有価証券報告書-第114期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

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2014/03/28 13:59
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対処すべき課題

(1)当社グループの対処すべき課題
平成26年2月22日に当社徳島工場におきまして、当社従業員1名が貴重な命を失う死亡事故が発生いたしました。
亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の方々に心より哀悼の意を表します。また、地域、株主、お取引先等、関係各位にご迷惑、ご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます。
当社グループはこれまで事故防止のため、様々な安全活動を実施してまいりました。しかしながら結果として、このような事故を起こしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。当社グループとしましては、その重大さを真摯に受け止め、徹底的に再発防止に取り組んでまいります。
経営基盤強化による企業価値向上への取組み
当社グループは、厳しい事業環境の中においても積極的な投資により生産基盤の強化を推進し、企業価値の最大化に取り組んでまいりました。主力事業である合金鉄事業では競争力のある生産体制を確立し、また、成長性の高い新素材事業では設備能力を拡大いたしました。その結果、当社グループの業績は順調に推移しており、当社の取組みは着実に成果を上げつつあります。
アジアを中心とする新興国の経済発展が牽引する新たな量的発展の時代において、これまでに築き上げた経営基盤を最大限に活用して、「収益力の更なる強化と新たな事業発展のための基盤確立」を目指しております。
その重点課題とするところは、
(イ)主力事業の「合金鉄」及び成長事業である「機能材料」を当社の「2コア」ビジネスと位置付け、これらの生産基盤の強化により、事業の拡大、収益力の向上を実現する。
(機能材料=電池材料、フェロボロン、酸化ジルコニウム、酸化ほう素)
(ロ)さらなる成長に向けて、ビジネス環境の変化に的確に対応できる人材の育成・組織の構築に取り組む。
ことであります。
こうした企業価値向上の取り組みに加え、コーポレートガバナンス及びリスク管理運営を一層強化し、株主や顧客の皆様からの信頼に応えられるよう努めてまいります。
また、当社は、平成26年7月1日(予定)を効力発生日として、当社を株式交換完全親会社、中央電気工業株式会社(以下「中央電気工業」といいます。)を株式交換完全子会社とする株式交換により経営統合を実施することを決議し、同社との間で株式交換契約及び統合契約を締結いたしました。
その背景及び目的は以下の通りです。
当社及び中央電気工業(以下「両社」といいます。)の合金鉄事業においては、主たる顧客である国内鉄鋼メーカーが世界規模での競争を激化させる中で、両社各々の主要取引先でもある新日本製鐵株式会社と住友金属工業株式会社は、平成24年10月1日を効力発生日として合併し、新日鐵住金株式会社(以下「新日鐵住金」といいます。)が誕生しました。
また、昨今の所謂“原料高製品安”(合金鉄製品の原料となるマンガン鉱等の価格高騰にかかわらず合金鉄製品の価格は伸び悩む状況)が続いていることに加え、近年東アジア地区において海外の競合他社の供給能力が増強される等、競争は激化の一途をたどる中で、両社は不断の自助努力により競争力を保ち、安定的な操業を続けてまいりました。足下においては、一時の極端な円高の是正により、国内鉄鋼メーカーの輸出競争力及び合金鉄の海外品に対する競争力は回復基調にあり、経営環境改善が期待されているものの、依然として予断を許す状況にありません。また、このような状況に追い打ちをかけるように電力コストが大幅に上昇しており、電力多消費事業である合金鉄事業を営む両社の経営を圧迫しております。両社が今後もその安定供給を継続し、主要顧客である国内鉄鋼メーカーとともに国際競争を勝ち抜き、成長していくためには、新たな段階の企業努力、競争力強化が不可欠な状況であります。
また、両社が合金鉄とともに主要事業としている機能材料分野においては、世界的な環境意識の広がり、定着に後押しされた“低炭素社会”“エコ社会”実現にむけた新技術の進歩とその多様化は顕著であり、今後大きな成長が期待されております。他方で、それら先端産業の大きな潜在的需要を巡る競争は激しく、またビジネスとしての不確実性も増大しており、より一層の技術力、開発力が強く求められております。
かかる状況下、両社は、更なる事業の発展を実現するためには、各々の主要取引先が同じ新日鐵住金であり、事業内容及び企業風土が近く、円滑な経営統合を行える両社が長期ビジョン・戦略の共有化を行い、迅速かつ機動的な意思決定が可能となる体制を整備するとともに、速やかに各々が培ってきた経営資源を融合し最大限に有効活用することが急務と考え、本経営統合を実施することが最適と判断いたしました。
これにより収益力の向上と強固な経営基盤確立を実現し、企業価値の向上と将来へ向けた更なる発展を通じて豊かな社会づくりに貢献し、ステークホルダーの期待にお応えしてまいります。
(2)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
会社法施行規則第118条第3号に定める「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」の概要は下記の通りです。
①基本方針の内容
当社は、安定的かつ持続的な企業価値の向上が当社の経営にとって最優先の課題と考え、その実現に日々努めております。従いまして、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。
上場会社である当社の株式は、株式市場を通じて多数の株主、投資家の皆様による自由な取引に委ねられているため、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様のご意思に基づき決定されることを基本としており、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるか否かの判断も、最終的には株主の皆様全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、明らかに濫用目的によるものや、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの等、その目的等からみて企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれをもたらすもの、対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な情報や時間を提供しないもの等、不適切なものも少なくありません。このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大規模な買付等に対し、これを抑止するための枠組みが必要不可欠と考えます。
②会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社への投資を継続していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、役員・社員一丸となって次の施策に取り組んでおります。これらの取組みは、上記①の会社の支配に関する基本方針の実現にも資するものと考えております。
経営基盤強化による企業価値向上への取組み
詳細については、「第2 事業の状況 3対処すべき課題(1)当社グループの対処すべき課題」をご参照ください。
コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化による企業価値向上への取組み
詳細については、「第4 提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取組み
当社は、会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして、平成26年2月24日開催の当社取締役会において、「当社株式の大規模買付行為への対応策」(以下「本プラン」といいます。)の継続を決議し、平成26年3月28日開催の第114回定時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)において、本プランの継続について承認を得ております。
本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。
本プランにおける、大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)は、(イ)事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、(ロ)必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、又はその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、また株主検討期間を設ける場合は取締役会評価期間と株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始する、というものです。
本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。但し、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律および当社定款が認める検討可能な対抗措置を講じることがあります。
このように対抗措置を講じる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に勧告を行うものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。
なお、本プランの有効期限は平成29年3月に開催される当社第117回定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、
(イ)当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合
(ロ)当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合
には、その時点で廃止されるものとします。
継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ホームページをご参照ください。
④本プランが、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
本プランは、
(イ)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
(ロ)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
(ハ)株主意思を反映するものであること
(ニ)独立性の高い社外者の判断の重視
(ホ)デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
等の理由から、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社経営陣の地位の維持を目的とするものではないと考えております。