有価証券報告書-第123期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
事業等のリスク
当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与える重要課題(マテリアリティ)を抽出しています。抽出した重要課題については、確実で効率的な対応を心がけつつ、2019年スタートの中期経営計画「DIC111」(注1)と、さらにその先の成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ経営の諮問機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のサステナビリティ部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である執行会議など重要会議を通じて適切にモニターし、リスク対策を実施しています。
後述する主要なリスクの記載順序は、当社グループのマテリアリティ・マトリックス(注2)をベースとしており、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています(注3)。当連結会計年度末現在において、各リスクが顕在化し当社グループの業績や財政状態に大きな影響をもたらす可能性は、概ね中程度から低いものと想定していますが、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めて対策に取り組んでいます。
なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(注1)中期経営計画「DIC111」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.htmlをご覧ください。
(注2)マテリアリティ・マトリックスの詳細は、DICレポート(統合報告書)https://www.dic-global.com/ja/csr/annual/をご覧ください。
(注3)各リスクが顕在化する可能性や時期など表中における項目の詳細は以下のとおりです。
可能性 (当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)
高: 可能性が高い
中: 可能性が中程度
低: 可能性が低い
時期 (当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)
長期: 5年超
中期: 3、4年程度
短期: 2年以内
不明: 顕在化するタイミングが予想できない
区分 (発生要因別の当社における管理上のリスク区分)
①: 発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク
②: 会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク
③: 事業の中で認識すべきビジネスリスク
関連 (中期経営計画「DIC111」で定めた3つの事業戦略との関連)
A: 成長実現に向けたポートフォリオ転換
B: グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化
C: キャッシュ・フローマネジメント
他: 事業戦略の関係なし
(1)顕在化した場合の影響が大きいリスク
(2)顕在化した場合の影響が中程度のリスク
(3)顕在化した場合の影響が小さいリスク
後述する主要なリスクの記載順序は、当社グループのマテリアリティ・マトリックス(注2)をベースとしており、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています(注3)。当連結会計年度末現在において、各リスクが顕在化し当社グループの業績や財政状態に大きな影響をもたらす可能性は、概ね中程度から低いものと想定していますが、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めて対策に取り組んでいます。
なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(注1)中期経営計画「DIC111」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.htmlをご覧ください。
(注2)マテリアリティ・マトリックスの詳細は、DICレポート(統合報告書)https://www.dic-global.com/ja/csr/annual/をご覧ください。
(注3)各リスクが顕在化する可能性や時期など表中における項目の詳細は以下のとおりです。
可能性 (当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)
高: 可能性が高い
中: 可能性が中程度
低: 可能性が低い
時期 (当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)
長期: 5年超
中期: 3、4年程度
短期: 2年以内
不明: 顕在化するタイミングが予想できない
区分 (発生要因別の当社における管理上のリスク区分)
①: 発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク
②: 会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク
③: 事業の中で認識すべきビジネスリスク
関連 (中期経営計画「DIC111」で定めた3つの事業戦略との関連)
A: 成長実現に向けたポートフォリオ転換
B: グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化
C: キャッシュ・フローマネジメント
他: 事業戦略の関係なし
(1)顕在化した場合の影響が大きいリスク
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク 国際社会では、急速に2050年カーボンニュートラルへの要請が高まり、今後競争ルールの変更を伴う社会システムの変化が予測されます。現在当社グループは2013年度を基準年として2030年度までに事業所で排出するCO2排出量を30%削減の目標設定を行い、CO2排出量の削減に取り組んでいますが、一方で以下を業績に深刻な影響を与える可能性のある気候変動リスクと捉えています。 1)今後カーボンプライシングや国境炭素税等が導入された場合、原燃料価格の上昇や電力価格の上昇や輸出品目の課税措置等が課され、CO2排出量が直接的なコスト圧迫要因となります。 2)気候変動に伴う移行リスクとして、脱炭素社会に向けたサーキュラーエコノミー等による急激な需要の変化が起きた場合、これへの対応ができなければ大幅な事業収益の低下をもたらす要因となります。 3)極端な物理的リスクとして、異常気象による気象災害が深刻化・頻発化すると、事業所の稼働停止、原料調達の不安定化により製品供給不能や供給の遅延を生じる可能性があり、事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクとなる可能性があります。 | 高 | 中~長期 | ①③ | AB | 2050年カーボンニュートラルの要請、また将来の導入が予測されるカーボンプライシングによるコスト影響を回避するため、当社グループでは積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。また現行の2030年までのCO2排出量削減目標(2013年度~2030年度 30%削減)を見直し、2050年を視野に長期的な更に強力なCO2排出量削減目標の策定に向けた取組を進めています。 また当社グループでは気候変動による需要の変化に的確に対応するべく将来のサーキュラーエコノミーへの移行を視野に入れた製品開発、脱炭素に向けて貢献する製品・サービスの開発及び普及に取り組み、気候変動に関する社会課題の解決を目指します。 一方、物理的リスクに対して重要原料の供給対策も含むBCP(事業継続計画)の策定を進め、また沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。こうした活動については積極的な情報開示を行い、外部とのコミュニケーションも図り、ステークホルダーからの理解を頂く様取り組んでいます。 |
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
ポートフォリオ転換に関するリスク 中期経営計画「DIC111」では、マクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指して社会課題を解決する事業の推進とポートフォリオ転換に向けた基盤の整備に取り組んでいます。 事業ポートフォリオの転換に遅れが生じた場合、硬直化により成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 | 中 | 短期 | ②③ | A | 当社グループでは中期経営計画「DIC111」に掲げたValue Transformation及びNew Pillar Creationの推進と、当社の事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行い、リスクへの対応に取り組んでいます。 取締役会及び執行会議では中期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じた追加施策を講じています。当社の強み・特長を活かして価値を創出していく事業の強化を図ります。 また、新たにサステナビリティ指標を設定し、社会的価値の向上を更に推進していきます。 |
環境負荷低減の要請に起因するリスク 当社グループは、事業活動を通じて発生する様々な環境負荷(環境汚染物質、海洋プラスチックなどの廃棄物)の低減に努めています。しかし、環境負荷物質がトラブルにより想定以上に排出されてしまった場合、その回収コスト負担や賠償責任の可能性があります。環境規制の強化による業界基準の変更、又は持続的な社会に向けたシステムの変化に適切に対応できなければビジネスを継続できなくなるリスクがあります。 | 中 | 長期 | ①③ | AB | 当社グループは、生産と事業の両側面から環境負荷の低減に努めています。 生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制遵守はもとより、定期的に環境負荷データをモニタリングしてリスクを管理しています。また、国内においては環境負荷物質の削減目標を定め、毎年モニタリングしながらその削減に努めています。 事業面においては、従来より、環境負荷低減に貢献する「環境調和型製品」の社内認定制度の下、バイオマス原料を使用した製品などの環境調和型製品比率の向上に努めています。また、ケミカルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーへの取り組みを推進しています。 |
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
イノベーションの停滞に関するリスク 当社グループは環境面における社会変革への対応が非常に重要と考え、サステナブルな社会に貢献しグリーン成長戦略につながる製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタル化による不連続な技術革新、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社のイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、会社の成長が鈍化する可能性があります。 | 低 | 中~長期 | ③ | AB | 当社は、当社グループが保有する既存の基盤技術に加えて、無機材料技術やバイオ技術などの新しい基盤技術を活用して、次世代向けパッケージ、サステナブル・ポリマー、機能性無機材料、ヘルスケア、ニュートリションなどの様々な市場に向けてサステナブル製品の開発を進めています。特に技術部門では、製品開発の成功率を高めると同時に開発期間を短縮するためにMI(マテリアルインフォマティックス)を積極的に活用しています。また、量子コンピューターのコンソーシアムへの参加を通じて最先端の量子コンピューティング技術の導入に努めています。さらに、外部研究機関との共同研究やCVC活用による新技術の導入などオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。同時に、当社グループはAI、IoT等のデジタル化技術の進展による社会変革に対応すべく、専門部署のデジタルトランスフォーメーション推進部を立ち上げ、生産部門におけるスマート工場化に向けた取組や、技術部門におけるAI技術の活用に積極的に取り組んでいます。 |
(2)顕在化した場合の影響が中程度のリスク
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
パンデミックリスク 感染症が世界的規模で拡大(パンデミック)した場合には、それに起因する経済活動の停滞や需要減によって出荷が落ちこむ可能性があります。また、政府の要請等による事業への制約又は当社グループ社員への感染の広がりで、営業拠点や研究所の閉鎖や工場の操業停止によって一時的に事業の継続が困難となる可能性があります。これらの結果として当社グループの業績や財政状態に大きく影響する可能性があります。 | 中 | 短期 | ①③ | B | 当社グループは自動車や電気・電子向け材料などを供給する一方で、新聞や印刷・出版関係、食品パッケージなどの社会インフラに不可欠な分野への製品もグローバルに供給しています。中期経営計画におけるマクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指し事業ポートフォリオの転換を図ることで、更なる事業リスクの分散を進めています。 新型コロナウイルス感染症に対する従業員の安全、健康を守る取り組みとして、生産拠点やオフィスにおける「感染予防対策のガイドライン」を設けて、時差出退勤や班分けによるローテション勤務等の適用、勤務時のソーシャルディスタンスの配慮、消毒の徹底等を行っています。また、ITインフラの整備・増強を進めた上で、情報のデジタル化、社内手続の電子承認化によるペーパーレス化を進め、在宅勤務等のテレワークの積極的活用を推進し、就業環境の感染予防対策を徹底しています。 |
品質問題の発生に伴うリスク 製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起などの事象が発生して出荷・生産の停止が生じた場合、また製品回収や損害賠償が発生したために費用増が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。更にこれらの事象が発生したことにより社会的信用の失墜が生じる可能性があります。 | 中~低 | 不明 | ③ | A | 当社グループでは、品質に関して「常に信頼される製品を提供して顧客と社会の繁栄に貢献する」をグループ方針とし、毎年社長が社員に向けて品質の重要性を喚起しています。品質保証と品質の向上に向けた活動に努め、教育研修を強化し「コンプライアンス遵守」の認識を徹底すると同時にQMS(品質管理システム)の正しい運用を徹底しています。 製品本部から独立した品質保証部を設置し、グループ全体の品質保証機能を一括管理することで、顧客重視の視点で製品の品質により生じるリスクへの対応策に真摯に取り組んでいます。2021年からは社長直轄の品質委員会を設置しグループとして品質マネジメントの更なる強化に取り組んでいきます。 |
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
原料調達に関するリスク 当社グループは短期及び中長期的な視点で品質と価格、安定供給に加え持続可能な原料調達の実現に向けた取り組みを推進しています。 国際商品市況の影響により原料価格が上昇した場合や需給バランスの変動により原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また中長期的観点では、サステナビリティ(環境・社会・ガバナンス)に取り組んでいないサプライヤーからの原料調達は当社グループの事業継続に支障が生じる可能性があります。 | 中 | 短~長期 | ② | A | 当社グループは、代替ソース開拓による複数購買化や長期契約等により原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。 また中長期的観点では取引先に示している「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」に基づき、厳格な化学物質の管理や環境負荷の低減を求めながらサステナビリティ活動に取り組む優良なサプライヤーからの調達を推進していきます。 |
金利変動に起因するリスク 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 | 中 | 短~中期 | ① | C | 当社グループは、財務の健全性の評価指標として、D/Cレシオを採用し、財務体質の維持・強化と有利子負債の削減に努めています。また、各国の金利動向を注視しながら足元の低金利環境を活かし、固定金利調達を増やすなど、将来の金利変動リスク、金利負担の低減を図る措置を講じています。 |
為替変動に起因するリスク 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額には為替相場の変動による影響があります。そのため為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また輸出入等の外貨建取引についても、為替相場変動による換算上の影響があるため、同様に業績に影響を及ぼす可能性があります。 | 中 | 短期 | ① | C他 | 当社グループは、本社のリーダーシップの下で各地域で為替リスク管理体制を整備し、為替相場の変動に伴う業績影響や在外子会社の換算影響の把握に努めています。また為替予約等の金融商品取引や資金調達・投資の複数通貨対応等を通じて、そのリスクを軽減する措置を講じています。 |
企業買収・資本提携が想定どおり進まないことに起因するリスク 当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合には、当初計画していた効果が得られないため当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 | 低 | 中~長期 | ②③ | A | 当社グループでは、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行い、グループ一体となったPMI(買収完了後の統合)活動の推進や、シナジーの実現に向けたアクションを実施することによりリスク低減に取り組んでいます。 |
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
情報セキュリティに起因するリスク サイバー攻撃等によるデータ逸失や改竄、情報漏えい、災害や障害等による業務システムの停止・設備・機器等の停止や誤動作が発生した場合、それらが引き起こす事業の停滞及び事業機会ロスの可能性があります。 | 低 | 不明 | ② | B | 当社グループの情報系及び制御系インフラのセキュリティ機能の継続的強化と、ITのBCP整備(災害復旧・バックアップ・体制など)また情報セキュリティ教育・訓練の継続的な更新と実施を行うことでリスク低減に取り組んでいます。 |
コンプライアンス違反に関するリスク 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質などに関する様々な法規制の適用を受けています。法規制などに違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 | 低 | 不明 | ② | B | 当社グループでは、法規制の他、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性やビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。さらに、全社員は具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によってその認識を深めています。また、コンプライアンス上の疑問を持った者が相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査などによってコンプライアンス違反の早期発見、早期是正を図っています。法規制の変更については、各担当部署が社外の専門家とも連携の上確認し、必要な対応を講じています。 |
子会社ガバナンスの不備に起因するリスク 日本のみならず中国地域、アジアパシフィック地域、北米、中南米、欧州・中東・アフリカなど、グローバルに展開する当社グループ子会社で、コーポレートガバナンスの不備に起因して、従業員による横領等の不正行為、粉飾決算、法令違反が発生して会社が損害を受ける、又は当社グループの社会的信用に傷がつく可能性があります。 | 低 | 不明 | ③ | 他 | 当社グループ従業員の行動規範である「DICグループ行動規範」を制定し、主要な所在地言語に翻訳の上、すべての地域において従業員がこの規範に準拠した正しい判断と行動を行うよう、統制環境を整備しています。また、全ての当社グループ子会社においてコーポレートガバナンスに必要な権限承認規定等の規定類が具備されています。日本、中国、アジア・パシフィック、北米、中南米、欧州・中東・アフリカの各地域をカバーする内部統制組織を有しており、ほぼすべての事業拠点をカバーするように定期的な内部監査によるモニタリングを実施して、グループ会社の法令順守、コーポレートガバナンスが適切に機能していることを確認しています。従業員の不正行為等に対しては内部通告制度が全ての子会社の従業員に周知され、従業員による不正が起きにくい環境の整備・維持に努めています。 |
(3)顕在化した場合の影響が小さいリスク
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
水資源に関するリスク 当社グループは、事業活動を通じて水資源の有効活用に努めていますが、水資源に関わる量的な物理リスク、質的な物理リスク及び規制/社会的評判リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 量的な物理リスクとしては、取水源における水不足とそれに伴う水価格の上昇により、生産能力に制約が生じたり、収益性が低下する可能性があります。質的な物理リスクとしては、取水源や排水先の水質低下により、生産能力や収益性が低下する可能性があります。また、排水等の環境規制が急激なスピードで実施された場合、対策へのコスト増加や生産活動が制限される可能性があります。 | 低 | 長期 | ②③ | AB | 当社グループでは、所在地域毎の水資源に関する情報を入手しつつ、事業所における取水、排水のデータをモニタリングして、水資源に関するリスクを管理しています。また、水を再利用(リユース・リサイクル)することにより水使用量の低減に取り組んでいます。 |
災害、事故の発生に伴うリスク 大規模災害や事故により、人的・物的損害が発生し、その結果工場の操業停止や事業活動の停止が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、事故災害の発生により、事業所周辺の地域社会等に対するレピュテーションの毀損に伴い、当社事業活動への影響が発生する可能性があります。 | 低 | 不明 | ①②③ | 他 | 当社グループでは、重大災害等発生時の危機管理規則や個別のリスク別(大規模地震・台風・水害等の自然災害、パンデミック、工場における爆発・火災・漏洩等)に対策マニュアルを全社マニュアルとして整備したうえで、製品本部ごとにBCP(事業継続計画)を策定しています。 また、安全衛生・防災という観点では、社会の一員として、安全・環境・健康の確保が経営の基盤であることを認識し、このことを事業活動の全てに徹底していきます。具体的には、当社グループ全体・従業員一人ひとりが「安全第一」を共通認識として、労働安全衛生・保安防災を推進するための、方針策定と周知徹底、経営層が率先して安全活動を推進することを実現するための体制整備、定期的な監査の実施、積極的かつ継続的な教育・訓練の実施を推進しています。 |
リスク及び業績に与える影響の内容 | 可能性 | 時期 | 区分 | 関連 | 当社グループの取り組み |
政治・地政学変動リスク 政治や社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等によるコスト増、製品・原料輸出入や送金の停止、サプライチェーン分断による影響、また為替変動が生じた場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中貿易摩擦による製品・原料等の輸出入停止及び関税税率アップに伴うコスト増、又は中東地域における紛争・政治不安等による原油高騰が財務影響を及ぼす可能性として挙げられます。 | 低 | 不明 | ① | 他 | 当社グループでは、本社による全体的な管理に加えて、地域統括会社による通常管理により事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。 生産・販売面におけるBCP(事業継続計画)体制の確立や原料の複数調達体制の構築を通じてカントリーリスクへの対応に取り組んでいます。 また、サプライチェーンの分断には、当社の世界に幅広く有する拠点を有効活用することでリスクを低減しています。 |
税務リスク 当社グループは、世界各国で販売や生産などの事業活動を行っており、グループ内でも相互に取引があります。各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国税務当局との見解の相違により予期しない課税を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 | 低 | 不明 | ① | 他 | 当社グループは、本社のリーダーシップの下に、各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、定められた移転価格文書を整備しています。また、「DICグループの税務に関する方針」を策定・公表しており、透明性の高い税務管理に取り組んでいます。 |
知的財産に関するリスク 当社グループが保有する技術資産・ノウハウが不測の事態により外部へ流出した場合、また、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を与える可能性があります。 | 低 | 不明 | ③ | A他 | 当社グループでは、情報セキュリティ基本方針の下、機密情報管理規程を制定し技術情報等を厳格に管理しています。一方、製品開発に当たっては事前の厳格な知財権調査(特許・商標ほか)を義務づけ紛争回避のための施策を実施しています。 |