有価証券報告書-第112期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 15:45
【資料】
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【項目】
143項目
(4)【役員の報酬等】
① 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項
(報酬フィロソフィー)
当社は、取締役、監査役及び執行役員が受ける報酬等の決定に関する基本方針を以下のように定めています。
社内取締役及び執行役員(社内経営幹部)
・ 当社のビジョンである「Santen 2030」や中期的な戦略目標の達成、ESG経営の強化に向け意欲高く取り組めるよう、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資する実効性を備えているものであること
・ 幅広いステークホルダーとの価値共有を深めるものであること
・ ステークホルダーに対して高い説明責任を果たすべく、透明性の高い報酬決定プロセスを経て客観性が担保されたものであること
・ グローバル人材を含む優秀な人材を各国・地域で確保できるよう、競争力のある報酬水準を提供すること
・ グローバル統一の評価・報酬制度のもと、厳しい規律付けを備えたパフォーマンスカルチャーをより一層浸透させ、目標の達成に向けて取り組むことを後押しするもの
社外取締役及び監査役
・ 当社の持続的な成長を社内経営幹部とは異なる独立の立場から支えるべく、役割の大きさに応じた適正な報酬水準とするとともに、社内経営幹部とは共通の業績目標を有さない制度とすることによって、経営の監督機能の実効的な発揮を促すものとすること
(取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針)
(ア)取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針の決定方法
上記のフィロソフィーに基づき、取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針(以下、「決定方針」といいます。)については、幹部報酬委員会による答申を踏まえて取締役会において決議しています。
(イ)決定方針の内容の概要
後述の(取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬等の内容)、(社外取締役の個人別の報酬等の内容)及び(取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項)をご参照ください。
(ウ)当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると取締役会が判断した理由
取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、幹部報酬委員会が原案について決定方針との整合性を含めた多角的な検討を行っており、取締役会ではその答申内容も検証し決定方針に沿うものであると判断しています。
(取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬等の内容)
当社の取締役(社外取締役を除く)の報酬は、原則として、基本報酬、年次賞与及び株式報酬の3つの制度で構成しています。総報酬の基準額におけるそれぞれの構成比率は、基本報酬:年次賞与:株式報酬を1:0.25:0.5とし、総報酬の水準は、医薬品企業のベンチマーク結果等を参考に決定しています。これらの概要は以下(図表1及び2)のとおりです。ただし、個人別の役割・職責等に応じて個別に調整を加える場合があります。
取締役会長の報酬は、監督機能の発揮を通じた中長期的な企業価値の維持向上を促すため、基本報酬及び株式報酬の2つの報酬要素で構成しています。総報酬の基準額におけるそれぞれの構成比率は、基本報酬:株式報酬を1:0.5としています。なお、株式報酬は譲渡制限付株式のみとし、業績指標に連動する年次賞与とパフォーマンス・シェア・ユニットについては支給していません。
図表1:制度の目的及び概要
報酬の種類目的・概要

基本報酬・職務評価に基づく等級別の月額固定報酬

年次賞与
(年次インセンティブ)
・事業年度毎の業績目標の達成に向けて、着実に成果を積み上げるための業績連動報酬とし、基準額は基本報酬に対して0.25の比率で設定
・年次賞与は、経営上重要な単年度業績指標に連動する連結業績連動部分(“Financial”)、非財務指標連動部分(“Non-Financial”)、並びに部門業績指標・個人目標による連動部分(“Individual”)の3つの評価区分から構成される。ただし、CEOについては、Financial及びNon-Financialの2つの評価区分から構成される。
・連結業績連動部分(“Financial”)については、売上収益、営業利益率、ROEの目標達成度に連動させ、支給率を決定する。各指標の評価ウェイトは、売上収益:営業利益率:ROE=25:50:25としている。
・非財務指標連動部分(“Non-Financial”)については、ESG関連目標を設定し、幹部報酬委員会が期末の評価を実施のうえ、支給率を決定する。
・CEO以外の取締役(社外取締役を除く)に対する部門業績指標・個人目標による連動部分(“Individual”)については、CEOが各取締役と面談にて期初の目標設定及び期末の評価を実施のうえ、支給率を決定する。
・ポジションごとの基準額に対し、評価区分ごとの支給率を乗じることで最終支給率を算出する。最大支給率はCEOについて基準額の275%、その他の取締役について同248%とし、支給率0%からこれらの数値の範囲で支給額を決定し、毎事業年度終了後に支給する。
株式報酬
(中長期インセンティブ)
・当社のビジョンの実現や戦略の遂行に向け意欲高く取り組むことを促し、株主との一層の価値共有を進めることを目的として、以下の2つにより構成し、交付株式数の基礎となる基準額はいずれも基本報酬に対して0.25の比率で設定
(パフォーマンス・シェア・ユニット制度)
・中期経営計画の期間等都度決定する一定期間(以下、「業績評価期間」)に掲げた目標業績指標達成度に応じて交付する株式数を変動させる業績連動型株式報酬制度
・グローバルのライフサイエンス企業をピアグループとして設定した相対TSR(ウェイト80%)及びESG関連指標(ウェイト20%)の達成度に応じて0%~200%の範囲で株式交付率を決定
・業績評価期間満了時点で対象取締役の地位にあること等の条件を満たすことにより、業績評価期間終了後に株式交付
(譲渡制限付株式報酬制度)
・毎事業年度において譲渡制限付株式を交付する株式報酬制度
・対象取締役の地位にあること等の条件を満たすことにより、毎3年後に譲渡制限を解除

(注) パフォーマンス・シェア・ユニット制度に係る相対TSRの比較対象企業は以下の21社です。
日本に
本社を置く企業等
ヨーロッパに
本社を置く企業等
アメリカに
本社を置く企業等
アステラス製薬
中外製薬
第一三共
エーザイ
協和キリン
武田薬品工業
テルモ
Alcon社
Bayer社
GSK社
Novartis社
Novo Nordisk社
Roche社
Sanofi社
Abbott社
Abbvie/Allergan社
Bausch Health社
Glaukos社
Johnson & Johnson社
Merck社
Pfizer社

中期経営計画の目標達成を促すべく、順位が比較企業の上位1/2(50%ile)の場合に支給率100%、上位1/4(75%ile)を達成した場合には支給率200%、下位1/4(25%ile)を閾値とし、支給率50%と定め、これを下回る場合には支給率を0%とします。ESG関連指標はDow Jones Sustainability Indices (DJSI)におけるIndexへの選出、もしくはDJSI参加製薬企業全体における当社スコアの相対位置を参照して支給率を決定します。Indexへ選出された場合、“World Index”への選出で支給率200%、“Asia Pacific Index”への選出で支給率150%とします。いずれのIndexにも選出されなかった場合は、DJSI参加製薬企業全体における当社スコアの相対位置に応じて支給率を変動させるものとし、“Asia Pacific Index”選出企業の最低スコアを支給率150%、DJSI参加製薬企業全体の最高スコアの65%のスコアを支給率0%とし、両者を結ぶ直線上における当社スコアの相対位置で支給率を算出するものとします。なお当社スコアがDJSI参加製薬企業全体の最高スコアの65%のスコアを下回る場合は支給率を0%とします。
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なお、当社の役員報酬制度が過度なリスクテイクを促すようなインセンティブ報酬となることを抑制し、役員報酬制度の健全性を確保することを目的に、非違行為や不正会計による財務諸表の遡及修正等の一定の事由が生じた場合に支給、交付の前後を問わず、幹部報酬委員会の審議を経た取締役会の判断により、インセンティブ報酬の全部又は一部を返還させる又は没収する条項(いわゆるマルス・クローバック条項)を定めています。
(社外取締役の個人別の報酬等の内容)
業務執行から独立した立場である社外取締役の報酬は、月額固定報酬のみとしており、医薬品企業のベンチマーク結果等を参考に決定しています。また、幹部報酬委員会を含む任意の委員会の委員長である社外取締役には、手当を支給しています。
なお、業績連動報酬は、社外取締役の監督機能の適切な発揮を促す観点から、支給していません。
(監査役の個人別の報酬等の内容)
監査役の報酬については、月額固定報酬のみとしており、幹部報酬委員会からの助言に基づき、医薬品企業のベンチマーク結果等を参考に、株主総会で決議された監査役報酬枠の範囲内で、監査役の協議により決定しています。
なお、業績連動報酬は、監査役の監督機能の適切な発揮を促す観点から、支給していません。
(取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項)
取締役会における報酬の基本方針や報酬制度、報酬水準等の審議・決定に際しての独立性・客観性を確保するとともに、取締役会の監督機能と説明責任を果たす能力を強化すべく、幹部報酬委員会を取締役会の諮問機関として設置しています。
幹部報酬委員会はその過半数を社外取締役で構成することとし、委員長は、独立性・客観性と説明責任を果たす能力の強化の観点から実効的な委員会運営を図るべく、独立社外取締役である委員の中から選定しています。
当社の幹部報酬委員会は、外部の報酬コンサルティング会社であるWTW(ウイリス・タワーズワトソン)をアドバイザーとして起用し、同社が運営する「経営者報酬データベース」に基づき、毎年、当社の事業規模や業種・業態に類似する企業等について報酬のベンチマークを行い、当社の取締役の報酬水準及び業績連動報酬の割合の妥当性を検証するとともに、同社より提供された必要十分な情報に基づき、適切な審議を行っています。
役員の報酬額の決定に際し、取締役の個人別支給額は、株主総会で決議された各報酬の報酬枠の範囲内で、幹部報酬委員会の審議を経て取締役会が決定しています。なお、取締役の個人別の報酬の決定に際して、経営環境の変化や不祥事等の予期せぬ事象が発生した場合には、取締役会は必要に応じて幹部報酬委員会の審議を経て、取締役の個人別の報酬等について裁量的な調整を加える場合があります。
(幹部報酬委員会の構成・委員長の属性・活動内容等)
幹部報酬委員会はその過半数を社外取締役で構成することとしており、社外取締役3名を含む5名の取締役で構成されます。
幹部報酬委員会の委員長は、独立性・客観性と説明責任を果たす能力の強化の観点から実効的な委員会運営を図るべく、独立社外取締役である委員の中から選定することとしています。
有価証券報告書提出日現在における幹部報酬委員会の構成は、以下のとおりです。
委員会名構成員の氏名委員長の役職及び氏名
幹部報酬委員会[社内]黒川 明、伊藤 毅
[社外]伊香賀 正彦、古谷 昇、南 多美枝
社外取締役
伊香賀 正彦

幹部報酬委員会の主な審議事項等は以下のとおりです。
幹部報酬委員会が審議・承認を行う主な事項・CEOを含む取締役の報酬制度と個人別支給額
・社内経営幹部の報酬制度とパフォーマンスマネジメントの概要
・監査役の報酬制度に関する助言内容
・報酬開示の概要
・グループ全体の株式報酬プランに関する事項
幹部報酬委員会が報告を受ける主な事項・各社内経営幹部のパフォーマンスマネジメントの運用状況の概要と個人別支給額
・グローバル人事制度の概要

当事業年度に係る報酬額の決定過程においては、幹部報酬委員会を合計11回開催(2023年4月5日、4月27日、5月15日、6月8日、6月27日、10月3日、11月30日、2024年2月28日、3月25日、4月30日、5月14日。事業年度終了後に開催されたものを含む。)し、取締役会に対する提言又は監査役会に対する助言を行いました。また、係る提言をうけて、取締役会でこれらの事項について審議・決定を行いました。
当事業年度及び事業年度終了後において当社は幹部報酬委員会を合計11回開催しており、構成員である個々の取締役の出席状況については次のとおりです。
役職氏 名開催回数出席回数(出席率)
代表取締役(※1)黒川 明11回10回(91%)(※2)
代表取締役伊藤 毅11回11回(100%)
独立社外取締役大石 佳能子11回11回(100%)
独立社外取締役新宅 祐太郎11回11回(100%)
独立社外取締役皆川 邦仁11回10回(91%)
独立社外取締役南 多美枝11回11回(100%)

(※1)2024年4月以降の幹部報酬委員会については取締役として出席
(※2)自身の報酬に関する審議のための欠席を含む
幹部報酬委員会における主な審議内容は図表3のとおりです。
図表3:主な審議内容
主な審議内容
・取締役の報酬決定方針について
・株式報酬制度規則改定の件
・中期経営計画を踏まえた報酬制度改定の要否について
・新任幹部及び退任幹部の報酬の取扱いについて
・取締役の報酬水準・構成について
・会長の役割変更に伴う報酬改定について
・2023年度に係る年次賞与の詳細設計について
・2023年度に係る年次賞与における非財務指標(“Non-Financial”= ESG評価)の目標設定について
・2023年度に係る株式報酬の付与数について
・2023年度に係る年次賞与の支給額の決定について
・2021~2023年度に係るPSUの業績評価について
・監査役(社外監査役を含む)の報酬に関する幹部報酬委員会からの助言内容について
・事業報告における役員報酬開示案について
・有価証券報告書における役員報酬開示案について

なお、役員報酬の総額については、株主総会において以下のとおり決議をしています。
・社外取締役を除く取締役については、2018年6月26日定時株主総会において、報酬総額のうち基本報酬については年額400百万円、年次賞与については年額200百万円をそれぞれ限度額として決議しています(株主総会決議時の取締役(社外取締役を除く)の員数は4名、有価証券報告書提出日現在の取締役(社外取締役を除く)の員数は4名)。また、2022年6月24日定時株主総会の決議により、当該取締役を対象としたパフォーマンス・シェア・ユニット制度の限度額は、金銭報酬債権100百万円及び納税目的金銭として上限100千株に交付時株価を乗じた額とし、譲渡制限付株式制度に係る報酬の限度額を年額100百万円としています(株主総会決議時の取締役(社外取締役を除く)の員数は3名、有価証券報告書提出日現在の取締役(社外取締役を除く)の員数は4名)。
・社外取締役については、2022年6月24日定時株主総会において、報酬総額の限度額を年額100百万円として決議しています(株主総会決議時の社外取締役の員数は5名、有価証券報告書提出日現在の社外取締役の員数は4名)。
・監査役については、2024年6月25日定時株主総会において、報酬総額の限度額を年額100百万円として決議しています(株主総会決議時の監査役の員数は4名、有価証券報告書提出日現在の監査役の員数は4名)。
② 役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
当事業年度の取締役、監査役に対する報酬等は5億3千4百万円で、内訳は以下のとおりです。
役員区分報酬等
の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円)対象となる
役員の員数
(人)
基本報酬年次賞与パフォーマンス・
シェア・
ユニット制度
譲渡制限付
株式報酬制度
左記のうち、非金銭報酬等
取締役
(社外取締役を除く)
366171788335762
監査役
(社外監査役を除く)
3131----1
社外取締役9797----5
社外監査役4141----5

(注)1 支給人数は、当事業年度中に就任していた者の合計で、2023年6月27日開催の定時株主総会の終結の時をもって任期満了により退任した監査役2名を含んでいます。
2 取締役(社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、パフォーマンス・シェア・ユニット制度41百万円、譲渡制限付株式報酬制度35百万円です。
3 当事業年度の単年度連結業績連動部分(“Financial”)の評価に用いた値は、売上収益が302,023百万円、営業利益率(フルベース)が13.4%、ROE(フルベース)が9.3%(能登半島地震等に伴う臨時的な影響を調整済みの数値。目標値はそれぞれ273,000百万円、11.7%、7.5%)です。また、非財務指標連動部分(“Non-Financial”)のESG関連目標は、女性活躍促進を通じたDE&Iの推進、従業員エンゲージメント向上に向けた取り組み、グローバルでのリスクマネジメントの強化などとなっており、2024年4月に幹部報酬委員会にて評価を行い、目標を上回る達成(支給率107%)という評価結果としました。
4 2021年度に付与したパフォーマンス・シェア・ユニット制度に係る実際の当社株式の数及び金銭の額の算定に用いる評価指標の実績値(相対TSR及びESG関連指標)は、それぞれ42.1%ile、スコア16ポイント増加(“Asia Pacific Index”への選出同等レベルとみなす)です。
5 パフォーマンス・シェア・ユニット制度及び譲渡制限付株式報酬制度の実績値は、複数年度にわたり付与した報酬のうち、当事業年度の費用として計上した金額です。なお、パフォーマンス・シェア・ユニット制度に係る実際の当社株式の数及び金銭の額の算定に用いる評価指標の実績値は、業績評価期間の終了時に算定するため、報告時点では確定していません。
③ 報酬等の総額が1億円以上である者の報酬等の総額等
氏名役員区分会社区分報酬等の種類別の総額(百万円)報酬等
の総額
(百万円)
基本報酬年次賞与パフォーマンス・
シェア・
ユニット制度
譲渡制限付
株式報酬制度
左記のうち、非金銭報酬等
黒川 明取締役提出会社7831461943175
伊藤 毅取締役提出会社9446361533191

(注)1 黒川 明(取締役・提出会社)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、パフォーマンス・シェア・ユニット制度23百万円、譲渡制限付株式報酬制度19百万円です。
2 伊藤 毅(取締役・提出会社)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、パフォーマンス・シェア・ユニット制度18百万円、譲渡制限付株式報酬制度15百万円です。