有価証券報告書-第152期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/22 15:21
【資料】
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【項目】
123項目
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」ことを基本方針としております。そのためには、益々よい薬を創り、かつ製造するとともに、多くの方々に知らせ使って頂くことが必要であります。このことを成し遂げるために、シオノギのあらゆる人々が日々技術を向上させることが、顧客、株主、取引先、社会、従業員などシオノギに関係するすべてのステークホルダーの利益の拡大に貢献できるものと考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)中長期的に対処すべき課題と取り組み
■医薬品産業を取り巻く環境変化
近年、医薬品業界を取り巻く環境は、ますます激しく変化してきております。当社が認識している環境変化として、大きく4点が挙げられます。
①患者さまの医療意識の向上
医療ニーズの拡大と細分化、高い有効性・安全性・経済性を備えた新薬への期待、健康寿命の延伸、セルフメディケーションの重要性の高まり
②各国市場の動向
先進国における医療保険財政の悪化、費用対効果の追求、新興国における経済発展を背景にした医療ニーズの急速な高まりと発言力の強まり
③研究開発環境の変化
iPS細胞*1等を用いた創薬や再生医療等の登場、創薬難易度の高いアンメットメディカルニーズへの取り組み、耐性菌・耐性ウイルス問題の深刻化
④ヘルスケアビジネスの変容
ヘルスケアデータの増大やそれらデータの活用体制整備への対応、異業種参入によるヘルスケアビジネスのボーダーレス化
これら変化に柔軟に対応していくことが、ますます必要になってきています。
*1 iPS細胞:人工多能性幹細胞
■積み残した課題
現在、当社グループは、国内事業、海外事業、生産性のそれぞれにおいて、以下のような課題を認識しております。
①国内事業における課題
サインバルタ、ムルプレタ、アシテアダニ舌下錠*2等を中心とした新製品群の拡大
②海外事業における課題
最大市場の米国や成長市場の中国を含め、海外の販売及び利益貢献
③生産性に関する課題
ロイヤリティーを除いた従業員一人当たりの売上高/営業利益の改善
2017年度は、当期の成果とこれら課題、環境変化への対応を踏まえ、SGS2020の更新により新たに掲げた「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことの具現化に取り組んでまいります。
*2 舌下錠:舌下免疫療法に用いる。舌下からアレルギーの原因になる抗原を少量ずつ体内に投与可能
■2020年に向けた基本戦略
当社を取り巻く環境変化に柔軟に対応しながらこれまで積み残してきた課題を解決し、当社の基本方針である「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」ことを実現するため、2016年10月に中期経営計画SGS2020を更新いたしました。新たな目標設定に当たっては、「成長性」「効率性」「株主還元」の3つのフレームワークで目標を設定しております。
成長性の目標としては、「新製品」を新たに定義しました。コア疾患領域の感染症、疼痛・神経を中心とするこれらの「新製品」に経営資源を集中させて製品価値を速やかに最大化し、社会に対して新たな価値を提供することを目指します。その結果として、2020年度の新製品売上高2,000億円、経常利益1,500億円を成長性の数値目標として掲げています。
効率性の目標としては、経営管理能力とキャッシュ創出力の強化によりビジネスの効率性を上げるとともに、研究開発における自社オリジンの創薬と効率的かつ効果的な開発の追求を定めました。その結果、数値目標は、投下資本利益率(ROIC)13.5%以上、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)5.5ヵ月、自社創薬比率50%以上としています。
株主還元の目標には引き続きROEとDOEを定め、株主還元、戦略的事業投資、成長への投資をバランスよく行い、企業価値を最大化してまいります。
■シオノギが取り組む社会課題
当社は、「感染症」と「疼痛・神経」をコア疾患領域に掲げておりますが、感染症領域においては、「世界を感染症の脅威から守る」ことを目指し、疼痛・神経領域においては、「個人が生き生きとした社会創り」に貢献することを目指しております。
①感染症
「世界を感染症の脅威から守る」ために、いまだ治療法が確立していない感染症に対する新薬を生み出し、また薬剤の適正使用を推進することにより、新たな耐性菌・耐性ウイルスの発生を防ぐことが求められています。
それらの社会ニーズに応えるため、当社グループは、多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬候補セフィデロコルの開発推進、テビケイ、トリーメクをはじめとするHIVフランチャイズの拡充、インフルエンザ感染症治療薬候補S-033188の一日も早い上市を目指します。
②疼痛・神経
「個人が生き生きとした社会創り」への貢献としては、悩み・苦しみ・痛みにより社会から遠ざかっている方々が元気に復帰するための手助け、「生きにくさ」から解放し、個人の本来の能力を発揮して活躍するための手助け、さらには人生の最後のステージを凛として過ごすための手助けを通じて貢献することを目指します。
サインバルタの痛み領域への適応拡大、オキシコドン乱用防止徐放錠やナルデメジンによる医療用オピオイドをより安心して使えるための取り組みを推進し、患者さまの痛みからの解放に貢献します。
神経領域では、インチュニブをはじめとする注意欠如・多動症(ADHD)治療薬等により、個人が生き生きとした社会創りに貢献してまいります。
■イノベーションと医療経済性の両立に向けて
当社は、「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ためには、イノベーションと医療経済性の両立の実現が重要と考えております。そのためには、「低分子創薬を軸とした効率性の追求」と「継続的なビジネスオペレーションの進化」が必要です。当社の強みである低分子創薬を軸としてバリューチェーンの効率化を進め、新薬を継続的に創出すると同時に、外部との連携も推進し、当社の創薬力とのシナジーから継続的にイノベーションを創出します。そこから創出された開発候補品については、最適な開発デザインにより、効果的・効率的に上市・育薬し、製品価値の最大化を図ります。
また、生産、調達・物流、在庫管理、品質・信頼性、薬事、安全性の観点においても、継続的にビジネスオペレーションを進化させることで、イノベーティブで高品質な製品を安定的かつ経済的に提供し続けます。
また、新たに設立した国内グループ会社6社を含め、当社グループ全体としてビジネスオペレーションを強化・進化させるとともに、働き方改革、ダイバーシティーの推進、社会からの要請(雇用延長、同一労働同一賃金)にも対応し、生産性を向上させることで、イノベーションと医療経済性の両立を目指してまいります。
■新製品の継続的な上市
国内では、オピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク、注意欠如・多動症(ADHD)治療薬インチュニブ、オキシコドン乱用防止徐放錠の慢性疼痛への適応拡大、アシテアダニ舌下錠の小児への適応拡大等、今後の成長を支える製品の上市・適応拡大が次々に予定されております。これらの製品に経営資源を集中的に投下し、SGS2020で掲げた新製品売上高2,000億円を目指して取り組んでまいります。
海外事業につきましては、米国において、パートナー企業との戦略的事業提携を最大限に活用し、より少ない自社の経営資源でSymproic*3とオスフィーナの価値を早期に最大化することを目指します。また、今後上市が予定されるセフィデロコルやルストロンボパグ等の病院市場に特化した製品による生産性の高いビジネスへの変革の準備を進めてまいります。
*3 Symproic:ナルデメジンの米国における製品名
■持続的成長の基盤となる人材の育成
当社は、持続的に企業として成長し続けるためにはその基盤となる人材が重要と考えております。そのため、若年層から中堅層、幹部職層に対する多種多様な人材育成プログラムの活用を通じ、新たなリーダーの育成に努めてまいります。
(2)2017年度の対処すべき課題
2017年度におきましては、前期に行った長期収載品の承継に伴う国内医療用医薬品売上高の減少、2017年度末に想定される国内主力品目に対するジェネリックの参入、2013年度に行った契約の変更に伴うクレストールロイヤリティーの減少、複数の新製品上市に伴う販売費用の増加等を認識しております。当社はSGS2020の達成を目指す中で、2017年度を、会社としてのグローバルな競争力を飛躍的に上げるためのスタートの年と位置付けています。
国内事業においては、サインバルタやオピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク、注意欠如・多動症(ADHD)治療薬インチュニブ、オキシコドン乱用防止徐放錠、アシテアダニ舌下錠等の新製品に経営資源を集中的に投下し、早期に販売を拡大してまいります。
また、海外事業においては、パデュー社及びデュシネイ社と合意した戦略的事業提携を通じてSymproicとオスフィーナの製品価値を最大化させながら、より少ない自社の経営資源で、効率的な経営を行ってまいります。さらに、効率性の高い経営基盤を構築しながら、今後上市が予定されている病院市場に特化したセフィデロコルやルストロンボパグによる生産性の高い事業運営に向けた準備を進めてまいります。
日本国内、海外ともに継続的なビジネスオペレーションの進化を通じ、生産性の向上とロイヤリティーを除く従業員一人当たりの売上高/営業利益の向上を目指し、2017年度も株主の皆さまに成長をともに実感していただけるよう取り組んでまいります。
当社グループは、経営理念である基本方針「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」ことをグローバルに実現するため、創薬型製薬企業としての成長を目指します。そして、世界中の患者さまやそのご家族、医療関係者の方々等、あらゆるステークホルダーの皆さまに信頼されるグローバル企業を目指し、日本経済の成長・発展に貢献していきます。

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