有価証券報告書-第147期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 15:53
【資料】
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【項目】
128項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としております。こうした基本理念を堅持しつつ持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上させていくためには、適正なコーポレート・ガバナンスに基づき経営の透明性、公正性を確保するとともに、イノベーションをキーワードに、保有する経営資源を最大限活用して成長戦略を果断に立案・実行していくことが重要であり、以下の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に取り組んでまいります。
(ⅰ)株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行う。
(ⅱ)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(ⅲ)会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
(ⅳ)取締役会の戦略等基本方針決定機能及び経営の監督機能を重視し、それらの機能の実効性が確保される体制の整備及び取締役会の運営に注力する。業務執行については、権限及び責任を明確化し、事業環境の変化に応じた機動的な業務執行体制を確立することを目的として、執行役員制並びに事業本部制を導入している。また、経営の健全性確保の観点から、監査役監査の強化を図ることとし、独立社外監査役と常勤の監査役が内部監査部門や会計監査人と連携して適法かつ適正な経営が行われるよう監視する体制としている。
(ⅴ)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で、株主との建設的な対話を行う。
[住友事業精神]
住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、明治24年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。
営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(昭和3年制定)より抜粋しました。
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからず
この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。
[住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)
住友電工グループは、
・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
(2) 会社の対処すべき課題
今後の世界経済は、欧米における政策の不確実性、新興国経済の下振れリスク、政情不安や金融資本市場の変動による影響等により、さらに不安定となることが懸念されます。日本経済も個人消費等に力強さを欠く状態が継続し、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、住友事業精神と住友電工グループ経営理念を根本に据え、S(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のさらなる進化に努めながら、中期経営計画「17VISION」の最終年度にあたる2017年度を、中期目標の達成に向けた仕上げの年として、各事業において次の施策を進めてまいります。
まず、自動車関連事業では、グローバル総合部品メーカーを目指し、自動車の軽量化に寄与し耐久性に優れた高強度アルミハーネス、環境対応車向けの高電圧ハーネス、複雑化・高度化が進む自動車の電子制御に対応した電装部品や高速通信用コネクタなどの開発・拡販を加速してまいります。また、海外系顧客向けのさらなるシェア拡大に努めるとともに、一層のコスト低減にも注力してまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム・ホースにおいて、買収した海外事業の拠点、販路、技術などを活かして、グローバルでの拡販を図りつつ、引き続き体質強化に努めるとともに、収益力の向上に取り組んでまいります。
情報通信関連事業では、光ファイバ・ケーブル、100Gbps*の高速光デバイス、携帯基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスについて、海外での堅調な需要の確実な捕捉に引き続き取り組むほか、海底ケーブル用の極低損失光ファイバ、超多心光ケーブルをはじめとするデータセンター関連製品や、高度道路交通システムの拡販を一段と進めてまいります。また、アクセス系ネットワーク機器の新製品拡販にも引き続き注力し、収益力のさらなる向上を図ってまいります。
* Gbps:gigabits per secondの略で、通信速度を表す単位。1Gbpsは1秒間に10億ビットのデータを送れることを表します。
エレクトロニクス関連事業では、携帯機器用FPCについて2016年度は需要減少や競争激化に加え、新製品の生産立ち上げ遅れにより採算が厳しくなりましたが、グローバルでの徹底した品質改善・コスト低減と拡販に注力するとともに、当社グループの総合力を活かし、さらなる高精細・極薄・高耐熱化による新製品開発や車載市場等への事業拡大に取り組み、収益改善を進めてまいります。また、電子ワイヤー、照射チューブについても、グ
ローバルでの生産強化と拡販を加速してまいります。
環境エネルギー関連事業では、2016年11月にサウジアラビアの国営石油公社サウジアラビアン・オイル・カンパニーと海底電力ケーブルの長期納入契約を締結しました。さらに2017年3月にドイツのシーメンス社と高電圧直流送電分野で連携協力することに合意しました。同社のコンバーター、当社の高圧直流電力ケーブルといった先端技術をもとに、お客様に対し最適なソリューションの提供を進め、これらの取組みにより、グローバルでの拡販を加速してまいります。また、コスト低減による収益力向上や品質の強化に引き続き取り組んでまいります。このほか、環境対応車向けのモーター用平角巻線や電池用金属多孔体の拡販を進め、さらに日新電機㈱や住友電設㈱とも連携し、再生可能エネルギーやスマートグリッド関連事業の拡大にも注力してまいります。
産業素材関連事業では、2016年9月に米国大手焼結部品メーカーであるキーストーン社を買収しましたが、これにより当社焼結部品事業の米国におけるプレゼンスを向上させ、さらなるグローバルビジネスチャンスの獲得に取り組んでまいります。超硬工具では、中国、台湾、インド等新興国市場における需要捕捉をこれまで以上に進めるとともに、引き続き原料調達体制の強化を図ってまいります。また、主力の自動車分野に加え、今後の伸長が期待される航空機や精密加工分野向けの新製品開発と拡販を加速いたします。このほか、PC鋼材やばね用鋼線についても、グローバル生産体制の拡充と拡販に注力してまいります。
研究開発では、オリジナリティがありかつ収益力に優れた新事業、新製品の創出に努めてまいります。具体的には、新しい電力・エネルギーインフラの構築に向けてレドックスフロー電池、集光型太陽光発電装置、電力線通信応用製品の事業化に向けた開発と国内外での実証試験を加速するほか、超電導製品、マグネシウム合金製品、水処理装置、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイスや次世代通信ネットワーク用製品などの事業化に注力します。さらに将来に向けては、先進交通安全システムや新たな機能を発現する新材料の探索など、社会ニーズを踏まえ当社グループの特徴を生かした新製品の開発に注力するとともに、製造現場でのAI*やIoT*活用による生産革新、サイバーセキュリティ対策にも積極的に取り組んでまいります。
* AI :Artificial Intelligence(人工知能)の略。
* IoT:Internet of Thingsの略。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、あらゆる「モノ」
がインターネット等のネットワークに接続されること。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。なかでも競争法コンプライアンスは最重要の課題と位置付け、2010年6月に「競争法コンプライアンス規程」を制定して以来、グループ全体でその強化に取り組んでまいりました。今後も、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。

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