有価証券報告書-第148期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としております。こうした基本理念を堅持しつつ持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上させていくためには、適正なコーポレート・ガバナンスに基づき経営の透明性、公正性を確保するとともに、イノベーションをキーワードに、保有する経営資源を最大限活用して成長戦略を果断に立案・実行していくことが重要であり、以下の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に取り組んでまいります。
(ⅰ)株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行う。
(ⅱ)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(ⅲ)会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
(ⅳ)取締役会の戦略等基本方針決定機能及び経営の監督機能を重視し、それらの機能の実効性が確保される体制の整備及び取締役会の運営に注力する。業務執行については、権限及び責任を明確化し、事業環境の変化に応じた機動的な業務執行体制を確立することを目的として、執行役員制並びに事業本部制を導入している。また、経営の健全性確保の観点から、監査役監査の強化を図ることとし、独立社外監査役と常勤の監査役が内部監査部門や会計監査人と連携して適法かつ適正な経営が行われるよう監視する体制としている。
(ⅴ)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で、株主との建設的な対話を行う。
[住友事業精神]
住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、明治24年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。
営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(昭和3年制定)より抜粋しました。
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからず
この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。
[住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)
住友電工グループは、
・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
(2) 会社の対処すべき課題
今後の世界経済は、全体では緩やかな回復が続くことが期待され、日本経済につきましても、雇用・所得環境の改善を背景に回復基調の継続が期待されます。しかしながら、米国の通商・金融政策や新興国経済の不確実性、地政学的リスクの高まり等による景気の下振れリスクは依然存在しており、引き続き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、住友事業精神と住友電工グループ経営理念を事業活動の根底に置き、S(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のさらなる進化に努め、企業体質の一段の強化やグローバリゼーション、研究開発の早期事業化など、成長に向けた取り組みを加速し、2018年度からスタートする中期経営計画「22VISION」の達成に向け、グループを挙げて邁進してまいります。また、各事業において次の施策を進めてまいります。
まず、自動車関連事業では、ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーを目指し、電動車両向けの高電圧ハーネスや電池関連製品、軽量で耐久性に優れた高強度アルミハーネス、自動車の電子制御に対応した電装部品や高速通信用コネクタなどの開発・拡販を加速してまいります。また、海外系顧客のシェア拡大に努めるとともに、電動車両や自動運転、コネクテッドカーの普及を見据え、グループ内の連携強化や他社との協業を通して製品開発力を強化し、さらなる事業拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、グローバルに広がる営業・開発拠点を活かして拡販を図りつつ、次世代自動車に向けた新製品開発へも取り組んでまいります。
情報通信関連事業では、光ファイバ・ケーブル、100Gbps*の高速光デバイス、携帯基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスについて、グローバルでの需要捕捉に引き続き取り組むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバや、データセンター向けの超多心光ケーブルの拡販も一段と進めてまいります。また、第5世代移動通信システムの整備や動画配信・クラウドサービスの拡大等による通信データ量増大に伴う光ファイバや次世代光・電子デバイスの需要増への対応にも注力してまいります。
* Gbps:gigabits per secondの略で、通信速度を表す単位。1Gbpsは1秒間に10億ビットのデータを送れることを表します。
エレクトロニクス関連事業では、携帯機器用FPC(フレキシブルプリント回路)について徹底した品質改善・コスト低減に加え、グローバルな拡販に引き続き注力してまいります。また、当社グループの総合力を活かし、さらなる高精細・極薄・高耐熱化による新製品の確実な立上げや車載市場等への事業拡大にも取り組んでまいります。さらに、電子ワイヤー、照射チューブについても、グローバルでの生産強化と拡販を加速してまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルの製造体制を強化しコスト低減や品質改善をさらに進めていくとともに、国内外の大型電力ケーブルプロジェクトの受注獲得、老朽化設備の更新需要の確実な捕捉により、収益力の向上を図ってまいります。このほか、電動車両向けのモーター用平角巻線などの拡販を進め、さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループ総合力を活かして、再生可能エネルギーやスマートグリッド関連事業の拡大にも注力してまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具においては、生産能力増強により国内外における需要の捕捉をこれまで以上に進めるとともに、主力の自動車分野に加え、航空機やエネルギー分野での難削材加工用の新製品開発と拡販を強化してまいります。また、焼結部品において国内外での供給体制の一層の強化を図るほか、PC鋼材やばね用鋼線についても、グローバル生産体制の拡充と拡販に注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、新しい電力・エネルギーインフラの構築に向けてレドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置、エネルギーマネジメントシステム関連製品の早期事業化に向けた開発と国内外での実証試験を加速するほか、超電導製品、マグネシウム合金製品、水処理装置、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイスや次世代通信ネットワーク用製品などの事業化に注力してまいります。さらに将来に向けては、自動運転や電動車両に対応する車載機器開発体制の強化や新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえ当社グループの特徴を活かした新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAI*やIoT*活用による生産革新、サイバーセキュリティ対策にも積極的に取り組んでまいります。
* AI :Artificial Intelligence(人工知能)の略。
* IoT:Internet of Thingsの略。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、あらゆる「モノ」
がインターネット等のネットワークに接続されること。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。なかでも競争法コンプライアンスは最重要の課題と位置付け、2010年6月に「競争法コンプライアンス規程」を制定して以来、グループ全体でその強化に取り組んでまいりました。今後も、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としております。こうした基本理念を堅持しつつ持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上させていくためには、適正なコーポレート・ガバナンスに基づき経営の透明性、公正性を確保するとともに、イノベーションをキーワードに、保有する経営資源を最大限活用して成長戦略を果断に立案・実行していくことが重要であり、以下の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に取り組んでまいります。
(ⅰ)株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行う。
(ⅱ)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(ⅲ)会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
(ⅳ)取締役会の戦略等基本方針決定機能及び経営の監督機能を重視し、それらの機能の実効性が確保される体制の整備及び取締役会の運営に注力する。業務執行については、権限及び責任を明確化し、事業環境の変化に応じた機動的な業務執行体制を確立することを目的として、執行役員制並びに事業本部制を導入している。また、経営の健全性確保の観点から、監査役監査の強化を図ることとし、独立社外監査役と常勤の監査役が内部監査部門や会計監査人と連携して適法かつ適正な経営が行われるよう監視する体制としている。
(ⅴ)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で、株主との建設的な対話を行う。
[住友事業精神]
住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、明治24年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。
営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(昭和3年制定)より抜粋しました。
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからず
この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。
[住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)
住友電工グループは、
・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
(2) 会社の対処すべき課題
今後の世界経済は、全体では緩やかな回復が続くことが期待され、日本経済につきましても、雇用・所得環境の改善を背景に回復基調の継続が期待されます。しかしながら、米国の通商・金融政策や新興国経済の不確実性、地政学的リスクの高まり等による景気の下振れリスクは依然存在しており、引き続き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、住友事業精神と住友電工グループ経営理念を事業活動の根底に置き、S(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のさらなる進化に努め、企業体質の一段の強化やグローバリゼーション、研究開発の早期事業化など、成長に向けた取り組みを加速し、2018年度からスタートする中期経営計画「22VISION」の達成に向け、グループを挙げて邁進してまいります。また、各事業において次の施策を進めてまいります。
まず、自動車関連事業では、ワイヤーハーネスをコアとするメガサプライヤーを目指し、電動車両向けの高電圧ハーネスや電池関連製品、軽量で耐久性に優れた高強度アルミハーネス、自動車の電子制御に対応した電装部品や高速通信用コネクタなどの開発・拡販を加速してまいります。また、海外系顧客のシェア拡大に努めるとともに、電動車両や自動運転、コネクテッドカーの普及を見据え、グループ内の連携強化や他社との協業を通して製品開発力を強化し、さらなる事業拡大に取り組んでまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースなどにおいて、グローバルに広がる営業・開発拠点を活かして拡販を図りつつ、次世代自動車に向けた新製品開発へも取り組んでまいります。
情報通信関連事業では、光ファイバ・ケーブル、100Gbps*の高速光デバイス、携帯基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスについて、グローバルでの需要捕捉に引き続き取り組むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバや、データセンター向けの超多心光ケーブルの拡販も一段と進めてまいります。また、第5世代移動通信システムの整備や動画配信・クラウドサービスの拡大等による通信データ量増大に伴う光ファイバや次世代光・電子デバイスの需要増への対応にも注力してまいります。
* Gbps:gigabits per secondの略で、通信速度を表す単位。1Gbpsは1秒間に10億ビットのデータを送れることを表します。
エレクトロニクス関連事業では、携帯機器用FPC(フレキシブルプリント回路)について徹底した品質改善・コスト低減に加え、グローバルな拡販に引き続き注力してまいります。また、当社グループの総合力を活かし、さらなる高精細・極薄・高耐熱化による新製品の確実な立上げや車載市場等への事業拡大にも取り組んでまいります。さらに、電子ワイヤー、照射チューブについても、グローバルでの生産強化と拡販を加速してまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルの製造体制を強化しコスト低減や品質改善をさらに進めていくとともに、国内外の大型電力ケーブルプロジェクトの受注獲得、老朽化設備の更新需要の確実な捕捉により、収益力の向上を図ってまいります。このほか、電動車両向けのモーター用平角巻線などの拡販を進め、さらに日新電機㈱や住友電設㈱を含めたグループ総合力を活かして、再生可能エネルギーやスマートグリッド関連事業の拡大にも注力してまいります。
産業素材関連事業では、超硬工具においては、生産能力増強により国内外における需要の捕捉をこれまで以上に進めるとともに、主力の自動車分野に加え、航空機やエネルギー分野での難削材加工用の新製品開発と拡販を強化してまいります。また、焼結部品において国内外での供給体制の一層の強化を図るほか、PC鋼材やばね用鋼線についても、グローバル生産体制の拡充と拡販に注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業・新製品の創出に努めてまいります。具体的には、新しい電力・エネルギーインフラの構築に向けてレドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置、エネルギーマネジメントシステム関連製品の早期事業化に向けた開発と国内外での実証試験を加速するほか、超電導製品、マグネシウム合金製品、水処理装置、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイスや次世代通信ネットワーク用製品などの事業化に注力してまいります。さらに将来に向けては、自動運転や電動車両に対応する車載機器開発体制の強化や新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえ当社グループの特徴を活かした新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAI*やIoT*活用による生産革新、サイバーセキュリティ対策にも積極的に取り組んでまいります。
* AI :Artificial Intelligence(人工知能)の略。
* IoT:Internet of Thingsの略。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、あらゆる「モノ」
がインターネット等のネットワークに接続されること。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。なかでも競争法コンプライアンスは最重要の課題と位置付け、2010年6月に「競争法コンプライアンス規程」を制定して以来、グループ全体でその強化に取り組んでまいりました。今後も、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。