有価証券報告書-第122期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 13:09
【資料】
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【項目】
163項目

事業等のリスク

当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
1.需要業界・地域の動向 当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
2.為替レートの変動 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。
3.原料調達 当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
4.有利子負債 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
5.固定資産の減損 当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
6.繰延税金資産 当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
7.退職給付債務 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
8.公的規制 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
9.紛争、訴訟等 当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
10.製品の品質 当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
11.知的財産
当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
12.災害、事故
当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
13.情報管理
当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
14.企業買収、資本提携、事業再構築
当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
15.気候変動への対応
当社グループは、事業活動を通じてCO₂排出量の削減に取り組み、気候変動リスクの低減に努めていますが、気候変動に関連する移行リスクや物理的リスクが顕在化する場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
気候変動に関する移行リスクとして、脱炭素社会への急速な移行に対応できず、原燃料価格の上昇やこれに伴う電力価格の上昇などに伴うコストの増加により、収益性が低下する可能性があります。物理的リスクとしては、異常気象の深刻化により、生産オペレーションやサプライチェーンに悪影響を及ぼし、生産能力の低下や製品供給の遅延といった事態を引き起こす可能性があります。
一方で当社グループは、気候変動をビジネスの機会と捉え、低炭素製品・サービスの開発及び普及等に取り組むといった事業活動を通じて、気候変動に関する社会課題の解決を目指します。