有価証券報告書-第124期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/31 9:00
【資料】
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【項目】
133項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び2.財務諸表等 (1)財務諸表 重要な会計方針」に記載しております。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因と当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは原材料価格、販売価格及び数量構成他の変化によるものであります。
主力のタイヤ事業については、当連結会計年度においても原材料価格が下落した一方で、海外市販市場を中心に競争が激化したことにより販売価格も下落しました。また、冬タイヤの最大需要期に降雪が無く、全国的に気温が高かったことが影響し、数量構成他要因も悪化しました。この結果、前連結会計年度に対し、原材料価格全体で約377億円の増益要因、販売価格で約267億円の減益要因、数量構成他で約73億円の減益要因となりました。低燃費タイヤなど高付加価値商品の更なる拡販、海外工場における生産能力の増強や生産性の改善など、収益力の向上を目指してさまざまな対策に取り組みましたが、タイヤ事業全体では減益となりました。
スポーツ事業については、国内市場でゴルフクラブ、ゴルフボールにおいて当期もシェアNo.1を確保し、ゴルフ、テニス用品事業に次ぐ第3の柱として事業化したウェルネス事業も売上高の増加に寄与しましたが、為替の円安による仕入コストの増加などにより、減益となりました。
産業品他事業については、戸建て住宅用制震ダンパー「ミライエ」の販売を拡大し、医療用ゴム部品やプリンター・コピー機用精密ゴム部品及びスポーツ施設用人工芝なども順調に推移しましたが、新規事業の一部をタイヤ事業へ組み替えた影響などにより、減益となりました。
以上の結果、連結売上高は848,663百万円と前連結会計年度に比べ11,016百万円(+1.3%)の増収、連結営業利益は77,067百万円と前連結会計年度に比べ9,184百万円(△10.6%)の減益となり、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ1.2ポイント低下し、9.1%となりました。
営業外損益では、デリバティブ評価益の減少の一方で為替差損も減少したことに加え、金融収支の改善及び持分法による投資利益の増加などにより、当連結会計年度では収益と費用の純額で110百万円の増益となりました。
この結果、連結経常利益は78,894百万円と前連結会計年度に比べ9,074百万円(△10.3%)の減益となり、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ1.2ポイント低下し、9.3%となりました。
特別損益では、前連結会計年度においては特別利益として固定資産売却益232百万円、特別損失として固定資産除売却損686百万円、減損損失103百万円が発生した結果、純額では557百万円の損失でありました。当連結会計年度においては特別利益として合弁事業解消に伴う譲渡益等158百万円、投資有価証券売却益74百万円、特別損失としてのれん償却額3,948百万円、固定資産除売却損875百万円、減損損失374百万円が発生した結果、純額では4,965百万円の損失となり、前連結会計年度に比べ4,408百万円の損失の増加となりました。
一方で、米国グッドイヤー社との提携解消に伴い過年度に計上した欧州合弁会社の評価損に係る税負担の解消も実現しました。
以上の結果、法人税等及び少数株主利益を控除後の当期純利益は55,834百万円と前連結会計年度に比べ2,628百万円(+4.9%)の増益となりました。
セグメント業績の分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」の項に記載のとおりであります。
(3)経営戦略の現状と見通し
当社は、株主をはじめ全てのステークホルダーに期待され信頼されるグローバルな企業として企業価値を高めていくとともに、広く地域・社会に貢献し、快適で魅力ある新しい生活価値を創出し続けることを、会社の基本方針としております。
また、会社経営の基本精神である企業理念は次のとおりであります。
・現地現物主義に立ってお客様の期待に応え、より良い製品を責任を持って提供します。
・堅実な経営基盤をもとに時代の変化に柔軟に適応し、新しい時代を切り開きます。
・独自技術及び研究開発を充実させ、新たなニーズを積極的に開拓します。
・地球環境に責任を持った企業活動と環境に優しい技術開発を進めます。
この基本方針に則り、当社グループは、2020年を目標年度とした長期ビジョン「VISION 2020」を策定し公表しております。このビジョンの目標達成イメージは、従来から取り組んできた「世界一の現場力・開発力・技術力」と「業界No.1の収益力」の実現に加えて、「新市場への挑戦」「飽くなき技術革新」「新分野の創出」といった「新たな挑戦」を原動力として、世界一の価値をさまざまな事業領域で提供し続ける企業集団となることであります。
具体的な数値目標として、2020年に連結売上高1兆2,000億円、連結営業利益率12%以上などを掲げ、ビジョンの行動イメージである「Go for NEXT」を念頭に、目標達成に向けて邁進してまいります。
具体的な経営戦略としましては、新興諸国を中心とした成長市場に加え、経営の自由度が増した欧米における拡販、シミュレーション技術の更なる進化と活用、次世代新工法の適用拡大、環境対応商品の拡充、新規顧客の開拓、制振技術の普及、ヘルスケアビジネスの展開などに経営資源を投入することにより、持続的成長の実現を通じて企業価値の最大化を目指します。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
・財政状態
当連結会計年度末の総資産は936,154百万円と前連結会計年度末に比べ37,433百万円減少しました。売上債権等の流動資産は6,888百万円減少し、固定資産は30,545百万円減少しております。流動資産の減少は主として売上債権の減少によるものです。また、固定資産の減少は、設備投資の増加による有形固定資産の増加の一方、グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消に伴う投資有価証券の売却などが主な要因です。
当連結会計年度末の負債合計は482,386百万円と前連結会計年度末に比べ44,241百万円減少し、有利子負債残高は260,631百万円と前連結会計年度末に比べ35,116百万円減少しました。
また、純資産は453,768百万円、1株当たり純資産額は1,615円81銭となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は45.3%と、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント向上しております。
・キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローでは54,004百万円のプラスとなりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少などに加え、グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消に伴う対価の受領などが主な要因であります。
今後、主に海外での増販に対応するため、生産能力増強のための設備投資を継続する方針でありますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現し、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図る所存であります。