有価証券報告書-第74期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/17 13:40
【資料】
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【項目】
126項目

対処すべき課題

(1) 当社の現状の認識について
当社グループは、T&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則り、日本国内及びアジア地域では、UVインキ(紫外線硬化型インキ)において高い市場シェアを獲得しております。アジア地域におきましては高い市場シェアと高収益を維持しております。このベースは絶えずユーザーニーズに耳を傾け、ユーザーの役に立つ製品の開発供給、よりきめ細かいサービスに努めること、更に東南アジアにおきましては、これらに加えて地域の文化や風習を尊重した現地化に徹していることであります。
(2) 当面の対処すべき課題及びその対処方針
当社グループは、印刷インキの総合メーカーとしての技術を基礎に新しいマーケットの開拓、新製品の開発及び高付加価値製品の開発を行い、顧客ユーザーに信頼され、同業他社と一味違う特色あるインキメーカーとしてT&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則った経営を展開しております。国別、地域別に対処すべき課題はそれぞれに異なっておりますが、当面、当社グループが対処すべき課題及び対処方針といたしまして以下のことが挙げられます。
① UVインキ(紫外線硬化型インキ)の用途拡大と市場シェアの拡大
日本国内におきましては、UVインキ(紫外線硬化型インキ)の印刷インキ全体に占める割合は5%前後と低く、この割合を上げることこそ、当社の業績向上に直結する課題であるため、ユーザーニーズを積極的に掘り起こし、UVインキ(紫外線硬化型インキ)の用途拡大を図り、また、近年新規導入が増えている省電力型UV印刷機用のUVインキ(紫外線硬化型インキ)開発等に積極的に対処しております。また、アジア地域におきましては、UVインキ(紫外線硬化型インキ)による印刷方式が急速に拡大されつつある中で、関係会社での現地生産設備を増強し、この需要に対応いたします。更に欧米向けにはUVインキ(紫外線硬化型インキ)の輸出拡大及び技術フォローを図り、日本国内、海外ともにそのシェアの拡大を目指します。
② 油性枚葉オフセットインキのシェア拡大
印刷機メーカー主導による省電力UV印刷の機械台数が増える中、従来からの油性オフセット枚葉印刷は、まだ8割以上の市場があります。この印刷方式では、印刷工程でインキの裏移りを防ぐためにパウダーを散布しており、それが印刷機械や周辺に堆積し様々な障害の原因となっております。それらを大幅に軽減できるインキとしてパウダーレスインキを上市しました。この製品は、当社が市場ニーズを掘り起こし、独自に開発した新しい製品です。既に多くのユーザーで採用され高い評価を得ております。これを積極的に展開することで、更なる市場シェア拡大を目指します。
③ 特殊UVインキへの積極的な対応
特殊UVインキ(液晶パネル向け着色用レジストの分散加工及び新規用途製品)の分野では、市況が大変厳しい状況にはありますが、引き続き新規の高性能製品の開発に尽力するとともに、生産技術の更なる向上により高品質かつ低コスト生産を実現することで競争力を高め、販売量の増加を目指します。
④ アジア地域での印刷インキの市場シェアの拡大
当社が合弁事業を展開しておりますアジアの国々におきましては、TOKAグループが生産しております印刷インキは高い市場シェアと高収益を実現しております。特に中国では、今後もインキの需要の増加が続くと予想されるため、長期的戦略に基づいた設備の増強を図り、シェアの向上を目指します。
⑤ 印刷用インキの原料値上げの対応
主原料であります原油系原料、植物系原料は殆どが国外から調達しておりますため、資源の価格上昇及び為替相場の変動が原料の調達価格に影響を及ぼす可能性があります。原料購入先の見直し、使用量の多い原材料の価格交渉を継続的に行うことで、原料原価の上昇を極力抑制し、コスト削減策に取り組むとともに、自助努力の限界を超える上昇分につきましてはユーザーへの理解、協力のもと製品価格の値上げを推進してまいります。
⑥ BCP(緊急時の事業継続計画)対策
日本ではどの地域におきましても地震などの災害が起こるリスクが存在いたします。当社はUVインキ(紫外線硬化型インキ)のシェアが高く、また当社製品を100%使用しているユーザーも多数あります。現在、主力製品は埼玉事業所でのみ生産しておりますため、緊急時には供給に支障をきたす可能性があります。その対策及び生産能力増強を兼ねて、滋賀県草津市に第二のUVインキ(紫外線硬化型インキ)生産拠点の建設を計画しております。滋賀県では、既に合成樹脂工場が移転し稼働しており、その敷地内にUVインキ(紫外線硬化型インキ)工場を建設いたします。
(3) 具体的な取組現況等
UVインキ(紫外線硬化型インキ)の用途拡大、新製品の開発及び市場シェアアップに向け、UVインキ(紫外線硬化型インキ)の研究開発体制の強化を推進しております。特殊UVインキ分野につきましては、新規用途製品の開発のために、ヒト・モノ・カネの経営3資源を重点投下しております。
また、アジア地域のUVインキ(紫外線硬化型インキ)の需要増へは、韓国及び中国国内の合弁会社にあるUVインキ生産専用工場にて対応しております。更にUVインキ(紫外線硬化型インキ)の技術を輸出し、インキの技術の提供や、技術の協力を行うことにより、グループ全体における品質向上および技術サービスの強化を図っております。
パウダーレスインキは画期的なインキゆえに、社内における新規素材開発を重点的に進め、開発の加速化と技術の流出防止にも努めております。
当社の主力製品の印刷インキの原料であります顔料、合成樹脂及び有機溶剤などには多種類の化学物質が原料として使われおり、その製品特性に応じて何らかの環境に及ぼす可能性があります。法令を遵守はもとより、できるだけ環境に配慮した製品設計を心がけております。