有価証券報告書-第202期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/24 15:20
【資料】
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【項目】
212項目
② 戦略
<気候関連リスク及び機会の分析対象事業>当社グループは、TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮した組織戦略のレジリエンス」を示すために、2019年度から気候関連リスク(移行リスク、物理リスク)及び機会を特定し、中期経営計画をベースラインとして、2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ分析を実施しています。2019年度は環境省が実施する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参加し、インフラ事業(情報通信ソリューション事業の光ファイバ・ケーブルとエネルギーインフラ事業の電力ケーブル)からシナリオ分析を開始しました。以降、2020年度は自動車部品事業、2021年度はAT・機能樹脂事業と銅条・高機能材事業、2022年度はファイバ・ケーブル事業と電力事業、2023年度は、銅箔事業と電池事業、ファイテル製品事業のシナリオ分析を完了しました。引き続き事業分野別に段階的に対象事業の拡大を進めています。
<気候関連リスク及び機会の項目の特定プロセス>気候関連リスクと機会の特定は、Step1~Step3のプロセスで行います。まず、Step1では「外部情報」と「内部情報」を参考に、当社グループのみならずサプライチェーンの上流及び下流も含めて気候関連リスクと機会の項目リストを作成します。Step2では洗い出した項目に対して、「当社グループに与える影響度」を点数化し優先順位を付けます。Step3で、優先度の高い項目を気候関連リスク・機会の項目として特定します。特定した気候関連リスク・機会の項目は1.5℃シナリオや4℃シナリオにおける影響パラメーターを用いて、2030年度における事業への影響度評価を行います。
<シナリオ群の選択>TCFD提言が推奨する「2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオ」を検討するに当たり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照し、2021年度までは「2℃以下シナリオ」と「4℃シナリオ」の検討を進めてきました。2022年度からは、2050年カーボンニュートラルへの取組みを加速するため、環境目標2030を改定し、SBT1.5℃認定にも申請したことに伴い、選択するシナリオを「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」に見直しました。
<気候関連リスク及び機会の期間の定義>
短 期2025年度まで中期経営計画2022-2025、サステナビリティ目標の達成年度までの期間
中 期2030年度までビジョン2030、環境目標2030達成年度までの期間
長 期2050年度まで環境ビジョン2050達成年度までの期間


<シナリオ分析の概要>
区分特定した気候関連リスク・機会の項目発現時期2030年における事業への影響度
1.5℃4℃


移行
リスク
政策・規制温室効果ガス排出への炭素税課税中~長期
市 場再エネ調達コストの増加
素材(銅・アルミ・樹脂)への炭素税課税による調達コストの増加
中~長期
物理
リスク
急 性異常気象による大規模災害(大型台風、豪雨、豪雪、落雷)による建物被害
気候災害等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断
中~長期
洪水・渇水による沿岸部工場の操業停止中~長期
慢 性平均気温上昇による空調コストの増加中~長期

市 場スマートシティの普及や通信トラフィック急増に伴う5G/B5G整備加速による売上・収益増
情報通信、半導体メモリ、5G・スマホ関連製品需要増加による売上・収益増
再エネの普及に伴う基幹系送電網増強、海底ケーブル需要増加による売上・収益増
自動車電動化・軽量化に伴う製品需要増加による売上・収益増
短~中期
製品及びサービスカーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミー対応要請に伴う低・脱炭素化製品、リサイクル製品の要求増による販売増中~長期
次世代エネルギー導入拡大に向けた技術開発長期--

<当社グループのカーボンニュートラル実現に向けた取組みと気候移行計画の策定>気候関連の機会及びリスクを特定し、収益機会の獲得とリスクの低減の両面からカーボンニュートラル実現に向けた取組みを進めています。2021年10月にTCFDより公表された「指標、目標、移行計画に関するガイダンス」を踏まえ、2023年度から低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動である気候移行計画の策定を開始しました。
リスクの対応策については、長期目標として環境ビジョン2050を策定し、事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2050年ゼロにするチャレンジ目標とバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量を削減することを目標に掲げています。そこからのバックキャスティングによる環境目標2030、25中計のサステナビリティ目標において温室効果ガス排出量削減の目標を設定しています。事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2)削減に対する取組みでは、工場の省エネや燃料転換を進めるとともに、サステナビリティ指標として「全電力使用量に占める再生可能エネルギー比率」を設定し、再生可能エネルギーの利用比率向上に向けた取組み(水力発電の活用、太陽光発電設備の設置、再生可能エネルギー由来電力の導入)を進めています。2023年度は、環境ビジョン2050と環境目標2030の達成に向けた気候移行計画策定の一環として、エネルギーロードマップの作成に着手しました。
収益機会の対応策については、25中計期間において既存事業の収益安定化と新事業創出に向けた基盤整備を進め、2030年にはそれぞれの分野における社会課題を解決するとともに、カーボンニュートラル実現に貢献していきます。例えば、通信トラフィック急増に伴う5G/B5G整備加速に対しては、情報通信分野の開発力と提案力を強みとしたフォトニクス新製品を創出し、大容量情報通信と高効率エネルギー社会の同時実現に貢献します。洋上風力発電等の再生可能エネルギー普及拡大に不可欠な海底ケーブルや地中ケーブルの供給・布設によるカーボンニュートラル実現への貢献、次世代エネルギー導入拡大に向けた技術開発に対しては、グリーンLPガス創出技術によるカーボンニュートラルの実現と地産地承(※)できる社会基盤の構築への貢献や、高温超電導線材の開発によって化石燃料に代わる新エネルギー源として期待されている核融合エネルギーの推進等に取り組んでいます。
※ 地産地承:地産地消に加えて地域の資源や文化を次世代に承継すること。

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