有価証券報告書-第105期(2023/01/01-2023/12/31)

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2024/03/26 15:20
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147項目
3.重要性のある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、企業に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合、当社グループはその企業を支配しております。
子会社の財務諸表は、支配獲得日から支配喪失日までの期間を連結財務諸表に含めております。子会社が適用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、当社グループの会計方針と整合させるため、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
決算日が異なる子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。決算日の異なる主要な子会社としてはBRIDGESTONE INDIA PRIVATE LTD.があり、その所在する現地法制度上の理由で、決算日を3月31日としております。
支配が継続する子会社に対する当社グループの持分変動については資本取引として会計処理し、非支配持分の調整額と対価の公正価値の差額は、当社の株主に帰属する持分として資本に直接認識しております。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益で認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配は有していない企業であります。関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しております。
③ 共同支配企業
共同支配企業とは、当社グループを含む複数の当事者が経済活動に対する契約上合意された支配を共有し、その活動に関連する戦略的な財務上及び営業上の決定に際して、支配を共有する当事者すべての合意を必要とする企業であります。
当社グループが保有する共同支配企業については、持分法によって会計処理しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しております。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において純損益として認識しております。企業結合に関連して発生した取得費用は発生時に費用として処理しております。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。取得日時点に存在していた事実と状況を取得日当初に把握していたとしたら認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下、「測定期間」という。)に入手した場合、その情報を反映して取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。この新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。測定期間は最長で1年間であります。
非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理されているため、当該取引からのれんは認識しておりません。
共通支配下における企業結合取引、すなわち、すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的なものではない企業結合取引については、帳簿価額に基づき会計処理しております。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レート又はそれに近似するレートで各社の機能通貨に換算しております。
期末日における外貨建貨幣性項目は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しております。公正価値で計上された外貨建の非貨幣性項目は、公正価値が決定した日の為替レートで換算しております。
外貨建の貨幣性項目の換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産、及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産及び負債は、取得により発生したのれん及び公正価値の調整表を含め、期末日の為替レートで表示通貨に換算しております。また、在外営業活動体の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中の平均レートで表示通貨に換算しております。なお、超インフレ経済下の在外営業活動体の財務諸表は、インフレーションの影響を反映させており、収益及び費用は期末日の為替レートにより表示通貨に換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体の持分全体の処分および、支配又は重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分につき、換算差額は処分損益の一部として純損益で認識しております。
(4) 金融商品
① デリバティブ以外の金融資産
a 当初認識及び測定
当社グループは、営業債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当社グループが当該金融商品の契約当事者となった日に当初認識しております。
デリバティブ以外の金融資産は、当該金融資産の当初認識時点において、以下2つの要件を共に満たすものを償却原価で測定する金融資産に分類し、それ以外のものを公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
公正価値で測定する金融資産は、取得後の公正価値変動を純損益に計上する金融資産(以下、「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」という。)と取得後の公正価値変動をその他の包括利益に計上する金融資産(以下、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」という。)に分類しております。
当初認識時においてその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しない資本性金融資産、及び償却原価測定の基準を満たさない負債性金融資産を、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
売買目的保有でない資本性金融資産については、原則として当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しております。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類される場合を除き、公正価値に当該金融資産に直接起因する取引コストを加算した金額で測定しております。
b 事後測定
金融資産の当初認識後は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識後、各決算日において公正価値で再測定し、公正価値の変動及び配当金を純損益として認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識後の公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、認識を中止した場合又は公正価値が著しく下落した場合に利益剰余金に振り替えております。当該金融資産からの配当金については、当社グループが支払いを受ける権利が確定した期に金融収益として純損益に認識しております。
c 認識の中止
金融資産は、便益を受領する権利が消滅した場合、又は譲渡し所有に伴うすべてのリスクと経済価値が他の企業に移転した場合に認識を中止しております。
② 償却原価で測定する金融資産の減損
償却原価で測定される金融資産等に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、各報告日において、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。
金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を12ヶ月の予想信用損失と同額で測定しております。一方で、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
ただし、営業債権等については常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
金融商品の予想信用損失は、以下のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
当該測定に係る金額は純損益で認識しております。
なお、当該金融資産について回収不能であると判断した場合には、帳簿価額を貸倒引当金と相殺して直接減額しております。
③ デリバティブ以外の金融負債
a 当初認識及び測定
当社グループは、当社グループが発行した負債証券を、その発行日に当初認識しております。その他の金融負債はすべて、当社グループが当該金融商品の契約の当事者となった日に認識しております。
デリバティブ以外の金融負債は、当該金融負債の当初認識時点において、償却原価で測定する金融負債と純損益を通じて公正価値で測定する金融負債とに分類しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。
b 事後測定
金融負債の当初認識後は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融負債
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
当初認識後、各決算日において公正価値で再測定し、公正価値の変動は純損益として認識しております。
c 認識の中止
金融負債は、義務が履行されたか、免除されたか、又は失効した場合に認識を中止しております。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスクや金利変動リスクをそれぞれヘッジするために、為替予約取引、金利スワップ取引等のデリバティブを利用しております。
当社グループは、ヘッジ開始時に、ヘッジ対象とヘッジ手段の関係並びにヘッジに関するリスク管理目的及び戦略について、指定及び文書化を行っております。当該文書は、ヘッジ関係、リスク管理目的及びヘッジの実行に関する戦略並びにヘッジの有効性の評価を含んでおります。
これらのヘッジは、公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺する上で非常に有効であることが見込まれますが、ヘッジ関係の開始時及び継続的に、ヘッジ関係がヘッジ有効性の要求を満たしているかを評価しております。
デリバティブは公正価値で当初認識しております。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しております。
a 公正価値ヘッジ
デリバティブの公正価値変動は、純損益として認識しております。
ヘッジされるリスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正し、純損益として認識しております。
b キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得及び損失のうちヘッジが有効である部分については、公正価値の変動額をその他の包括利益に認識し、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが純損益に影響を与えた時点でヘッジ対象と共に純損益に認識しております。
ヘッジが有効でない部分については、公正価値の変動額を純損益に認識しております。
ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、ヘッジがヘッジ会計の要件を満たしていない場合には、ヘッジ会計を将来に向かって中止しております。
c ヘッジ指定されていないデリバティブ
デリバティブの公正価値の変動は純損益として認識しております。
⑤ 金融商品の相殺
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ、純額ベースで決済するか又は資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、純額で表示しております。
(5) 公正価値の測定
特定の資産・負債は、公正価値で認識しております。当該資産・負債の公正価値は、市場価格等の市場の情報や、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチ等の算出手順に基づき、決定しております。公正価値の測定に使用されるインプットは、以下の3つのレベルがあります。
レベル1:活発に取引される市場の公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接、又は間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
(6) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(7) 棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しております。棚卸資産は、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生した、その他の原価を含んでおり、原価の算定にあたっては、主として移動平均法を使用しております。また、正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しております。
(8) 有形固定資産
有形固定資産の測定においては原価モデルを採用しており、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額にて表示しております。取得原価には、資産の取得に直接関係する費用、解体、除去及び原状回復費用、並びに資産計上の要件を満たす借入コストを含めております。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産の減価償却費は、以下の見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりであります。
建物及び構築物 :10年~50年
機械装置及び運搬具:3年~17年
工具器具備品 :2年~20年
有形固定資産の減価償却方法は各報告期間末に見直しを行い、減価償却の方法の変更は会計上の見積りの変更として会計処理を行っております。
(9) のれん及び無形資産
① のれん
当社グループは、企業結合で発生したのれんを支配獲得日(取得日)に資産として認識しております。当初認識時におけるのれんの測定については、(2)企業結合に記載しております。
のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額にて表示しております。のれんの償却は行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。減損テストの目的上、企業結合により取得したのれんは、取得日以降、資金生成単位又は資金生成単位グループで、企業結合のシナジーから便益を得ることが期待されるものに配分しております。
のれんの減損損失は純損益において認識され、その後の戻し入れは行っておりません。
② 無形資産
当社グループは、無形資産の測定においては原価モデルを採用しており、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額にて表示しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識に際し取得原価で測定し、企業結合で取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しております。なお、内部創出の無形資産については、資産化の要件を満たす開発コストを除き、その支出額はすべて発生した期の費用として計上しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却を行っており、減損の兆候がある場合は減損テストを実施しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりであります。
ソフトウェア:1年~10年
商標権 :1年~10年
耐用年数を確定できる無形資産の償却方法は各報告期間末に見直しを行い、償却の方法の変更は会計上の見積りの変更として会計処理を行っております。
耐用年数を確定できない無形資産は、償却を行わず減損テストの上、取得原価から減損損失累計額を控除した価額にて表示しております。減損テストは、毎年又は減損の兆候が存在する場合はその都度、個別に又は各資金生成単位で実施しております。
(10) リース
① 借手側
当社グループは、契約の開始時に、短期リース及び原資産が少額であるリース以外のリース構成部分について、使用権資産及びリース負債を認識しております。開始日において、使用権資産は取得原価で、リース負債は同日現在で支払われていないリース料の現在価値で測定しております。
リース期間はリースの解約不能期間に、リースを延長するオプションの対象期間(当社グループが当該オプションを行使することが合理的に確実である場合)、リースを解約するオプションの対象期間(当社グループが当該オプションを行使しないことが合理的に確実である場合)を加えたものとして決定しております。
開始日後において、使用権資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。ここで、使用権資産を減価償却する際には、IAS第16号「有形固定資産」の減価償却の要求事項を適用しております。また、減損しているかどうかを判定し、識別された減損損失を会計処理する際には、IAS第36号「資産の減損」を適用しております。
使用権資産の減価償却は、原資産の所有権がリース期間の終了時までに当社グループに移転する場合には、開始日から原資産の耐用年数の終了時まで、それ以外の場合には、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時、又はリース期間の終了時のいずれか早い方までにわたり、実施しております。
開始日後において、リース負債は、次のように測定しております。
・リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額
・支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額
・リース料の変動又はリースの条件変更を反映するか、又は改訂後の実質上の固定リース料を反映するように帳簿価額を再測定
② 貸手側
賃貸収入は、リース期間にわたり定額法で認識しております。なお、転貸不動産から得られる賃貸収入は、その他の収益として認識しております。
(11) 非金融資産の減損
当社グループは各年度において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、何らかの兆候が存在する場合(又は毎年減損テストが要求されている場合)、その資産の回収可能価額を見積っております。個々の資産について回収可能価額を見積ることができない場合には、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積っております。回収可能価額は、資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定しております。資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産について減損を認識し、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。また、使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した税引前割引率を使用して、現在価値まで割り引いております。売却費用控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用しております。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した想定事項に変更が生じた場合等、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかについて評価を行っております。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れております。
(12) 売却目的で保有する資産及び非継続事業
継続的な使用よりも売却により主に回収が見込まれる資産又は資産グループのうち、期末日後1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、当社グループの経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する資産又は処分グループとして分類しております。売却目的で保有する資産は減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。非継続事業には、既に処分されたか又は売却目的保有に分類された企業の構成要素が含まれ、当社グループの一つの事業もしくは地域を構成し、その一つの事業もしくは地域の処分の計画がある場合に認識しております。
(13) 従業員給付
① 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。賞与及び有給休暇費用については、当社グループが、従業員から過去に提供された勤務の対価として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合、負債及び費用として認識しております。
② 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として確定給付制度(企業年金及び退職一時金等)と確定拠出制度を運営しております。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間をもとに割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債等の市場利回りに基づき算定しております。確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、発生した期の損益として処理しております。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、拠出した時点で費用として認識しております。
また、主として米国を含む一部の連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の退職給付制度及び退職後医療給付制度を採用しております。米国における退職後医療給付制度は、退職給付と類似の性格であることから、退職給付に係る負債に含めて表示しております。
(14) 株式に基づく報酬
当社は、持分決済型の株式に基づく報酬制度として、ストック・オプション制度及び譲渡制限付株式報酬制度を、現金決済型の株式に基づく報酬として、PSU及びRSU等を採用しております。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ・モデルを用いて算定しております。譲渡制限付株式報酬は、付与日における公正価値によって見積り、付与日から権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しております。譲渡制限付株式報酬の公正価値は、付与した当社株式の公正価値を参照して測定しております。
PSUについては、その権利確定期間にわたり報酬を費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。なお、報告日及び決済日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。RSU等は、職位別報酬基礎額の標準額によって見積り、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において負債の増加として認識しております。なお、当社株式の割当日及び譲渡制限解除日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
(15) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として現在の債務(法的又は推定的)を有しており、債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼できる見積りが可能である場合に引当金を認識しております。
貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、引当金額は債務の決済のために必要と見込まれる支出額の現在価値で測定しております。現在価値の算定には、貨幣の時間的価値の現在の市場評価とその負債に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いており、引当対象となる事象発生の不確実性については、将来キャッシュ・フローの見積りに反映させております。
当社グループは引当金として、主に以下の引当金を認識しております。
① 労災補償引当金
労災に係る医療費及び休業補償等の支払いに備えるため、過去及び現在の実績をもとに発生額を見積り計上しております。経済的便益の流出が予想される時期は、主に当連結会計年度末より1年を経過した後の時期であります。
② 訴訟関連引当金
訴訟関連費用の支出に備え、損害賠償金、和解金等について、現時点において将来発生が見込まれる金額を見積り計上しております。経済的便益の流出が予想される時期は、主に当連結会計年度末より1年以内の時期が見込まれております。
③ 製品保証引当金
販売した製品のアフターサービスなどによる支出に備えるため、過去の実績をもとに発生額を見積り計上しております。経済的便益の流出が予想される時期は、主に当連結会計年度末より1年以内の時期が見込まれております。
(16) 収益
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」(以下、IFRS第9号)に基づく利息及び配当収益等を除き、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(または、充足するに応じて)収益を認識する。
当社グループは、プレミアムタイヤ事業、ソリューション事業、化工品・多角化事業を行っております。
これらの事業においては、主として製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該製品の引渡時点で収益を認識しております。
また、履行義務に対する対価は、履行義務を充足してから主として1年以内に受領しており、重要な金融要素は含んでおりません。
収益は、顧客との契約において約束された対価から、将来予想される返品、値引及びリベートなどを控除した金額で測定しております。返品額は過去のデータ等に基づいて予想返品率を見積り算出しております。値引、リベートについては主として実績が確定するまで契約等に基づいて将来の支払額を見積り算出しております。
(17) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ、補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しております。
政府補助金が費用項目に関連する場合は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に純損益として認識しております。資産に関する補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除しております。
(18) 借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とするような資産に関して、その資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。その他の借入コストはすべて、発生した期間に費用として認識しております。
(19) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、その他の包括利益又は資本に直接認識される項目から生じる場合、及び企業結合から生じる場合を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日までに制定又は実質的に制定されているものであります。
繰延税金は、期末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または、当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消する時期をコントロールすることができ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識しております。
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期見直され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日において制定されている、または、実質的に制定されている税率及び税法に基づいて、資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率及び税法によって測定しております。
当社グループは、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ、同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は別々の納税主体であるものの当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しております。
(20) 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しております。自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失を認識しておりません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本として認識しております。
(21) 配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により決議された日、中間配当は取締役会により決議された日の属する期間の負債として認識しております。
(22) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する純損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
(23) 調整後営業利益
調整後営業利益は一定の調整項目を調整前指標に加減算することにより算出しております。
調整項目:事業・工場再編損益、減損損失、減損損失戻入益、災害損失、受取保険金、その他一時的かつ多額に発生する損益
調整項目は、経営者が当社グループの業績の有用な比較情報を提供し、事業が管理されている方法を適切に反映するとの判断に基づき決定しており、注記「6.事業セグメント」に調整後営業利益を表示しております。
調整後営業利益はIFRSでは定義されておらず、他企業の同様な名称の付された指標と必ずしも比較可能ではありません。