有価証券報告書-第73期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 14:40
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

(1) 当社の現状の認識について
当社グループは、T&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則り、日本国内及びアジア地域では、UVインキ(紫外線硬化型インキ)において高い市場シェアを獲得しております。アジア地域においては高い市場シェアと高収益を維持しております。このベースは絶えずユーザーニーズに耳を傾け、ユーザーの役に立つ製品の開発供給、よりきめ細かいサービスに努めること、更に東南アジアにおきましては、これらに加えて地域の文化や風習を尊重した現地化に徹していることであります。
(2) 当面の対処すべき課題及びその対処方針
当社グループは、印刷インキの総合メーカーとしての技術を基礎に新しいマーケットの開拓、新製品の開発及び高付加価値製品の開発を行い、顧客ユーザーに信頼され、同業他社と一味違う特色あるインキメーカーとしてT&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則った経営を展開しております。国別、地域別に対処すべき課題はそれぞれに異なっておりますが、当面、当社グループが対処すべき課題及び対処方針といたしまして以下のことが挙げられます。
① UVインキ(紫外線硬化型インキ)の用途拡大と市場シェアの拡大
日本国内においては、インキの中におけるUVインキ(紫外線硬化型インキ)の割合(出荷数量)は5%前後と低く、この割合を上げることこそ、当社の業績向上に直結するため、ユーザーニーズを積極的に掘り起こし、UVインキ(紫外線硬化型インキ)の用途拡大、省電力型照射装置用などのUVインキ(紫外線硬化型インキ)の開発等に積極的に対処しております。また、アジア地域においては、UVインキ(紫外線硬化型インキ)による印刷方式が急速に拡大されつつある中で、関係会社での現地生産設備を増強し、この需要に対応いたします。更に欧米向けにはUVインキ(紫外線硬化型インキ)の輸出拡大及び技術フォローを図り、日本国内、海外ともにそのシェアの拡大を目指します。
② 油性枚葉オフセットインキのシェア拡大
印刷機メーカー主導による省電力UV印刷の機械台数が増える中、従来からの油性オフセット枚葉印刷は8割以上の市場があります。この市場は散布されるパウダーの影響を大きく受けており、その問題を軽減、解決できるインキとしてパウダーレスインキを上市しました。その積極展開によりこの市場のシェア拡大を目指します。
③ 特殊UVインキへの積極的な対応
UVインキ(紫外線硬化型インキ)のうち、特殊UVインキ(液晶パネル向け着色用レジストの分散加工及び新規用途製品)の需要増に対応するため、また、高い技術力を維持し、高品質かつ低コストでの生産体制を継続するため、ヒト・モノ・カネの経営資源を投下いたします。
④ アジア地域での印刷インキの市場シェアの拡大
当社が合弁事業を展開しておりますアジアの国々においては、TOKAグループが生産を行っております印刷インキ部門では高い市場シェアと高収益を実現しております。特に中国では、今後もインキの需要の増加が続くと予想されるため、長期的戦略に基づいた設備の増強を図り、シェアの向上を目指します。
⑤ 印刷用インキの原料値上げの対応
円安により海外からの輸入原料価格が上昇する中で、原料購入先の見直し、使用量の多い原材料の価格交渉を継続的に行うことで、原料原価の上昇を極力抑制し、コスト削減策に取り組むとともに、自助努力の限界を超える上昇分についてはユーザーへの理解、協力のもと製品価格の値上げを推進してまいります。
(3) 具体的な取組現況等
UVインキ(紫外線硬化型インキ)の用途拡大、新製品の開発及び市場シェアアップに向け、UVインキ(紫外線硬化型インキ)の研究開発体制の強化を推進しております。特に特殊UVインキ分野につきましては、需要増への対応及び新規用途製品の開発のために、ヒト・モノ・カネの経営3資源を重点投下しております。
また、アジア地域のUVインキ(紫外線硬化型インキ)の需要増へは、韓国及び中国国内の合弁会社にあるUVインキ生産専用工場にて対応しております。更にUVインキ(紫外線硬化型インキ)の技術を輸出し、インキの技術の提供や、技術の協力を行うことにより、グループ全体における品質向上および技術サービスの強化を図っております。
パウダーレスインキは画期的なインキゆえに、社内における新規素材開発を重点的に進め、開発の加速化と技術の流出防止にも努めております。
当社の主力製品の印刷インキの原料であります顔料、合成樹脂及び有機溶剤などには多種類の化学物質が原料として使われており、その製品特性に応じて何らかの環境に悪影響を及ぼす可能性があります。法令遵守はもとより、できるだけ環境に配慮した製品設計を心がけております。