有価証券報告書-第164期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 9:56
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は創業以来、輪転機及び工作機械の製造会社として長い伝統のもとで真の物づくりに邁進してきたことで、内外の一流のお客様に恵まれ、今日の基礎を築き上げてまいりました。
これからも当社の経営理念である「お客様が求める製品開発とサービスの提供により、環境に配慮した社会の創造と豊かな情報社会の実現に貢献し、グループ全体による新規事業展開により新たな価値を創造する」ことをモットーに、お客様が真に求める製品を提供してまいります。品質第一の製品製作に努めると共にお客様へのアフターサービスの充実を図り、国内外において情報社会に貢献できるよう努力し、株主の皆様をはじめ当社グループに信頼をお寄せ頂いている方々の期待にお応えしてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題
当社は、「技術力の優位性に基づいた営業展開によりさらなる顧客満足を追求する」「適正価格の追求と生産性向上によりグループ全体の収益力向上を図る」「AI、FA、ICTを軸とする新規事業の推進により収益の柱を構築する」を経営戦略として掲げております。
当社の主力事業であるオフセット輪転機事業においては、国内市場・海外市場それぞれに合った製品を、従来のプロダクトアウトの考え方からマーケット・インの考え方に転換して提供することを目指してまいります。
また、オフセット輪転機の使用年数の長期化による保守サービス需要増加により、当社の売上高に占める保守サービス事業の割合も高まっており、これらの獲得に加え潜在的需要の掘り起こしも行ってまいります。
新たな事業分野としては、AI、FA、ICTを軸とする事業に取組み、中長期的にはオフセット輪転機事業に次ぐ主力事業に育て、事業領域の拡大を図ってまいります。
構造改革の推進による収益性の向上につきましては、2016年3月期連結会計年度まで8期連続の営業損失を計上しておりましたが、その後、3期にわたり営業利益を計上、前連結会計年度は営業損失であったものの、当連結会計年度においても営業利益を計上し、一定の業績回復を果たしました。
当社グループを取り巻く事業環境は、依然として厳しい状況が続いているものの、保守サービス需要などを確実に取り込み、予算管理と経費削減を徹底してまいりました。
引き続きさらなる収益力改善と財務基盤の強化を図るため、以下の項目を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、グループを挙げて取り組んでまいります。
1. 保守サービスを中心とした輪転機事業の収益力向上
当社グループの主要な顧客である新聞業界は、新聞発行部数の長期逓減により厳しい状況が続いております。さらに新型コロナウイルス感染症拡大による影響も加わって、輪転機の更新需要は大幅に減少することが予測されております。当社では、少ない更新需要を確実に受注しつつ、既設輪転機にAI機能を搭載し、機能性アップと長期使用に合わせたメンテナンス計画を提案することで、新たな需要を創出し、収益力の強化を図ってまいります。
2. AI、AGV、ICTの販売を核とする新規事業の確立
新聞社各社の経営環境が一層厳しくなるなか、新聞印刷に関する人員の確保および技術の継承が課題になっております。そのため、輪転機の自動化・無人化・スキルレス化等、AI技術を活用したコストパフォーマンスに優れた新しい自動化システムに対する需要が高まっております。当社グループでは輪転機用AI関連事業に経営資源を投入し、この需要に対応できる体制を整えてまいります。また、株式会社KKSが中心となり行っているAGV事業および株式会社東機システムサービスが実績をあげているICT事業をグループ全体の事業として拡販を図ってまいります。拡販につきましては、すでにグループ会社横断で、AI・AGV・ICT事業のプロジェクトチームを立ち上げ、意識の強化を図り拡販策の検討および販売実績の積み上げに取り組んでおります。
3.グループ全体の事業・人員の効率的配置と人材の育成
高い付加価値・生産性の高いモノづくりを実現するため、当社および当社グループ会社を含めた事業、人員の再編・再配置、人材育成の強化を行っております。
その一環として当社グループ会社の株式会社KKSを西日本における当社製品の保守サービス事業の拠点と位置づけ、当社の関西営業所および西日本サービスセンターを株式会社KKS内に移転いたしました。分散していた事業所を集約することで情報と人の交流を活性化させ、これまでの業務フローの抜本的な見直しおよび経営資源の最適化を行うことで、質の高い保守サービスを提供してまいります。
4.予算管理と経費削減
前期に引き続き、仕入れや外注費用等の変動費総額を大幅に縮減することが、当社グループの存続を担保するうえで極めて重要であり、2021年度事業計画の最重要テーマと考えております。このため新たにデータベースアプリケーションを導入し、予算の一元管理化および見える化を推進してまいります。あわせて経費についても見直しを行い、コストを縮減し、収益性の向上に取り組んでまいります。
5.女性活躍推進の取り組み
当社では、女性社員は男性社員に比べ、人数は大幅に少ないものの、営業部門・技術部門・購買部門など女性の活躍できる場が増えています。多様な価値観を持つ社員が活躍できる環境を整備し、今後さらに、女性社員一人ひとりが活躍できる職場環境づくりを目指してまいります。