有価証券報告書-第109期(2023/04/01-2024/03/31)
② 戦略
リスクと機会の詳細は、「サステナビリティレポート2023」(51ページ)をご参照ください。
日本企業の経営において、労働人口の減少、従業員の高齢化は各社共通した課題ですが、当社では、これら以外に、女性従業員比率・女性管理職比率の低さ、また、従業員エンゲージメントを評価していないことも課題となっていました。従業員エンゲージメントの向上は、人財の価値を最大限に引き出す大きな要因の一つであると考えており、2023年度より、まずは三ツ星ベルト単体の従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを開始いたしました。2024年度以降は、エンゲージメントサーベイの結果を受けて抽出された課題に対する施策の検討・実施及びサーベイ対象範囲のグループ全社への拡大などの施策に取り組んでまいります。
a.チャレンジを是とする企業風土改革
『2030年度の「ありたい姿」-人財戦略』に記載の通り、当社では、『多様性を尊重した新しい発想、変革を恐れないチャレンジ精神を大切にする「企業風土」の醸成』を最重点課題として捉え、社長が先頭に立ち種々の施策に取り組んでいます。働き方改革やエンゲージメントに係る内容については後述しますが、チャレンジを是とする企業風土への変革を目的とし、2023年度では、①コンピテンシー評価を取り入れた新たな人事評価制度の導入、②当社らしさを再確認・再定義するための理念体系の整理、などの施策を実施しました。これら施策の結果、定量的な結果を示すことは難しいものの、心理的安全性が向上した新たな企業風土の芽生えを感じられるようになっています。また、これらの施策は、女性従業員比率・女性管理職比率の改善にも有効に機能すると考えており、先に述べました従業員エンゲージメントを指標にして活動を更に活性化させてまいります。さらには、今後、外部人材の活用を通じて新たな発想を取り入れ、企業風土改革を加速させてまいります。
b.労働人口の減少とダイバーシティの確保
日本においては、労働人口減少への対応を進めることが今後の事業を継続していくための重要な課題であると認識しています。労働人口が減少する中、DXを推進して生産性改善と自動化を進め、事業拡大に伴う要員の増加をゼロ、あるいはマイナスにするための施策推進に取り組んでいます。
DX活用に係る施策
一方、女性従業員及び女性管理職が少ない状況(2023年度での当社の女性従業員比率:11.3%、同 女性管理職比率:3.1%)は、当社のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I、多様性・公平性と包摂性)における課題を明確に示しています。このような状況に対して、女性活躍を推進するために、積極的な女性の採用を行うとともにワーク・ライフバランスの取れた制度設計など職場環境の整備を進め※1、女性に長く働いてもらい、管理職にもチャレンジしたくなる職場づくりを目指します。また同時に、すべての従業員が自身の能力を最大限に活かせる多様性と包摂性を尊重する取り組みを行います。
※1 育児休暇制度、短時間勤務制度、時間単位ごとの有給休暇制度、フレックス勤務制度等、従業員一人ひとりの生活に合わせて勤務時間を調整する諸制度を導入済です。
c.従業員の高齢化への対応
日本企業の経営において、従業員の高齢化は大きな課題の一つです。現状では70歳までの雇用が当たり前になりつつあり、“経験”というメリットを活かしながら、“身体的な衰え”や“技術の陳腐化”というデメリットを打ち消す施策の導入が必要となります。さらに、少子化問題が依然として改善されない現状においては、労働者の高齢化問題は持続的な課題として残存することが考えられます。高齢者層の従業員には“経験”に加えて、リスキリングによる新しい知識・スキルの習得が求められます。当社グループでは、従業員の高齢化に対する取り組むべき課題として、「従業員の高齢化への対応」と「高齢者層従業員のリスキリング」をあげ、活動しています。
“従業員の高齢化”への対応として、まず考えなければならないのが健康の維持です。当社では、人間ドック、心臓ドック、脳ドック、生活習慣病健診等の健診サービス制度を導入しています。これらサービスが有効に機能するよう、産業医の意見を反映させながらその内容を改善してまいります。また、健康の維持に加えて、健康増進のための取り組みもまた重要です。まずは“喫煙”と“肥満”に着目し、指標を明確にして活動を進めています。
高齢者のリスキリングについては、関係会社の要員計画に基づく人材に関する要求事項に応じて、人材開発室またはDX推進室が主体となり教育プログラムの開発を行い、人材育成が実行されています。
d.一人ひとりの能力開発
当社グループでは、あらゆる職場で実施される新入社員教育、初期作業者教育が、従業員の能力開発の第一歩となります。その後、役割の変化に伴う階層別研修、職務内容に応じた専門研修、法令が定めるところの研修、自己啓発を支援する研修等、様々な能力開発プログラムを実行しています(下表参照)。また、QCサークル活動、GLOBAL GEMBA KAIZEN ACTIVITY、及びそれらの成果報告会も従業員の能力開発に大いに貢献しており、報告会において優秀な活動に付与される報償は活動の原動力の一つとなっています。これら能力開発プログラムは、スキルマトリックスをベースにして、部門、あるいは定められた組織で年度ごとに計画・実行され、有効性を評価したのち、次年度の活動に展開されています。
また、DE&I、人権、コンプライアンス、または企業理念に係る研修についても能力開発プログラムと同様に重要視しており、教育研修の充実に取り組んでおります。これらの研修プログラムは、主に、新入社員研修、入社3年目研修などの階層研修を中心に実施されています。
表) 能力開発プログラム一覧

e.人権デューデリジェンス(以下:人権DD)
当社グループは、当社の事業活動に係る全ての人の人権を尊重することが重要であると認識しており、特定したマテリアリティの1つに「人権と人格の尊重」を取り上げ、人権DDに取り組んでいます。「人権と人格の尊重」に係るリスクはサステナビリティ推進委員会のワーキンググループが実施する人権DDにより特定され、サステナビリティ推進委員会が指名する推進組織により人権リスクに対する施策が実行されます。活動の進捗状況はサステナビリティ推進委員会により監視・評価され、その内容はサステナビリティ推進委員会から取締役会に報告されています。
・ 人権リスク
2023年1月、マテリアリティの推進組織であるワーキンググループ及びサステナビリティ推進委員会での議論により、当社のサプライチェーンを含む事業活動において、以下の人権リスクを特定しました。
・ 取り組み状況
人権DDを推進するに際し、以下の取り組みを進めております。
a. 人権DD推進体制強化への取り組み
b. 個別の人権リスクへの取り組み:「児童労働、強制労働を伴う原材料(天然ゴム、綿等)の使用」について
※ 行動基準、人権方針、調達ガイドラインの全文は、当社ウェブサイトにてご確認いただけます。
f.エンゲージメント向上のための環境整備
当社グループの経営理念「人を想い 地球を想う」は、個の尊重、ダイバーシティの尊重を謳っており、当社は性別や人種はもとより、生活環境や考え方を異にする全ての従業員が安全、安心に生産性を高め、充足感をもって働くことのできる職場づくりを目指しています。
2023年度より従業員エンゲージメントの測定を開始しました。「やりがい」、「達成感」、「上司との関係」等とスコアの相関が高いことから、1on1ミーティングなどの施策による上司と部下の関係改善、ジョブマッチング制度などによる「やりがい」を醸成することにより、従業員エンゲージメントスコアの改善を図ります。
その他、従業員エンゲージメント向上に係る取り組みの一例は下記の通りです。
リスクと機会の詳細は、「サステナビリティレポート2023」(51ページ)をご参照ください。
日本企業の経営において、労働人口の減少、従業員の高齢化は各社共通した課題ですが、当社では、これら以外に、女性従業員比率・女性管理職比率の低さ、また、従業員エンゲージメントを評価していないことも課題となっていました。従業員エンゲージメントの向上は、人財の価値を最大限に引き出す大きな要因の一つであると考えており、2023年度より、まずは三ツ星ベルト単体の従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを開始いたしました。2024年度以降は、エンゲージメントサーベイの結果を受けて抽出された課題に対する施策の検討・実施及びサーベイ対象範囲のグループ全社への拡大などの施策に取り組んでまいります。
a.チャレンジを是とする企業風土改革
『2030年度の「ありたい姿」-人財戦略』に記載の通り、当社では、『多様性を尊重した新しい発想、変革を恐れないチャレンジ精神を大切にする「企業風土」の醸成』を最重点課題として捉え、社長が先頭に立ち種々の施策に取り組んでいます。働き方改革やエンゲージメントに係る内容については後述しますが、チャレンジを是とする企業風土への変革を目的とし、2023年度では、①コンピテンシー評価を取り入れた新たな人事評価制度の導入、②当社らしさを再確認・再定義するための理念体系の整理、などの施策を実施しました。これら施策の結果、定量的な結果を示すことは難しいものの、心理的安全性が向上した新たな企業風土の芽生えを感じられるようになっています。また、これらの施策は、女性従業員比率・女性管理職比率の改善にも有効に機能すると考えており、先に述べました従業員エンゲージメントを指標にして活動を更に活性化させてまいります。さらには、今後、外部人材の活用を通じて新たな発想を取り入れ、企業風土改革を加速させてまいります。
b.労働人口の減少とダイバーシティの確保
日本においては、労働人口減少への対応を進めることが今後の事業を継続していくための重要な課題であると認識しています。労働人口が減少する中、DXを推進して生産性改善と自動化を進め、事業拡大に伴う要員の増加をゼロ、あるいはマイナスにするための施策推進に取り組んでいます。
DX活用に係る施策
施策 | 担当部門 | 延べ受講者数 | ||
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
DX研修プログラムの実施 | DX推進室 | - | 33 | 763 |
一方、女性従業員及び女性管理職が少ない状況(2023年度での当社の女性従業員比率:11.3%、同 女性管理職比率:3.1%)は、当社のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I、多様性・公平性と包摂性)における課題を明確に示しています。このような状況に対して、女性活躍を推進するために、積極的な女性の採用を行うとともにワーク・ライフバランスの取れた制度設計など職場環境の整備を進め※1、女性に長く働いてもらい、管理職にもチャレンジしたくなる職場づくりを目指します。また同時に、すべての従業員が自身の能力を最大限に活かせる多様性と包摂性を尊重する取り組みを行います。
※1 育児休暇制度、短時間勤務制度、時間単位ごとの有給休暇制度、フレックス勤務制度等、従業員一人ひとりの生活に合わせて勤務時間を調整する諸制度を導入済です。
c.従業員の高齢化への対応
日本企業の経営において、従業員の高齢化は大きな課題の一つです。現状では70歳までの雇用が当たり前になりつつあり、“経験”というメリットを活かしながら、“身体的な衰え”や“技術の陳腐化”というデメリットを打ち消す施策の導入が必要となります。さらに、少子化問題が依然として改善されない現状においては、労働者の高齢化問題は持続的な課題として残存することが考えられます。高齢者層の従業員には“経験”に加えて、リスキリングによる新しい知識・スキルの習得が求められます。当社グループでは、従業員の高齢化に対する取り組むべき課題として、「従業員の高齢化への対応」と「高齢者層従業員のリスキリング」をあげ、活動しています。
“従業員の高齢化”への対応として、まず考えなければならないのが健康の維持です。当社では、人間ドック、心臓ドック、脳ドック、生活習慣病健診等の健診サービス制度を導入しています。これらサービスが有効に機能するよう、産業医の意見を反映させながらその内容を改善してまいります。また、健康の維持に加えて、健康増進のための取り組みもまた重要です。まずは“喫煙”と“肥満”に着目し、指標を明確にして活動を進めています。
高齢者のリスキリングについては、関係会社の要員計画に基づく人材に関する要求事項に応じて、人材開発室またはDX推進室が主体となり教育プログラムの開発を行い、人材育成が実行されています。
d.一人ひとりの能力開発
当社グループでは、あらゆる職場で実施される新入社員教育、初期作業者教育が、従業員の能力開発の第一歩となります。その後、役割の変化に伴う階層別研修、職務内容に応じた専門研修、法令が定めるところの研修、自己啓発を支援する研修等、様々な能力開発プログラムを実行しています(下表参照)。また、QCサークル活動、GLOBAL GEMBA KAIZEN ACTIVITY、及びそれらの成果報告会も従業員の能力開発に大いに貢献しており、報告会において優秀な活動に付与される報償は活動の原動力の一つとなっています。これら能力開発プログラムは、スキルマトリックスをベースにして、部門、あるいは定められた組織で年度ごとに計画・実行され、有効性を評価したのち、次年度の活動に展開されています。
また、DE&I、人権、コンプライアンス、または企業理念に係る研修についても能力開発プログラムと同様に重要視しており、教育研修の充実に取り組んでおります。これらの研修プログラムは、主に、新入社員研修、入社3年目研修などの階層研修を中心に実施されています。
表) 能力開発プログラム一覧

e.人権デューデリジェンス(以下:人権DD)
当社グループは、当社の事業活動に係る全ての人の人権を尊重することが重要であると認識しており、特定したマテリアリティの1つに「人権と人格の尊重」を取り上げ、人権DDに取り組んでいます。「人権と人格の尊重」に係るリスクはサステナビリティ推進委員会のワーキンググループが実施する人権DDにより特定され、サステナビリティ推進委員会が指名する推進組織により人権リスクに対する施策が実行されます。活動の進捗状況はサステナビリティ推進委員会により監視・評価され、その内容はサステナビリティ推進委員会から取締役会に報告されています。
・ 人権リスク
2023年1月、マテリアリティの推進組織であるワーキンググループ及びサステナビリティ推進委員会での議論により、当社のサプライチェーンを含む事業活動において、以下の人権リスクを特定しました。
特定した人権リスク | 担当部門 |
児童労働、強制労働を伴う原材料(天然ゴム、綿等)の使用 | サステナビリティ推進委員会事務局+購買部 |
・ 取り組み状況
人権DDを推進するに際し、以下の取り組みを進めております。
a. 人権DD推進体制強化への取り組み
2022年11月 | ・国連グローバル・コンパクトが定める4分野・10原則に基づき、全社グループ行動基準を改定 |
2022年12月 | ・サプライチェーンにおける人権リスク評価の実施 |
2023年1月 | ・人権課題の特定 ・人権方針の策定・開示 |
2023年3月~ | ・人権に係る従業員教育の実施(新入社員研修及び入社3年目研修 など) |
b. 個別の人権リスクへの取り組み:「児童労働、強制労働を伴う原材料(天然ゴム、綿等)の使用」について
2023年5月 | ・サステナビリティ推進委員会において調達ガイドラインの審議開始 |
2024年2月 | ・調達ガイドラインをウェブサイトに開示し、取引先に人権DD活動への協力を要請 |
次年度計画 | ・取引先への聞き取りを通じて現状の課題を特定、対応施策に展開 |
※ 行動基準、人権方針、調達ガイドラインの全文は、当社ウェブサイトにてご確認いただけます。
f.エンゲージメント向上のための環境整備
当社グループの経営理念「人を想い 地球を想う」は、個の尊重、ダイバーシティの尊重を謳っており、当社は性別や人種はもとより、生活環境や考え方を異にする全ての従業員が安全、安心に生産性を高め、充足感をもって働くことのできる職場づくりを目指しています。
2023年度より従業員エンゲージメントの測定を開始しました。「やりがい」、「達成感」、「上司との関係」等とスコアの相関が高いことから、1on1ミーティングなどの施策による上司と部下の関係改善、ジョブマッチング制度などによる「やりがい」を醸成することにより、従業員エンゲージメントスコアの改善を図ります。
その他、従業員エンゲージメント向上に係る取り組みの一例は下記の通りです。
◆ 女性活躍推進 2024年3月末時点の三ツ星ベルトの女性従業員比率は11.3%、女性管理職比率は3.1%、定期採用者に占める女性の比率は31%となっています。'21中期経営計画の見直しにおいて「人財戦略」を重要項目として取り上げ、「人財戦略の強化」をマテリアリティとしました。「女性管理職者数」をKPIとし、「ダイバーシティの推進」に取り組んでいます。 「管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」につきましては、[第1-5-(4)]をご参照ください。 | |||||||||||||
◆ 年次有給休暇制度 生活における様々な状況に対応して働き続けられるように、繰り越し日数も含め、最大で40日の年次有給休暇を取得することができ、また、休暇を取得しやすいように半日単位、時間単位の取得も出来る制度としています。 | 年次有給休暇取得率
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◆ 育児休業制度、短時間勤務制度 育児休業は法律に則り、最長で子供が2歳になるまで取得ができます。育児休業からの職場復帰後は、労働時間を最大で2時間短縮できる短時間勤務の選択が可能です。短時間勤務は子供が小学校の始期に達するまで選択可能で、子供が3歳になるまでは賃金の減額もありません。また、所定外労働・深夜業の制限等の制度もあり育児に配慮しています。 | 育児休業取得率
当年度権利取得者中の取得率(継続者は含まない) |