規程・子会社管理規程の整備等の施策を実行しております。
(6) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方といたしましては、当社の企業理念、企業価値のさまざまな源泉、当社を支えていただいているステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値及び株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。
また、上場会社である当社の株式は、株主及び投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付又はこれに類似する行為があった場合においても、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、当社といたしましては、一概にこれを否定するものではなく、最終的には株主全体の意思により判断されるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大規模買付の中には、その目的等からみて企業価値及び株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要する恐れがあるもの、対象会社の取締役会や株主の皆様が大規模買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値及び株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する恐れのある不適切な大規模買付又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと考えております。

(7)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成28年6月29日開催の第131期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得て、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下「本プラン」といいます。)を継続いたしました。
本プランは、下記①又は②に該当する当社株式等の買付又はこれに類似する行為(以下「買付等」といいます。)がなされる場合を適用対象とします。
①当社が発行者である株式等について、保有者の株式等保有割合が20%以上となる買付
②当社が発行者である株式等について、公開買付に係る株式等の株式等所有割合及びその特別関係者の株式等所有割合の合計が20%以上となる公開買付
当社の株式等について買付等が行われる場合、当該買付等を行う者又は提案する者(以下「買付者等」といいます。)には、買付内容等の検討に必要な情報及び本プランに定める手続を遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、買付者等から提出された情報が、経営陣から独立している社外取締役又は社外の有識者のいずれかに該当する者で構成される独立委員会に提供され、その評価、検討を経るものとします。独立委員会は、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家等)の助言を得た上で、買付等の内容の検討、当社取締役会による代替案の検討及び買付者等と当社取締役会の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行い、株主の皆様等に対する情報開示を行います。
独立委員会は、買付者等が本プランに定められた手続を遵守しなかった場合、又は買付者等の買付等の内容の検討、買付者等との協議・交渉の結果、当該買付等が当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうものであると認められる買付等である場合など、本プランに定める要件のいずれかに該当し、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施することを勧告します。新株予約権は、金1円以上で、当社取締役会が決議した金額を払い込むことにより行使し、普通株式最大1株を取得することができます。また、買付者等による権利行使が認められないという行使条件及び当社が買付者等以外の者から当社株式1株と引き換えに新株予約権1個を取得することができる旨の取得条項が付されております。
当社取締役会は、独立委員会の勧告を受けて、これを最大限尊重して最終的に速やかに新株予約権の無償割当ての実施又は不実施に関する会社法上の機関としての決議(新株予約権の無償割当ての中止を含みます。)を行うものとします。
本プランの有効期限は、平成31年3月期の事業年度に関する定時株主総会終結の時までとします。
ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、本プランは当該決議に従い、その時点で変更又は廃止されるものとします。また、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランの廃止の決議がなされた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
当社は、本プランが廃止又は変更された場合には、当該廃止又は変更の事実及び(変更の場合には)変更内容その他当社取締役会又は独立委員会が適切と認める事項について、速やかに情報開示を行います。
(8)上記(7)の取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、本プランの策定にあたり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的に以下の対応を行っていることから、本プランは基本方針に従い、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また当社会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
①株主意思を重視するものであること
本プランは、平成28年6月29日開催の第131期定時株主総会における株主の皆様のご承認により継続されております。また、有効期間(3年)の満了前であっても、当社株主総会において、本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い、変更又は廃止されることになります。
②独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
当社取締役会は、本プランの導入に当たり、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために本プランの発動等の運用に際しての実質的な判断を客観的に行う機関として独立委員会を設置しました。
独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社の社外取締役、又は社外の有識者から選任される委員3名以上により構成されます。
また、独立委員会の判断概要については必要に応じ株主の皆様に情報開示をすることとし、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保しています。
③合理的な客観的発動要件の設定
本プランは、予め定められた合理的客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。