有価証券報告書-第114期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 14:50
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【項目】
125項目

研究開発活動

当社グループにおける研究開発活動は、企業理念に立脚し、最善の技術と蓄積した経験を活かした新たな価値の創造に向けて行われています。その活動の主体は、本社機構である技術開発本部、新規事業推進本部、平成25年4月1日付にて新規事業推進本部から独立したSOFCプロジェクト及び各事業部技術部で行っており、国内外の学会・協会への積極的な参画、大学・公的研究機関との共同研究等により最新技術を入手・導入することでレベルアップを図っています。
なお、当連結会計年度における研究開発に係る費用は総額194億円ですが、当該金額には既存製品の改良、応用研究等に関する費用が含まれていますので、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定している「研究開発費」は40億17百万円です。
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
<自動車関連>自動車エンジンの開発は、環境への配慮とそれに伴う低燃費・低エミッションの規制に対応すべく加速的に進化しており、自動車メーカー各社は、エンジンの小排気量化・直噴化・過給化・希薄燃焼化・バイオエタノール等の多種燃料対応化など燃費向上に向けた技術開発を積極的に進めています。当社はそれに応えるべく、スパークプラグの分野では耐高温性・耐高電圧性・高着火性を高めるとともに、より一層の小径・長尺化を推し進め、材料開発から製品設計、製造方法まで一貫して開発を行っています。ディーゼルエンジン用グロープラグの分野では、今後、益々厳しくなる排気ガス規制に対応した、昇温特性に優れ、高寿命を有するプラグを開発するとともに、その温度をコントロールする制御システムの開発を行っています。当連結会計年度においては、スパークプラグでは小径、長尺化によりエンジン冷却性能を最大限に引き出すことが可能になるロングリーチプラグに耐電圧性能を向上させた新絶縁体を組み合わせたプラグを開発し、欧州メーカーに採用が開始されました。また2輪車用では、燃費改善に寄与した高着火ニッケルプラグが新興国で採用されました。ディ-ゼルエンジン向けでは、グロープラグと圧力センサを一体化した新製品の開発を進め、従来の他社製圧力センサ付きグロープラグに対して、低圧検知精度を向上させたことにより、燃料噴射の詳細制御が可能となり、排ガス低減や燃費向上効果のみならず、ディーゼルエンジンの騒音制御に貢献できるようになりました。
センサの分野においては、環境保全の見地から益々厳しくなる排気ガス規制に対応すべく、高温、熱衝撃、振動、被水などの環境耐久性向上及び省エネ、省資源タイプのセンサの開発を進めています。また、新規センサの分野では、新しい排気ガス規制に必要となるOBD(車載の自己故障診断装置)用のセンサやEGR(排気ガス還流)システムを制御するためのセンサの開発を行っています。当連結会計年度においては、グローバルな競争力の向上を目的として策定したビジネスプランの展開を進めており、性能、耐久性、コスト競争力に優れた商品開発に取り組みました。また2輪車市場でのFI(電子制御燃料噴射)化に伴う酸素センサの使用拡大に伴い、小型、早期活性を特徴とする新たな筒形酸素センサ、並びに、低消費電力を特徴とする板形酸素センサを開発し、生産、販売を開始しました。
また、プラグやセンサ本体の開発にとどまらず、ガスエンジン用プラグの耐久性向上を目指した点火ユニットの開発製品化、自動車に搭載されたエンジン制御回路とのインターフェース機能を持つ全領域空燃比センサ用次世代ASIC(特定用途向けIC)の開発も行っています。
なお、当セグメントに係る「研究開発費」の金額は、8億39百万円です。
<テクニカルセラミックス関連>半導体関連
半導体関連では、パソコンなどのCPU用ICパッケージ、車載や通信関連用のCPU用途以外のICパッケージ、携帯電話用の小型セラミックパッケージ、半導体検査装置用大型プローブ基板等、幅広い製品の開発を行っています。最近の技術トレンドとしては、パソコンのタブレット化やスマートフォンの普及が進み、ICパッケージの低背化が求められており、コアレス技術をベースにした超薄コアパッケージの開発を進めています。また2.1次元実装や2.5次元実装パッケージなどハイエンドパッケージをターゲットとして微細配線化技術の開発や、新しいアセンブリー手法としてCuピラータイプのICパッケージに対して独自構造を有したFCCSPパッケージの開発を進めています。その他、携帯電話用のセラミックパッケージにおいては、水晶デバイスにおける小型低背化トレンドを牽引できる高精度パッケージの開発を進めています。
なお、当セグメントに係る「研究開発費」の金額は、4億2百万円です。
セラミック関連
産業用セラミックにおける機械工具の分野では、鋳鉄製部品の高速・高能率加工用途で耐熱衝撃性・耐摩耗性に優れた切削工具の開発を行うなど、自動車部品加工や航空機部品加工など各種用途に適した工具の開発を行っています。当連結会計年度においては、耐熱合金加工用の新素材として、高温強度、高温硬度、熱伝導率などの高温物理特性に優れるセラミック材料を開発しました。その他の構造用セラミック応用製品の分野においては、ベアリング用転動体、半導体製造装置用静電チャックの製品化に取り組む他、医療関連分野においては、在宅医療用酸素濃縮装置、医療用超音波振動子等の開発・製品化を行っています。当連結会計年度においては、酸素濃縮装置において従来器より容積、重量ともに小型化された高性能な酸素濃縮装置の開発を進めました。
また、エネルギークリーン化への対応として、次期動力源として期待の大きなテーマである燃料電池関連の開発にも取り組んでおり、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに参画する等、公的研究機関との共同研究も積極的に行っています。当連結会計年度においては、HEV・EV向けパワーモジュールの開発プロジェクト「高耐熱部品統合パワーモジュール化技術開発」に参画し、高耐熱部品の開発に取り組んでいます。
その他、独自の機能性セラミックスの材料技術とプロセス技術を活かし、高効率でクリーンな発電システムとして期待される固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発を進めています。SOFCは、種々の燃料電池の中で最も高い発電効率の達成が可能であり、家庭用の小型コージェネレーション向け市場を第一段階のターゲットとして、CO2の排出削減に有効な小型発電システム用スタックの開発を目指しています。
なお、当セグメントに係る「研究開発費」の金額は27億75百万円です。