有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 9:06
【資料】
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【項目】
167項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、1909年の創業以来100年余にわたり、お客様満足第一の製品の供給とサービスの提供により、社会のインフラ整備、ライフラインや産業設備の拡充に取り組んでまいりました。引き続き、次の100年に向けて一層価値ある企業であるために、バランスの取れた着実な持続的成長に向けて、企業理念ならびに経営理念の実践を通じ、お客様満足に徹したモノづくりで、社会の生命線と人々の暮らしを守り、社会に貢献してまいります。
また、透明性をもった健全経営を実践し、当社に投資したいと思える「企業価値」を提供し続けるため、積極的な情報開示に努め、社内に優秀な人材を育成し、CSRの充実を図る事を基本方針としております。
昨今の当社を取り巻く事業環境は、ますます混迷を深めております。国際情勢では、米中貿易戦争の長期化、合意を伴わない英国のEU離脱懸念などにより不透明感が増し、日本国内においては、東京オリンピックに向けた準備が本格化する中で、新型コロナウイルスの蔓延により世界経済活動が停滞する未曾有の事態に陥りました。
このような情勢下ではありましたが、当中期3ヵ年経営計画の2年目となった2019年度連結業績は期初公表値と比較いたしますと売上高、営業利益とも上振れの結果となり、前年度比較としても増収増益となりました。しかしながら、セグメントによっては市場環境や事業構造として非常に厳しい状況が継続しており、依然として予断を許さない状況が続いております。パイプシステム事業においては、改正水道法の施行により設計・施工一括発注方式(管路DB方式)による発注などが今後増えることを期待しておりますが、発注者である水道事業体の予算や人的余力を鑑みると大きな発注量の変化は不透明と考えております。機械システム事業においては、2020年3月末までの受注残によりある一定量の売上高は見込めるものの、主要顧客である自動車や製鉄業界において、新型コロナウイルスの影響による業界全体の低迷が今後想定されます。産業建設資材事業においては、東京オリンピックに向けた土木、建築分野での活況さが一段落することによる影響が懸念されます。
当社グループの事業を取り巻く環境の厳しさを踏まえ、将来の成長に向け、着実に持続的成長の道筋を付けることが急務と認識しております。現在推進中の中期3ヵ年経営計画では、創業以来築きあげたお客様からの信頼を変えないために、「変えなければならないもの」を毅然と変え、ある領域では「事業の境界線を越えていく」ことをスローガンとして掲げております。既存の事業領域の収益の安定を堅持していくだけではなく、これら既存事業領域の境界線を越えていくことによって初めてお客様の信頼をこれからも保持し続けることができると考えております。そのため、当社グループでは「変わる」「稼ぐ」をキーワードとして、独自の生産性向上ならびにコストダウン戦略によるモノづくり活動、独自のコア技術と多様な商品展開による研究開発活動および新事業展開の加速化に注力してまいります。なお、定量目標値としましては、現在推進している中期3ヵ年経営計画においては、2020年度に達成を目指す経営指標を売上高1,100億円、営業利益40億円(営業利益率3.6%)としております。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(パイプシステム事業)
鉄管部門の主要市場である上水道市場では、施設老朽化に伴う更新需要は依然としてあるものの、水道事業の民間業務委託が増加傾向にあるなど、事業環境が変化しつつあります。当社グループにおいても、従来から行っている資材の製造・販売といったビジネスモデルに加えて、工事・サービスも含めたソリューションの提供を行うビジネスモデルの確立が急務とされています。当社グループでは、設計・施工・メンテナンスといった業務の受託に向けた体制を整備し、今後の事業拡大を推進してまいります。
(機械システム事業)
当事業にて、熱間鍛造プレスなどを供給している自動車産業は、「CASE」に代表されるような世界規模の大きな変革の時を迎えております。当社グループにおきましては、鍛造プレス機や混練・混合機などの産業設備製造技術や、強化プラスチック製品製造ノウハウといった当社グループ保有のコア技術を活かし、軽量で高強度な先進材料として注目されているCFRPなどの強化プラスチックや二次電池などの製造設備へ最適なシステムを提供することで、自動車業界をはじめ様々な分野において、低炭素社会の実現へ貢献してまいります。
(産業建設資材事業)
建築、下水道、電力、鉄道など様々な市場へ資材を提供している当事業では、グループ経営の新たな柱となる事業を長年模索しております。その中で、特に需要増大が期待される道路・橋梁の維持メンテナンス市場でのビジネス拡大を推進してまいります。国土強靱化の流れの中、道路や橋梁本体の補修・メンテナンスのみならず、メンテナンス用設備やその周辺資材へのニーズは増加傾向にあります。当社グループは従来より、多種多様な周辺資材の製造・販売を行ってきた強みに加えて施工会社をグループ会社に加え、提供するソリューションのラインナップ拡充により、国土強靱化へ貢献すると共に事業拡大を目指します。
いずれの事業におきましても、当社グループが主に行ってきた資材や設備の製造・販売に加えて、設計・施工・メンテナンスなどのサービスも含めた付加価値をお客様へ提案させていただくことにより課題解決をはかるとともに、経営理念でも謳っている「最適システムの提供」により、広く社会に貢献してまいります。