有価証券報告書-第79期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/18 15:21
【資料】
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【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、依然として厳しい状況にありますが、先行きについては、持ち直しの動きが続くと見込んでおります。
日本は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いており、感染拡大防止策を講じつつ、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くと見込んでおります。
アジア地域については、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、中国では景気は緩やかに回復しており、先行きについては、緩やかな回復が続くと見込んでおります。また、その他アジア地域については、景気は持ち直しており、先行きについては、持ち直しの動きが続くと見込んでおります。
北米地域については、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は依然として厳しい状況にありますが、持ち直しており、先行きについては、持ち直しの動きが続くと見込んでおります。
ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、経済活動が抑制され景気は弱い動きとなっており、当面、新型コロナウイルス感染症の影響が続くと見込んでおります。
(2) 前中期経営計画の総括
2017年11月に公表した前中期経営計画「With You toward 2020」の総括は次の通りです。
① 定量目標の達成状況
北米地域における事業伸長は順調に進んだものの、日本やアジア地域のオフセットインキが低調に推移したことや、特殊UVインキの開発遅延への対応の遅れなどに加え、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により需要先である商業印刷市場が大幅に縮小した結果、連結売上高は目標値550億円(2019年5月発表の修正値)に対し422億5百万円に止まり、達成できませんでした。
② 前中期経営計画の成果
(a) グローバル展開の加速
前中期経営計画期間における2つの重点展開地域(北米、欧州)のうち、特に北米地域においては、T&K TOKA U.S.A., INC.の設立やVan Son Holland Ink Corporation of Americaの販売網の活用によって一般UVインキ及び高感度UVインキの拡販が進みました。
(b) 付加価値訴求の強力推進
前中期経営計画期間における2つの付加価値訴求製品(高感度UVインキ、パウダーレス枚葉インキ)のうち、高感度UVインキについては北米及び欧州地域において製品性能が高く評価され、拡販が進みました。両地域はUVインキの市場規模も大きく、当社グループの付加価値訴求製品の成長余地も大きいと見ており、地域毎の要求特性により合致した製品を投入することで、更なる拡販を進めて参ります。
(c) コスト削減・効率化の追求
生産・技術部門が一体となって生産コストのトータルコストダウンに取り組んだ結果、新型コロナウイルス感染症の影響が軽微であったグラビアインキ等のパッケージ印刷市場向けの製品群、特殊UVインキ等の液晶ディスプレイ関連及び光ファイバ関連の製品群並びに硬化剤等の機能性樹脂製品の生産能率は目標値を達成しました。一方、オフセットインキ及びUVインキ等の商業印刷市場向けの製品群の生産能率は、製造・販売量の減少の影響により目標値の達成に至りませんでした。
業務コストの削減については、Web-EDIの採用数の増加やRPAの導入促進、製品ストックポイントの統廃合などにより、目標値を達成いたしました。
原材料コストの削減については、原材料価格の上昇及び新たな環境規制に対応するための設計コストの上昇等により、目標値の達成に至りませんでした。
研究開発及び生産体制の強化については、グループ内研究機能の相互共有が具体的に進捗し、海外グループ会社と本社研究開発部門との共同した取組みにより、性能とコストのバランスをこれまでにない高水準で実現した戦略製品の市場投入が開始されましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、展開地域の拡大に遅れが生じています。
(3) 2022年3月期における取り組み
① 経営理念、2030年ビジョン、経営の基本方針の制定
当社は、経営理念、2030年ビジョン、経営の基本方針を2021年1月1日付で以下の通り制定しました。当社は1991年1月に「東華色素化学工業株式会社」から「株式会社T&K TOKA」に社名を変更しましたが、これは創業以来のモットーである「Technology and Kindness:技術と真心」の頭文字を取って命名されたものです。この社名変更から30年が経過し、人の入れ替わりやさまざまな環境変化がある中で、当社が何を目指しているのか、自分たち役職員は何をやるべきかを明確にし方向性を共有するため、当社が経営を通じて果たすべき使命と目指す姿、基本方針を定義しました。当社は新たな経営理念の下、企業精神の象徴である「Technology and Kindness」をグループ一丸となって推し進めて参ります。
コーポレート・スローガン
Technology and Kindness
経 営 理 念
「独自のテクノロジー」 で 「お客様にとって真によいもの」 を提供し、社会に貢献する
2030年ビジョン
個人と組織が共に成長し、社会から信頼されるグローバル企業となる
経営の基本方針
1.お客様起点で考え行動し、価値を創造する
2.自ら成長に努力する社員を支援し、成果を公正に評価する
3.事業活動を通じて社会課題を解決する
② 新中期経営計画
当社は、2021年3月期をもって中期経営計画「With You toward 2020」が終了することを踏まえ、2024年3月期を最終年度とする新中期経営計画の公表に向けて準備を進めてきました。基本的な経営戦略を変更せず、(a)グローバル展開の加速、(b)付加価値訴求の強力推進、(c)コスト削減・効率化の追求を推し進めていく方針ではあるものの、依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続しており、コロナ禍が収束する時期や目途が立っていないことから、現時点で中長期的な見通しを公表することは適切ではないと判断し、新たな中期経営計画の公表を見送ることとしました。
当面は主力製品であるUVインキを中心に、業績の早期回復に注力し、今後、収束時期などを見定めつつ、新たな中期経営計画の策定、公表に向けた検討を継続して参ります。
③ 新型コロナウイルス感染症への対応と課題
当社は、社会への当社製品の安定的な供給のため、基本的な感染予防策の徹底はもとより、可能職種のテレワーク体制への移行、時差勤務等、各種感染リスクの低減・感染規模縮小のための施策や、従業員の家庭生活における負荷低減のための施策、また罹患者発生時の対応手順やバックアップ体制の準備等、種々の施策を行っております。また、これらに止まらず、当社は新型コロナウイルス感染症の流行下における成長に向け、事業活動モデルの見直し、原材料在庫・製品在庫の最適化、物流やサプライチェーンの再設計など、必要なケイパビリティの構築に取り組んで参ります。