有価証券報告書-第108期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、参天製薬グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
参天製薬グループは、「天機に参与する」という基本理念のもと、眼科領域に経営資源を集中し、患者さんと患者さんを愛する人たちに貢献することを目指して事業活動を推進しています。
眼科領域では、緑内障や網膜疾患などを中心に治療が未充足な疾患領域が存在するのみならず、未だ医療が十分に発展していない国や地域が数多く存在しています。参天製薬グループは眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界の患者さんのQOL(Quality of Life:クオリティ・オブ・ライフ)向上のために、医療現場のニーズを満たす製品の開発、幅広い疾患領域をカバーする製品ラインナップ、国・地域ごとに異なる多様な顧客ニーズへのきめ細やかな対応などに取り組みます。
また、基本理念に基づく事業活動を通じた社会貢献をCSR/ESGの中心と位置付け、希少疾病用医薬品の発売、未充足ニーズを満たす研究開発推進、新しい緑内障の治療オプションの開発や治療継続プログラムパッケージの提供など、世界の眼科医療水準向上に向けて参天製薬グループならではの「目に関する優れた製品とサービスを提供する」ことにより、患者さんのQOL向上への貢献を目指します。また、グローバル企業としてコーポレートガバナンスの高度化、グループ全体でのコンプライアンスの徹底を図り、高い倫理観と国際規範に則った活動をグローバルに展開します。
(2)環境認識
先進国においては少子高齢化が加速する一方、新興国・発展途上国においては中間層が拡大し、医療ニーズは増大しています。日本国内に目を向けると、薬事行政による薬価改定に加え、後発品促進策の推進など厳しい経営環境が続いていますが、その一方で、再生医療、個別化医療、セルフメディケーション推進といった医療における新しい潮流も認められます。
参天製薬グループが注力するグローバル眼科薬市場は、主に網膜・ドライアイ・緑内障領域を中心に引き続き成長しており、平均成長率6%程度(2013~2020年)となることが予想されます。特にアジアや東欧・北欧・ロシアなどでは高い成長率が見込まれ、米国でも成長を維持していますが、国内は薬価改定、後発品普及方針の公示等により市場成長は鈍化傾向にあります。このように複雑化する市場環境において、参天製薬グループは、長期ビジョンに基づき、中期経営計画「MTP2020」の実行を推進しています。
(3)長期経営ビジョン「Vision2020」
参天製薬グループは、2020年までの長期的な経営ビジョンである「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー」の実現に向けて、研究開発活動や事業開発などへの成長投資を積極的に実施するとともに、高い市場成長が見込まれるアジア、EMEAでの事業展開を積極的に推進しています。
Vision2020の実現に向けては、①真の顧客ニーズに対応する製品を迅速に創出、②国内事業の新たな事業展開への変革、③アジアへの積極展開とEMEA・米国への参入、④グローバルな製品供給・信頼性保証体制の確立、⑤創造と革新を担う人材と組織力強化を5つの道筋と定め、中期経営計画において具体的な活動プランを立案・実行しています。
また、2030年とその先を見据え、新たな長期ビジョン・戦略を策定し、眼科領域におけるスペシャリティ・カンパニーとして、人々の目の健康に関する社会的な課題の解決に積極的に取り組みます。
(4)中期経営計画「MTP2020」
2018年6月、「Vision2020」実現および2020年以降の持続的成長に向けた道筋構築を目指し、中期経営計画「MTP2020」を発表しました。
世界の眼科医療においては、高齢化の進展や新たな診断・治療技術の進化に伴い、緑内障、網膜疾患、ドライアイなどの疾患領域で患者さんの増加が想定されます。「顧客満足度」、「収益性」、「組織能力」の3つの向上を活動の軸に据え、グローバル事業戦略の推進による市場を上回る成長、製品パイプラインの拡充および新たな治療オプションの開発、事業基盤強化・効率化および人材組織力の強化を図ります。

グローバル事業戦略では、日本、EMEAでの経験・知見をアジアに展開することで既存地域における眼科治療貢献と事業成長の加速を図るとともに、2021年以降にライフサイエンス分野のイノベーションを牽引する米国市場での持続的な事業展開を構築するための準備を進めます。
製品パイプラインの拡充および新たな治療オプションの開発では、新しい治療法や技術を積極的に取り入れ、治療継続の支援や製品の識別性改良など顧客視点で新たな治療オプションを提供するとともに、予防・診断・治療・フォローアップを含む全体におけるソリューション提供へと進化させ、従来の方法を超える製品・サービスの提供に取り組みます。
当連結会計年度は、2019年9月に、田辺三菱製薬株式会社と、抗アレルギー点眼剤の「アレジオン点眼液」(以下、アレジオン)および「アレジオンLX点眼液」(以下、アレジオンLX)における共同販売促進契約を締結しました。幅広い診療科へのアクセスを有する田辺三菱製薬株式会社と共同販売促進契約を締結することで、アレジオンおよびアレジオンLXを、より多くの医療現場に提供し、患者さんのQOLの向上に寄与することを目指します。
また、2020年2月には、Verily Life Sciences LLC(以下、Verily社)と合弁会社を設立することを決定しました。当社の眼科における専門性および技術と、Verily社の統合医療機器や機械学習の開発における専門性を融合することで、独創的な眼科デバイスや総合的な技術ソリューションの開発と商品化を目指します。
米国での研究開発では、緑内障における新たな治療オプションとして期待されるDE-128(PRESERFLO MicroShunt)について、第Ⅱ/Ⅲ相試験を継続し、FDA承認取得に向け準備を進めています。また、承認取得後の製品の迅速な普及促進のため、2019年4月にGlaukos Corporationと米国での独占販売の代理店契約を締結しました。
(5)目標とする経営指標
中期経営計画「MTP2020」においては、利益の実現と成長への投資に積極的に取り組むことを前提に、以下3つの財務指標を達成目標として定めています。
市場を上回る売上高成長: 平均成長率(CAGR)6%以上
利益率の維持向上: コア営業利益率21%以上(期間平均)
資本効率の維持・向上: フルROE11%以上(期間平均)*
*特殊要因を除いたコアROEについても副次的経営指標と位置付けています。

当連結会計年度の上記指標は、売上高成長率3.2%、コア営業利益率20.7%、フルROE8.0%となりました。
単年の売上高成長率は、国内の薬価改定および為替の影響に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響等により、目標とする水準を下回りました。
コア営業利益率は、海外事業の拡大に伴う販売費および一般管理費の増加はあるものの、適切な費用コントロール等により、引き続き目標とする水準を維持しています。
フルROEは、中国の合弁事業(重慶参天科瑞製薬有限公司)における有形固定資産の減損およびTRACON Pharmaceuticals, Inc.(アメリカ)と開発を進めていた滲出型加齢黄斑変性治療薬DE-122の開発中止に伴う無形資産の減損損失の影響等により、目標とする水準を下回りましたが、これら一過性の要因を除いた副次的経営指標であるコアROEは12.1%となり、目標とする水準を上回っています。
なお、翌連結会計年度においては、売上収益については、地域ごとに影響の度合いは異なるものの、引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による受診抑制等のマイナス影響を受けると想定しています。一方で、コア営業利益については、将来成長のための資源投下の継続と費用コントロールの強化による経常的費用支出の抑制の両立をはかり、持続的な利益成長を確保することで増益を予想しています。
(6)資本政策
参天製薬グループは、眼科領域で競争優位を構築することで収益性を高め、キャッシュ創出力、ひいては株主価値の最大化を目指しています。また、資本効率や財務健全性など、当社にとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保と株主の皆様への利益還元の両方を適切なバランスにて実施することを基本としています。これら収益性、資本効率および財務健全性、内部留保、株主還元を最適化することで、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)の向上に取り組みます。

成長のための投資については、パイプラインの強化、グローバル展開の加速、新規医療技術、グローバルな事業基盤拡充に向けた生産拠点、情報システムへの投資などに、積極的かつ効果的に資源投入を図ります。当連結会計年度は、2019年6月にグローバル経営体制の強化に向けて基幹業務システムを刷新することを決定しました。また、中国での成長を長期にわたり確固たるものとして、引き続き中国の眼科医療の発展に貢献するため、参天製薬(中国)有限公司の第二工場を建設することを2020年1月に決定しました。
収益性については、資本コストを上回る利益を実現することを基本とし、そのための評価基準を定め、投資判断を行っています。また、投下した資本の回収については、グローバルに拡大展開する事業の状況をモニタリングする経営管理体制の整備に加えて、税務を含むキャッシュマネジメントを通したキャッシュ最大化に取組んでいます。
資本効率については、成長投資と財務健全性の両方を勘案しながら、負債資本倍率(DEレシオ)の最適化および資産圧縮を進めています。当連結会計年度は、2019年9月にSanten Oyのタンペレ工場(フィンランド)のNext Pharma Oy(フィンランド)への譲渡を完了しました。また、事業開発活動における投資機会の最大化のための効率的な資金調達を目的として、2020年3月に新たに株式会社三菱UFJ銀行とコミットメント期間を4年、貸付期間を最大10年とする総額300億円の実行可能期間付タームローン契約を締結しました。
株主還元については、経営の最重要事項と位置付け、中長期的な事業環境や資金需要と内部留保の水準、ならびに資本構成等を総合的に勘案し、配当を中心に、自己株式取得を補完的な手段として株主の皆様に利益を還元することを基本としています。当連結会計年度は、業績および財務状況などを総合的に勘案した結果、2019年度の期末配当について、1円増配した14円としました。
(7)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する取り組み
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、参天製薬グループでは「天機に参与する」という基本理念に則り、眼科治療薬を世界中の患者さんにお届けし続けること、社会に貢献するライフサイエンス企業の一員としてウイルス拡散に繋がる活動を自粛すること、このような非常事態においても将来の眼科医療のイノベーションに向けた取り組みを継続すること、これらを最優先事項と位置づけ、世界各拠点においてそれぞれの地域の規制やガイダンスに則り、以下の通り、最大限の策を講じています。
<製品の安定供給に関連する取り組み>・工場における安全確保(マスク・アルコール消毒等の衛生環境の整備、検温、従業員同士の適切な距離間隔確保の徹底)
・製品に関する、中間品および原材料などの在庫水準の維持
・製品製造に関わる内勤者については、テレワーク環境下で業務遂行できる環境を整備
<ウイルス拡散防止に向けた取り組み>・出張の原則禁止
・内勤者は原則テレワーク勤務
・世界各拠点の全社員に対し、マスク・ゴーグルなどの物資を提供
・ウイルスから身を守るための基本的な方法等についての教育・周知徹底
<眼科医療のイノベーションに向けた取り組み>・進行中の臨床試験、申請業務の継続に向けた安全確保と当局との話し合い
・研究所における安全確保(マスク・アルコール消毒等の衛生環境の整備、検温、従業員同士の適切な距離間隔確保の徹底)
・テレワーク環境下で医療従事者への情報提供を実施する体制への移行
<その他>・代表取締役社長兼CEOを委員長とした危機管理委員会を組織し、日本および世界各拠点の状況をモニターし、対応の検討・指示を実施
・感染の拡大・長期化する事態を想定したパンデミックBCPの策定
・特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会が開設した、視覚障がい者向けの電話相談窓口「視覚障がい者ならどなたでも!おたすけ電話相談窓口」へのサポート
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下での新たな生活様式において増加が懸念される目の不具合について、眼科のスペシャリティ・カンパニーとして、解消に向けた情報発信を強化
・最新のテクノロジー、デジタルツール等を活用した、業務継続性を最大限担保する安全・衛生的な職場環境、多様な働き方を構築
・地球環境に対する負荷を軽減し、持続可能性を高めた新たな仕事のやり方の創造
(1)会社の経営の基本方針
参天製薬グループは、「天機に参与する」という基本理念のもと、眼科領域に経営資源を集中し、患者さんと患者さんを愛する人たちに貢献することを目指して事業活動を推進しています。
眼科領域では、緑内障や網膜疾患などを中心に治療が未充足な疾患領域が存在するのみならず、未だ医療が十分に発展していない国や地域が数多く存在しています。参天製薬グループは眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界の患者さんのQOL(Quality of Life:クオリティ・オブ・ライフ)向上のために、医療現場のニーズを満たす製品の開発、幅広い疾患領域をカバーする製品ラインナップ、国・地域ごとに異なる多様な顧客ニーズへのきめ細やかな対応などに取り組みます。
また、基本理念に基づく事業活動を通じた社会貢献をCSR/ESGの中心と位置付け、希少疾病用医薬品の発売、未充足ニーズを満たす研究開発推進、新しい緑内障の治療オプションの開発や治療継続プログラムパッケージの提供など、世界の眼科医療水準向上に向けて参天製薬グループならではの「目に関する優れた製品とサービスを提供する」ことにより、患者さんのQOL向上への貢献を目指します。また、グローバル企業としてコーポレートガバナンスの高度化、グループ全体でのコンプライアンスの徹底を図り、高い倫理観と国際規範に則った活動をグローバルに展開します。
(2)環境認識
先進国においては少子高齢化が加速する一方、新興国・発展途上国においては中間層が拡大し、医療ニーズは増大しています。日本国内に目を向けると、薬事行政による薬価改定に加え、後発品促進策の推進など厳しい経営環境が続いていますが、その一方で、再生医療、個別化医療、セルフメディケーション推進といった医療における新しい潮流も認められます。
参天製薬グループが注力するグローバル眼科薬市場は、主に網膜・ドライアイ・緑内障領域を中心に引き続き成長しており、平均成長率6%程度(2013~2020年)となることが予想されます。特にアジアや東欧・北欧・ロシアなどでは高い成長率が見込まれ、米国でも成長を維持していますが、国内は薬価改定、後発品普及方針の公示等により市場成長は鈍化傾向にあります。このように複雑化する市場環境において、参天製薬グループは、長期ビジョンに基づき、中期経営計画「MTP2020」の実行を推進しています。
(3)長期経営ビジョン「Vision2020」
参天製薬グループは、2020年までの長期的な経営ビジョンである「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー」の実現に向けて、研究開発活動や事業開発などへの成長投資を積極的に実施するとともに、高い市場成長が見込まれるアジア、EMEAでの事業展開を積極的に推進しています。
Vision2020の実現に向けては、①真の顧客ニーズに対応する製品を迅速に創出、②国内事業の新たな事業展開への変革、③アジアへの積極展開とEMEA・米国への参入、④グローバルな製品供給・信頼性保証体制の確立、⑤創造と革新を担う人材と組織力強化を5つの道筋と定め、中期経営計画において具体的な活動プランを立案・実行しています。
また、2030年とその先を見据え、新たな長期ビジョン・戦略を策定し、眼科領域におけるスペシャリティ・カンパニーとして、人々の目の健康に関する社会的な課題の解決に積極的に取り組みます。
(4)中期経営計画「MTP2020」
2018年6月、「Vision2020」実現および2020年以降の持続的成長に向けた道筋構築を目指し、中期経営計画「MTP2020」を発表しました。
世界の眼科医療においては、高齢化の進展や新たな診断・治療技術の進化に伴い、緑内障、網膜疾患、ドライアイなどの疾患領域で患者さんの増加が想定されます。「顧客満足度」、「収益性」、「組織能力」の3つの向上を活動の軸に据え、グローバル事業戦略の推進による市場を上回る成長、製品パイプラインの拡充および新たな治療オプションの開発、事業基盤強化・効率化および人材組織力の強化を図ります。

グローバル事業戦略では、日本、EMEAでの経験・知見をアジアに展開することで既存地域における眼科治療貢献と事業成長の加速を図るとともに、2021年以降にライフサイエンス分野のイノベーションを牽引する米国市場での持続的な事業展開を構築するための準備を進めます。
製品パイプラインの拡充および新たな治療オプションの開発では、新しい治療法や技術を積極的に取り入れ、治療継続の支援や製品の識別性改良など顧客視点で新たな治療オプションを提供するとともに、予防・診断・治療・フォローアップを含む全体におけるソリューション提供へと進化させ、従来の方法を超える製品・サービスの提供に取り組みます。
当連結会計年度は、2019年9月に、田辺三菱製薬株式会社と、抗アレルギー点眼剤の「アレジオン点眼液」(以下、アレジオン)および「アレジオンLX点眼液」(以下、アレジオンLX)における共同販売促進契約を締結しました。幅広い診療科へのアクセスを有する田辺三菱製薬株式会社と共同販売促進契約を締結することで、アレジオンおよびアレジオンLXを、より多くの医療現場に提供し、患者さんのQOLの向上に寄与することを目指します。
また、2020年2月には、Verily Life Sciences LLC(以下、Verily社)と合弁会社を設立することを決定しました。当社の眼科における専門性および技術と、Verily社の統合医療機器や機械学習の開発における専門性を融合することで、独創的な眼科デバイスや総合的な技術ソリューションの開発と商品化を目指します。
米国での研究開発では、緑内障における新たな治療オプションとして期待されるDE-128(PRESERFLO MicroShunt)について、第Ⅱ/Ⅲ相試験を継続し、FDA承認取得に向け準備を進めています。また、承認取得後の製品の迅速な普及促進のため、2019年4月にGlaukos Corporationと米国での独占販売の代理店契約を締結しました。
(5)目標とする経営指標
中期経営計画「MTP2020」においては、利益の実現と成長への投資に積極的に取り組むことを前提に、以下3つの財務指標を達成目標として定めています。
市場を上回る売上高成長: 平均成長率(CAGR)6%以上
利益率の維持向上: コア営業利益率21%以上(期間平均)
資本効率の維持・向上: フルROE11%以上(期間平均)*
*特殊要因を除いたコアROEについても副次的経営指標と位置付けています。

当連結会計年度の上記指標は、売上高成長率3.2%、コア営業利益率20.7%、フルROE8.0%となりました。
単年の売上高成長率は、国内の薬価改定および為替の影響に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響等により、目標とする水準を下回りました。
コア営業利益率は、海外事業の拡大に伴う販売費および一般管理費の増加はあるものの、適切な費用コントロール等により、引き続き目標とする水準を維持しています。
フルROEは、中国の合弁事業(重慶参天科瑞製薬有限公司)における有形固定資産の減損およびTRACON Pharmaceuticals, Inc.(アメリカ)と開発を進めていた滲出型加齢黄斑変性治療薬DE-122の開発中止に伴う無形資産の減損損失の影響等により、目標とする水準を下回りましたが、これら一過性の要因を除いた副次的経営指標であるコアROEは12.1%となり、目標とする水準を上回っています。
なお、翌連結会計年度においては、売上収益については、地域ごとに影響の度合いは異なるものの、引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による受診抑制等のマイナス影響を受けると想定しています。一方で、コア営業利益については、将来成長のための資源投下の継続と費用コントロールの強化による経常的費用支出の抑制の両立をはかり、持続的な利益成長を確保することで増益を予想しています。
(6)資本政策
参天製薬グループは、眼科領域で競争優位を構築することで収益性を高め、キャッシュ創出力、ひいては株主価値の最大化を目指しています。また、資本効率や財務健全性など、当社にとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保と株主の皆様への利益還元の両方を適切なバランスにて実施することを基本としています。これら収益性、資本効率および財務健全性、内部留保、株主還元を最適化することで、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)の向上に取り組みます。

成長のための投資については、パイプラインの強化、グローバル展開の加速、新規医療技術、グローバルな事業基盤拡充に向けた生産拠点、情報システムへの投資などに、積極的かつ効果的に資源投入を図ります。当連結会計年度は、2019年6月にグローバル経営体制の強化に向けて基幹業務システムを刷新することを決定しました。また、中国での成長を長期にわたり確固たるものとして、引き続き中国の眼科医療の発展に貢献するため、参天製薬(中国)有限公司の第二工場を建設することを2020年1月に決定しました。
収益性については、資本コストを上回る利益を実現することを基本とし、そのための評価基準を定め、投資判断を行っています。また、投下した資本の回収については、グローバルに拡大展開する事業の状況をモニタリングする経営管理体制の整備に加えて、税務を含むキャッシュマネジメントを通したキャッシュ最大化に取組んでいます。
資本効率については、成長投資と財務健全性の両方を勘案しながら、負債資本倍率(DEレシオ)の最適化および資産圧縮を進めています。当連結会計年度は、2019年9月にSanten Oyのタンペレ工場(フィンランド)のNext Pharma Oy(フィンランド)への譲渡を完了しました。また、事業開発活動における投資機会の最大化のための効率的な資金調達を目的として、2020年3月に新たに株式会社三菱UFJ銀行とコミットメント期間を4年、貸付期間を最大10年とする総額300億円の実行可能期間付タームローン契約を締結しました。
株主還元については、経営の最重要事項と位置付け、中長期的な事業環境や資金需要と内部留保の水準、ならびに資本構成等を総合的に勘案し、配当を中心に、自己株式取得を補完的な手段として株主の皆様に利益を還元することを基本としています。当連結会計年度は、業績および財務状況などを総合的に勘案した結果、2019年度の期末配当について、1円増配した14円としました。
(7)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する取り組み
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、参天製薬グループでは「天機に参与する」という基本理念に則り、眼科治療薬を世界中の患者さんにお届けし続けること、社会に貢献するライフサイエンス企業の一員としてウイルス拡散に繋がる活動を自粛すること、このような非常事態においても将来の眼科医療のイノベーションに向けた取り組みを継続すること、これらを最優先事項と位置づけ、世界各拠点においてそれぞれの地域の規制やガイダンスに則り、以下の通り、最大限の策を講じています。
<製品の安定供給に関連する取り組み>・工場における安全確保(マスク・アルコール消毒等の衛生環境の整備、検温、従業員同士の適切な距離間隔確保の徹底)
・製品に関する、中間品および原材料などの在庫水準の維持
・製品製造に関わる内勤者については、テレワーク環境下で業務遂行できる環境を整備
<ウイルス拡散防止に向けた取り組み>・出張の原則禁止
・内勤者は原則テレワーク勤務
・世界各拠点の全社員に対し、マスク・ゴーグルなどの物資を提供
・ウイルスから身を守るための基本的な方法等についての教育・周知徹底
<眼科医療のイノベーションに向けた取り組み>・進行中の臨床試験、申請業務の継続に向けた安全確保と当局との話し合い
・研究所における安全確保(マスク・アルコール消毒等の衛生環境の整備、検温、従業員同士の適切な距離間隔確保の徹底)
・テレワーク環境下で医療従事者への情報提供を実施する体制への移行
<その他>・代表取締役社長兼CEOを委員長とした危機管理委員会を組織し、日本および世界各拠点の状況をモニターし、対応の検討・指示を実施
・感染の拡大・長期化する事態を想定したパンデミックBCPの策定
・特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会が開設した、視覚障がい者向けの電話相談窓口「視覚障がい者ならどなたでも!おたすけ電話相談窓口」へのサポート
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下での新たな生活様式において増加が懸念される目の不具合について、眼科のスペシャリティ・カンパニーとして、解消に向けた情報発信を強化
・最新のテクノロジー、デジタルツール等を活用した、業務継続性を最大限担保する安全・衛生的な職場環境、多様な働き方を構築
・地球環境に対する負荷を軽減し、持続可能性を高めた新たな仕事のやり方の創造