有価証券報告書-第76期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/29 10:05
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続いたことで、総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、米国の通商政策の動向や中東情勢の影響などによる原材料を起点としたサプライチェーンの混乱が、景気を下押しするリスクとなっております。
このような経営環境のもと当社グループにおきましては、2022年度より2030年度を最終年度とするKTCグループ長期ビジョン「KTC vision 2030」を策定し、基本方針に「社会の期待を超えたツールで、人の能力を拡張し、世の中の安全を創り出す」を掲げております。当該ビジョンでは、2030年度までの9年間を3フェーズに分け、3年毎の中期経営計画を策定することとしており、2025年度は第2次中期経営計画の初年度となる予定でした。しかしながら、当社連結子会社である北陸ケーティシーツール株式会社における不適切な会計処理事案や、当社の戦略製品であるデジタルトルクレンチの自主回収事案の発生を受け、「コーポレート・ガバナンスの強化」、「内部統制の整備」、及び「品質体制の見直し」を喫緊の課題と認識し、経営基盤の立て直しに注力してまいりました。
なお、不適切会計事案の調査費用等5億61百万円を特別損失として計上しております。一方で、同事案に直接的に関与した元役員に対する損害賠償請求における受取和解金1億円を特別利益として計上しております。また、自主回収事案では、2026年3月31日付で当該製品の生産中止を含む対応方針を決定したことに伴い、新たに費用が発生することが判明したため、89百万円を特別損失として計上しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は83億34百万円(前年同期比7.9%減)、営業利益は7億53百万円(前年同期比11.1%減)、経常利益は8億17百万円(前年同期比13.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億1百万円(前年同期比7.9%減)となりました。
事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。
開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担う「TRASAS(TRAceable Sensing and Analysis System)」シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。
また、航空宇宙産業やMRO市場をはじめ様々な業界で安全に対する社会的要求が高まるなか、RFIDを搭載した「nepros ID」シリーズの展開に注力しております。2025年9月には、シンガポールで開催された展示会「MRO Asia-Pacific 2025」において、「MRO Technology Achievement of the Year(MROテクノロジー年間最優秀賞)」を日本企業で初めて受賞いたしました。2026年2月には「SINGAPORE AIRSHOW 2026」へ出展したほか、専用WEBサイトの開設を通じた情報発信に注力しております。
「TRASAS」シリーズでは、一部製品の自主回収により多大なご迷惑をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。当社はこれからも、「ツールで人の能力を拡張する」をコンセプトに製品を開発してまいります。「人が工具を支えるだけではなく、従来の工具にソフトやサービスを含めたツールで、人のできることを増やしていく」、例えば「非力な人の作業を補う」ことや「知識・経験が必要な作業を誰もが正確に再現できる」ことなど、インクルーシブな社会に順応した誰でも使えるツールを提供することで社会に貢献してまいります。
販売面では、全国の得意先やエンドユーザーに向けて「KTCものづくり技術館」に加え、お客様の現場にて様々な研修会の開催に注力しております。
さらに、当社のフラッグシップブランドである「nepros」が、2025年1月に誕生30周年を迎え、ロゴマークを刷新すると共に、新たに「BEYOND THE BEST」をタグラインとして設定いたしました。タグラインは、プロメカニック用の工具として「最善の先にあるもの」を追い求めて進化し続ける姿勢を表しております。これを機に、「nepros」のグローバル展開を加速してまいります。特に北米市場におけるツールトラックチャネルでの販売を通じて現地のプロメカニックの要求に応えることで、更なる進化とグローバルブランドの確立を目指してまいります。また、この一環として、2025年11月にラスベガスで開催された世界最大規模の自動車関連見本市である「SEMA Show 2025」に出展いたしました。
生産面では、自社工場を製品開発の中核拠点として捉え、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。脱着作業などの単純な繰り返し作業をロボットが行うことで、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になり、独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。
これらに加え、サプライチェーンマネジメントの強化を図るため、新規設備の導入を行い主力工場の改善に継続して取り組むとともに、既に生産の各工程に導入した新規設備を本格稼働させ、とくに「nepros」「nepros ID」製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るなど、生産体制の更なる安定と強化に取り組んでおります。また、物流業務やグループ内の生産拠点再編により、リスク管理への対応と各成長戦略を見据えた工場再編を進めております。
なお、当社グループは、サステナビリティへの取り組みを、「地球に、社会に、私たちができること」として、「E 地球環境に徹底的に貢献する」、「S あらゆるステークホルダーと共生する」、「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針に、安全・安心で持続可能な社会の実現に向け取り組んでおります。また、2025年4月より従来のESG委員会をサステナビリティ委員会へ改め、下部組織として3つの分科会を設け「企業と社会の持続可能性の両立」を目指し、その取り組みを“強化・加速”してまいります。
その取り組みの一つとして、E:環境面では、本社敷地内の一部工場の屋根に太陽光発電パネルを設置し、2025年10月より稼働を開始いたしました。使用する電力量の一部を太陽光発電で賄うことで、温室効果ガス排出を抑制し、地球温暖化対策や環境保護に貢献してまいります。S:社会面では、多様化する社会において、未来で活躍できる技術者の育成のため、国立大学法人奈良女子大学工学部と連携し、当社グループの従業員が講師として参加するなど、産学連携を通じた「技育(技術の教育)」分野でのオープンイノベーションを推進しております。また、京都府山城教育局と連携し「やましろ未来っ子サイエンスラリー」へ参加、地域の小中学生にものづくりの魅力に触れる機会を創出しました。加えて、KTCものづくり技術館への見学を積極的に受け入れ、当社の企業活動への理解を深め、地域社会をはじめとするステークホルダーからの信頼獲得に努めています。G:ガバナンス面では、すべてのステークホルダーにとって「価値ある企業」であり続けるため、ガバナンスの再構築に向け、①取締役会、監査等委員会におけるモニタリング機能の強化(執行と監督の分離の徹底)、②指名委員会によるサクセッションプランニングの強化、③新たな経営体制の構築(上記の実現を見据えた人選)に取り組み、運用を進めております。また、2026年6月26日開催の第76回定時株主総会において、社外取締役1名を新たに選任しております。外部の知見を積極的に取り入れることでより一層経営の健全性を高めてまいります。
これらの結果、展示会への積極的な参加等により潜在需要の掘り起こしに注力するも、市販部門及び直販部門における販売が前年同期の水準に及ばなかったことに加え、戦略製品であるデジタルトルクレンチの自主回収に伴う影響等もあり、当連結会計年度の売上高は80億79百万円(前年同期比8.3%減)、セグメント利益は5億78百万円(前年同期比16.1%減)となりました。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。また、2025年2月には、久御山町に新たな収益物件を取得し、賃貸物件として運営を開始いたしました。
当連結会計年度におきましては、所有不動産の安定的な稼働や、新たな収益物件の貢献もあり、売上高は2億55百万円(前年同期比9.9%増)、セグメント利益は1億74百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、固定資産の取得による支出、配当金の支払等で資金を支出したものの、主に投資有価証券の売却や営業活動で獲得した資金がそれらの支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べて1億62百万円増加し、当連結会計年度末残高は、30億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は2億29百万円(前期は10億73百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7億47百万円(前期は8億8百万円)に加え、売上債権の減少6億33百万円(前期は1億4百万円の増加)などによる資金の増加があった一方、投資有価証券売却益5億6百万円(前期は16百万円)、その他の負債の減少3億95百万円(前期は1億65百万円の増加)、棚卸資産の増加1億63百万円(前期は76百万円)などによる資金の減少があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の増加は1億41百万円(前期は12億52百万円の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入5億36百万円(前期は48百万円)、定期預金の払戻による収入1億37百万円(前期は24百万円)による資金の増加があった一方、固定資産の取得による支出5億17百万円(前期は11億62百万円)、定期預金の預入による支出20百万円(前期は1億34百万円)による資金の減少があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は2億8百万円(前期は3億18百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額1億93百万円(前期は2億18百万円)があったことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前期比(%)
工具事業(千円)8,671,47089.6
ファシリティマネジメント事業(千円)--
合計(千円)8,671,47089.6

(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前期比(%)
工具事業(千円)8,079,11791.7
ファシリティマネジメント事業(千円)255,248109.9
合計(千円)8,334,36692.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
トラスコ中山株式会社1,405,45315.51,526,96118.3
ヤマト自動車株式会社1,104,81012.21,170,00314.0
トヨタ自動車株式会社1,473,65116.3972,41811.7


(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、83億34百万円(前期比7.9%減)となりました。展示会への積極的な参加等により潜在需要の掘り起こしに注力するも、市販部門及び直販部門における販売が前年同期の水準に及ばなかったことに加え、戦略製品であるデジタルトルクレンチの自主回収に伴う影響等もありました。
b.営業利益
営業利益は、生産性向上のため先行投資した新規設備の運用など、全社を挙げて経費削減に取り組みましたが、調達コスト及び人件費の増加などにより7億53百万円(前期比11.1%減)となり、売上高営業利益率は9.0%(前期比0.4ポイント減)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外損益は、営業外収益として受取配当金53百万円、営業外費用として支払利息11百万円を計上したことなどにより、64百万円の利益(純額)となり、経常利益は8億17百万円(前期比13.4%減)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、特別利益として投資有価証券売却益5億6百万円、受取和解金1億円、特別損失として特別調査費用等5億61百万円、製品回収関連損失引当金繰入額89百万円、固定資産除売却損23百万円を計上したことなどにより、69百万円の損失(純額)となり、税金等調整前当期純利益は7億47百万円(前期比7.5%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に1億98百万円、法人税等調整額に47百万円を計上したことにより、5億1百万円(前期比7.9%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、157億90百万円となり、前連結会計年度末に対し4億98百万円減少となりました。その主な内容は、商品及び製品が2億18百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が4億91百万円、電子記録債権が1億42百万円、建物及び構築物(純額)が65百万円減少したことなどによるものであります。
b.負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は、31億72百万円となり、前連結会計年度末に対し8億63百万円減少となりました。その主な内容は、繰延税金負債が72百万円増加した一方、未払金が3億7百万円、その他流動負債が2億81百万円、支払手形及び買掛金が1億32百万円、未払法人税等が1億8百万円、未払費用が57百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、126億17百万円となり、前連結会計年度末に対し3億64百万円増加となりました。その主な内容は、利益剰余金が3億8百万円、その他有価証券評価差額金が56百万円増加したことなどによるものであります。
当社グループの当連結会計年度の流動性及び資金の源泉は、次のとおりであります。
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの資金需要は、製造販売業として機能するための原材料等の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用のほか、成長投資及び株主還元によるものがあります。成長投資は主に、設備投資、M&A、アライアンス、人的資本投資であり、競争力強化と事業の拡充・発展を目的としております。株主還元については、継続的かつ安定的な配当の維持を基本方針としております。
c.財務政策
運転資金につきましては、現在、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、成長投資につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務改善・資産活用によるキャッシュ創出を基本としながら、必要に応じて金融機関からの借入れを活用することにより、調達を行ってまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

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