有価証券報告書-第12期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 9:06
【資料】
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【項目】
61項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、一昨年の安倍政権発足後、昨年4月に実施された日銀の異次元金融緩和も手伝って円安が進行し、輸出産業を中心とする業績回復期待から日経平均株価は上昇しました。また、2020年東京五輪誘致に成功するなど日本経済は全般的に明るい展開となり、徐々に停滞感が払拭されつつあります。規制緩和などアベノミクスによってイノベーションが促進され成長戦略がより具体的になれば、企業収益の持続的拡大と賃金上昇、雇用増加といった経済の好循環によって景気回復は一気に進むものと予想されます。
医薬品業界においても海外勢に比べ不利な臨床治験環境、審査期間などが薬事法等改正によって更に緩和されればバイオベンチャーにとっても追い風となります。
このような経済環境の中、当社の当事業年度の売上高は85,668千円(前期比26.8%増)となり、「PC-SOD NE」の第Ⅱ相臨床試験費用の支出で研究開発費は引き続き高水準でしたが、支払報酬の大幅減少などで販売費及び一般管理費が410,493千円と前期比で26.8%減ったことから営業損失は331,624千円(前期比32.7%損失減)となりました。一方、営業外収益では補助金収入を前期比5.8%増の96,590千円を確保しましたが、受取配当金が168,840千円と前期比で68.4%の大幅減となったことから経常損失は56,200千円(前期は経常利益147,462千円)、当期純損失は57,410千円(前期は当期純利益116,252千円)となりました。
創薬事業における現在開発中のパイプラインの状況は次のとおりであります。
0102010_001.png自社開発製剤の特発性肺線維症を対象疾患とした「PC-SOD NE」は、前事業年度より継続して第Ⅱ相臨床試験を実施しておりましたが、日本及び韓国での患者様への投与は昨年12月に終了し、現在は最終症例固定に向けての準備作業中です。同作業に当初予定より多くの時間を要しているため、有効性の評価結果は平成26年9月の公表見込です。また、これらの作業と並行してライセンス活動も積極的に進めております。
このほか、当事業年度より次の3つのテーマを新たにパイプラインに追加しました。
「PC-SOD NE(対象疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD))」
COPDの原因は炎症部位で産生された活性酸素による組織障害であり、現在のところ治療薬で根本的な治療に至るものは存在しません。当社の「PC-SOD NE」は動物実験において既存薬より優れた治療効果を得ており、同疾患の生命予後を改善する新しい治療薬になり得る可能性があります。さらに、「PC-SOD NE」は、既に実施中の臨床試験により安全性が確認されているため、適応拡大となるCOPDでは第Ⅱ相臨床試験からのスタートが可能です。
本パイプラインは当事業年度において、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のテーマにも採択され、スケールアップ試験製造及び品質研究を実施しました。今後は、第Ⅱ相臨床試験の準備を進めて参ります。
「ステルス型ナノ粒子PGI2製剤」
当社の持つDDS技術を使ってプロスタグランディンI2(PGI2)をステルス性のナノ粒子化したもので、肺高血圧症の動物モデルで良好な効果を示すことがわかりました。
「COPD治療薬」
DR(ドラッグ・リポジショニング)研究により見出した抗炎症作用と気管支拡張作用を併せ持った低分子化合物です。動物モデルでの評価が良好であった場合、非臨床試験を実施して参ります。
そのほか既存のパイプラインであります「NSAID」は副作用の少ない新しい非ステロイド性消炎・鎮痛薬であり、早期に研究開発を次のステージに入れるよう継続して研究開発を進めております。
共同開発製剤では、北京泰德制药股份有限公司に対しライセンスアウトしました「PC-SOD(注射剤)」について、中国当局へのIND申請を行ったのち審査に多くの時間を要しておりましたが、昨年の当局からの追加資料要求を受け、本年中に資料を準備し来年早々に提出できるよう準備を進めております。また、DR研究によりドライアイに有効なものを見い出しており、製薬会社と共同で研究開発を行う準備を進めております。
(2)キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物は、税引前当期純損失等の影響により、前事業年度末に比べ52,231千円減少し、821,167千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは52,231千円の減少となりました。主な資金項目は、税引前当期純損失56,200千円、未収還付消費税の減少額5,554千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の増減はありませんでした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増減はありませんでした。