有価証券報告書-第203期(2024/04/01-2025/03/31)
② 戦略
<気候関連リスク及び機会の分析対象事業>当社グループは、TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮した組織戦略のレジリエンス」を示すために、2019年度から気候関連リスク(移行リスク、物理リスク)及び機会を特定し、中期経営計画をベースラインとして、2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ分析を実施しています。2019年度は環境省が実施する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参加し、インフラ事業(情報通信ソリューション事業の光ファイバ・ケーブルとエネルギーインフラ事業の電力ケーブル)からシナリオ分析を開始しました。以降、2020年度は自動車部品事業、2021年度はAT・機能樹脂事業と銅条・高機能材事業、2022年度はファイバ・ケーブル事業と電力事業、2023年度は、銅箔事業と電池事業、ファイテル製品事業のシナリオ分析を完了し、現在は産業電線・機器事業のシナリオ分析を行う等、引き続き事業分野別に段階的に対象事業の拡大を進めています。
<気候関連リスク及び機会の項目の特定プロセス>気候関連リスクと機会の特定は、Step1~Step3のプロセスで行います。まず、Step1では「外部情報」と「内部情報」を参考に、当社グループのみならずサプライチェーンの上流及び下流も含めて気候関連リスクと機会の項目リストを作成します。Step2では洗い出した項目に対して、「当社グループに与える影響度」を点数化し優先順位を付けます。Step3で、優先度の高い項目を気候関連リスク・機会の項目として特定します。特定した気候関連リスク・機会の項目は1.5℃シナリオや4℃シナリオにおける影響パラメーターを用いて、2030年度における事業への影響度評価を行います。
<シナリオ群の選択>TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ」を検討するに当たり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照し、2021年度までは「2℃以下シナリオ」と「4℃シナリオ」の検討を進めてきました。2022年度からは、2050年カーボンニュートラルへの取組みを加速するため、環境目標2030を改定し、SBT1.5℃認定にも申請したことに伴い、選択するシナリオを「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」に見直しました。
<気候関連リスク及び機会の期間の定義>
<シナリオ分析の概要>
<当社グループのカーボンニュートラル実現に向けた取組みと気候移行計画の策定>気候関連の機会及びリスクを特定し、収益機会の獲得とリスクの低減の両面からカーボンニュートラル実現に向けた取組みを進めています。2021年10月にTCFDより公表された「指標、目標、移行計画に関するガイダンス」を踏まえ、2023年度から低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動である気候移行計画の策定を開始しました。
リスクの対応策については、2024年11月に環境ビジョン2050を改定し、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出量ネットゼロを目指すことを目標に掲げています。また、2050年に向けたマイルストンである環境目標2030において温室効果ガス排出量(スコープ1、2及びスコープ3)削減の目標を設定し、そのうち温室効果ガス排出量(スコープ1、2)は、25中計のリスクのマテリアリティ「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」のサステナビリティ指標として2025年度目標を設定しています。

環境ビジョン2050と環境目標2030の達成に向けた気候移行計画策定の一環として、当社グループの事業活動における温室効果ガス排出量削減にむけたロードマップを策定し、取組みを推進しています。スコープ1、2の目標達成のためには、工場の省エネや燃料転換を進めるとともに、再生可能エネルギーの積極的な利活用が不可欠であり、サステナビリティ指標として「全電力使用量に占める再生可能エネルギー比率」を設定し、再生可能エネルギーの利用比率向上に向けた取組み(水力発電の活用、太陽光発電設備の設置、再生可能エネルギー由来電力の導入)を進めています。
また、バリューチェーン全体での排出量削減に向け、バリューチェーン排出量(スコープ3)の算定及び把握に努めています。バリューチェーン排出量(スコープ3)算定に当たっては、環境省及び経済産業省が発行する「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する 基本ガイドライン (ver.2.6)」に則り、排出原単位は「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」及び「AIST-IDEAv3.3(日本語版)」を参照しています。当社グループのバリューチェーン排出量(スコープ3)のうち割合の高いカテゴリーは、カテゴリー1「購入した製品・サービス」及びカテゴリー11「販売した製品の使用」です。このうち、カテゴリー1については素材(銅・アルミ・樹脂)のリサイクル材活用を推進するとともに、サプライヤーに対し温室効果ガス排出量の算定及び削減の働きかけを行い、CSR調達ガイドラインに基づく自己評価調査票(SAQ)と併せて実施するアンケートにより購入製品に係る排出量データの把握に努めています。
サプライチェーンマネジメントの詳細については、「(1)サステナビリティ共通」を参照してください。
収益機会の対応策については、25中計期間において既存事業の収益安定化と新事業創出に向けた基盤整備を進め、2030年にはそれぞれの分野における社会課題を解決するとともに、カーボンニュートラル実現に貢献していきます。例えば、情報通信の高度化や生成AIの普及拡大によりエネルギーマネジメントの高度化や温室効果ガス排出量の削減が促進されていくことが期待されていますが、同時にデータセンタの増加による電力消費量の増加が懸念されています。当社グループにおいてはデータセンタ市場の拡大を収益機会と捉え、光ファイバ・ケーブル及び光デバイス等の供給を通して高度情報通信の実現に寄与するとともに、データセンタの電力消費の要因となるCPUやGPU等の高発熱化に対し、熱伝導性の高い半導体製造用テープであるAT製品や高性能ヒートシンク及びヒートパイプ等のサーマル製品の供給を通してデータセンタの低消費電力化に貢献します。また、情報通信領域における更なる大容量・低遅延・低消費電力化の要請に備え、光電融合技術の研究開発に取り組んでいます。
モビリティ領域の電動車市場に対しては、軽量化に寄与するアルミワイヤハーネスに加え、高圧関連製品(高圧ワイヤハーネスや高圧ジャンクションボックス等)の供給を拡大し、低炭素なモビリティの普及拡大に貢献します。また、情報通信領域やモビリティ領域における電力消費量の増加により、エネルギー領域においては再生可能エネルギーの普及拡大による電力分野の低炭素化と基幹系送電網増強の必要性が高まっています。第7次エネルギー基本計画等の国内のエネルギー政策の動向を注視し、洋上風力を中心とする再生可能エネルギーの拡大や次世代電力ネットワークの構築を電力ケーブルの供給により支えてまいります。併せて、核融合発電の実現に向けた高温超電導線材の開発や、グリーンLPガスの量産技術の確立等、研究開発及び新事業創出を推進しています。
<気候関連リスク及び機会の分析対象事業>当社グループは、TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮した組織戦略のレジリエンス」を示すために、2019年度から気候関連リスク(移行リスク、物理リスク)及び機会を特定し、中期経営計画をベースラインとして、2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ分析を実施しています。2019年度は環境省が実施する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参加し、インフラ事業(情報通信ソリューション事業の光ファイバ・ケーブルとエネルギーインフラ事業の電力ケーブル)からシナリオ分析を開始しました。以降、2020年度は自動車部品事業、2021年度はAT・機能樹脂事業と銅条・高機能材事業、2022年度はファイバ・ケーブル事業と電力事業、2023年度は、銅箔事業と電池事業、ファイテル製品事業のシナリオ分析を完了し、現在は産業電線・機器事業のシナリオ分析を行う等、引き続き事業分野別に段階的に対象事業の拡大を進めています。
<気候関連リスク及び機会の項目の特定プロセス>気候関連リスクと機会の特定は、Step1~Step3のプロセスで行います。まず、Step1では「外部情報」と「内部情報」を参考に、当社グループのみならずサプライチェーンの上流及び下流も含めて気候関連リスクと機会の項目リストを作成します。Step2では洗い出した項目に対して、「当社グループに与える影響度」を点数化し優先順位を付けます。Step3で、優先度の高い項目を気候関連リスク・機会の項目として特定します。特定した気候関連リスク・機会の項目は1.5℃シナリオや4℃シナリオにおける影響パラメーターを用いて、2030年度における事業への影響度評価を行います。
<シナリオ群の選択>TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ」を検討するに当たり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照し、2021年度までは「2℃以下シナリオ」と「4℃シナリオ」の検討を進めてきました。2022年度からは、2050年カーボンニュートラルへの取組みを加速するため、環境目標2030を改定し、SBT1.5℃認定にも申請したことに伴い、選択するシナリオを「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」に見直しました。
| 1.5℃シナリオ | IEA(International Energy Agency)「World Energy Outlook」 Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE シナリオ) |
| 4℃シナリオ | IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書 RCP8.5シナリオ |
<気候関連リスク及び機会の期間の定義>
| 短期 | 中期 | 長期 |
| 2028年度まで | 2030年度まで | 2050年度まで |
<シナリオ分析の概要>
| 区分 | 特定した気候関連リスク・機会の項目 | 発現時期 | 2030年における 事業への影響度 | |||
| 1.5℃ | 4℃ | |||||
| リ ス ク | 移行 リスク | 政策・規制 | 温室効果ガス排出への炭素税課税 | 中~長期 | 大 | 小 |
| 市 場 | 再エネ調達コストの増加 素材(銅・アルミ・樹脂)への炭素税課税による調達コストの増加 | 中~長期 | 大 | 小 | ||
| 物理 リスク | 急 性 | 異常気象による大規模災害(大型台風、豪雨、豪雪、落雷)による建物被害 気候災害等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断 | 中~長期 | 小 | 小 | |
| 洪水・渇水による沿岸部工場の操業停止 | 中~長期 | 中 | 大 | |||
| 慢 性 | 平均気温上昇による空調コストの増加 | 中~長期 | 中 | 大 | ||
| 機 会 | 市 場 | データセンタの消費電力低減に対する要求の高まりによる関連製品の売上・収益増 | 短~中期 | 大 | 大 | |
| 自動車の電動化の進展に伴う軽量化及び高圧対応製品需要増加による売上・収益増 | 大 | 中 | ||||
| 再エネの普及及び電力需要増加に伴う基幹系送電網増強、電力ケーブル需要増加による売上・収益増 | 大 | 中 | ||||
| 製品及びサービス | カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミー対応要請に伴う低・脱炭素化製品、リサイクル製品の要求増による販売増 | 中~長期 | 大 | 中 | ||
| 次世代エネルギー導入拡大に向けた技術開発 | 長期 | - | - | |||
| 光電融合導入拡大に向けた技術開発 | 長期 | - | - | |||
<当社グループのカーボンニュートラル実現に向けた取組みと気候移行計画の策定>気候関連の機会及びリスクを特定し、収益機会の獲得とリスクの低減の両面からカーボンニュートラル実現に向けた取組みを進めています。2021年10月にTCFDより公表された「指標、目標、移行計画に関するガイダンス」を踏まえ、2023年度から低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動である気候移行計画の策定を開始しました。
リスクの対応策については、2024年11月に環境ビジョン2050を改定し、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出量ネットゼロを目指すことを目標に掲げています。また、2050年に向けたマイルストンである環境目標2030において温室効果ガス排出量(スコープ1、2及びスコープ3)削減の目標を設定し、そのうち温室効果ガス排出量(スコープ1、2)は、25中計のリスクのマテリアリティ「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」のサステナビリティ指標として2025年度目標を設定しています。

環境ビジョン2050と環境目標2030の達成に向けた気候移行計画策定の一環として、当社グループの事業活動における温室効果ガス排出量削減にむけたロードマップを策定し、取組みを推進しています。スコープ1、2の目標達成のためには、工場の省エネや燃料転換を進めるとともに、再生可能エネルギーの積極的な利活用が不可欠であり、サステナビリティ指標として「全電力使用量に占める再生可能エネルギー比率」を設定し、再生可能エネルギーの利用比率向上に向けた取組み(水力発電の活用、太陽光発電設備の設置、再生可能エネルギー由来電力の導入)を進めています。
また、バリューチェーン全体での排出量削減に向け、バリューチェーン排出量(スコープ3)の算定及び把握に努めています。バリューチェーン排出量(スコープ3)算定に当たっては、環境省及び経済産業省が発行する「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する 基本ガイドライン (ver.2.6)」に則り、排出原単位は「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」及び「AIST-IDEAv3.3(日本語版)」を参照しています。当社グループのバリューチェーン排出量(スコープ3)のうち割合の高いカテゴリーは、カテゴリー1「購入した製品・サービス」及びカテゴリー11「販売した製品の使用」です。このうち、カテゴリー1については素材(銅・アルミ・樹脂)のリサイクル材活用を推進するとともに、サプライヤーに対し温室効果ガス排出量の算定及び削減の働きかけを行い、CSR調達ガイドラインに基づく自己評価調査票(SAQ)と併せて実施するアンケートにより購入製品に係る排出量データの把握に努めています。
サプライチェーンマネジメントの詳細については、「(1)サステナビリティ共通」を参照してください。
収益機会の対応策については、25中計期間において既存事業の収益安定化と新事業創出に向けた基盤整備を進め、2030年にはそれぞれの分野における社会課題を解決するとともに、カーボンニュートラル実現に貢献していきます。例えば、情報通信の高度化や生成AIの普及拡大によりエネルギーマネジメントの高度化や温室効果ガス排出量の削減が促進されていくことが期待されていますが、同時にデータセンタの増加による電力消費量の増加が懸念されています。当社グループにおいてはデータセンタ市場の拡大を収益機会と捉え、光ファイバ・ケーブル及び光デバイス等の供給を通して高度情報通信の実現に寄与するとともに、データセンタの電力消費の要因となるCPUやGPU等の高発熱化に対し、熱伝導性の高い半導体製造用テープであるAT製品や高性能ヒートシンク及びヒートパイプ等のサーマル製品の供給を通してデータセンタの低消費電力化に貢献します。また、情報通信領域における更なる大容量・低遅延・低消費電力化の要請に備え、光電融合技術の研究開発に取り組んでいます。
モビリティ領域の電動車市場に対しては、軽量化に寄与するアルミワイヤハーネスに加え、高圧関連製品(高圧ワイヤハーネスや高圧ジャンクションボックス等)の供給を拡大し、低炭素なモビリティの普及拡大に貢献します。また、情報通信領域やモビリティ領域における電力消費量の増加により、エネルギー領域においては再生可能エネルギーの普及拡大による電力分野の低炭素化と基幹系送電網増強の必要性が高まっています。第7次エネルギー基本計画等の国内のエネルギー政策の動向を注視し、洋上風力を中心とする再生可能エネルギーの拡大や次世代電力ネットワークの構築を電力ケーブルの供給により支えてまいります。併せて、核融合発電の実現に向けた高温超電導線材の開発や、グリーンLPガスの量産技術の確立等、研究開発及び新事業創出を推進しています。