有価証券報告書-第125期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営方針、経営環境
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、先進・独自の技術をもって、最高品質の商品やサービスを提供することにより、「事業を通じた社会課題の解決」に取り組み、持続的な社会に貢献する企業であり続けることを目指しています。
2017年8月に長期CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定し、中期経営計画を「SVP2030」の目標を実現するための具体的なアクションプランとして位置づけ、事業活動を通じて「新たな価値」を創出することで、社会課題の解決に取り組んでいます。中期経営計画「VISION2019」を実行し、2021年4月15日に新たな中期経営計画「VISION2023」を発表しました。「VISION2023」では、「事業ポートフォリオマネジメント」と「キャッシュフローマネジメント」の強化等により、成長投資原資の確保と、重点・新規/将来性事業への経営資源の集中投下の循環の加速・強化を図ることで、「ヘルスケア・高機能材料の成長加速と、持続的な成長を可能とする強靭な事業基盤の構築」を進めていきます。
2021年度は、各国で積極的に推進される拡張的な財政政策と緩和的な金融政策に支えられた景気回復が期待され、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)のワクチン普及により「コロナ後」の視界も開けつつあります。一方で、変異株の拡大による感染ペースの再加速等により感染拡大が長期化した場合には、もう一段厳しい世界経済活動の抑制につながるおそれもあり、国内外問わず、先行き不透明な社会経済状況が続くことが予想されます。この様な状況の中、当社グループは全事業の収益力向上に努め、安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、「ヘルスケア・高機能材料の成長加速」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものとし、この難局を乗り越えていきます。
経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の予想値につきましては、次のとおりであります。
(単位:億円)
(2)対処すべき課題
「ヘルスケア事業領域の成長戦略」
ヘルスケア領域では、メディカルシステム事業・バイオCDMO事業が売上成長を牽引し、増収・増益を確保します。また、ライフサイエンス分野では、全体戦略(事業ポートフォリオ、M&A・提携、技術・R&D等)を立案・推進し、関連事業をリードする「ライフサイエンス戦略本部」を新設するとともに、創薬支援関連ビジネス強化のため、細胞・培地等の再生医療事業とファインケミカル事業の試薬ビジネス等を統合した「ライフサイエンス事業部」を2021年4月1日に設立しました。中長期的に高い成長が見込めるバイオ医薬品のプロセス開発及び製造受託(CDMO)を重点事業化するとともに、最先端の治療薬創出を支援する企業としてワンストップで価値を提供し、ライフサイエンス分野における事業拡大を目指します。また、COVID-19感染拡大抑止に貢献すべく、超軽量移動型デジタルX線撮影装置や超音波機器等の各種医療機器の提供や、各製薬会社の治療薬・ワクチン等のプロセス開発・製造受託を進めていきます。
メディカルシステム事業では、㈱日立製作所の画像診断関連事業買収を完了し、事業規模を大きく拡大していきます。当社は医療IT領域で“REiLI(レイリ)”というブランドのもと、医療現場のワークフローを支援するAI技術の開発と実用化を進めています。このAI/IT技術を活用し、X線画像診断機器、内視鏡、携帯型超音波、体外診断(IVD)、及び今回の買収により新たに加わったCT、MRI、据え置き型超音波を含めた幅広い製品ラインアップを活かした「AI・ITソリューションビジネス」のさらなる事業拡大を図ります。また、最大市場の北米においては、主要病院への内視鏡システム導入の促進や外科用処置具の販売強化に加えて、手術室のシステムインテグレーション市場へのビジネス展開を加速することで、メディカルシステム事業のさらなる成長に向けた、強固な事業基盤の構築を進めていきます。
バイオCDMO事業では、デンマーク及び米国での大型投資によって、原薬の生産能力を大幅に増強するとともに、顧客からの要望が強い、拠点内で原薬製造から製剤化・包装までを一貫して対応できる「ワンサイト・ワンストップ」体制を整備します。さらに、最先端の研究開発施設が集積する米国ボストン市には、遺伝子治療薬のプロセス開発及び原薬製造の拠点を新設するとともに、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学等とともに、最先端治療分野の産学共同研究開発コンソーシアム「The Massachusetts Center for Advanced Biological Innovation and Manufacturing, PBLLC」に参画することを決定しました。
バイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州の受託能力拡張によって事業の成長基盤を固めるとともに、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチン等様々なバイオ医薬品の生産プロセス開発や、少量から大量生産までのあらゆるニーズに対応していくことで、成長するバイオ医薬品市場を上回る成長率で事業を拡大していきます。
ライフサイエンス事業(再生医療、培地・試薬等の創薬支援を含む)では、再生医療分野において提携パートナーと細胞治療薬の開発を加速させるとともに、再生医療製品の製造受託ビジネスを推進していきます。創薬支援分野においては、新たな「ライフサイエンス事業部」のもとでFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.、富士フイルム和光純薬㈱のグループ会社3社がさらに連携し、細胞・培地・試薬をセットでグローバルに供給・販売することで、顧客に対してソリューションをワンストップで提供していきます。
医薬品事業では、ナノ分散技術や解析技術、プロセス技術等を活用し、リポソーム製剤「FF-10832」「FF-10850」の開発を推進するとともに、脂質ナノ粒子製剤の製造設備を活用し、次世代医薬品の核酸医薬品やmRNAワクチンのプロセス開発・製造受託ビジネスを展開していきます。
「マテリアルズ事業領域の成長戦略」
マテリアルズ領域では、各事業で培ってきた波長(光等)コントロール等の技術を融合し、5G等の高速通信網の整備やセンサー・通信デバイスの高機能化による様々な分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)加速に貢献する新規ビジネスを創出し続け、現在の競争優位性を維持して市場ニーズにあった高収益製品をタイムリーに投入することで売上・利益ともに拡大していきます。
電子材料事業では、AI、IoT、5G/6Gの普及やDXの加速等により半導体需要は拡大し、さらに半導体の高性能化に必要とされる処理能力アップ・微細化・高集積化が進むとみられており、当社はこうした顧客ニーズに応えるために、高性能化を支える材料開発や安定供給を目的とした設備投資をタイムリーかつ継続的に実施していきます。また、イメージセンサー用材料「WCM(Wave Control Mosaic)」や後工程材料を中心に新製品開発・ラインアップ拡充を行い高シェア維持と収益増を加速させ、レジスト材料は先端領域にターゲットを絞って新規材料の開発を進め、事業成長を加速させます。
ディスプレイ材料事業では、液晶パネル向けの既存タック製品における強いマーケットポジションの維持に加え、薄膜・積層塗布技術を活用した差別化製品の開発と導入を進め、有機EL用材料の高シェア維持や車載ディスプレイ向け等新規用途材料のビジネス拡大を推進していきます。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルムの「エクスクリア」等、当社独自技術を活用した高機能製品の拡販を継続するとともに、光センサー、通信関連材料、AIを活用した画像解析によるソリューションビジネス等、積極的に新規ビジネスへの展開を行い、事業を拡大します。
グラフィックコミュニケーション事業では、当社グループ内でのシナジー創出を加速し、デジタル印刷領域でさらなる価値をグローバルに提供していくため、本年7月1日付で富士フイルム㈱の「グラフィックシステム事業部」と富士フイルムビジネスイノベーション㈱の「グラフィックコミュニケーションサービス事業本部」を統合し「グラフィックコミュニケーション事業部」を設置します。本統合により、商業印刷・パッケージ印刷を中心に富士フイルム㈱が有する広範な顧客基盤と、デジタル印刷技術に強みを持つ富士フイルムビジネスイノベーション㈱の販売力、技術・製品力を組み合わせ、アナログからデジタルまでワンストップのソリューションを展開し、デジタル印刷市場を牽引します。
「ビジネスイノベーション事業領域の成長戦略」
富士ゼロックス㈱は、2021年4月1日に社名を変更し「富士フイルムビジネスイノベーション㈱」として新たに始動しました。社名には「常にビジネスに革新をもたらす存在であり続ける」という思いが込められています。イノベーションをもたらす先進技術によって、顧客のビジネスを革新していきます。国内では、今回の社名変更に伴い、国内直販営業と31の販社を統合し、新たに「富士フイルムビジネスイノベーションジャパン㈱」を発足しました。日本全国を効果的にカバーする営業体制と強力な営業力により、今後も複合機を中心としたオフィス機器と関連ソリューションビジネスの展開を加速していきます。
ブランドも新たに「FUJIFILM」とし、グローバルに拡販展開を進めていきます。加えて、ITソリューションとサービスビジネスにさらに力を注ぎ、顧客企業の働き方改革や業務効率化、デジタル化の支援を通じて、継続的な成長と事業ポートフォリオの変革を加速します。具体的には、オフィスでの顧客基盤を活かした在宅勤務需要の取り込みと文書管理、中小企業向けのIT/セキュリティサービス強化を軸とした提供価値の拡大、及び2020年9月に設立した「富士フイルムRIPCORD合同会社」による紙文書の電子化・処理を基盤としたデジタル業務プロセスサービスの拡大等で顧客企業のDXに貢献していきます。
「イメージング事業領域の成長戦略」
イメージング領域では、多様化する画像・映像ニーズに対して、新しい価値・商品を提供し続けていくために「イメージング事業部」「光学・電子映像事業部」を統合し、「イメージングソリューション事業部」を2021年4月1日に設立しました。
スマートフォン等撮影デバイスの多様化、5G/6G高速ネットワーク化、AIの進化、データ社会の進行等、様々な技術が飛躍的に進歩する中で、生活や社会における「画像・映像」ニーズは多様化しています。マーケットを広く捉え直し、今般、両事業部を統合することで、総合映像メーカーとしてのブランド力、及び撮影デバイスからプリンティングまで対応する幅広い技術アセットをベースとした、新たな商品・サービスの創出を加速していきます。
「SVP2030の下での重点分野と取組み」
当社は、「SVP2030」の下、「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」と「事業を通じた社会課題の解決」の2つの側面から、4つの重点分野「環境」「健康」「生活」「働き方」と、事業活動の基盤となる「サプライチェーン」「ガバナンス」における各分野で設定した目標達成に向けて取組みを進めています。「環境」においては、国際社会共通の重要課題である気候変動への対応として、CO2排出削減に積極的に取り組んでいます。2020年7月には、当社グループによるCO2排出削減の目標として、製品ライフサイクルでの2030年度の排出量を、従来目標の2013年度比30%削減から45%削減に上方修正しました。また、製品・サービス・技術を通じたCO2排出削減として、環境配慮製品のさらなる創出に向け、製品の環境価値を明確化し、優れた製品を認定する社内制度「Green Value Products」を導入しており、2021年3月までに166件を認定しました。「健康」においては、2020年度に57ヶ国まで導入している医療AI技術を活用した製品・サービスを、2030年度には世界196の全ての国と地域に導入することを目標にしています。「働き方」においては、ビジネスに革新をもたらすソリューション・サービスの提供により、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を5,000万人に提供します。「ガバナンス」においては、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な課題と位置づけ、その強化に取り組んでいます。当社は誠実かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指していきます。
「2021年度グループ基本方針」
当社グループの2021年度の基本方針は「“All-Fujifilm”でたゆまぬ挑戦を!」と掲げています。新規市場創出・拡大に向け、マーケットニーズを的確に捉えることで新たな価値を持つ製品・サービスの開発・提供を推進します。社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、持続可能な社会の発展に貢献するために、NEVER STOPの精神の下、富士フイルムホールディングス傘下の全ての会社・組織・従業員の力を結集した“All-Fujifilm”で挑戦していきます。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、先進・独自の技術をもって、最高品質の商品やサービスを提供することにより、「事業を通じた社会課題の解決」に取り組み、持続的な社会に貢献する企業であり続けることを目指しています。
2017年8月に長期CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定し、中期経営計画を「SVP2030」の目標を実現するための具体的なアクションプランとして位置づけ、事業活動を通じて「新たな価値」を創出することで、社会課題の解決に取り組んでいます。中期経営計画「VISION2019」を実行し、2021年4月15日に新たな中期経営計画「VISION2023」を発表しました。「VISION2023」では、「事業ポートフォリオマネジメント」と「キャッシュフローマネジメント」の強化等により、成長投資原資の確保と、重点・新規/将来性事業への経営資源の集中投下の循環の加速・強化を図ることで、「ヘルスケア・高機能材料の成長加速と、持続的な成長を可能とする強靭な事業基盤の構築」を進めていきます。
2021年度は、各国で積極的に推進される拡張的な財政政策と緩和的な金融政策に支えられた景気回復が期待され、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)のワクチン普及により「コロナ後」の視界も開けつつあります。一方で、変異株の拡大による感染ペースの再加速等により感染拡大が長期化した場合には、もう一段厳しい世界経済活動の抑制につながるおそれもあり、国内外問わず、先行き不透明な社会経済状況が続くことが予想されます。この様な状況の中、当社グループは全事業の収益力向上に努め、安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、「ヘルスケア・高機能材料の成長加速」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものとし、この難局を乗り越えていきます。
経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の予想値につきましては、次のとおりであります。
(単位:億円)
| 2020年度 | 2021年度 (次期の見通し) | 対前年度 | 2023年度 (中期経営計画) | |||
| 売上高 | 21,925 | 24,400 | 2,475 | 27,000 | ||
| 営業利益 | 1,655 | 1,800 | 145 | 2,600 | ||
| 当社株主帰属当期純利益 | 1,812 | 1,300 | △512 | 2,000 | ||
| ROE | 8.7% | 6.2% | 2.5ポイント減 | 8.4% | ||
| ROIC | 4.3% | 4.6% | 0.3ポイント増 | 6.1% | ||
(2)対処すべき課題
「ヘルスケア事業領域の成長戦略」
ヘルスケア領域では、メディカルシステム事業・バイオCDMO事業が売上成長を牽引し、増収・増益を確保します。また、ライフサイエンス分野では、全体戦略(事業ポートフォリオ、M&A・提携、技術・R&D等)を立案・推進し、関連事業をリードする「ライフサイエンス戦略本部」を新設するとともに、創薬支援関連ビジネス強化のため、細胞・培地等の再生医療事業とファインケミカル事業の試薬ビジネス等を統合した「ライフサイエンス事業部」を2021年4月1日に設立しました。中長期的に高い成長が見込めるバイオ医薬品のプロセス開発及び製造受託(CDMO)を重点事業化するとともに、最先端の治療薬創出を支援する企業としてワンストップで価値を提供し、ライフサイエンス分野における事業拡大を目指します。また、COVID-19感染拡大抑止に貢献すべく、超軽量移動型デジタルX線撮影装置や超音波機器等の各種医療機器の提供や、各製薬会社の治療薬・ワクチン等のプロセス開発・製造受託を進めていきます。
メディカルシステム事業では、㈱日立製作所の画像診断関連事業買収を完了し、事業規模を大きく拡大していきます。当社は医療IT領域で“REiLI(レイリ)”というブランドのもと、医療現場のワークフローを支援するAI技術の開発と実用化を進めています。このAI/IT技術を活用し、X線画像診断機器、内視鏡、携帯型超音波、体外診断(IVD)、及び今回の買収により新たに加わったCT、MRI、据え置き型超音波を含めた幅広い製品ラインアップを活かした「AI・ITソリューションビジネス」のさらなる事業拡大を図ります。また、最大市場の北米においては、主要病院への内視鏡システム導入の促進や外科用処置具の販売強化に加えて、手術室のシステムインテグレーション市場へのビジネス展開を加速することで、メディカルシステム事業のさらなる成長に向けた、強固な事業基盤の構築を進めていきます。
バイオCDMO事業では、デンマーク及び米国での大型投資によって、原薬の生産能力を大幅に増強するとともに、顧客からの要望が強い、拠点内で原薬製造から製剤化・包装までを一貫して対応できる「ワンサイト・ワンストップ」体制を整備します。さらに、最先端の研究開発施設が集積する米国ボストン市には、遺伝子治療薬のプロセス開発及び原薬製造の拠点を新設するとともに、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学等とともに、最先端治療分野の産学共同研究開発コンソーシアム「The Massachusetts Center for Advanced Biological Innovation and Manufacturing, PBLLC」に参画することを決定しました。
バイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州の受託能力拡張によって事業の成長基盤を固めるとともに、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチン等様々なバイオ医薬品の生産プロセス開発や、少量から大量生産までのあらゆるニーズに対応していくことで、成長するバイオ医薬品市場を上回る成長率で事業を拡大していきます。
ライフサイエンス事業(再生医療、培地・試薬等の創薬支援を含む)では、再生医療分野において提携パートナーと細胞治療薬の開発を加速させるとともに、再生医療製品の製造受託ビジネスを推進していきます。創薬支援分野においては、新たな「ライフサイエンス事業部」のもとでFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.、富士フイルム和光純薬㈱のグループ会社3社がさらに連携し、細胞・培地・試薬をセットでグローバルに供給・販売することで、顧客に対してソリューションをワンストップで提供していきます。
医薬品事業では、ナノ分散技術や解析技術、プロセス技術等を活用し、リポソーム製剤「FF-10832」「FF-10850」の開発を推進するとともに、脂質ナノ粒子製剤の製造設備を活用し、次世代医薬品の核酸医薬品やmRNAワクチンのプロセス開発・製造受託ビジネスを展開していきます。
「マテリアルズ事業領域の成長戦略」
マテリアルズ領域では、各事業で培ってきた波長(光等)コントロール等の技術を融合し、5G等の高速通信網の整備やセンサー・通信デバイスの高機能化による様々な分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)加速に貢献する新規ビジネスを創出し続け、現在の競争優位性を維持して市場ニーズにあった高収益製品をタイムリーに投入することで売上・利益ともに拡大していきます。
電子材料事業では、AI、IoT、5G/6Gの普及やDXの加速等により半導体需要は拡大し、さらに半導体の高性能化に必要とされる処理能力アップ・微細化・高集積化が進むとみられており、当社はこうした顧客ニーズに応えるために、高性能化を支える材料開発や安定供給を目的とした設備投資をタイムリーかつ継続的に実施していきます。また、イメージセンサー用材料「WCM(Wave Control Mosaic)」や後工程材料を中心に新製品開発・ラインアップ拡充を行い高シェア維持と収益増を加速させ、レジスト材料は先端領域にターゲットを絞って新規材料の開発を進め、事業成長を加速させます。
ディスプレイ材料事業では、液晶パネル向けの既存タック製品における強いマーケットポジションの維持に加え、薄膜・積層塗布技術を活用した差別化製品の開発と導入を進め、有機EL用材料の高シェア維持や車載ディスプレイ向け等新規用途材料のビジネス拡大を推進していきます。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルムの「エクスクリア」等、当社独自技術を活用した高機能製品の拡販を継続するとともに、光センサー、通信関連材料、AIを活用した画像解析によるソリューションビジネス等、積極的に新規ビジネスへの展開を行い、事業を拡大します。
グラフィックコミュニケーション事業では、当社グループ内でのシナジー創出を加速し、デジタル印刷領域でさらなる価値をグローバルに提供していくため、本年7月1日付で富士フイルム㈱の「グラフィックシステム事業部」と富士フイルムビジネスイノベーション㈱の「グラフィックコミュニケーションサービス事業本部」を統合し「グラフィックコミュニケーション事業部」を設置します。本統合により、商業印刷・パッケージ印刷を中心に富士フイルム㈱が有する広範な顧客基盤と、デジタル印刷技術に強みを持つ富士フイルムビジネスイノベーション㈱の販売力、技術・製品力を組み合わせ、アナログからデジタルまでワンストップのソリューションを展開し、デジタル印刷市場を牽引します。
「ビジネスイノベーション事業領域の成長戦略」
富士ゼロックス㈱は、2021年4月1日に社名を変更し「富士フイルムビジネスイノベーション㈱」として新たに始動しました。社名には「常にビジネスに革新をもたらす存在であり続ける」という思いが込められています。イノベーションをもたらす先進技術によって、顧客のビジネスを革新していきます。国内では、今回の社名変更に伴い、国内直販営業と31の販社を統合し、新たに「富士フイルムビジネスイノベーションジャパン㈱」を発足しました。日本全国を効果的にカバーする営業体制と強力な営業力により、今後も複合機を中心としたオフィス機器と関連ソリューションビジネスの展開を加速していきます。
ブランドも新たに「FUJIFILM」とし、グローバルに拡販展開を進めていきます。加えて、ITソリューションとサービスビジネスにさらに力を注ぎ、顧客企業の働き方改革や業務効率化、デジタル化の支援を通じて、継続的な成長と事業ポートフォリオの変革を加速します。具体的には、オフィスでの顧客基盤を活かした在宅勤務需要の取り込みと文書管理、中小企業向けのIT/セキュリティサービス強化を軸とした提供価値の拡大、及び2020年9月に設立した「富士フイルムRIPCORD合同会社」による紙文書の電子化・処理を基盤としたデジタル業務プロセスサービスの拡大等で顧客企業のDXに貢献していきます。
「イメージング事業領域の成長戦略」
イメージング領域では、多様化する画像・映像ニーズに対して、新しい価値・商品を提供し続けていくために「イメージング事業部」「光学・電子映像事業部」を統合し、「イメージングソリューション事業部」を2021年4月1日に設立しました。
スマートフォン等撮影デバイスの多様化、5G/6G高速ネットワーク化、AIの進化、データ社会の進行等、様々な技術が飛躍的に進歩する中で、生活や社会における「画像・映像」ニーズは多様化しています。マーケットを広く捉え直し、今般、両事業部を統合することで、総合映像メーカーとしてのブランド力、及び撮影デバイスからプリンティングまで対応する幅広い技術アセットをベースとした、新たな商品・サービスの創出を加速していきます。
「SVP2030の下での重点分野と取組み」
当社は、「SVP2030」の下、「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」と「事業を通じた社会課題の解決」の2つの側面から、4つの重点分野「環境」「健康」「生活」「働き方」と、事業活動の基盤となる「サプライチェーン」「ガバナンス」における各分野で設定した目標達成に向けて取組みを進めています。「環境」においては、国際社会共通の重要課題である気候変動への対応として、CO2排出削減に積極的に取り組んでいます。2020年7月には、当社グループによるCO2排出削減の目標として、製品ライフサイクルでの2030年度の排出量を、従来目標の2013年度比30%削減から45%削減に上方修正しました。また、製品・サービス・技術を通じたCO2排出削減として、環境配慮製品のさらなる創出に向け、製品の環境価値を明確化し、優れた製品を認定する社内制度「Green Value Products」を導入しており、2021年3月までに166件を認定しました。「健康」においては、2020年度に57ヶ国まで導入している医療AI技術を活用した製品・サービスを、2030年度には世界196の全ての国と地域に導入することを目標にしています。「働き方」においては、ビジネスに革新をもたらすソリューション・サービスの提供により、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を5,000万人に提供します。「ガバナンス」においては、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な課題と位置づけ、その強化に取り組んでいます。当社は誠実かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指していきます。
「2021年度グループ基本方針」
当社グループの2021年度の基本方針は「“All-Fujifilm”でたゆまぬ挑戦を!」と掲げています。新規市場創出・拡大に向け、マーケットニーズを的確に捉えることで新たな価値を持つ製品・サービスの開発・提供を推進します。社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、持続可能な社会の発展に貢献するために、NEVER STOPの精神の下、富士フイルムホールディングス傘下の全ての会社・組織・従業員の力を結集した“All-Fujifilm”で挑戦していきます。