有価証券報告書-第57期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 12:22
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府・日銀の金融緩和・経済政策を背景に、企業収益や雇用情勢も改善傾向となるなど景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、6月の英国EU離脱問題や11月の米国大統領選等により為替・株式市場が大きく影響される状況が続きました。
世界経済においては、欧米を中心に堅調に推移し、資源国経済も回復基調となりましたが、一方で、新興国の経済成長の鈍化、中東や朝鮮半島における地政学的リスクの高まりなど景気の下振れ要因が払拭されない状況が続いております。
当社を取り巻く業界では、デジタル家電関連においては、熊本地震に伴い停止していたデジタルカメラ等の生産が再開しましたが、外国人観光客向けの家電販売は伸び悩みが続いております。スマートフォンでは新機種の販売が好調でしたが、発火事故に伴う生産停止により、生産・販売の低迷が見られました。自動車関連においては、熊本地震や燃費データ不正問題による生産活動等への影響が落ち着きつつあります。その一方で軽自動車の販売は、減税終了の影響が長引いており、伸び悩みが続いております。
このような経済環境のなか、当社グループにおきましては、熊本地震による減産、電子ペンの供給先によるリコール・生産停止などが減収要因となりましたが、国内・海外ともに工場の生産状況は回復しております。また、固定費の削減並びに業務効率の一層の改善などによる低コスト構造の構築及び財務体質の健全化により減価償却費等が大幅に減少しております。加えて、米国大統領選以降の円安基調が収益改善に寄与したことで、前連結会計年度の損失計上から一転して利益計上となりました。その結果、当連結会計年度における業績は、売上高は240億6千8百万円と前年同期と比べ15億9千4百万円(7.1%)の増収、営業利益は5億5千3百万円(前年同期は営業損失4億7千2百万円)、経常利益は6億7千2百万円(前年同期は経常損失2億1千5百万円)となりました。また、海外子会社からの配当方針を変更したことに伴い繰延税金負債及び法人税等調整額を2億4千万円計上したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益は2億8千8百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失22億5千4百万円)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① プラスチック成形事業
当セグメントにおきましては、国内において主力製品のエアコンパネルやナビゲーション、ETC、ECU等の自動車向け部品売上が増加し、海外では、主にムトーベトナムCO.,LTD.においてミラーレス一眼カメラ等のカメラ部品が売上増加となり、加えて、血圧計・血糖値計、ICレコーダーなどの生産が順調に増加しております。一方、供給先都合による生産停止があったもののスマートフォン、タブレットPC向け電子ペンの量産により売上が増加いたしました。その結果、当連結会計年度において、売上高はセグメント間の内部売上高を含めて217億3百万円と前年同期と比べ17億8千1百万円(8.9%)の増収となり、セグメント利益(営業利益)5億2千3百万円(前年同期はセグメント損失(営業損失)4億9千9百万円)となりました。
② 精密プレス部品事業
当セグメントにおきましては、前連結会計年度において大型プレス機などの設備投資により生産能力を拡充・増強し、新規市場開拓を推進しておりますが、市場の縮小により新規案件は減少傾向にあり、厳しい価格競争が続いております。国内においては、新たに電子ペンや健康医療機器などのプレス部品を受注し、海外においては、カーオーディオなどの自動車関連部品やノートパソコン関連部品を受注しておりますが、総体的に売上は減少傾向にあります。また、国内においてはプレス関連の生産・検収遅れにより経費、運送費が増加いたしました。その結果、当連結会計年度において、売上高はセグメント間の内部売上高を含めて22億1千2百万円と前年同期と比べ2億8百万円(8.6%)の減収となり、セグメント利益(営業利益)は1千5百万円と前年同期と比べ1千1百万円(42.8%)の減益となりました。
③ プリント基板事業
当セグメントにおきましては、設計部門は、高密度の電子機器に使用されるプリント配線板設計と産業用機械や複写機などの設計業務が売上を伸ばしております。一方、検査部門においては、パッケージ基板やフレキ基板、セラミック基板など特殊な検査業務は増加しましたが、電波時計や遊技機器に使用される基板の受注が大きく減少いたしました。その結果、当連結会計年度において、売上高はセグメント間の内部売上高を含めて2億7千1百万円と前年同期と比べ1百万円(0.4%)の減収となり、セグメント利益(営業利益)は1千4百万円(前年同期はセグメント利益(営業利益)0百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は55億2千7百万円と前連結会計年度末と比べ8億8千9百万円(19.2%)の増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益6億7千万円(前年同期は税金等調整前当期純損失20億8千2百万円)、非資金費用である減価償却費13億3千3百万円、たな卸資産の減少額2億5千8百万円及び売上債権の増加額8億3千4百万円等により、営業活動全体として16億6百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ収入が1億1千3百万円(7.6%)の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、定期預金の預入による支出4億3千2百万円、有形固定資産の取得による支出18億7千7百万円及び定期預金の払戻による収入4億9百万円等により、投資活動全体として19億7千9百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ支出が1億4千8百万円(8.1%)の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、短期借入金の純増額12億4千9百万円、長期借入れによる収入15億2百万円及び長期借入金の返済による支出12億5千4百万円等により、財務活動全体として14億8千万円の収入となり、前連結会計年度と比べ収入が5億9千万円(66.3%)の増加となりました。