有価証券報告書-第123期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/28 9:06
【資料】
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【項目】
91項目
(1)経営方針、経営環境
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進め、安定的に利益を創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。2017年8月に2030年度を目標とした新CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」)を策定しました。革新的技術・製品・サービスの提供等、事業活動を通じた社会課題の解決により一層取り組み、サステナブル社会の実現に貢献する企業を目指します。また、SVP2030で示した目指す姿を実現するための具体的なアクションプランとして、中期経営計画「VISION2019」を策定しました。それぞれの事業を「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置づけ、成長過程に合わせた施策を適切に展開することにより、個々の事業の収益力のさらなる強化を図ることで、事業ポートフォリオをより強固なものにし、一層の飛躍へとつなげていきます。2019年度は、米中貿易摩擦、欧州における英国のEU離脱や移民問題、中国をはじめとした新興国経済の動向、北朝鮮やシリア情勢等の地政学的リスク、国内においては消費増税による駆け込み需要及びその反動等、先行きの見えない不安定な状況が続くことが予想されますが、当社は各事業のさらなる収益力の向上で安定的にキャッシュを創出するとともに、特に「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長の強化」と「ドキュメント事業の抜本的強化」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものにしていきます。2019年度の見通しでは、営業利益を中期経営計画に対して100億円上乗せし、ROEについても7.3%から7.5%へ変更しています。
(単位:億円)
2018年度2019年度
(中期経営計画)
2019年度
(次期の見通し)
対前年度対中期経営計画
売上高24,31526,00024,800485△1,200
営業利益2,0982,3002,400302100
当社株主帰属当期純利益1,3811,5001,55016950
ROE6.7%7.3%7.5%0.8ポイント増0.2ポイント増

(2)対処すべき課題
「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長の強化」
ヘルスケア領域では、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業が売上成長を牽引し、増収・増益を確保します。医薬品事業と再生医療事業は損益をコントロールしつつ、研究開発を加速することで事業を育成していきます。
メディカルシステム事業では、画像処理技術をベースにしたⅩ線画像診断機器、医療IT、内視鏡、超音波、体外診断(IVD)と幅広いラインアップを生かし、競争優位性の高い医療ITを核とした総合的なソリューション提案を強化します。医療IT事業では、AIを活用した画像診断支援技術の開発を推進し、医療現場のさまざまなニーズに応えるソリューションを提供するため、自社での技術開発に加えて、優れた技術をもつ国内外のAIベンダーとパートナーシップを組み、画像診断における医師の診断支援やワークフローの効率化を目指した開発をスピーディに進めていきます。
高い市場成長が見込めるバイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業では、2019年3月にBiogen (Denmark) Manufacturing ApSの買収を発表しました。また、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A.,Inc.の米国拠点には2019年1月から2年間で総額約100億円の設備投資を行う等、設備投資・技術開発により生産能力をさらに拡大し、スケールメリットによる収益力強化で事業成長を加速します。
医薬品事業では、アンメットメディカルニーズが高い領域をターゲットとし、抗がん剤「FF-10501
」やアルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」等の研究開発を効率的に推進します。また、薬を必要な場所に的確に届けるドラッグデリバリーシステム領域において、マイクロニードルやリポソーム等、当社独自技術を活用した製剤化技術の実用化に向けた取り組みを推進します。
再生医療事業では、2018年6月に培地のリーディングカンパニーであるIrvine Scientific Sales Company,Inc.(現FUJIFILM Irvine Scientific,Inc.)を連結子会社化し、再生医療の重要な三要素である「細胞」「培地」「足場材」をグループ内で開発できる体制をさらに強化しました。再生医療分野の研究開発の加速、バイオ医薬品の開発・製造受託事業のさらなる拡大等のシナジーを最大化させるとともに、官・学との連携も強化し、再生医療の産業化に貢献していきます。
高機能材料領域の各事業では、現在の競争優位性を維持し、さらに独自の技術力を生かし、市場のニーズにあった高収益の製品をタイムリーに投入していくことで売上・利益ともに拡大していきます。
電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料等既存製品の拡販、及び製品ラインアップの拡大により事業成長を加速します。AI・IoT(Internet of Things)や次世代通信規格「5G」の普及、自動運転技術の進化等により、半導体の需要拡大と高性能化が見込まれており、それに対応するため、2018年12月から3年間で100億円の設備投資を決定、さらなる需要拡大に対応していきます。
ディスプレイ材料事業では、既存製品におけるマーケットポジションの維持に加え、薄膜・積層塗布技術を活用し、有機ELやタッチパネル用部材、車載ディスプレイ用途等新規材料の拡販を進めます。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルムの「エクスクリア」や優れた微細孔構造とろ過特性をもつ「ミクロフィルター」等、当社独自技術を活用した新規用途の高機能製品を拡販していきます。また、AIを活用した画像解析による橋梁やトンネル等のひび割れの検出、検出結果のデータ化等を行うクラウドサービスの展開を推進し、事業を拡大します。
「ドキュメント事業の抜本的強化」
ドキュメント事業は、「Smart Work Innovation」コンセプトのもと、独自のAI技術とIoT・IoH(Internet of Humans)技術を活用し、多様化する働き方を支援する新しいソリューションやサービスを順次提供するとともに、事業成長をリードします。また、RPA(Robotic Process Automation)を活用した生産性改善、及び2017年度から実施した構造改革を実行することにより、収益・生産性を改善し、強靭な体質へと変革を果たすことで、今後の事業成長を力強く確実なものとします。
オフィスプロダクト&プリンター事業では、セキュリティ機能を強化したカラー複合機「ApeosPort」新シリーズを核として、日本・中国をはじめとするアジア・オセアニア地域でさらにシェア拡大を目指すとともに、販売網拡大による売上成長を目指します。また、商品開発期間の短縮により、コスト競争力のある製品を提供し、より高い収益性を確保します。
プロダクションサービス事業では、有力な顧客基盤を梃子に、印刷ワークフロー全般をサービス化することで顧客価値を高めるとともに、印刷アプリケーションの拡張も進めます。また、インクジェット領域で、富士フイルム㈱と富士ゼロックス㈱、米国Xerox Corporationのネットワークを活用したグローバルなビジネス展開により、事業成長を図っていきます。
ソリューション&サービス事業では、成長領域の拡大に向けた投資を積極的に行うとともに、市場で評価が高いクラウドサービスとの戦略提携を拡大し、リージョンワイドで収益性を改善し、事業成長を加速します。
当社は、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な課題と位置づけ、その強化に取り組んでおります。2018年6月には企業経営・国際経験の豊富な江田麻季子氏を社外取締役に迎えることで、取締役会における多様性を一層向上させるとともに、社外取締役の比率を40%に引き上げました。また、同月に社外取締役を委員長とする任意の指名報酬委員会を設置し、CEOのサクセッションプラン及び取締役報酬に係る基本方針・手続き等に関する討議を行い、プロセス上の透明性強化を図っています。さらに、グループガバナンスの強化を徹底するため、当社グループ各社の経営状況をモニタリング可能にするIT環境の整備や、全グループ会社を対象とした当社監査部門による内部監査の実施、当社グループ全役員・従業員が当社コンプライアンス専任部門に直接通報できる内部通報制度の導入等を推進してまいりました。今後もコーポレート・ガバナンス、及びコンプライアンス・リスクマネジメントを強化します。
当社グループは、2019年度の基本方針として「変化を創り出す。社会にイノベーティブな価値を生み出すために」を掲げました。2019年度は、「VISION2019」の最終年度であり、現中期計画「VISION2019」を総括し、次の中期経営計画への種まきを行う年でもあります。「強い意志・オーナーシップ」と「必ずやり遂げる実行力」を梃子に事業課題を遂行し、「明晰な洞察力と構想力」により、中長期を見据えたアクションを強化することで、全事業における収益性向上と、社会にイノベーティブな価値をもたらす製品・サービスの導入に努めてまいります。
(3)会社の支配に関する基本方針について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。
株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。
当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。

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