有価証券報告書-第126期(平成27年4月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/25 16:22
【資料】
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【項目】
66項目

研究開発活動

当社は「食料・水・環境を一体のものとして捉え、優れた製品・技術・サービスを通じて課題解決し、地球と人の未来を支え続ける」ことを使命としております。当社はこの使命に基づき、事業に直結した製品・技術の開発と、会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。
当年度の研究開発費は296億円であり、事業別セグメントごとの研究開発費及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。「その他」事業の研究開発費及び特定の事業部門に関連づけられない基礎研究費等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。なお、当年度は決算期変更により2015年4月1日から2015年12月31日までの9ヶ月間となっております。
(1) 機械
農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器等の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。
担い手農家向けトラクタのラインナップを拡充
トラクタ事業では、担い手農家の営業規模拡大に対応するために、「無線LAN」を搭載し、ICTを活用した営農・サービス支援システム「クボタスマートアグリシステム(KSAS)」にも対応するトラクタ「レクシア(REXIA)シリーズ」と「スラッガー(SLUGGER)シリーズ」の下位馬力モデルを追加し、ラインナップを拡充しました。主な特長は、レクシアシリーズでは、①現行機よりも室内空間の容積を約30%拡大した快適性・居住性の高いワイドキャビンを採用しました。②主変速の切り替えがボタン一つで行え、主変速レバーと副変速レバーの一体化により、操作性を向上させました。スラッガーシリーズでは、①当社独自のHMT(油圧機械式無断変速機)である「デュアルドライブトランスミッション」を採用し、変速ショックのないスムーズな無段変速により、高精度な作業を実現しました。②主変速レバー、ポジションレバー、作業機昇降スイッチを右側アームレストに集中配置し操作性を向上させました。③本格サスペンションシートを採用することで、長時間作業でも疲れにくい、快適な乗り心地を実現しました。
アジア共有設計の田植機「ワールドシリーズ」のラインナップを拡充
移植機事業では、増加傾向にある担い手農家に対応するために、高い基本性能を備えながら、機能を絞り込んだシンプルなアジア共通設計により業界最安価を実現した6、8条ディーゼル乗用田植機「ワールドシリーズ」のラインナップを拡充しました。主な特長は、①旋回時の枕地の荒れをきれいに整地し、補助者の負担を軽減する「ゆう優ロータ」と、手元のレバー1本で植付け部の昇降ができる「ポンパレバー」を新たに搭載し、オペレータの補助者の省力作業を実現しました。②高出力、低燃費ディーゼルエンジンを搭載し、湿田や深田でも余裕のある作業ができるようにしました。③四輪独立サスペンション、植付け部の水平制御機能などの組み合わせにより、きれいな植付けを両立しました。四輪独立サスペンションは、不安定な場所でも常に四輪が接地するので機体が安定し、運転者の負担軽減にも繋がります。
スキッドステアローダ(SSL)開発による北米小型建機のラインナップを拡充
建設機械事業では、北米の建設機械で攻勢をかけるために、北米で人気の高い運搬、運送用途のスキッドステアローダ(SSL)を新たに開発し小型建機ラインナップを拡充しました。主な特長は、①キャビンの両側に配置したアームにホースを内装する技術により確保した広い居住空間、乗り降りのし易さ、作業性で優れた跳ね上げ式ドア、ボディの各部の冷却性とキャビン全体の冷房性能を両立させたエアコン等によりオペレータを重視した快適な居住空間を実現しました。②持上げ高さとリーチを最大限にとることができる独自の4点リンク式のバーティカルリフトアームを標準採用することで、高作業性を実現しました。③ラジエータ・オイルクーラー・冷却ファンからなる冷却システムをエンジン上部に配置した構造にすることでエンジンルームへの埃の侵入を最小限に抑え、また、リヤボンネットを開けるだけで、日常の点検やフィルタ交換等の各種メンテナンスができるようにしました。
当セグメントに係る研究開発費は230億円です。
(2) 水・環境
パイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)と環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管等)の製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。
農業用水用「AL形ダクタイル鉄管」の開発
農業用水に使用されている管路の多くは老朽化が進み、今後効率的な管路更新が必要となっていきます。パイプシステム事業では、管路布設のコストダウンにより受益農家の地元負担金を低減するため「AL形ダクタイル鉄管」を開発しました。主な特長は、①管厚を薄くするとともに内外面塗装を安価にして製品コストを下げた管種、②堀削量を低減して現地発生土を用いて埋戻しでき、厳密な施工管理を行わなくても安全性を確保できる管種の2種類をラインナップしたことです。本製品は、施工が簡略化でき工期短縮が可能で、工事のコストダウンにつながることから、国営・県営の土地改良工事での採用が拡大しております。
中型コンパクト浄化槽「HCZ型」の開発
浄化槽事業では、アパートや郊外型店舗等の市場向けに、業界最小クラスのコンパクトボディに、新設計による優れた性能を凝縮した12~50人用の中型浄化槽「HCZ型」を開発しました。主な特長は、①処理性能は、従来機と同等のBOD(生物化学的酸素要求量)20㎎/L以下に加え、新たにT-N(総窒素)20㎎/L以下の窒素除去性能を達成しました。②単位装置の機能向上を行い、本体槽を従来機比85%の大きさへコンパクト化しました。その結果、当該製品を設置する際の堀削土量の減量、施工資材の減少に繋がり、工事費の低減を可能としました。③内部構造をシンプルに設計したことで保守点検が従来機と比べ容易となり、より安定した運転を実現しました。
当セグメントに係る研究開発費は38億円です。
(3) その他・全社
全社の基盤技術である光画像・情報通信・制御技術を高度化して、各事業部の製品群に組み込む先行要素技術開発、モノづくりを革新する検査技術開発、環境プラントや社内工場向け監視・診断制御システム技術開発等に取り組んでおります。
当セグメントに係る研究開発費は28億円です。