有価証券報告書-第72期(令和2年4月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 16:15
【資料】
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【項目】
124項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
① 昭和電工マテリアルズグループ・ビジョン
当社グループは、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、化学を超えた新たな価値を創造し、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現する。
② 経営の基本方針
当社グループは、化学を超えた広範な領域において研究を深化させ、当社グループの高度で幅広い基盤技術、すなわち「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を強化する。これらを基に多様な市場の全てのバリューチェーンにおいてイノベーションを実現し、社会に新たな価値を提供することにより、適切な利益を獲得して事業の持続的成長を達成するとともに、ステークホルダーと協働することを通じ、企業価値の最大化を図る。
イ.事業運営
(事業展開する領域)
当社グループは、グローバルな成長市場において当社グループの基盤技術を最大限に生かせる事業領域に機動的に経営資源を投入し、高付加価値事業を展開するとともに、成長性及び収益性の低い事業については市場・事業環境を早急に見極め、再生もしくは撤退を行うことにより、成長性と収益性の高い事業ポートフォリオを構築する。
(事業運営上の行動指針)
当社グループは、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現するため、ニーズの探索から、研究、開発、生産、営業に至るまでの全ての活動において、以下の行動指針、すなわち、「ニーズを見出す力を持つ」「未来のシナリオを描く」「次のコア技術を生み出す」「グローバルで選ばれる企業になる」「共創しあえるワークスタイルをつくる」ことに挑戦する。
(ステークホルダーへの責任の履行)
当社グループは、お客様、株主、従業員をはじめとするステークホルダーへの責任を履行するため、双方向でのコミュニケーションを重視し相互の理解を深めるほか、事業活動を通じ環境問題をはじめとする社会課題の解決に寄与するとともに、社会の一員として社会貢献活動に積極的かつ継続的に取り組む。また、国籍・性別・人種等を問わず、平等かつ公正に従業員が活躍できる機会を提供するとともに、従業員及び職場の安全を確保できる環境整備に取り組む。
(中期経営計画と年度予算)
当社グループは、10年先のめざす姿を見据えて3ヵ年ごとに中期経営計画を策定し中長期的な視野に立った経営を実践する一方、毎年、中期経営計画の達成に向けた予算を編成、実行することにより、持続的な成長の実現に取り組む。
ロ.コーポレートガバナンス
当社は、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの利益に資する経営を実践する。
業務執行機能と監督機能とを分離した「指名委員会等設置会社」の経験を生かし、機動的な業務執行、専門性の高い意思決定とともに、監督機能の発揮を可能とする体制を今後も追求する。
なお、当社は、2020年6月23日をもって監査役設置会社に移行し、引き続きコーポレートガバナンスの確立を追求することとしている。
ハ.コンプライアンス
当社グループは、全ての役員・従業員の判断の拠り所や取るべき行動を「昭和電工マテリアルズグループ行動規範」に定め、企業が社会の一員であるという深い認識のもと、「基本と正道」を旨とし、「昭和電工マテリアルズコンプライアンス5則」に則った、企業倫理と法令遵守に根ざした事業活動に徹するとともにその確実な実行のための組織体制を構築する。
当社グループの製品・サービスについては社会の発展に大きく貢献していることを認識し、最終顧客まで意識した品質保証責任の自覚を持つ。また、お客様との健全な関係性を維持し、適切な仕様等の取り決めとその遵守に努める。さらに環境との調和を図り、社会貢献活動を継続することにより、良識ある企業市民として真に豊かな社会の実現に尽力する。
ニ.親会社等との関係
当社グループは、昭和電工(株)を親会社として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給等の事業活動において、昭和電工グループ各社との協力関係を発展させ、将来の統合を視野に、グローバルトップクラスの高機能材料メーカーを共にめざす。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2021年度を最終年度とする中期経営計画において、調整後営業利益率 10%以上、ROIC 13%以上を目標値としている。調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率をいう。
(3) 当社グループの現状の認識について
今後の経済見通しについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延が継続し、引き続き先行きは不透明な状況にあるが、2020年は、5G対応のハイエンドスマートフォンやサーバーを含むインフラ等の需要増を背景とした情報通信市場の活況に加え、低迷から急回復に転じた自動車業界を含め、多くの製造業が回復基調にあり、2021年以降もさらなる回復が見込まれる。このような情勢のもと、当社グループは、市場の動向に応じた既存事業の売上拡大と収益確保を確実に行うとともに、次代の成長に向けた新事業・新製品の創造、育成に取り組んでいく。
(4) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
① COVID-19の影響継続を前提とした事業構造の構築と収益力の改善
COVID-19の影響が継続することを前提に、外部要因の影響を過度に受けない、安定的に利益を確保できる事業構造を確立する。足元で進んでいる市場の回復に対応した売上の着実な拡大に加え、原価低減、製品価格の適正化、生産合理化等の施策に努める一方、事業ごとに売上規模に見合った固定費を実現するための投資の厳選、働き方改革、経費縮減等を推進していく。
② 新製品の創造と基幹事業の強化
当社は、市場ニーズに応える有望な新製品・事業を生み出す研究開発テーマに経営リソースを優先的に投入している。2021年はさらなるテーマの発掘に努める一方、次代の成長を担う事業の柱を育成するため、ビジネスモデルの構築を含めた戦略的な取り組みを大きく前進させる。
クラスター戦略については、引き続き最先端半導体実装材料の開発を目的としたコンソーシアム「JOINT」と昭和電工(株)が有する素材設計力や評価技術等の幅広い強みを活用し、お客さまへのソリューション提供力をさらに向上させ、当社にしか実現できない画期的な半導体実装材料とプロセス技術を確立していく。
③ 総コスト低減活動の推進
2020年よりキャッシュ創出力の強化を目的に開始した総コスト低減活動を2021年も継続する。材料費、外注加工費、間接費等の削減、販売価格設定の見直し等ゼロベースで収益構造の見直しを推進する。従来から推進している営業・開発・製造部門における不良等に起因するロスコスト削減対策の徹底と低収益製品対策の完遂とともに、すべての部門におけるコスト構造の棚卸・見直しを継続して推進していく。
④ 昭和電工(株)とのシナジー実現によるイノベーションの加速とコスト競争力の強化
当社グループは、昭和電工(株)との統合により、「世界トップレベルの機能性化学メーカー」をめざす。その実現のために、昭和電工(株)とのシナジー実現によるイノベーション創出の加速とコスト競争力の強化を進めていく。
⑤ サステナビリティへの取り組み
当社グループは、持続可能な世界を実現するための国際社会全体の開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)の達成に貢献していく。特に、モノづくりの全プロセスにおいてCO2排出量削減のための対策を徹底するほか、競争力強化の観点から多様性を確保するため、経営層における女性及び外国籍の人材の比率を高めていく。