有価証券報告書-第69期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 13:20
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181項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、インフレ圧力の緩和を背景に全体として緩やかな成長を維持しましたが、金融政策の転換局面や地政学リスクの影響により、回復の足取りには地域差が認められました。米国は企業活動や政府支出に支えられ底堅く推移した一方、高金利の影響から雇用や消費の伸びは鈍化しました。中国は不動産市場の調整により内需が低調となる中、輸出が下支えとなり一定の成長を確保しました。日本は企業収益の改善を背景に緩やかな回復基調を維持しましたが、物価上昇が個人消費に影響を及ぼしました。
このような情勢の下、当社グループは、持続可能な成長を目指し、国内外での事業拡大と効率的な運営体制の構築を推進しました。営業面では、海外拠点との連携強化や製品管理・販売体制の効率化を促進し、現地生産や技術サポートを活用した市場拡大に取組みました。生産面では安全操業・安定生産を継続しつつ、鹿島事業所において超高純度コロイダルシリカの新製造設備の稼働を開始し、新設備の立上げを通じた生産能力の向上に取り組むと同時に、顧客からの認証取得に向けた対応を進めました。また、これらの生産体制強化と並行して、中長期的な事業継続および従業員の就業環境改善を見据え、大阪工場の耐震補強工事ならびに鹿島事業所の分析棟の新設工事を進めました。さらに、今後の需要拡大に備え、京都事業所における超高純度コロイダルシリカの生産設備の新設、ならびに米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.におけるグルコン酸ナトリウムの増設投資を決定しました。
研究開発にも一層力を入れ、東京研究所の増床を実施するとともに、研究開発体制の強化を図りました。ライフサイエンス事業部でコート果実酸や食品添加物製剤といった高付加価値品、電子材料事業部で半導体の微細化・多層化・高性能化といった技術的課題に対応できる製品開発、中空シリカ等の新製品開発にそれぞれ注力し、多様な分野での事業展開を進めました。
a. 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ11,423百万円増加し、78,476百万円となりました。これは主に、現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品及び製品、未収消費税等の増加によるものです。特に現金及び預金の増加が大きく、設備投資や長期借入金の返済等の支出はありますが、収益の増加により大きく増加しました。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ669百万円減少し、73,780百万円となりました。これは主に鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備Ⅱ期建設工事の完成に伴い建物及び構築物、機械装置及び運搬具等が増加しましたが、完成に伴う建設仮勘定の減少、減価償却費の計上が大きく、全体で減少しました。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ10,754百万円増加し、152,256百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,354百万円増加し、19,844百万円となりました。これは主に、設備関係未払金は減少しましたが、長期借入金の内、1年以内返済予定の金額を固定負債から流動負債へ振替したことによる増加、利益の増加に伴う未払法人税等の増加によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,768百万円減少し、15,195百万円となりました。これは主に、前述の長期借入金の流動負債への振替によるものです。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ2,413百万円減少し、35,039百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,167百万円増加し、117,216百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、円安に伴う海外子会社の剰余金の換算による為替換算調整勘定の増加によるものです。
b. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、76,926百万円(前連結会計年度比10.7%増、7,424百万円増)となりました。利益面では、営業利益は18,850百万円(同16.1%増、2,620百万円増)、経常利益は19,573百万円(同18.2%増、3,011百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,311百万円(同23.1%増、2,688百万円増)となりました。売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により増収増益となりました。経常利益は営業利益の増加に加え、為替差益の増加により増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に加え、投資有価証券売却益の発生により増益となりました。
当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、従来「電子材料および機能性化学品事業」としていた報告セグメントの名称を「電子材料事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
(ライフサイエンス事業)
ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が35,411百万円(前連結会計年度比2.4%減、876百万円減)、営業利益は5,308百万円(同0.4%増、18百万円増)となりました。
国内市場では食品・飲料用途における果実酸類の需要は堅調に推移しましたが、医薬品や日用品用途の需要が軟化しました。海外市場では中国市場の低迷に伴う厳しい競争環境下、リンゴ酸のシェアアップや米国の市場拡大に取組み、アジアや米国を中心に販売が増加した一方、欧州での販売は伸び悩みました。その結果、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は、売上は減少した一方で、前期の鹿島事業所の定期修繕の長期化によるコスト増加要因が解消されたことに加え、原材料価格の低下や海外子会社の収益寄与により、前連結会計年度を上回り減収増益となりました。
(電子材料事業)
電子材料事業の業績は、外部顧客に対する売上高が41,514百万円(前連結会計年度比25.0%増、8,301百万円増)、営業利益は15,926百万円(同20.9%増、2,755百万円増)となりました。
半導体市場の需要は堅調に推移し、特にAI用途を中心に拡大しました。主力製品である超高純度コロイダルシリカは、旺盛な需要に対して安定供給に努めた結果、販売数量が増加しました。売上高は、円高の影響による減少はありましたが、特にアジア向けの販売数量の増加により、前連結会計年度を上回りました。営業利益は、京都事業所や鹿島事業所の新規製造設備の稼働に伴い、減価償却費や立ち上げ費用が増加しましたが、売上増加、生産拡大による効果が寄与し、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払等に充てた結果、前連結会計年度末に比べ8,659百万円増加し、37,896百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、24,793百万円(前連結会計年度は22,701百万円の取得)となりました。これは主に、法人税等の支払に対して、税金等調整前当期純利益による収入および減価償却費の発生による収入があったためです。売上債権、仕入債務等の運転資金の増加、法人税等の支払額の増加等、支出は増加しましたが、税金等調整前当期純利益による収入および減価償却費の増加による収入増加が大きく、前連結会計年度に対して収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、11,069百万円(前連結会計年度は20,538百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものです。継続してきた大型設備投資が完成し、有形固定資産の取得による支出が減少したため、前連結会計年度に対して支出が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、5,905百万円(前連結会計年度は2,409百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済、配当金の支払によるものです。増配による配当金の支払額の増加、長期借入金の返済が始まり、前連結会計年度に対して支出が増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前年同期比
ライフサイエンス25,240,828千円△2.8%
電子材料45,070,61529.0
合計70,311,44315.4

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前年同期比
ライフサイエンス35,411,140千円△2.4%
電子材料41,514,88325.0
合計76,926,02310.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
FUJIFILM Electronic Materials Taiwan Co.,Ltd.8,994,25412.910,674,92413.9

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っています。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。
② 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。
a. 経営成績等の状況
経営成績の分析
(ライフサイエンス事業)
「Ⅰ.海外ビジネス拡大」「Ⅱ.国内シェア確保」「Ⅲ.新生産体制・効率化」「Ⅳ.FFAビジネスの面拡大」の各テーマに取り組みました。
Ⅰ.海外ビジネス拡大
Ⅰ-1.リンゴ酸類
前連結会計年度比25%以上の物量増加、アジア市場でのシェア拡大、エジプト、ポルトガル、北欧、メキシコ等の新規取引先への販売強化、物量増加による操業度向上によるコストダウンによる収益性向上を目標として取り組みを進めました。その結果、新規顧客の獲得、既存市場でのシェアアップにより前連結会計年度比20%物量が増加しました。また、時間当たりの生産量増加への取り組みを進めコストダウンによる競争力強化に努めました。
Ⅰ-2.グルコン酸類(PMP Fermentation Products, Inc.)
米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.において、2023年度に完成した設備増強による製造能力を活用し、安定供給体制の構築、顧客とのアライアンス強化により、米国内でのさらなるシェア拡大、物量の3%増加を目指しました。その結果、新主発酵槽を活用した交互運転の開始による安定操業、コストダウン効果に加え、農業用途への営業強化等の施策も行い、前年比10%物量が増加しました。今後、さらなる需要の拡大が見込まれるため、結晶缶等を増設する設備投資を決定し、引き続き供給能力の強化を行ってまいります。
Ⅰ-3.アジア(海外子会社)
中国市場においては、中国子会社である青島扶桑精製加工有限公司において、FFA製品※の製造ラインを拡充し供給力を拡大するとともに、顧客ニーズに応じた新製品の上市、積極的な展示会の出展、情報発信を行いFFA製品※の販売拡大を目指しました。その結果、FFA製品※の生産能力は約1.5倍に拡大し、米飯向け等の新製品の上市、展示会を通した新規案件も約200件獲得し、中国市場において販売は増加しました。
東南アジア市場においては、タイ子会社であるFUSO(THAILAND) CO., LTD.を中心に日本、中国との連携を深め、有機酸類の販売強化、ベトナム市場で果実酸販売増、FFA製品※を含めて、機能性製品やコート果実酸等の拡販を目指しました。その結果、飲料用途では大口先の不振はありましたが、リンゴ酸の販売は前連結会計年度比増加し、グルコン酸亜鉛の販売も好調に推移し、東南アジア市場の販売は増加しました。
※食品添加物製剤(Formulation of Food Additives)、食品素材・食品添加物製剤(Formulation of Food Materials and Food Additives)、機能性食品素材・食品添加物(Functional Food Material and Food Additive)、機能性果実酸(Functional Fruits Acid)の商品群をFFAと総称しています。
Ⅱ.国内シェア確保
Ⅱ-1.果実酸類
リンゴ酸においては、タイムリーな価格改定とシェアの最適化を行い、利益の最大化を目指すとともに、飼料、農業用途等の新規用途の開拓を行いました。その結果、価格改定は浸透し、販売物量も増加しました。原料価格の低下や稼働率向上による原価低下の効果もあり、利益率は改善しました。
クエン酸においては、大手飲料メーカーの入札案件を確実に獲得し、物量の増加を目指すとともに、顧客ごとの競争優位性を分析、把握し、利益率の向上を目指しました。その結果、販売価格は軟調に推移しましたが、販売物量は大手家庭用品向けを中心に増加しました。
Ⅱ-2.ビタミンC類他
ビタミンCにおいては、需要増に対応できる安定的な供給体制の構築を進めるとともに、メインユーザーへの販売強化、その他用途の需要取り込み、一般用・医療用医薬品への提案促進による販売増加を目指しました。その結果、サプリ向けの新規顧客は獲得できましたが、大手顧客において販売物量が減少し、前年に対して売上高が減少しました。
フマル酸においては、主要用途において需要減少が見込まれる中、価格対応によって物量の確保を目指しました。その結果、海外向けの販路の開拓を進めるとともに、国内大口顧客において物量を確保することができました。
Ⅲ.新生産体制・効率化
安全・環境対応、安定操業、保全体制の充実により、供給体制の強化を図りました。
Ⅲ-1.大阪工場
リンゴ酸設備の耐震補強工事の実施、新事務所棟の建設準備を進め、設備の老朽化対応を行い、供給体制の強化を目指すとともに、多能工化を進め省力化による効率化、コストダウンを目指しました。その結果、リンゴ酸設備の耐震工事は予定通り完成し、新事務所棟の建設も決定しました。また、各製造ラインにおいて研修、教育を実施し多能工化を推進しました。
Ⅲ-2.鹿島事業所
マレイン酸タンク等の定期修繕対応、有機酸設備の老朽化対応に取り組むとともに、拡大する電子材料事業対応と合わせて新分析棟の建設準備を進めました。その結果、定期修繕は予定通り完了し、リンゴ酸、フマル酸の生産量は増加しました。老朽化対応はコンディションベースで優先順位をつけて年度を分散して実施していきます。また、新規保全システムの導入により、設備保全体制のDX化を推進しました。新分析棟は建設を決定し、今後の両事業の生産拡大に対応できる体制構築を進めます。
Ⅳ.FFAビジネスの面拡大
営業開発強化とグローバル展開により販売強化を行いました。
営業開発強化においては、コート果実酸、米飯向け製剤、酸化防止製造、褐変防止製剤等の製品力を活かして、顧客ニーズを捉えて採用数の加速を目指しました。また、高純度有機酸「アプリシャス」の内製化が完了し、本格採用に向けた活動を始動しました。その結果、一部用途において需要の減退の影響があった製品はありましたが、着実に数量の増加につなげています。高純度有機酸「アプリシャス」は、2026年度本格稼働の目途をつけて販売拡大を目指す体制構築を実施しました。
グローバル展開においては、中国市場、タイ市場において現地子会社を中心に日本を含めた連携を強化し、中国市場においては、日持ち向上剤、無リン保水剤等、タイ市場においては日持ち向上剤、歩留まり向上剤等、各市場、ユーザーニーズの特性に合わせた商品群の開発、販売を強化しました。その結果、中国市場、タイ市場ともに新規採用が大きく増加し、着実に販売を増加させています。
ライフサイエンス事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度に比べ876百万円減少し35,411百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ18百万円増加し、5,308百万円となりました。
売上高は、リンゴ酸の国内外の売上増加、海外子会社の円安効果を含めた増収の増加要因はありますが、日本においては、日用品、医薬品用途の需要減少、原料価格低下に伴う販売価格低下、シェア確保のための価格対応等の減少要因、海外市場においては中国経済の低迷の影響による競争環境激化の影響による価格対応等により、前連結会計年度比で減少しました。
営業利益は、売上減少の影響はあるものの、前期の鹿島事業所の定期修繕の長期化によるコストアップの影響が解消されたこと、原料価格低下によるコストダウン、海外子会社の収益が円安効果を含めて貢献し、前連結会計年度比で増加し、減収増益となりました。
引き続き、既存製商品では特に海外市場での販売力の強化、拡大を図り、シェアの拡大に努め、新商品の開発、拡販を世界的に進めるとともに、生産効率の向上を図り、業績の拡大を目指します。
(電子材料事業)
「Ⅰ.半導体市場需要回復への対応」「Ⅱ.新生産体制の早期確立」「Ⅲ.外部環境変化への迅速・柔軟な対応」「Ⅳ.次世代製品開発」の各テーマに取り組みました。
Ⅰ.半導体市場需要回復への対応
Ⅰ-1.最先端技術への対応、新規需要の取り込み
半導体の最先端技術は、ナノメートルからオングストロームへ進化し、顧客の要求事項の高度化は継続し、より高純度な製品が求められています。また、AI半導体等によるプロセス構造の変化により新たな半導体製造プロセスにおける新規の需要が増加し、当社製品である「超高純度コロイダルシリカ」の必要性も高まっています。加えて、中国市場において国家戦略に基づき半導体市場の成長は継続し、需要は大きく増加しています。
このような状況下、当社は品質向上への技術的取り組みを進め、粒度分布制御技術により、粗大粒子や微粒子を低減した製品ラインナップの拡充、新規製造プロセスに対応した製品開発を行いました。その結果、重要なユーザー向けの最先端製造プロセスで採用されました。引き続き、次期製造プロセスにおける要求事項の確認を進め、最先端技術への対応を継続して取り組んでまいります。また、中国市場においては、拡大する需要に対し、情報収集を継続するとともに、営業を強化し、売上は増加しました。
Ⅰ-2.各顧客の需要予測に基づく生産・在庫・出荷調整
半導体市場の2025年度の需要は、2024年度を上回って推移することが予測され、2030年度まで拡大が継続することを見込んでいました。このような状況下、当社主力製品の「超高純度コロイダルシリカ」の半導体市場での需要予測の調査を進めるとともに、顧客各社の需要を確認し需要量の確定を行い、次期の投資判断、費用負担について顧客との合意形成を進めました。その結果、半導体市場は好調なAI需要に牽引され、先端半導体の生産量が増加し、当社顧客においても使用量、在庫量の増加により、当社製品の販売量が増加しています。今後も、AI需要、CMPプロセスの継続的な増加、微細化が牽引してさらなる需要の増加を予測しています。当社顧客の需要予測においても、2030年度まで年平均8~10%の成長率が予測されています。その需要予測に対応するため、2026年3月に投資額400億円の超高純度コロイダルシリカ新規設備投資を京都事業所に建設することを決定しました。2029年2月操業開始を予定しており、稼働後には2025年度比で生産能力が2割増加する予定です。また、各顧客に対して長期信頼関係の構築を継続するとともに、新規設備投資に対する費用負担について合意を得て、2026年度以降は5~10%の価格改定を予定しています。
Ⅱ.新生産体制の早期確立
Ⅱ-1.鹿島(Ⅰ期・Ⅱ期)京都新ライン稼働・認定
当社は増加する需要に対応するため、超高純度コロイダルシリカの新設備の建設を行ってきました。2023年度には鹿島事業所に鹿島Ⅰ期設備が完成、2024年度には京都事業所に新製造ラインが完成、2025年度には鹿島事業所に鹿島Ⅱ期設備が完成しました。新製造設備の製品の採用に際しては、顧客の認定が必要のため、早期認定に努めてまいりました。その結果、鹿島Ⅰ期設備に関しては、認定が完了し2024年度末よりフル稼働となり、稼働率向上が2025年度の利益増に貢献しています。京都事業所新製造ラインに関しては、想定より早期に認定が進捗し、2025年度末よりフル操業を行える体制に移行しています。鹿島Ⅱ期設備に関しては、早期認定に向けて活動を開始しています。引き続き、新設備をフル活用して、安定供給を継続してまいります。また、2026年3月に京都事業所に新設備の建設を決定し、さらなる供給力の強化を進めてまいります。
Ⅱ-2.高濃度化及び高生産性製品の拡充
半導体需要の増加に伴う当社製品の需要増加に対応するため新製造設備の建設を進めるとともに、より効率的な生産品目への移行により、さらなる供給力の向上に努めました。高濃度化、生産性の高い品目の開発を進め、ラインナップを拡充し、顧客への提案、認定を継続しました。その結果、全生産量に占める比率が向上し、効率化が進展しました。引き続き、開発を進め製品ラインナップを拡充し、既存品目から移行を進め、さらなる効率化を目指します。
Ⅲ.外部環境変化への迅速・柔軟な対応
半導体市場が成長する中、日本経済は、円安、インフレが継続しています。また、サプライチェーンの安定化、米中対立の影響等の各課題に対して取り組みました。
円安、インフレに伴うコストアップに対しては、生産の効率化や購入量増加に伴うコストダウン等の自助努力によるコストアップの吸収を図るとともに、各顧客に対して価格転嫁を実施してきました。2025年度に関しては、大きな価格変動が少なく、価格をほぼ維持することができました。次期設備投資に関する価格転嫁に対しては、顧客の合意を得て、着実に設備投資を実施してまいります。
サプライチェーンリスクへの対応としましては、超高純度コロイダルシリカの主原料である金属ケイ素の安定調達のため購入国の分散に取り組みました。複数の国からテスト購入を実施し、使用可能性について検証を実施しました。その結果、購入先を複数化することができました。引き続き、必要量の安定調達、価格の安定に取り組んでまいります。
米中の貿易摩擦等の外部環境の影響は、相互関税の直接的な影響はなく、半導体製品の輸出入規制による直接的な影響もありませんでした。今後も、米中の貿易摩擦、中東情勢等の外部環境のリスクに対して、情報収集に努め、早期の対応の実施により業績への影響を最小化できるよう努めてまいります。
Ⅳ.次世代製品開発
超高純度コロイダルシリカのCMP用途の開発としては、半導体の次世代製造プロセスであるA16、A14世代向けの要求事項に適した開発を継続し、認定活動、サンプルワークを継続するとともに、最先端品、高レート・高生産性品の開発を進めました。また、新規材料、新規用途品の開発を行い、複数社からの引き合いを獲得するとともに用途探索を継続しています。中空サブミクロンシリカ(ミラリカ™)は低誘電剤用途向け中心に複数社のサンプルワークを継続し、2026年度量産化に向けて、製造ラインの構築を進めています。また、展示会への出展を通じて、新規製品のアピール、新規顧客の開拓を進めています。
電子材料事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は前連結会計年度に比べ8,301百万円増加し、41,514百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ2,755百万円増加し、15,926百万円となりました。
半導体市場は、PC・スマートフォン向け等の需要は低調に推移しましたが、引き続きAI半導体向けの需要が好調に推移しました。加えて、中国市場の需要も大きく伸び、超高純度コロイダルシリカの販売数量は大幅に増加し、売上高は前連結会計年度比で増加しました。
営業利益は、鹿島事業所、京都事業所の新設備稼働に伴う減価償却費の増加、製造ライン増加に伴う固定費の増加、資材価格の上昇等のコストアップ要因はありましたが、売上高増加の効果に加え、新規設備を含む製造稼働率上昇による増産効果、生産効率化によるコストダウン効果により、前連結会計年度比で増加し、増収増益となりました。
半導体の需要は、中長期的に成長が続くことが予測されています。最先端半導体への技術対応、需要の増加に対応した製販体制の早期構築に対応する必要があります。引き続き、最先端分野へ対応した製品開発、供給能力の強化等、各課題への対応を継続し、業績の拡大を目指します。
(売上高)
前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業は減少しましたが、電子材料事業の増加が大きく、7,424百万円増加し、76,926百万円となりました。
(営業利益)
前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業は微増、電子材料事業の増加が大きく、2,620百万円増加し、18,850百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ402百万円増加し、879百万円となりました。これは主に、受取利息の増加に加え、為替差益が前連結会計年度に比べ338百万円増加したためです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ11百万円増加し、156百万円となりました。これは主に、投資事業組合運用損が増加したためです。
経常利益は、営業利益の増加に加え、上記要因により前連結会計年度に比べ3,011百万円増加し、19,573百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ96百万円増加し、193百万円となりました。これは主に、固定資産売却益は減少しましたが、政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益が184百万円増加したためです。特別損失は、前連結会計年度に比べ153百万円減少し、238百万円となりました。これは主に、固定資産除却損が減少したためです。法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、税金等調整前当期純利益の増加により法人税等合計で前連結会計年度に比べ571百万円増加し、5,216百万円となりました。
経常利益の増加に加え、特別損益の増加により、税金等調整前当期純利益は増加しました。法人税等は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて2,688百万円増加し、14,311百万円となりました。
財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。運転資金の財源は、自己資金および金融機関からの短期借入等を基本としています。当連結会計年度は、新たな短期借入は行っておらず、当連結会計年度末に短期借入金の残高はありません。
投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収等によるものです。投資資金の財源は主に、自己資金および金融機関からの長期借入等によります。当連結会計年度において新たな長期借入は行っていません。当連結会計年度末の長期借入金の残高は、2025年度に完成した鹿島事業所超高純度コロイダルシリカ製造設備の投資資金約200億円に対し、2023年度に銀行より長期借入で調達した200億円の内、31億円を返済した残り169億円です。当連結会計年度に実施した設備投資に係る資金の財源は、前述の長期借入金と自己資金を充当しています。
当社グループの成長のためには、増加が見込まれる需要に対応した継続した設備投資、最先端技術に対応した研究開発投資が重要と認識しています。投資に関しては、自己資金を中心に、必要に応じて外部調達により実行いたします。株主還元についても重要と認識しています。今後の成長投資と株主還元のバランスを取り、最適な資本構成による資本コストの最適化を考慮して、資金の配分を決定してまいります。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における当社の最重要指標である「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)は、前連結会計年度に比べ5,247百万円増加し、29,787百万円となりました。減価償却費は、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料事業ともに増加し、全体で増加しました。ライフサイエンス事業においては、大阪工場のリンゴ酸設備の耐震工事、その他の更新工事によるものです。電子材料事業においては2024年度途中に完成した京都事業所の新規製造設備の償却が通年で影響したこと、2025年度に完成した新規製造設備の償却開始によるものです。営業利益は、前述のとおりライフサイエンス事業、電子材料事業で減価償却費の増加額以上に増加したため、全体で償却前営業利益が前連結会計年度比で増加しました。
総資産回転率は0.52回で、前連結会計年度に比べ僅かですが向上しました。総資産は、進めてきた大型設備投資が完成し、固定資産は前連結会計年度末に比べ微減でしたが、好調な収益による現金及び預金の増加により流動資産が増加し、全体で増加しました。総資産は増加しましたが、売上高の増加が上回り、総資産回転率は向上しました。
ROE(自己資本利益率)は12.9%で、前連結会計年度に比べて向上しました(前連結会計年度は11.7%)。分母である純資産は利益の計上により増加しましたが、分子である親会社株主に帰属する当期純利益が増加したためです。今後も新規製造設備の本稼働に伴い、減価償却費の増加によるコストアップが想定されていますが、収益性の向上により、継続的にROE(自己資本利益率)の向上を目指します。
自己資本比率は77.0%で前連結会計年度より向上し、引き続き水準以上の安全性は確保できています。利益の増加により純資産が増加し、自己資本比率は向上しました。今後も、増加が見込まれる需要に対応するための継続的な大型設備投資や研究開発投資が成長の源泉であり、投資を継続するためにも、一定水準以上の純資産の厚みが必要であると考えています。最適な資本のバランスの維持を意識しつつ、資本コストを意識した最適な資金調達の検討を行います。投資計画、還元政策を考慮し、効率性、収益性のより一層の向上を目指します。

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