有価証券報告書-第70期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
対処すべき課題
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
① 日立化成グループ・アイデンティティ
当社グループは、時代を拓く優れた技術と製品の開発を通して社会に貢献することを企業理念とし、日立創業の精神である「開拓者精神」「誠」「和」を大切にしていく価値と定め、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、化学を超えた新たな価値を創造し、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現する。
② 経営の基本方針
当社グループは、化学を超えた広範な領域において研究を深化させ、当社グループの高度で幅広い基盤技術、すなわち「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を強化する。これらを基に多様な市場の全てのバリューチェーンにおいてイノベーションを実現し、社会に新たな価値を提供することにより、適切な利益を獲得して事業の持続的成長を達成するとともに、ステークホルダーと協働することを通じ、企業価値の最大化を図る。
イ.事業運営
(事業展開する領域)
当社グループは、グローバルな成長市場において当社グループの基盤技術を最大限に生かせる事業領域に機動的に経営資源を投入し、高付加価値事業を展開するとともに、成長性及び収益性の低い事業については市場・事業環境を早急に見極め、再生もしくは撤退を行うことにより、成長性と収益性の高い事業ポートフォリオを構築する。
(事業運営上の行動指針)
当社グループは、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現するため、ニーズの探索から、研究、開発、生産、営業に至るまでの全ての活動において、以下の行動指針、すなわち、「ニーズを見出す力を持つ」「未来のシナリオを描く」「次のコア技術を生み出す」「グローバルで選ばれる企業になる」「共創しあえるワークスタイルをつくる」ことに挑戦する。
(ステークホルダーへの責任の履行)
当社グループは、お客様、株主、従業員をはじめとするステークホルダーへの責任を履行するため、双方向でのコミュニケーションを重視し相互の理解を深めるほか、事業活動を通じ環境問題をはじめとする社会課題の解決に寄与するとともに、社会の一員として社会貢献活動に積極的かつ継続的に取り組む。また、国籍・性別・人種等を問わず、平等かつ公正に従業員が活躍できる機会を提供するとともに、従業員及び職場の安全を確保できる環境整備に取り組む。
(中期経営計画と年度予算)
当社グループは、10年先のめざす姿を見据えて3ヵ年ごとに中期経営計画を策定し中長期的な視野に立った経営を実践する一方、毎年、中期経営計画の達成に向けた予算を編成、実行することにより、持続的な成長の実現に取り組む。
ロ.コーポレートガバナンス
当社は、コーポレートガバナンスの基本方針として「日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン」を定め、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの利益に資する経営を実践する。
同ガイドラインの下、業務執行機能と監督機能とを分離した「指名委員会等設置会社」の特長を最大限に生かし、執行役社長を中心とする業務執行体制により機動性、専門性の高い意思決定に基づく経営を実行するとともに、取締役会は独立性と客観性を兼ね備えた経営監督機能を発揮する。
ハ.コンプライアンス
当社グループは、全ての役員・従業員の判断の拠り所や取るべき行動を「日立化成グループ行動規範」に定め、企業が社会の一員であるという深い認識のもと、「基本と正道」を旨とし、「日立化成コンプライアンス5則」に則った、企業倫理と法令遵守に根ざした事業活動に徹するとともにその確実な実行のための組織体制を構築する。
当社グループの製品・サービスについては社会の発展に大きく貢献していることを認識し、最終顧客まで意識した品質保証責任の自覚を持つ。また、お客様との健全な関係性を維持し、適切な仕様等の取り決めとその遵守に努める。さらに環境との調和を図り、社会貢献活動を継続することにより、良識ある企業市民として真に豊かな社会の実現に尽力する。
ニ.親会社等との関係
当社グループは、(株)日立製作所を親会社とする日立グループの一員として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給等の事業活動において、日立グループ各社との協力関係を維持、発展させ、日立グループのブランド力等の経営資源を有効に活用するとともに、親会社による合理的なガバナンス機能を十分発揮させつつ、上場会社として、全てのステークホルダーとのコミュニケーションを深め、当社グループの強みを生かした自律性と緊張感のある経営を実践する。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2021年度を最終年度とする中期経営計画において、調整後営業利益率 10%以上、ROIC 13%以上を目標値としている。調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率をいう。
(3) 当社グループの現状の認識について
今後の経済見通しについては、米国の通商政策、英国のEU離脱問題など、世界経済への影響が懸念される不確定要因があり、先行きは不透明な状況にある。
こうした状況の下、当社グループは、不適切な検査等についての反省及び2018中期経営計画の成果・反省を踏まえ、この度2021年度を最終年度とする2021中期経営計画を策定した。2021年度までの3年間を「経営・事業の質を高めるステージ」と位置づけ、「グローバルでのガバナンスの強化」、「高収益基盤の確立」を基本方針として取り組んでいく。
(4) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
① グローバルでのガバナンスの強化
イ.コンプライアンス体制の再構築
不適切な検査等と同様の事案を二度と繰り返さないために、不正を起こさないための全社的な意識改革、事業部門から独立した品質保証体制による管理の厳格化、人の手を介さない製品検査関連システムの構築など、再発防止策を徹底していく。
ロ.グループガバナンスの強化
コンプライアンス・リスクの低減を図るため、 M&A等により増加したグループ会社数の削減を推進するとともに、海外の各地域内の監査体制の構築・強化やレポーティングラインの明確化を通じて、地域毎にグループ会社が自律的にリスク管理を行う体制を整備していく。
② 高収益基盤の確立
イ.デファクト化されたトップシェア事業の拡大
既存の半導体・スマートフォン向け材料、自動車部品に加え、5G・EV・新電池・医療分野に経営リソースを投入し、当社の基盤技術である「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を基に、競争優位性のある独自のソリューションを提供することにより、業界内でのデファクトスタンダード化を図る。
(イ)情報通信
「半導体実装材料オープン・ラボ」の活用によりオープン・ラボ戦略を拡大し、お客様に半導体実装材料のワンストップソリューションを提供することで、当社グループの確固たる地位を確立していく。また、今後拡大が見込まれる5G等の次世代通信インフラ向け新製品の開発に取り組んでいく。
(ロ)モビリティ
次世代自動車開発での重要なキーワードとなるCASE(Connectivity、Autonomous、Shared&Service、Electric)において、一層重要性の高まりが見込まれる軽量化・電動化・熱マネジメントの課題に対し、当社グループの材料技術の強みを生かしてあらゆるモビリティに必要不可欠な製品をグローバルに提供していく。
(ハ)エネルギー
M&Aによる新規連結子会社に対するPMI(買収後統合プロセス)の加速により、シナジー効果の最大化を図る。また、ISS(Idling Stop System)車用電池をはじめとする環境に配慮した製品の拡大や、産業用鉛蓄電池の状態を監視保守するサービスのビジネスモデル構築により、事業強化に努めていく。
(ニ)ライフサイエンス
M&Aによる新規連結子会社とのシナジー効果を発揮し、当社グループの将来を担う高収益事業に育成していく。診断薬事業では、欧米向け販売網の拡大・整備を進めるとともに、再生医療事業では、日米欧3拠点で製造・営業・開発のグローバル連携体制を確立する。また、培地などの再生医療用消耗材の立ち上げに取り組んでいく。
ロ.新事業・新製品の創出加速
2018中期経営計画の下、再生医療事業など当社にとって新しい領域の事業・製品の立ち上げを推し進めてきたが、2021中期経営計画では、次世代通信インフラや次世代モビリティ等の当社グループが持つ強みを生かせる市場・製品領域にターゲットをシフトし、さらに新事業・新製品の創出を加速していく。
ハ.グローバル先進クラスのコスト構造への再挑戦
2018中期経営計画において、売上収益はほぼ計画通りに拡大できた一方、営業利益率は目標未達に終わった。これを踏まえ、2021中期経営計画では、低収益事業対策を断行して事業ポートフォリオを改革することなどにより、営業利益率の改善を進めていく。また、新たにROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)を経営指標として重要視し、より資本効率を重視した経営を行っていく。
③ サステナビリティへの取り組み
当社グループは、ESG(Environment、Social、Governance)トレンドを踏まえた重要課題(マテリアリティ)への対応策を反映した2021中期経営計画達成への取り組みを通じて、持続可能な世界を実現するための国際社会全体の開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)の達成に貢献していく。特に、モノづくりの全プロセスにおいてCO2排出量削減のための対策を徹底するほか、競争力強化の観点から多様性を確保するため、経営層における女性及び外国籍の人材の比率を高めていく。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を基に多様な市場の全てのバリューチェーンにおいてイノベーションを実現し、社会に新たな価値を提供することにより、適切な利益を獲得して事業の持続的成長を達成するとともに、ステークホルダーと協働することを通じ、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としている。
こうした方針の下、当社は、株式の上場を通じて、資本市場から事業の維持及び拡大に必要な資金を調達するとともに、親会社の(株)日立製作所による合理的なガバナンス機能を十分発揮させつつ株主の視点に立ったコーポレート・ガバナンスを確保すると同時に、上場会社として、全てのステークホルダーとのコミュニケーションを深め、当社の強みを生かした自律性と緊張感のある経営を実践することが当社の企業価値向上に極めて重要であると考えている。
一方、当社は、日立グループの一員として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給等の事業活動において、 (株)日立製作所及びそのグループ会社との協力関係を維持、発展させ、日立グループのブランド力等の経営資源を有効活用することも、当社の企業価値向上に資するものと認識している。
当社としては、親会社のみならず、全ての株主にとっての企業価値の最大化を常に念頭に置き、日立グループ会社との関係においては事業運営及び取引の独立性を保つことを基本としつつ、経営計画の策定、ガバナンス体制の確立等に取り組んでいる。
(1) 経営の基本方針
① 日立化成グループ・アイデンティティ
当社グループは、時代を拓く優れた技術と製品の開発を通して社会に貢献することを企業理念とし、日立創業の精神である「開拓者精神」「誠」「和」を大切にしていく価値と定め、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、化学を超えた新たな価値を創造し、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現する。
② 経営の基本方針
当社グループは、化学を超えた広範な領域において研究を深化させ、当社グループの高度で幅広い基盤技術、すなわち「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を強化する。これらを基に多様な市場の全てのバリューチェーンにおいてイノベーションを実現し、社会に新たな価値を提供することにより、適切な利益を獲得して事業の持続的成長を達成するとともに、ステークホルダーと協働することを通じ、企業価値の最大化を図る。
イ.事業運営
(事業展開する領域)
当社グループは、グローバルな成長市場において当社グループの基盤技術を最大限に生かせる事業領域に機動的に経営資源を投入し、高付加価値事業を展開するとともに、成長性及び収益性の低い事業については市場・事業環境を早急に見極め、再生もしくは撤退を行うことにより、成長性と収益性の高い事業ポートフォリオを構築する。
(事業運営上の行動指針)
当社グループは、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現するため、ニーズの探索から、研究、開発、生産、営業に至るまでの全ての活動において、以下の行動指針、すなわち、「ニーズを見出す力を持つ」「未来のシナリオを描く」「次のコア技術を生み出す」「グローバルで選ばれる企業になる」「共創しあえるワークスタイルをつくる」ことに挑戦する。
(ステークホルダーへの責任の履行)
当社グループは、お客様、株主、従業員をはじめとするステークホルダーへの責任を履行するため、双方向でのコミュニケーションを重視し相互の理解を深めるほか、事業活動を通じ環境問題をはじめとする社会課題の解決に寄与するとともに、社会の一員として社会貢献活動に積極的かつ継続的に取り組む。また、国籍・性別・人種等を問わず、平等かつ公正に従業員が活躍できる機会を提供するとともに、従業員及び職場の安全を確保できる環境整備に取り組む。
(中期経営計画と年度予算)
当社グループは、10年先のめざす姿を見据えて3ヵ年ごとに中期経営計画を策定し中長期的な視野に立った経営を実践する一方、毎年、中期経営計画の達成に向けた予算を編成、実行することにより、持続的な成長の実現に取り組む。
ロ.コーポレートガバナンス
当社は、コーポレートガバナンスの基本方針として「日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン」を定め、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの利益に資する経営を実践する。
同ガイドラインの下、業務執行機能と監督機能とを分離した「指名委員会等設置会社」の特長を最大限に生かし、執行役社長を中心とする業務執行体制により機動性、専門性の高い意思決定に基づく経営を実行するとともに、取締役会は独立性と客観性を兼ね備えた経営監督機能を発揮する。
ハ.コンプライアンス
当社グループは、全ての役員・従業員の判断の拠り所や取るべき行動を「日立化成グループ行動規範」に定め、企業が社会の一員であるという深い認識のもと、「基本と正道」を旨とし、「日立化成コンプライアンス5則」に則った、企業倫理と法令遵守に根ざした事業活動に徹するとともにその確実な実行のための組織体制を構築する。
当社グループの製品・サービスについては社会の発展に大きく貢献していることを認識し、最終顧客まで意識した品質保証責任の自覚を持つ。また、お客様との健全な関係性を維持し、適切な仕様等の取り決めとその遵守に努める。さらに環境との調和を図り、社会貢献活動を継続することにより、良識ある企業市民として真に豊かな社会の実現に尽力する。
ニ.親会社等との関係
当社グループは、(株)日立製作所を親会社とする日立グループの一員として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給等の事業活動において、日立グループ各社との協力関係を維持、発展させ、日立グループのブランド力等の経営資源を有効に活用するとともに、親会社による合理的なガバナンス機能を十分発揮させつつ、上場会社として、全てのステークホルダーとのコミュニケーションを深め、当社グループの強みを生かした自律性と緊張感のある経営を実践する。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2021年度を最終年度とする中期経営計画において、調整後営業利益率 10%以上、ROIC 13%以上を目標値としている。調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率をいう。
(3) 当社グループの現状の認識について
今後の経済見通しについては、米国の通商政策、英国のEU離脱問題など、世界経済への影響が懸念される不確定要因があり、先行きは不透明な状況にある。
こうした状況の下、当社グループは、不適切な検査等についての反省及び2018中期経営計画の成果・反省を踏まえ、この度2021年度を最終年度とする2021中期経営計画を策定した。2021年度までの3年間を「経営・事業の質を高めるステージ」と位置づけ、「グローバルでのガバナンスの強化」、「高収益基盤の確立」を基本方針として取り組んでいく。
(4) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
① グローバルでのガバナンスの強化
イ.コンプライアンス体制の再構築
不適切な検査等と同様の事案を二度と繰り返さないために、不正を起こさないための全社的な意識改革、事業部門から独立した品質保証体制による管理の厳格化、人の手を介さない製品検査関連システムの構築など、再発防止策を徹底していく。
ロ.グループガバナンスの強化
コンプライアンス・リスクの低減を図るため、 M&A等により増加したグループ会社数の削減を推進するとともに、海外の各地域内の監査体制の構築・強化やレポーティングラインの明確化を通じて、地域毎にグループ会社が自律的にリスク管理を行う体制を整備していく。
② 高収益基盤の確立
イ.デファクト化されたトップシェア事業の拡大
既存の半導体・スマートフォン向け材料、自動車部品に加え、5G・EV・新電池・医療分野に経営リソースを投入し、当社の基盤技術である「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を基に、競争優位性のある独自のソリューションを提供することにより、業界内でのデファクトスタンダード化を図る。
(イ)情報通信
「半導体実装材料オープン・ラボ」の活用によりオープン・ラボ戦略を拡大し、お客様に半導体実装材料のワンストップソリューションを提供することで、当社グループの確固たる地位を確立していく。また、今後拡大が見込まれる5G等の次世代通信インフラ向け新製品の開発に取り組んでいく。
(ロ)モビリティ
次世代自動車開発での重要なキーワードとなるCASE(Connectivity、Autonomous、Shared&Service、Electric)において、一層重要性の高まりが見込まれる軽量化・電動化・熱マネジメントの課題に対し、当社グループの材料技術の強みを生かしてあらゆるモビリティに必要不可欠な製品をグローバルに提供していく。
(ハ)エネルギー
M&Aによる新規連結子会社に対するPMI(買収後統合プロセス)の加速により、シナジー効果の最大化を図る。また、ISS(Idling Stop System)車用電池をはじめとする環境に配慮した製品の拡大や、産業用鉛蓄電池の状態を監視保守するサービスのビジネスモデル構築により、事業強化に努めていく。
(ニ)ライフサイエンス
M&Aによる新規連結子会社とのシナジー効果を発揮し、当社グループの将来を担う高収益事業に育成していく。診断薬事業では、欧米向け販売網の拡大・整備を進めるとともに、再生医療事業では、日米欧3拠点で製造・営業・開発のグローバル連携体制を確立する。また、培地などの再生医療用消耗材の立ち上げに取り組んでいく。
ロ.新事業・新製品の創出加速
2018中期経営計画の下、再生医療事業など当社にとって新しい領域の事業・製品の立ち上げを推し進めてきたが、2021中期経営計画では、次世代通信インフラや次世代モビリティ等の当社グループが持つ強みを生かせる市場・製品領域にターゲットをシフトし、さらに新事業・新製品の創出を加速していく。
ハ.グローバル先進クラスのコスト構造への再挑戦
2018中期経営計画において、売上収益はほぼ計画通りに拡大できた一方、営業利益率は目標未達に終わった。これを踏まえ、2021中期経営計画では、低収益事業対策を断行して事業ポートフォリオを改革することなどにより、営業利益率の改善を進めていく。また、新たにROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)を経営指標として重要視し、より資本効率を重視した経営を行っていく。
③ サステナビリティへの取り組み
当社グループは、ESG(Environment、Social、Governance)トレンドを踏まえた重要課題(マテリアリティ)への対応策を反映した2021中期経営計画達成への取り組みを通じて、持続可能な世界を実現するための国際社会全体の開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)の達成に貢献していく。特に、モノづくりの全プロセスにおいてCO2排出量削減のための対策を徹底するほか、競争力強化の観点から多様性を確保するため、経営層における女性及び外国籍の人材の比率を高めていく。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を基に多様な市場の全てのバリューチェーンにおいてイノベーションを実現し、社会に新たな価値を提供することにより、適切な利益を獲得して事業の持続的成長を達成するとともに、ステークホルダーと協働することを通じ、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としている。
こうした方針の下、当社は、株式の上場を通じて、資本市場から事業の維持及び拡大に必要な資金を調達するとともに、親会社の(株)日立製作所による合理的なガバナンス機能を十分発揮させつつ株主の視点に立ったコーポレート・ガバナンスを確保すると同時に、上場会社として、全てのステークホルダーとのコミュニケーションを深め、当社の強みを生かした自律性と緊張感のある経営を実践することが当社の企業価値向上に極めて重要であると考えている。
一方、当社は、日立グループの一員として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給等の事業活動において、 (株)日立製作所及びそのグループ会社との協力関係を維持、発展させ、日立グループのブランド力等の経営資源を有効活用することも、当社の企業価値向上に資するものと認識している。
当社としては、親会社のみならず、全ての株主にとっての企業価値の最大化を常に念頭に置き、日立グループ会社との関係においては事業運営及び取引の独立性を保つことを基本としつつ、経営計画の策定、ガバナンス体制の確立等に取り組んでいる。