有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 15:01
【資料】
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【項目】
165項目
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、エネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献することが当社の責務と認識しております。そこで当社は、「責任ある変革者」を2030年ビジョンとして掲げ、カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション、高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ、これらの課題解決を可能にする先進マテリアルという事業ドメインにおいて、「地球と暮らしを守る責任」「地域のつながりを支える責任」「技術の力で社会実装する責任」という3つの責任を果たしてまいります。
そのために、企業としての社会的責任を果たし、経営の透明性を向上し、健全で持続的な成長を図ることにより、お客様を始め、株主、ビジネスパートナー、地域社会、社員等のステークホルダーとの良好な関係を構築していくことを重視しています。
コーポレートガバナンス・コードは、株主との対話を通じて会社の持続的成長と中長期的な企業価値を向上させようというものです。当社は、「広く社会で期待され信頼される企業」を目指しており、コーポレートガバナンス・コードを基本的に遵守すべきものと考えています。
当社は、2030年ビジョンに基づき、自ら律し、自ら考え、判断することを大切にしています。
同時に、多様な知見やバックグラウンドを持つ社外取締役、社外監査役と当社の経営の実態や経営をめぐる環境を率直に議論し、闊達な意見を真摯に取り入れ、これからも透明かつ公正な経営を目指します。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
ア コーポレート・ガバナンス体制に関する模式図
0104010_001.pngイ 企業統治の体制を採用する理由
当社は、法改正等を通じて強化された監査役により十分な監査機能が発揮されることに鑑み、監査役制度を採用し、事業に精通した取締役を中心に取締役会を構成しています。更に、社内出身者とは異なる客観的視点を経営に反映させるため、2014年6月26日開催の第99回定時株主総会以降、独立社外取締役を選任しています。
③ 企業統治に関するその他の事項
ア 業務執行・経営の監視の仕組み
当社は、業務執行の効率化のため、執行役員を設置しています。執行役員は取締役会又は社長により選任され、関係取締役と連携して業務を執行しています。取締役会は、原則として月に1回開催(当事業年度、16回開催)し、法令、定款及び「取締役会規程」に基づき、重要事項の決定及び業務執行の監督にあたっています。取締役会には社外の諮問委員からなる諮問委員会を設置し、取締役会の機能強化に努めています。経営の監視の仕組みとしては、取締役会による監督、監査役監査、会計監査のほか、専属スタッフからなる各執行部門から独立した社長直轄の「内部監査室」を設置し、「内部監査規程」に基づく内部監査及び「財務報告に係る内部統制評価規程」に基づく内部統制評価を行っています。
イ 各種委員会の概要
(ア)指名諮問委員会及び報酬諮問委員会
当社は、独立社外取締役及び独立社外監査役で構成する指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置しています。指名諮問委員会は、社長が提案した取締役・監査役の選任・解任に関する株主総会議案、役付執行役員の選任及び解任並びにそれらの役位等について、答申します。
また、報酬諮問委員会は、取締役会の諮問に応じて、取締役及び執行役員等の報酬に関する事項について答申します。
(イ)安全保安諮問委員会及びアドバイザリーボード
当社は、経営の透明性・健全性を維持するため、取締役会又は社長の諮問機関として、社外の有識者を委員とする次の2つの委員会を設置しています。両委員会では、当社に対する第三者の視点からの忌憚のない意見を傾聴し、経営の改善に反映しています。
「安全保安諮問委員会」
取締役会の諮問機関として、製油所・事業所の大規模災害防止のため、保安の強化課題、特に技術的な課題に対する諮問機関として設置しているものです。昨今の経営環境の変化により、事業拡大、新規事業、海外展開等の安全保安の確保の重要性が高まりつつあります。そこで、事業展開に即したテーマを選択し、都度、有識者から提言がいただけるよう安全環境本部内に担当ワーキンググループを設け、進めています。
「アドバイザリーボード」
社長の諮問機関として、年に数回開催し、独立社外取締役を含む社外の有識者から、当社の経営課題に対し提言をいただいています。
(ウ)経営委員会及び各委員会
当社は、グループ全体及び各執行部門の経営戦略及び経営課題の協議・検討の場として「経営委員会」と「リスク経営委員会」を設置しています。「経営委員会」はグループ経営に関わる戦略を立案・検討するとともに、重要な業務執行の意思決定を円滑かつ適正に行うための審議機関であり、また「リスク経営委員会」はグループ経営に関わるリスクマネジメント方針の決定とモニタリングを行うための機関です。
「経営委員会」及び「リスク経営委員会」の委員長は社長が当たるものとし、その委員については、専門分野や管掌領域の多様性を重視した構成とすることで、部門横断的な課題やリスクについて、網羅的、かつ実効性のある議論を行う体制としています。
「経営委員会」及び「リスク経営委員会」の下部には、業務執行、及びリスクマネジメントの課題を、より実務的、かつ専門的な見地で審議を行うことを目的に、「リスクマネジメント委員会」、「コンプライアンス委員会」、「財務報告に係る内部統制評価委員会」、「情報開示委員会」、「投融資委員会」、「デリバティブ委員会」、「プロキュアメント委員会」、「与信委員会」、「研究開発委員会」を設置しています。各委員会の概要については、次のとおりです。
委員会名委員長・委員開催役 割
経営委員会委員長:社長
委 員:委員長が人事委員会の審議を経た上で任命する委員
原則として 3回/月グループ全体並びに各執行部門の経営戦略及び経営課題の協議・検討業務執行の審議
リスク経営委員会委員長:社長
委 員:委員長が任命する委員
原則として
2回/年
リスクマネジメント方針の決定とモニタリング
リスクマネジメント
委員会
委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係部室長
原則として
4回/年
業務リスクマネジメント推進のための重要
方針の審議、立案
コンプライアンス
委員会
委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係部室長
原則として
2回/年
コンプライアンス懸念事例の対応や、コンプライアンス推進活動計画、活動状況のモニタリング
財務報告に係る
内部統制評価委員会
委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係取締役
又は執行役員
原則として
2回/年
年度整備・運用方針及び評価計画に関する
事項、評価範囲の決定に関する事項等の
審議・検討
情報開示委員会委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係取締役
執行役員及び
部室長
必要に応じて開催制度開示情報等の開示の決定
投融資委員会委員長:経営企画部長
委 員:関係部室長
必要に応じて開催投融資に係る事項の審議・上申及び投資基準等の策定
デリバティブ委員会委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係部室長
原則として
1回/月
デリバティブ監査及びグループ全体の
リスク管理状況の確認・報告
プロキュアメント
委員会
委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係部室長
原則として
1回/月
サービス・原材料等の発注に係る事項の
審議・検討
与信委員会委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係部室長
原則として
1回/月
不良債権の回収対策等及び債権管理に関する基本方針の制定等
研究開発委員会委員長:取締役
又は執行役員
委 員:関係部室長
原則として
4回/年
全社研究開発の方向性、戦略及び課題に関する事項の検討

(エ)人事委員会
当社は、執行役員等の適材適所の配置と公平公正な評価の実現及び決定プロセスの透明性強化のため、社長の諮問機関として人事委員会を設置しています。人事委員会は社長、副社長執行役員、人事管掌役員及び代表取締役社長が指名する役員をメンバーとして、執行役員の選解任、経営委員会メンバーの選任等について協議し、答申します。
ウ 環境、安全及び衛生並びに品質保証に関する体制
当社は、環境マネジメント及び操業に伴う環境保全、安全・保安及び衛生の確保については「安全衛生環境基本要綱」を定めています。同基本要綱に基づき、当社及び当社グループの環境マネジメント、操業に伴う環境保全、安全・保安及び衛生の確保に係る基本方針及び重要事項を立案し、諸活動を推進する「安全環境本部」を設置しています。
当社は,品質保証については「品質保証基本要綱」を定めています。この基本要綱に基づき、当社及び当社グループの品質保証に関する基本方針の制定及び重要事項を立案し、諸活動を推進する「品質保証本部」を設置しています。
エ 内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況
内部統制システムの基本方針については、業務の適正を確保するための体制として、取締役会で次のとおり決議しております。
更に、取締役会で、内部統制システムが適切に構築され運用されているかについて確認を行い、実効性あるものとすべく見直しを行っております。
(ア)当社及び子会社の取締役及び従業員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制① 当社の取締役会は、「取締役会規程」に基づき、重要事項について決定するとともに、業務執行の監督にあたる。
② 「コンプライアンス規程」に基づき、「コンプライアンス委員会」を設置し、通報窓口等に報告されたコンプライアンス懸念事例に対する適正な対応をモニターするとともに、当社及び子会社におけるコンプライアンス活動を推進する。
③ 「コンプライアンス行動規範」の下、コンプライアンスに関わる具体的な行動指針等を定めた「コンプライアンスブック」を活用し、当社グループ全体に徹底する。
④ 社内・社外にコンプライアンス相談を受け付ける窓口を設置し、子会社を含めた国内外の従業員が活用することにより、コンプライアンスに関する疑問点や問題点の解決の一助とするとともに、問題点の早期発見及び是正・抑止に繋げる。
⑤ 内部統制体制の構築及び全社のコンプライアンス活動を総括推進する内部統制推進室を活用し、管理部門間の連携強化と、内部統制の成熟度向上のための取り組みの強化を図る。
⑥ 内部監査室は、子会社を含め各執行部門における業務の適法性、社内規程に基づく業務執行の状況を確認するための監査を行う。
(イ)当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制職務の執行に係る情報については、「取締役会規程」、「回議書取扱規則」その他社内規程に基づき、保存、管理する。
(ウ)当社及び子会社の損失の危険の管理に関する規程等の体制① 環境変化とその影響を予測して対応を図るべく、社長を委員長とする「リスク経営委員会」を設置し、潜在的な経営リスクを含め議論する。
② 「リスクマネジメント基本要綱」に基づき、「リスクマネジメント委員会」を設置し、リスクマネジメント活動を推進する。
③ 「危機発生時の対応規程」その他社内規程に基づき、当社又は子会社において万一重大な危機が発生した場合にも迅速・的確に連絡及び対応をする。新本社への移転に伴い、修正が必要になった各対策班のマニュアル等の整備を行っていく。
④ 首都直下地震対策、新型インフルエンザ対策等の「事業継続計画(BCP)」を策定し、全社を挙げてその実施及び維持管理に取り組む。新社屋での初の防災訓練を予定しており、それによって得られた気づきや改善点をBCPに反映していく。
⑤ 各執行部門は、「内部統制及び自己管理に関する規程」に基づき、業務上のリスクについて、自己管理のPDCAにより内部統制強化を図るための支援ツール「自主点検WEBシステム」を各部室、関係会社へ順次導入していく。
⑥ 内部監査室は、「内部監査規程」に基づき、各執行部門のリスク管理状況を確認するための監査を行う。
(エ)財務報告に係る内部統制① 「財務報告に係る内部統制評価規程」に基づき、グループ全体の財務報告の信頼性を確保するための体制を構築し、財務報告に係る内部統制の適切な整備・運用を図る。
② 前記①の規程に基づき、「財務報告に係る内部統制評価委員会」を設置し、年度整備・運用方針及び評価計画に関する事項、評価範囲の決定に関する事項等を審議・検討する。
③ 内部監査室は、定期的に、内部統制の有効性の評価及び必要な改善内容の評価を行う。

(オ)反社会的勢力との関係遮断① 暴力団・総会屋等の反社会的活動・暴力・不当な要求等をする人物及び団体に対しては、毅然とした態度で臨み、一切の関係を遮断する。
② 万一、反社会的勢力が攻撃してきた場合にも、これに屈せず断固として拒否し、「反社会的勢力への対応要領」に基づき、的確に対応する。
(カ)当社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制① 業務執行を効率的に行うため、執行役員を置く。
② 「決裁権限規程」及び「業務執行規程」に基づき、取締役会、代表取締役及び取締役の役割と権限を明確にする。
③ 「経営委員会規程」に基づき、グループ経営に関わる戦略を立案・検討し、業務執行の意思決定を円滑かつ適正に行うための審議機関として、社長を委員長とする「経営委員会」を設置する。メンバーは、委員長が人事委員会の審議を経た上で決定する。経営委員会は原則月に三度開催する。
(キ)当社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制① 「関係会社規程」において、関係会社管理の責任を主管部室と定めるとともに、その果たすべき役割・機能についても明確化する。また、具体的な管理事項、決裁基準、及び関係会社からの報告事項は管理基準別表に定める。主管部室、及び関係会社はこれらに従い必要な決裁、及び報告を行う。
② 「関係会社規程」に「関係会社との取引は原則として市場価格ベースとする」旨の基本方針を規定し、利益相反の防止を図る。
③ 「関係会社規程」に関係会社取締役・監査役選定基準を規定し、当社の取締役は原則として関係会社の取締役に就任しないものとする。
④ 国内外の主要な関係会社の監査役は、原則として内部統制推進室に設置した「経営サポートグループ」等から派遣することとし、関係会社の内部統制に係る経営サポートの強化及びモニター機能を強化する体制を構築する。
⑤ グループ標準のITインフラの活用により、業務の効率化を図る。
(ク)当社の監査役がその職務を補助すべき従業員を置くことを求めた場合における当該従業員に関する事項監査役からの要請に基づき、監査役の職務を補助すべき従業員として、監査役会事務局にスタッフを配置する。
(ケ)前記(ク)の従業員の取締役からの独立性及び当該従業員に対する指示の実行性の確保に関する事項① 監査役会事務局のスタッフは専任の職務とし、その人事異動・評価等の最終決定には監査役の同意を要することとし、それを人事部の内規として規定する。
② 「組織規程」に監査役会事務局の職務を規定する。
(コ)当社及び子会社の取締役及び従業員並びに子会社の監査役が当社の監査役(監査役会)に報告をするための体制等、当社の監査役への報告に関する体制① 取締役、執行役員及び部室長は、「業務執行規程」に基づき、所定の事項を監査役に報告する。
② 内部監査室は、「内部監査規程」に基づき、監査結果を監査役に報告する。
③ 「コンプライアンス委員会」にオブザーバーとして常勤監査役の出席を求め、「コンプライアンス相談窓口」の相談・対応状況を随時共有する。
(サ)前記(コ)の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制① 前記(コ)の報告をした者に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止する。
② 「コンプライアンス相談窓口」に相談したことにより、不利益な取扱いを受けることのない旨を「コンプライアンスブック」に記載し、社員向けの利用ガイダンスにも明記するとともに、研修等により周知徹底する。
(シ)監査役の職務の執行について生ずる費用等の処理に係る方針に関する事項取締役の職務の執行の監査、会計監査人の選解任等、監査役の役割・責務を果たすに当たって必要な費用は、当社が負担する。
(ス)その他当社の監査役(監査役会)の監査が実効的に行われることを確保するための体制① 代表取締役は、監査役と原則として四半期に一度、定期的なミーティングを開催する。
② 内部監査室は、内部監査スケジュールや往査等に関して、監査役及び会計監査人と緊密に調整、連携する。

④ 責任限定契約の内容の概要
当社と取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)及び社外監査役は、会社法第427条第1項の規定により、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく責任の限度額は、法令が規定する額となります。
⑤ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、保険会社との間で会社法第430条の3第1項の規定に基づく役員等賠償責任保険契約を締結しています。当該保険契約では、当社取締役及び監査役を含む被保険者がその職務の執行に関し責任を負うこと、又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を補填することとしています。また、当該保険契約は次回更新時においても同内容で更新する予定です。
⑥ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨を定款に定めています。
⑦ 取締役の選任の決議要件
取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めています。また、取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする旨を定款に定めています。
⑧ 株主総会決議事項を取締役会で決議することができる事項
会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役及び監査役の損害賠償責任を、法令の限度において、総株主の同意によらず取締役会の決議により免除することができる旨を定款に定めています。これは、取締役及び監査役がその期待される役割を十分に発揮できるようにすることを目的とするものです。
剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる旨を定款に定めています。これは、剰余金の配当等を取締役会の権限とすることにより、機動的な資本政策及び配当政策を図ることを目的とするものです。
⑨ 株主総会の特別決議要件
会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めています。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものです。
⑩ 会社の支配に関する基本方針
当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。
したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。