有価証券報告書-第73期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 14:40
【資料】
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【項目】
133項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの主要製品である印刷インキの需要先であります印刷業界におきましては、日本市場では、個人消費の低迷によりパッケージ関連の印刷需要が引き続き伸び悩みました。また、情報の電子化及び少子化の影響による出版、商業印刷が縮小傾向にあり、引き続き厳しい状況が続いております。一方、アメリカ市場では景気回復によりパッケージ関連を中心に好調、中国をはじめとしたアジア地域では減速感はあるものの底堅い経済成長に支えられて順調に推移しました。また、特殊UVインキの関係する液晶パネル関連市場は、大型テレビ向けや多機能携帯端末向けの需要が堅調であり、特にテレビ画面の大型化に伴い成長いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、特殊UVインキの販売が堅調に推移したものの、平版インキの販売が減少したことにより、486億59百万円(前年同期比7.4%減)となりました。利益面におきましては、営業利益は29億1百万円(前年同期比30.0%減)となりました。経常利益は、持分法による投資利益6億50百万円を計上したことにより、39億38百万円(前年同期比16.9%減)となりました。当期純利益は、関係会社出資金譲渡益1億51百万円、法人税等10億90百万円を計上したことにより、30億61百万円(前年同期比15.6%増)となりました。
(3) 当連結会計年度の財務状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、関係会社出資金が46億36百万円、棚卸資産が1億87百万円減少したものの、現金及び預金が12億52百万円、売上債権が1億35百万円、有形固定資産が28億15百万円、投資有価証券が59億71百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べて57億24百万円増の582億38百万円となりました。
負債につきましては、支払手形及び買掛金が4億38百万円、短期借入金が2億89百万円、退職給付に係る負債が5億71百万円減少したものの、1年内返済予定長期借入金が1億73百万円、長期借入金が10億21百万円、未払金が2億91百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べて5億12百万円増の168億16百万円となりました。
純資産につきましては、利益剰余金が32億51百万円、その他有価証券評価差額金3億11百万円、為替換算調整勘定が11億51百万円増加したこと及び退職給付に係る調整累計額が3億68百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べて52億12百万円増の414億22百万円となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
印刷用インキは原油派生品、輸入植物油等が主原料となっており、原油価格及び為替相場の変動により原材料の調達価格が影響を受けることになります。
原油系原料、植物系原料価格が上昇する中で、原材料の見直し、使用量の多い原材料の価格交渉を継続的に行うことで、原料原価の上昇を極力抑制し、コスト削減策に取り組むとともに、自助努力の限界を超える上昇分についてはユーザーへの理解、協力のもと製品価格の値上げを推進する方針であります。
(5) 現状と見通し
当社グループは、販売構成が高く、かつ利益の源泉であります平版インキのうち、枚葉インキ及びUVインキ(紫外線硬化型インキ)を最重点戦略の製品として位置づけます。
そのためには、絶えずユーザーのニーズを探りながらその対応を更に強化し、当社グループが得意としておりますUVインキ(紫外線硬化型インキ)や環境対応型インキ等高付加価値インキの拡販に努め、ユーザーの真に役立つ製品の開発を強力に進めてまいります。また、高い技術力を維持し、高品質かつ低コストでの生産体制を継続するため、積極的に人材・設備に投資を実施してまいります。
海外におきましては、中国をはじめとしたアジア市場では、市場の拡大に応じた生産能力の増強、販売の強化を図り、シェアを高めてまいります。特に、東南アジアでは文化や風習を尊重し、地域に根差した営業活動を推進してまいります。また、欧米、南米他の地域につきましても、市場開拓を進め、UVインキ(紫外線硬化型イン)、環境対応型インキの販売に注力してまいります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの資金状況は、税金等調整前当期純利益が42億40百万円、資金の支出を伴わない有形固定資産及び無形固定資産の減価償却費18億23百万円、利息及び配当金の受取額9億47百万円、定期預金の払戻による収入37億43百万円、長期借入による収入13億円の増加要因があった一方、法人税等の支払額11億28百万円、定期預金の預入による支出38億54百万円、有形固定資産の取得による支出38億73百万円、投資有価証券の取得による支出3億38百万、親会社による配当金の支払額3億74百万円の減少要因があったことにより、前連結会計年度末に比べて9億94百万円増加し、当連結会計年度末においては、42億54百万円となりました。
なお、営業活動により得たキャッシュ・フローの効率的な運用を最重点方針とし、特に当社グループが得意とする特殊UVインキを含むUVインキ(紫外線硬化型インキ)の拡販及び生産効率向上のための設備投資や、財務体質強化のための有利子負債削減の借入金返済を最重点として考えております。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、T&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則り、現在の事業環境及び入手可能な情報を基に、最善の経営方針を立案するよう努めております。経営方針の立案にあたっては、ユーザー本位の製品の開発及び供給、よりきめ細かいサービスの提供、さらに東南アジアにおきましては、これらに加えて地域の文化や風習を尊重した現地化に徹することが重要と認識しております。
今後につきましても、当社グループの経営理念でありますT&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神を経営の原点として、当社グループを挙げてこの精神に則り事業を展開する所存であります。