有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/18 14:50
【資料】
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【項目】
87項目

研究開発活動

当社は、2018年5月に公表した「経営計画2018」において、「製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求」「Focus Areaアプローチによる価値創造」「Rx+TMプログラムへの挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。
製品価値の最大化に向けた取り組みの一環として、2020年度以降の成長を支える6つの重点後期開発品に優先的に経営資源を振り向け、着実に開発を進めました。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)に関し、追加剤形であるイクスタンジ錠を日本において2018年6月に発売しました。また、第Ⅲ相PROSPER試験のデータに基づき、米国において同年7月に非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応の承認を取得し、欧州において同年10月にハイリスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応の承認を取得しました。このほか、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相ARCHES試験において、画像診断による無増悪生存期間を有意に延長し、主要評価項目を達成しました。
・FLT3阻害剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)に関し、「再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」の適応症について、日本において2018年9月に、米国において同年11月に、それぞれ承認を取得し、両国において同年12月に発売しました。また、同適応症について欧州において2019年2月に承認申請しました。
・経口投与が可能な低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬ロキサデュスタット(一般名、開発コード:ASP1517/FG-4592)に関し、透析期の慢性腎臓病に伴う貧血の適応症について、日本において2018年9月に承認申請を行いました。また、欧州での申請に向けた6つの第Ⅲ相試験の全てにおいて、主要評価項目を達成しました。
・これらの進展に加え、選択的ニューロキニン3(NK3)受容体拮抗薬fezolinetant(一般名、開発コード:ESN364)に関し、更年期に伴う血管運動神経症状患者を対象とした後期第Ⅱ相試験において、4つの主要評価項目を全て達成したほか、抗体-薬物複合体エンホルツマブ ベドチン(一般名、開発コード:ASG-22ME)に関し、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした第Ⅱ相試験のうち、白金製剤による化学療法及び免疫チェックポイント阻害剤による治療歴のある患者群において、良好な結果が得られました。また、抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名、開発コード:IMAB362)に関し、胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者を対象とした第Ⅲ相試験を開始しました。
その他、日本において、以下の承認取得、新発売等がありました。
・MSD株式会社が製造販売する選択的DPP-4阻害剤ジャヌビア(一般名:シタグリプチンリン酸塩水和物)と当社が製造販売する選択的SGLT2阻害剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)の配合剤である2型糖尿病治療剤スージャヌ配合錠を2018年5月に発売しました。
・高コレステロール血症治療剤レパーサ(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え))に関し、共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、高コレステロール血症におけるスタチン不耐性患者を対象とした一部変更承認申請を2018年8月に行いました。
・便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス(一般名:リナクロチド)に関し、「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」の追加適応症について、2018年8月に承認を取得しました。
・大環状抗菌剤ダフクリア(一般名:フィダキソマイシン)に関し、「感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)」の適応症について、2018年7月に承認を取得し、同年9月に発売しました。
・抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ(遺伝子組換え))に関し、「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」の適応症について、共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が2018年9月に承認を取得したことを受け、同年11月に発売しました。
・関節リウマチ治療剤シムジア(一般名:セルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え))の追加剤形であるシムジア皮下注200mgオートクリックスを2018年11月に発売しました。
・2型糖尿病治療剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)に関し、「1型糖尿病」の追加適応症及び用法・用量の追加について、2018年12月に承認を取得しました。
・前立腺がん治療剤ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)に関し、維持用量を12週間間隔で投与する用法・用量追加の一部変更承認及びその用法・用量で用いるゴナックス皮下注用240mgの承認(剤形追加)を2019年1月に取得しました。
・高血圧症治療剤ビソノテープ(一般名:ビソプロロール)に関し、「頻脈性心房細動」の追加適応症及び追加剤形であるビソノテープ2mgについて、販売契約先のトーアエイヨー株式会社が、2019年1月に承認を取得しました。
・ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤イベニティ(一般名:ロモソズマブ(遺伝子組換え))に関し、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」の適応症について、共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が2019年1月に承認を取得したことを受け、同年3月に発売しました。
・経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤スマイラフ(一般名:ペフィシチニブ臭化水素酸塩)に関し、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の適応症について、2018年5月に承認申請を行い、2019年3月に承認を取得しました。
Focus Areaアプローチによる価値創造における取り組みの一環として、当社は、最先端の科学に基づき、バイオロジーとモダリティ/テクノロジーの組み合わせをアンメットメディカルニーズの高い疾患に応用することで、革新的な医薬品の創出を目指し、多面的な視点から特定した分野に経営資源を投下しています。
また、遺伝子治療や細胞医療等の新しいモダリティを活用した複数の開発プログラムの今後の進展と将来の商業化を見据え、設備投資も行っています。日本においては、抗体の原薬製造設備、遺伝子治療や細胞医療の臨床初期治験薬の製造設備の建設に着工しました。米国においては、再生医療・細胞医療分野での研究開発の加速と製造設備の増強に向けた設備投資を行っています。
これらに加え、外部パートナーとの提携機会も活用しながら、イノベーション創出のための投資を行いました。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
・2018年8月、ケセラ社(英国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。本買収により、当社は緑内障患者の網膜に治療遺伝子を発現させる遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスを活用した遺伝子治療プログラムを獲得しました。
・2018年9月、株式会社遺伝子治療研究所と、全世界における独占交渉のオプション契約を締結し、孤発性筋萎縮性側索硬化症を対象とした遺伝子治療プログラムであるGT0001Xの開発及び商業化に関する権利を獲得しました。
・2018年11月、ジュベンタス・セラピューティクス社(米国)と、中国を除く全世界における独占的なオプション及びイセンス契約を締結し、便失禁を対象とした遺伝子治療プログラムであるJVS-100の開発及び商業化に関する権利を獲得しました。
・2018年12月、がん免疫関連バイオテクノロジー企業であるポテンザ社(米国)について、2015年に締結した独占的共同研究開発契約に基づく同社を買収する独占的オプション権の行使により、同社を当社の完全子会社としました。これにより、臨床段階にある複数の新規がん免疫療法プログラムを獲得しました。
なお、当連結会計年度の研究開発費は2,087億円(前連結会計年度比5.5%減)、売上収益研究開発費比率は16.0%となりました。