文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは基本理念として「事業は人なり」「商いの基は品質にあり」「革新なくして未来なし」を掲げております。そして基本理念、存在意義「人と技術の力で、豊かな社会と快適な生活をつくりだす」、コーポレート・メッセージ「Heart & Technology」からなる山村グループの基本哲学(フィロソフィ)を定めております。さらに「ずっと未来も、山村グループに関わる全ての人や社会の役に立ち、必要とされ続けるグループでありたい」との思いを込め、「100年先も必要とされる会社」をグループ経営ビジョンとしております。
(2)目標とする経営指標
目標とする経営指標としては、2026年3月期においてROE5.0%以上、中長期的にはROE8.0%以上を目標とし、株主資本コストを上回るROEの確保を図り、企業価値の向上を目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
近年、外部環境の変化が加速している中で、グループ経営ビジョンである「100年先も必要とされる会社」を実現するために、足元では「成長に向けた事業基盤の整備」をテーマとする3ヵ年の中期経営計画を策定しております。中期経営計画では以下の5つの経営方針を推進してまいります。
(ⅰ)財務基盤の整備
現在進めている不採算事業からの撤退や不採算製品の整理を着実に進める。資産の有効活用を意識した取り組みにより徹底的に足元固めをする。
(ⅱ)既存事業を強化する仕組みづくり
環境変化の大きい中でも既存事業で収益を確保できる仕組みづくりを行う。
(ⅲ)新しい事業を構築する準備
長期的に成長し続けられるよう、新しい取り組みへの議論を進め、あらゆる観点から準備を行う。
(ⅳ)循環型社会の実現に向けた開発
自社の環境対応にとどまらず、事業化も強く意識し、異業種連携などによって循環型社会や脱炭素社会に向けた開発を加速させる。
(ⅴ)従業員が誇りを持って働き続けたいと思える会社づくり
グループの「基本哲学」を理解し、関わる全ての人や社会から必要とされ続けることを私たちの誇りとしたい。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営方針に基づき、次のとおり課題達成に向けて努力してまいります。
①ガラスびん関連事業
国内ガラスびん市場は、少子高齢化による人口減少や他素材容器への転換等による需要減が見込まれています。さらに原燃料や物流費高騰の影響によるコスト上昇は今後も続くものと予測されます。ガラスびん関連事業は品質確保や安定供給のために実施する溶解窯の更新が必要ですが、更新費用も上昇しているため、更新後は減価償却費の増加が見込まれます。このような状況において、山村グループの主力事業としてグループ内の連携を強化しながら収益体質の確立に取り組んでまいります。そのため、変動する需給バランスに対応した最適な製造販売体制を構築してまいります。また、生産支援システムや省人化設備の導入拡大等により人材不足対策に取り組んでまいります。開発分野に関しましては、多様化する市場と環境面のニーズに応えるため、高付加価値品の開発や脱炭素社会に向けた技術開発に取り組んでまいります。
②プラスチック容器関連事業
国内のプラスチックキャップ事業では、市場と顧客の動向を注視し、スピーディで効率のよい生産体制を構築してまいります。プラスチック環境問題に対しては環境に配慮した製品の開発や、ペットボトルキャップのリサイクル活動を企業、自治体、学校等とも協力しながら推進しております。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、「TEAM EXPO 2025」のパビリオンで当社のペットボトルキャップのリサイクル活動について展示をいたします。また、原料および各種資材の供給不足や価格変動による製造コストの変動が予想されますが、様々な取り組みにより安定調達やコスト削減を図り、収益力の強化に取り組んでまいります。海外においては、子会社や提携先との連携によりアジアでの販売強化を目指してまいります。
③物流関連事業
物流関連事業では、幅広い事業範囲で蓄積したノウハウを活かしながら、既存事業拡大と新規顧客の獲得に取り組んでまいります。また、今後の事業拡大に対応するためのコア人材の確保と育成強化に努めてまいります。さらに、グループ内の相乗効果による新規業務の受託と輸送ネットワークの構築を図るとともに、既存業務の効率化や品質向上の取り組み等により、利益体質の強化を進めてまいります。
④ニューガラス関連事業
ニューガラス関連事業では、世界情勢や市場の変動の激しい中、当社の主力分野である半導体周辺のエレクトロニクス関連および燃料電池等の環境エネルギー関連において営業活動強化や生産技術開発に取り組み、グローバルに事業の拡大を目指してまいります。国内子会社においては、高速通信・半導体・センサーおよび映像用製品の販売拡大による事業拡大に努めてまいります。
⑤その他事業
その他事業の植物事業では、生産性の改善と営業力強化による事業拡大を推進してまいります。また、機能性野菜の品種や栽培方法等の研究開発を継続し発展させてまいります。
・海外事業におきましては、経済成長が見込まれるアジア地域を中心に、当社および当社の関係会社等を通じ業容の拡大を進めてまいります。
・研究開発センターにおきましては、新規技術開発として産官学連携等を活用した技術開発を進めております。医療やエレクトロニクス、エネルギー分野等において新たな収益源となるよう製品化を目指し、新規事業を早期に立ち上げできるように取り組んでまいります。