有価証券報告書-第77期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/22 14:07
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【項目】
161項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(経営成績等の状況の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、物価上昇、さらには米国の通商政策等により、先行き不透明な状況が継続しております。
加えて、ウクライナ情勢の長期化や中東地域における地政学的緊張の高まりは、原材料等の調達や原油価格の動向を通じて、サプライチェーンおよび最終製品需要に影響を及ぼす可能性があり、世界経済の下振れリスクとして懸念されております。
一方で、こうしたエネルギー価格の高騰は、内燃機関車を中心とした自動車需要にも影響を及ぼし得るとともに、自動車産業における構造変化を一層加速させる要因となり得ます。そのなかでも、このような環境変化は電動化の進展やエネルギー効率の高い製品への需要拡大を促す側面も有しており、当社グループにとっては、中長期的な事業機会の拡大につながるものと認識しております。
こうしたなか、自動車焼結事業において、国内における販売量の増加及び価格是正による増収、加えてタイ第2拠点の増産効果やハイブリッド車用インバーター部品の好調な受注により、過去最高の売上高となりました。
中長期的な事業戦略として、当社グループは、国内外の生産拠点再編による「基盤収益力の底上げ」、磁性材・鉄道・油圧事業への重点投資による「事業ポートフォリオ変革」を着実に進めてまいりました。
このような状況において、当連結会計年度の業績は、売上高は462億6百万円(前年度比8.2%増)となり、営業利益は11億95百万円と前年度に比べ5億12百万円の増益となりました。また、経常利益は7億54百万円と前年度に比べ2億81百万円の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純損失については、中長期的な戦略に沿ったグローバルな生産拠点再編等に伴う固定資産減損損失21億91百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は24億14百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失2億6百万円)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①自動車焼結事業
当連結会計年度においては、主要顧客のグローバルな生産・販売が好調に推移したことを背景に、当社グループの売上は増収となりました。増収要因として海外ではタイ子会社第2拠点における駆動系部品の販売が好調に推移したほか、国内においてもハイブリッド車用インバーター部品の受注が堅調であるなか、新型インバーター部品も生産を開始し、売上拡大に貢献いたしました。
利益面では、原材料やエネルギー価格の高騰、加えて労務費の上昇といったコスト増に対する販売価格への調整や、不採算製品に対する販売価格の適正化に取り組みました。さらに、過年度における原材料単価変動に伴う販売価格への反映が行われたことも加わりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は418億95百万円と前年度と比べ34億36百万円(8.9%)、セグメント利益につきましては、29億43百万円と前年度と比べ7億19百万円(32.4%)の増収増益となりました。
②鉄道焼結事業
新幹線用ブレーキライニング及びすり板の受注は前年度と同水準で推移しており、当連結会計年度は前年度と同程度の売上高となった一方で、原価改善が進みました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は23億81百万円と前年度と比べ8百万円(△0.4%)の微減となりましたが、セグメント利益につきましては、6億46百万円と前年度と比べ1億27百万円(24.7%)の増益となりました。
③油圧機器製品事業
デンタルチェア用製品について、トランプ関税の間接的影響により北米輸出を行う中国顧客向けの売上が減少したものの、北米顧客の売上の増加と新規案件の獲得により減少分を補填できました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は19億20百万円と前年度と比べ54百万円(2.9%)、セグメント利益につきましては、4億53百万円と前年度と比べ33百万円(8.1%)の増収増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は税金等調整前当期純損失であるものの、非資金項目である減価償却費や減損損失を計上しているためであり、47億59百万円の収入と前年度と比べ39億44百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度は前年度と同程度の有形及び無形固定資産の取得による支出となったものの、投資有価証券の売却による収入が減少したことにより、23億36百万円の支出と前年度と比べ17億92百万円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度において新規の長期借入金による資金調達を行ったものの短期借入金の返済及び中国の連結子会社の持分を取得したことによる支出により、12億51百万円の支出(前年度は8百万円の収入)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
自動車焼結事業41,986,1999.0
鉄道焼結事業2,344,845△2.3
油圧機器製品事業1,941,7785.4
合計46,272,8238.2

(注) 金額は販売価格によっております。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
自動車焼結事業42,099,5329.13,685,6855.9
鉄道焼結事業2,337,2940.3145,639△23.3
油圧機器製品事業1,966,0055.7181,94533.1
合計46,402,8328.44,013,2695.4

(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
自動車焼結事業41,895,0708.9
鉄道焼結事業2,381,655△0.4
油圧機器製品事業1,920,7732.9
その他9,25480.7
合計46,206,7548.2

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
㈱デンソー4,715,22511.05,254,56711.3
トヨタ自動車㈱4,103,9319.64,804,68510.3


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
(資産)
資産は463億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ、14億56百万円減少いたしました。これは、主に減損損失を計上したことに伴う有形固定資産の減少(前連結会計年度末比21億91百万円減)によるものであります。
(負債)
負債は313億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ、4億85百万円増加いたしました。これは、主に短期借入金の減少(前連結会計年度末比18億30百万円減)、中国の連結子会社である精密焼結合金(無錫)有限公司の持分取得により未払債務が増加したことによる流動負債のその他の増加(前連結会計年度末比10億76百万円増)、1年以内返済予定の長期借入金の増加(前連結会計年度末比12億79百万円増)等によるものであります。
(純資産)
純資産は150億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ、19億42百万円減少いたしました。これは、主に資本剰余金の増加(前連結会計年度末比12億76百万円増)、利益剰余金の減少(前連結会計年度末比25億円減)、為替換算調整勘定の増加(前連結会計年度末比12億52百万円増)、非支配株主持分の減少(前連結会計年度末比21億92百万円減)等によるものであります。
(2) 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、グループ一丸となり「経営基盤の再整備」「収益構造の抜本的改革」「事業ポートフォリオ変革」に取り組んでまいりました。当連結会計年度におきましては、「収益構造の抜本的改革」の取り組みとして、BEV化を見据えた資産効率・生産性向上を狙いとして、2024年8月に決定した国内拠点再編(自動車部品製造拠点を6拠点から4拠点に再編する取組み)のための諸準備を継続しております。また、少量不採算品に対して生産打切り・価格の適正化含めた改善を進め一定の成果につながっております。更に、デジタル技術と匠の技の融合によるモノづくり革新「未来Factory」について、量産工程に展開し、今後その技術を展開していくべく計画を策定中であります。
事業ポートフォリオ変革につきましては、成長分野である磁性材製品について、ハイブリッド車用のインバーター部品の受注好調に加え、新型ハイブリッド車用部品の新規ラインを増設し、更に当社が設計から生産まで一貫で取り組む高付加価値のユニット製品についても、2026年末の量産に向けた設備の導入をほぼ完了し、量産開始に向けた準備を進めております。鉄道・油圧事業についてはコア技術を活かした海外への拡販・産業機器分野の開拓など、お客様への提案活動含めた取り組みを進めております。タイ子会社第2拠点については、2024年11月に本格生産を開始しており、第2拠点における新規品の受注好調などにより、2026年3月期の売上・利益に貢献しました。
このような状況のなか、当連結会計年度の目標として中間期に見直しました、連結での売上高440億円、営業利益15億円、ROE6.2%の計画に対して、実績は売上高462億円、営業利益は11億95百万円、ROEは△17.0%でした。売上高については、ハイブリッド車用磁性材部品の受注好調や新規ライン増設、タイ第2拠点の新規品が大きく寄与し、販売数量が前年度比大幅に増加、業績予想に対しては、全般に販売量が増加したことに加え、円安への為替変動が売上を押し上げ、計画を上回りました。営業利益については、計画に対する販売量の増加に加え、全社をあげた原価改善の取組みや、不採算品の価格調整交渉の進展等により、実質的には計画を上回る結果でしたが、中国子会社における固定資産残存価額見直しを当期末に行った結果、上記結果となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失については米国子会社で固定資産減損損失等を計上したため赤字となりました。2026年4月にグローバル生産最適化の一環で当該米国子会社の事業停止を決定しており、順次他拠点に生産移管することで、連結固定費の低減と生産性向上を図り今後の収益力改善につなげてまいります。
なお、当連結会計年度は、前中期経営計画の最終年度であり、中期目標として、売上高400億円、営業利益率8%、ROE10%を掲げてまいりました。これに対し、前述の通り、売上高は、磁性材部品の計画以上の伸長やタイ第2拠点の新規品の影響などにより大幅な過達となった一方、営業利益率については、製品構成変化・少量品の増加などに対する構造改革のスピードが不十分で、また米国子会社における一部主力製品の打切りなども重なり、大幅な未達となりました。ROEについては前述の通り、米子会社の減損損失計上などがあり、マイナスとなりました。
こうした前中期経営計画の振返りや内外の環境変化を踏まえて策定した、新たな中期経営計画に基づき、初年度である2027年3月期については、そのテーマである構造と人の変革、特に収益基盤の強化を中心に進めてまいります。
連結売上高について米国における主要製品の一部打切りの影響で減少を見込むものの、主力の磁性材製品は先に言及した新型ハイブリッド用製品や高付加価値ユニットの販売を着実に伸ばし、更に原価改善や価格適正化を進め、前期を上回る営業利益の確保を図るとともに、親会社株主に帰属する当期純利益についても黒字化を図ります。
当社グループの資金状況は、営業キャッシュ・フローが47億59百万円に加え、仕入先への支払いサイト短縮など特殊要因で減少した前期の影響を除いても、これまでの取組みの結果、着実に改善しつつあります。事業ポートフォリオ変革の一つの柱である新世代ハイブリッド車用磁性材製品用新規ライン設置等の投資キャッシュ・フローで23億36百万円、株主還元に85百万円を支出した結果、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度より14億18百万円増加し、55億37百万円となりました。引き続き、中期経営計画に沿って稼ぐ力の強化をしてまいります。
今後の資金需要としましては、国内における磁性材製品の高付加価値品や新規分野への開発投資等に伴う設備投資やグローバル拠点再編に伴う費用がありますが、必要資金は自己資金及び借入金に加え、政策保有株式などの資産売却でまかなう予定です。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 固定資産の減損損失
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。

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