有価証券報告書-第84期(2024/01/01-2024/12/31)
① 気候変動(TCFD提言に基づく開示)
気候変動にかかわる社会課題の解決に貢献することは、社会の一員として健全な社会倫理・価値観を共有することを経営理念とする当社グループが負う社会的責務であるとともに、当社グループの経営上の重要な課題と位置づけています。
・インダストリアル事業は、低・脱炭素社会への移行に適合すべく、水素航空機向け液化水素ポンプの実液試験、火力発電利用に適合した液化アンモニアポンプ開発に成功するなど、社会実装を見据え、先行して技術開発に着手しています。
・航空宇宙事業は、脱炭素燃料への転換が求められる民間航空機や次世代移動手段向けの装置設備等の軽量化需要が収益機会になると見込んでいます。
・メディカル事業は、血液透析関連製品のサプライチェーンが気候変動に伴う異常気象の影響をうけ、停止または切断するリスクを軽減・適合することが重要課題のひとつとなっています。
①-1 ガバナンスとリスク管理
気候変動に伴うリスクと機会に対する監督体制及びそのプロセスは、それぞれ前記(2)および(3)の監督体制とプロセスに従っています。
2024年2月および5月、サステナビリティ委員会は当期に取り組むべき気候変動に伴うリスク及び機会として、次の2つの課題を決定しました(前掲の表3)。
・GHG排出量の削減(担当組織は環境推進委員会)
・低・脱炭素社会移行へのインダストリアル事業、航空宇宙事業およびメディカル事業の軽減・適合(担当組織は各事業部)
2024年9月および2025年3月、サステナビリティ委員長から、取締役会に対して、上記リスク項目の進捗と成果を報告しています。
①-2 戦略:リスクおよび機会の特定、経営に及ぼす影響、それらに対する経営戦略の適合性(レジリエンス)
[事業環境に関する想定]
2100年の気温上昇を産業革命前と比較し1.7℃に抑える気候関連のシナリオ、2.4℃上昇するシナリオおよび4℃上昇するシナリオを使用して、次の事業環境を想定します。
■ 低炭素社会へ移行する事業環境(「1.7℃上昇の事業環境」)
各国政府によるすべての気候変動関連の公約が完全かつ期限内に達成され、2100年の気温上昇を産業革命前と比較し、1.7℃に抑えるシナリオ(IEA World Energy Outlook 2024のAPS(注3)などを参照)に基づく。
■ 化石燃料に一部依存する社会が発展的に存続する事業環境(「2.4℃上昇の事業環境」)
再生可能エネルギーの導入は加速するものの、現在の各国の政策以外に新たな政策がない場合には、2100年の気温上昇が産業革命前と比較し、2.5℃/2.4℃になると予測するシナリオ(IEA World Energy Outlook 2024、同2023のSTEPS(注4)などを参照)に基づく。
■ 4℃上昇する事業環境
各国が気候政策を導入しない結果、GHG排出量が非常に多く、2100年の気温上昇が1850~1900年を基準として4℃上昇するとのシナリオ(IPCC(注5) 第6次評価報告書など参照)に基づく。
[認識する事業環境における事業別のリスク・機会の及ぼす影響と経営戦略・対応策の適合性(レジリエンス)]
以下に当社グループの主要事業について実施した、気候変動に伴うリスク及び機会に関するシナリオ分析の結果の概要を掲載します。以下に掲載するリスク及び機会は、サステナビリティ委員会が統合するサステナビリティ課題等に関する識別、評価のプロセスを経て、当期においてあらためて判別されたものです。
結論として、本有価証券報告書提出日現在において、合理的に入手可能な情報に基づき気候変動に伴うリスク及び機会に関するシナリオ分析を実施した結果、以下に記載する当社グループの経営戦略・対応策は複数の気候変動シナリオから想定される事業環境のいずれにも適合しうると判断します。
(注3)APS:IEA(International Energy Agency 国際エネルギー機関)の3つのシナリオのひとつ。APS(公約シナリオ)はNDC(国が決定する貢献)や長期的なネット・ゼロ目標を含む、各国政府によるすべての気候変動関連の公約を考慮し、それらが完全かつ期限内に達成されると仮定するシナリオ。これによれば、年間CO2排出量は2022年以降まもなくピークに達した後、2050年までに120億トンまで急速に減少し、2100年の気温上昇は1.7℃となる。
(注4)STEPS:IEAの3つのシナリオのひとつ。STEPS(既存政策シナリオ)はエネルギー、気候、関連産業政策を含む最新の政策設定に基づく見通しを提供するシナリオ。これによれば、世界全体のエネルギー由来のCO2排出量が2025年に年間370億トンでピークに達し、2050年には320億トンに減少する。その結果、2100年の気温上昇は2.5℃/2.4℃となる。
(注5)IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する気候変動に関する政府間パネル。世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織。
<移行リスク>(注6)
<機会>
<物理的リスク(注9)>
(注6)移行リスク:低炭素社会への移行に関連したリスク(TCFD最終報告書2017年6月)。
(注7)時間軸:財務への重要な影響を与える可能性のある具体的な気候関連事項について次の時間的範囲(短期、中期、長期)で想定します。短期(現在~1年間)、中期(短期超~6年間)、長期(中期超~) 以下本文で同じ。
(注8)重要度:当該リスクと機会の発生可能性と発生した場合の財務的、人的影響度の2軸で評価します。
・大(①財務的または人的な影響の大きさにかかわらず、頻繁に発生する ②発生可能性にかかわらず、財務的または人的な影響が極めて甚大)
・中(稀にまたはしばしば発生し、財務的または人的影響が一定程度を超えると予想)
・小(大中以外)
以下本文で同じ。
(注9)物理的リスク:気候変動の物理的影響に関連したリスク(TCFD最終報告書2017年6月)。
≪低炭素社会への移行に関する計画(移行計画)≫
<目標>2019年(23,286t-CO2)を基準年とし、当社単体及び国内主要連結子会社を対象として、Scope1及び同2のCO2総排出量(t-CO2)について、2025年15%減、2030年30%減とすることを目標とします。
<取組済の削減策>■ 金沢製作所(血液透析装置など血液透析関連製品を製造する国内基幹工場)における取組
○ 2024年から、同製作所において消費する電力全量を実質的な再生可能エネルギーに切り替える計画(注10)を本格的に進めています。
・オンサイトPPA(太陽光)の導入(注11):2023年3月運用開始(年間発電量 615MW h GHG年間削減量295t- CO2)
・非化石証書の購入:2024年5月から購入継続。
・オフサイト・バーチャルPPAの導入(注11):2024年9月一部運用開始。北陸電力㈱の委託する発電事業者が日本国内に新たに開発する10か所の太陽光発電所から、発電にともない生み出される年間3.5Gwh分の追加性のある環境価値を非化石証書として、20年間にわたり調達します。これにより、同製作所のCO2排出量は年間1,680t- CO2削減する見込みです。
■ 宮崎日機装(航空宇宙事業、インダストリアル事業の国内基幹生産拠点)における取組
○ 2024年6月、オンサイトPPA(太陽光)の運用開始(年間発電量 873MWh GHG年間削減量 404t- CO2)
<計画中の削減策>○ 国内の工場、生産拠点において、LED照明敷設、遮熱塗装、生産設備の更新などの実施を計画しています。
(注10)当社金沢製作所の消費電力全量の実質再生可能エネルギー100%化:本有価証券報告書提出日現在、当社金沢製作所では電力の一部をオンサイトPPA(2023年4月から運用開始)の方法で調達するほか、エネルギー高効率の生産設備への更新などにより、消費電力節減とCO2排出削減に努めていますが、これらの施策によっても削減しきれないCO2が残ります。この残存するCO2について、オフサイト・バーチャルPPA(2024年9月から一部運用開始)による環境価値の調達や非化石証書(2024年5月から購入)の活用により、本製作所にて消費する電力全量を、CO2を排出しない実質的な再生可能エネルギー由来電力に切り替える計画を進めています。本計画の達成により、年間約7,400t-CO2の削減を目指します。
(注11)オンサイトPPA/オフサイト・バーチャルPPA:PPA(Power Purchase Agreement :電力購入契約) は、電力需要家が発電事業者から直接再生可能エネルギーを購入する契約形態であり、そのうちオンサイトPPAは需要家の敷地内に建設する発電所で発電された太陽光の電気価値と環境価値の両方を需要家が調達する手段です。これに対して、オフサイト・バーチャルPPAは、需要家の敷地外に建設する専用発電所で発電された再生可能エネルギーの環境価値のみを需要家が調達する手段とされます。
<主要な製品・サービス>産業用ポンプ・システム、液化ガス・産業ガス関連機器・装置、発電プラント向け水質調整装置、電子部品製造関連装置
<移行リスク>
<機会>
<経営戦略・対応策>
(注12)合成メタン:水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を反応させ、天然ガスの主な成分であるメタン(CH4)を合成して製造する。メタンは燃焼時にCO2を排出するが、合成メタンの原料として、発電所や工場などから回収したCO2を利用すれば、燃焼時に排出されたCO2は回収したCO2と相殺されるため、大気中のCO2量は増加しないとされる。
(注13)アンモニア混焼・専焼:火力発電の燃料の一部/全部をアンモニアに置き換える手法。アンモニア(NH3)は炭素を含まないため、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、CO2排出削減の有力な技術とされる。
(注14)アンモニアポンプの収益機会:『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(経済産業省2021年)は、2030年までに石炭火力への20%アンモニア混焼の導入・普及、2050年までに混焼率の向上(50%)や専焼化技術の実用化を目指すとします。需要量は、国内では2030年に年間300万トン、2050年に3000万トンと想定される。また、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告『INNOVATION OUTLOOK RENEWABLE AMMO NIA』(2022年)によると、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑えるためのシナリオに沿うと、世界全体のアンモニア需要は2020年代後半から船舶用燃料、水素キャリア、燃料混焼用途で伸びを見せて、2050年に約6億8800万トンに達し、2025年の予測需要から3倍以上伸びると予想される。
(注15)液化水素ステーション分野の当社グループの取組:米国所在の当社連結子会社グループ CE&IGグループは、米国および韓国において、バスや大型トラック向けを中心に液化水素ステーション用の機器の製造からステーションの建設およびメンテナンスまで一貫して手掛けています。
(注16)水素・アンモニア分野の当社グループの取組:水素を燃料とする水素航空機向けとして、液化水素をエンジンに送り込む過程で使うブースタポンプの開発を継続しており、2025年度の地上実証向け納入を目指します。また、火力発電所向けの液体アンモニア用ポンプについては、国内では、早ければ2027年度にも火力発電所で20%のアンモニアを混ぜた商業運転をする計画があり、当社グループは2026年に市場投入する計画です。液体アンモニアポンプの大型化を図り、混焼率引き上げへの対応や、アンモニア基地 PC タンク用途への展開を進めます。
<主要な製品・サービス>民間航空機向け炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形品
<移行リスク>
<機会>
<経営戦略・対応策>
(注17)SAF: Sustainable Aviation Fuel.「持続可能航空燃料」。植物や廃油などから作ったバイオ燃料で、CO2の排出を従来の燃料よりも大幅に削減した航空燃料。
(注18)eVTOL :Electric Vertical Take-Off and Landing 「電動の垂直離着陸機」。2024年1月、当社グループはJoby Aviation社へ同社が開発するeVTOLに使用されるCFRP製の構造部品を初出荷しました。
(注19)CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics. 「炭素繊維強化プラスチック」。CFRPはプラスチックと繊維の特性を併せ持ち、比重1.5〜1.7(鉄の20%、アルミニウムの60%)と非常に軽い素材で、炭素繊維の種類や配向方向などによっては鉄の10倍の比強度(重さに対する強度)を持つのが大きな特徴。航空機部品の素材としては、強度を保ちながら軽量化できることから、燃費の向上によるコスト削減や環境負荷の低減につながるとされる。
<主要な製品・サービス>血液透析関連製品
<移行リスク>
<機会>
<経営戦略・対応策>
気候変動にかかわる社会課題の解決に貢献することは、社会の一員として健全な社会倫理・価値観を共有することを経営理念とする当社グループが負う社会的責務であるとともに、当社グループの経営上の重要な課題と位置づけています。
・インダストリアル事業は、低・脱炭素社会への移行に適合すべく、水素航空機向け液化水素ポンプの実液試験、火力発電利用に適合した液化アンモニアポンプ開発に成功するなど、社会実装を見据え、先行して技術開発に着手しています。
・航空宇宙事業は、脱炭素燃料への転換が求められる民間航空機や次世代移動手段向けの装置設備等の軽量化需要が収益機会になると見込んでいます。
・メディカル事業は、血液透析関連製品のサプライチェーンが気候変動に伴う異常気象の影響をうけ、停止または切断するリスクを軽減・適合することが重要課題のひとつとなっています。
①-1 ガバナンスとリスク管理
気候変動に伴うリスクと機会に対する監督体制及びそのプロセスは、それぞれ前記(2)および(3)の監督体制とプロセスに従っています。
2024年2月および5月、サステナビリティ委員会は当期に取り組むべき気候変動に伴うリスク及び機会として、次の2つの課題を決定しました(前掲の表3)。
・GHG排出量の削減(担当組織は環境推進委員会)
・低・脱炭素社会移行へのインダストリアル事業、航空宇宙事業およびメディカル事業の軽減・適合(担当組織は各事業部)
2024年9月および2025年3月、サステナビリティ委員長から、取締役会に対して、上記リスク項目の進捗と成果を報告しています。
①-2 戦略:リスクおよび機会の特定、経営に及ぼす影響、それらに対する経営戦略の適合性(レジリエンス)
[事業環境に関する想定]
2100年の気温上昇を産業革命前と比較し1.7℃に抑える気候関連のシナリオ、2.4℃上昇するシナリオおよび4℃上昇するシナリオを使用して、次の事業環境を想定します。
■ 低炭素社会へ移行する事業環境(「1.7℃上昇の事業環境」)
各国政府によるすべての気候変動関連の公約が完全かつ期限内に達成され、2100年の気温上昇を産業革命前と比較し、1.7℃に抑えるシナリオ(IEA World Energy Outlook 2024のAPS(注3)などを参照)に基づく。
| <想定する事業環境>・この事業環境において、エネルギー源は原子力、再生可能エネルギー、CO2の回収・貯留(CCS)、それに利用を加えたCCUSを前提とする火力発電、再生可能エネルギー由来のグリーン水素となる。 ・太陽光、風力、原子力、電気自動車、ヒートポンプ、水素、炭素回収の7つのクリーンエネルギー技術が安価で安全なエネルギー転換の鍵となる。これらの技術は、2050年までのCO2排出削減量の4分の3を占め、バイオエネルギーや地熱など、他の再生可能エネルギーやエネルギー効率が残りを補完する。 ・とりわけ水素、アンモニアは脱炭素排出型エネルギーとして重要な選択肢となり、発電(燃料電池、タービン)、輸送(自動車、船舶、航空機、鉄道等)、産業(製鉄、化学、石油精製糖)の様々な分野の低・脱炭素化に貢献する。 |
■ 化石燃料に一部依存する社会が発展的に存続する事業環境(「2.4℃上昇の事業環境」)
再生可能エネルギーの導入は加速するものの、現在の各国の政策以外に新たな政策がない場合には、2100年の気温上昇が産業革命前と比較し、2.5℃/2.4℃になると予測するシナリオ(IEA World Energy Outlook 2024、同2023のSTEPS(注4)などを参照)に基づく。
| <想定する事業環境>・この事業環境では、化石燃料の利用は一部継続される。 ・クリーンエネルギーの導入が加速、2030年までに3種類の化石燃料(石油、天然ガス、石炭)の需要すべてがピークに達する。クリーンエネルギーの供給は、2023年から2035年の間に総エネルギー需要を上回る成長を遂げる。太陽光と風力の急増に牽引され、クリーンエネルギーは2030年代半ばに最大のエネルギー源となる。 ・とはいえ、天候による発電量の変動をカバーして需給のバランスを調整するための電源として、出力をコントロールしやすい天然ガス火力の重要性が当面むしろ高まる。また、エネルギー安全保障などの観点から、水素・アンモニア関連分野への投資は継続する。 |
■ 4℃上昇する事業環境
各国が気候政策を導入しない結果、GHG排出量が非常に多く、2100年の気温上昇が1850~1900年を基準として4℃上昇するとのシナリオ(IPCC(注5) 第6次評価報告書など参照)に基づく。
| <想定する事業環境>・この事業環境では、当社グループが事業展開するアジア、北米及び欧州のほとんどの地域において、熱波を含む極端な高温、大雨、台風、洪水等自然災害の強度と頻度が増し、また海面水位が上昇し続ける。 |
[認識する事業環境における事業別のリスク・機会の及ぼす影響と経営戦略・対応策の適合性(レジリエンス)]
以下に当社グループの主要事業について実施した、気候変動に伴うリスク及び機会に関するシナリオ分析の結果の概要を掲載します。以下に掲載するリスク及び機会は、サステナビリティ委員会が統合するサステナビリティ課題等に関する識別、評価のプロセスを経て、当期においてあらためて判別されたものです。
結論として、本有価証券報告書提出日現在において、合理的に入手可能な情報に基づき気候変動に伴うリスク及び機会に関するシナリオ分析を実施した結果、以下に記載する当社グループの経営戦略・対応策は複数の気候変動シナリオから想定される事業環境のいずれにも適合しうると判断します。
(注3)APS:IEA(International Energy Agency 国際エネルギー機関)の3つのシナリオのひとつ。APS(公約シナリオ)はNDC(国が決定する貢献)や長期的なネット・ゼロ目標を含む、各国政府によるすべての気候変動関連の公約を考慮し、それらが完全かつ期限内に達成されると仮定するシナリオ。これによれば、年間CO2排出量は2022年以降まもなくピークに達した後、2050年までに120億トンまで急速に減少し、2100年の気温上昇は1.7℃となる。
(注4)STEPS:IEAの3つのシナリオのひとつ。STEPS(既存政策シナリオ)はエネルギー、気候、関連産業政策を含む最新の政策設定に基づく見通しを提供するシナリオ。これによれば、世界全体のエネルギー由来のCO2排出量が2025年に年間370億トンでピークに達し、2050年には320億トンに減少する。その結果、2100年の気温上昇は2.5℃/2.4℃となる。
(注5)IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する気候変動に関する政府間パネル。世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織。
| 全事業に共通 |
<移行リスク>(注6)
| 時間軸 (注7) | リスクの種類 | リスクの種類 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 (注8) | |||
| 中期 長期 | 政策・ 法規制 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) 炭素税の導入など脱炭素社会への移行に向けた法規制の変更 | ・原資材調達コスト、製造コストの上昇。 ・既存資産の早期除却、設備の早期更新負担。 | 中 |
| 評判 リスク | (2.4℃上昇、4℃上昇の事業環境) 脱炭素移行対策の遅れ | ・顧客・取引先から選別されることによる取引の減少 ・従業員の士気低下、人材流失、人材確保の困難 | 中 | |
| 長期 | 市場 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) 再生可能エネルギー価格の上昇、化石燃料の利用減少によるエネルギー価格の上昇 | ・国内よりもエネルギーコスト等の割安な国や地域へ製造拠点を移転するための先行設備投資 | 中 |
| ・原資材調達コスト、製造コストの負担 ・既存資産の早期除却、エネルギー高効率装置への更新負担 | 大 | |||
| ◆ 経営戦略・対応策 ・業績と両立するバランスのとれたGHG排出量の削減対策を継続します。 ・費用対効果を踏まえ、長期安定的な調達の方策を検討し、再生可能エネルギーを適時に導入します。 | ||||
<機会>
| 時間軸 | 機会の種類 | 機会の内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 中期 長期 | 資源の 効率性 | (1.7℃上昇の事業環境) 製造方法、製品輸送手段の効率性の向上 | 工場の操業コスト、製品輸送コストの節減 | 中 |
| ◆ 経営戦略・対応策 工場の操業、輸送コストに好影響を及ぼす方策を適時に導入します。 | ||||
<物理的リスク(注9)>
| 時間軸 | リスクの種類 | リスクの内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 短期 中期 長期 | 急性 リスク | (4℃上昇の事業環境) 異常気象の増加、激甚化 | ・サプライチェーン分断リスクへの対応費用の増加 ・施設、設備の保守管理、修繕コストの増加 ・異常気象を回避するサプライヤーの生産拠点移転に伴う原材料調達コストの上昇 ・従業員の出勤率悪化、生産性低下、操業度の低下、工場閉鎖 | 大 |
| 慢性 リスク | (4℃上昇の事業環境) 異常気象に起因する新たな疾病罹患の繰り返しの発生 | ・社内の感染対策費、従業員の福利厚生費の増加 | 中 | |
| (4℃上昇の事業環境) ・常態的な気温上昇 ・労働条件・環境整備等に関する法規制の厳格化 | ・空調コスト増加 ・厳格化する法規制への対応コスト増加 | 中 | ||
| ◆ 経営戦略・対応策 ・在庫の積み増し、サプライヤーの複線化、実効的なBCP対策の継続的改善による災害時における本社・本部機能の確保、漏れのない効果的な損害保険の継続的付保、拠点設置時の危険地域該当性の事前評価、在宅勤務やフレックス制の効率的活用、感染対策物品の備蓄などを維持、実施していきます。 ・血液透析事業においては、災害発生時に故障製品の状態をただちに把握できる遠隔監視及び復旧作業を遠隔指示できるシステムの普及拡大とサービスの機能強化を急ぎます。 | ||||
(注6)移行リスク:低炭素社会への移行に関連したリスク(TCFD最終報告書2017年6月)。
(注7)時間軸:財務への重要な影響を与える可能性のある具体的な気候関連事項について次の時間的範囲(短期、中期、長期)で想定します。短期(現在~1年間)、中期(短期超~6年間)、長期(中期超~) 以下本文で同じ。
(注8)重要度:当該リスクと機会の発生可能性と発生した場合の財務的、人的影響度の2軸で評価します。
・大(①財務的または人的な影響の大きさにかかわらず、頻繁に発生する ②発生可能性にかかわらず、財務的または人的な影響が極めて甚大)
・中(稀にまたはしばしば発生し、財務的または人的影響が一定程度を超えると予想)
・小(大中以外)
以下本文で同じ。
(注9)物理的リスク:気候変動の物理的影響に関連したリスク(TCFD最終報告書2017年6月)。
≪低炭素社会への移行に関する計画(移行計画)≫
<目標>2019年(23,286t-CO2)を基準年とし、当社単体及び国内主要連結子会社を対象として、Scope1及び同2のCO2総排出量(t-CO2)について、2025年15%減、2030年30%減とすることを目標とします。
<取組済の削減策>■ 金沢製作所(血液透析装置など血液透析関連製品を製造する国内基幹工場)における取組
○ 2024年から、同製作所において消費する電力全量を実質的な再生可能エネルギーに切り替える計画(注10)を本格的に進めています。
・オンサイトPPA(太陽光)の導入(注11):2023年3月運用開始(年間発電量 615MW h GHG年間削減量295t- CO2)
・非化石証書の購入:2024年5月から購入継続。
・オフサイト・バーチャルPPAの導入(注11):2024年9月一部運用開始。北陸電力㈱の委託する発電事業者が日本国内に新たに開発する10か所の太陽光発電所から、発電にともない生み出される年間3.5Gwh分の追加性のある環境価値を非化石証書として、20年間にわたり調達します。これにより、同製作所のCO2排出量は年間1,680t- CO2削減する見込みです。
■ 宮崎日機装(航空宇宙事業、インダストリアル事業の国内基幹生産拠点)における取組
○ 2024年6月、オンサイトPPA(太陽光)の運用開始(年間発電量 873MWh GHG年間削減量 404t- CO2)
<計画中の削減策>○ 国内の工場、生産拠点において、LED照明敷設、遮熱塗装、生産設備の更新などの実施を計画しています。
(注10)当社金沢製作所の消費電力全量の実質再生可能エネルギー100%化:本有価証券報告書提出日現在、当社金沢製作所では電力の一部をオンサイトPPA(2023年4月から運用開始)の方法で調達するほか、エネルギー高効率の生産設備への更新などにより、消費電力節減とCO2排出削減に努めていますが、これらの施策によっても削減しきれないCO2が残ります。この残存するCO2について、オフサイト・バーチャルPPA(2024年9月から一部運用開始)による環境価値の調達や非化石証書(2024年5月から購入)の活用により、本製作所にて消費する電力全量を、CO2を排出しない実質的な再生可能エネルギー由来電力に切り替える計画を進めています。本計画の達成により、年間約7,400t-CO2の削減を目指します。
(注11)オンサイトPPA/オフサイト・バーチャルPPA:PPA(Power Purchase Agreement :電力購入契約) は、電力需要家が発電事業者から直接再生可能エネルギーを購入する契約形態であり、そのうちオンサイトPPAは需要家の敷地内に建設する発電所で発電された太陽光の電気価値と環境価値の両方を需要家が調達する手段です。これに対して、オフサイト・バーチャルPPAは、需要家の敷地外に建設する専用発電所で発電された再生可能エネルギーの環境価値のみを需要家が調達する手段とされます。
| インダストリアル事業 |
<主要な製品・サービス>産業用ポンプ・システム、液化ガス・産業ガス関連機器・装置、発電プラント向け水質調整装置、電子部品製造関連装置
<移行リスク>
| 時間軸 | リスクの 種類 | リスクの内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 中期 長期 | 技術 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) <液化ガス・産業ガス関連機器・装置>低・脱炭素社会に向けて水素、アンモニア関連製品やLNG関連製品の開発競争・技術競争が熾烈化 | 開発投資負担、専門人材の人件費の増大、開発技術競争に劣後 | 中 |
| 市場 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) <産業用ポンプ・システム、発電プラント向け水質調整装置>従来型の石油化学プラント、石炭火力発電所の新規建設や設備更新が減少 | ・同プラント等向けの従来型のポンプ・システム製品や水質調整装置の収益機会の減少、それに伴う関連資産の減損 | 小 | |
| (2.4℃上昇の事業環境) <液化ガス・産業ガス関連機器・装置>LNG需要の減少に伴うLNG関連製品・サービスの収益減 | ・2030年にLNGの需要が23年時点の約4億トンから1億700万トン増える一方、供給能力は1億9900万トン増えることから、世界のガス需給が供給過剰に転じるとの見通し(IEA World Energy Outlook 2024)や、2030年までに石炭、石油、天然ガスの世界全体の需要がすべてピークに達するとの予測(IEA World Energy Outlook 2023 STEPS)もあります。 その影響をうけてLNG投資が低調、減少するときは、クライオジェニックポンプを含むLNG関連機器・サービス事業も中長期的には成長は鈍化し、関連資産の減損のリスクがあります。 | 大 | ||
| (2.4℃上昇、4℃上昇の事業環境) <液化ガス・産業ガス関連機器・装置>水素サプライチェーン構築の想定外の遅延 | ・当社グループの保有する水素エネルギー関連資産の価値の減損 | 大 | ||
| (2.4℃上昇、4℃上昇の事業環境) <電子部品製造関連装置>EVシフトの進行が想定外に遅延。またスマート社会向けインフラ用電子部品需要が伸びない。 | ・当社グループの電子部品製造装置の収益が限定的となることに伴う関連資産の減損 | 小 | ||
<機会>
| 時間軸 | 機会の 種類 | 機会の内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 中期 長期 | 市場 | (1.7℃上昇の事業環境) <電子部品製造関連装置>AIが拡大、EVシフトが順調に進行 | 省エネルギー型・高性能半導体の需要増により当社の電子部品製造装置の収益機会は増加すると予想します。 | 小 |
| エネルギー源 | (1.7℃上昇、2.4℃上昇の事業環境) <液化ガス・産業ガス関連機器・装置>・LNG需要の拡大 ・データセンターなどによる電力需要の増大 ・合成メタン(注12)の利用可能性 | 以下のことから、1.7℃上昇または2.4℃上昇のいずれの事業環境のもとでも、当社グループのクライオジェニックポンプを含むLNG向け関連機器の収益機会は中長期的に拡大すると予想します。 ・アジアは2024年時点では石炭火力への依存度が高く、移行期にはガス化による温暖化ガスの排出削減が進むが、最大限の省エネ技術を見込んでも、LNG需要は2040年ごろまで拡大が続き、2050年時点でもほぼ現在と同程度の需要が保たれるとの予想があること ・再生可能エネルギーや原子力といった脱炭素電源がいずれも導入拡大へ課題を抱える一方で、データセンターの新規立地などにより電力需要は今後大幅に増える可能性が高まっていることから、LNG火力発電の重要性が再認識されるとの評価のあること ・1.7℃上昇の事業環境において、回収したCO2と再生可能エネルギー由来のグリーン水素によって製造される合成メタンの利用可能性の存在 | 大 | |
| 長期 | エネルギー源 | (1.7℃上昇の事業環境) <液化ガス・産業ガス関連機器・装置>・水素・アンモニア混焼・専焼(注13)に改修されたLNG・石油・石炭火力発電所の新規建設・更新 ・液体アンモニアポンプ、液化水素ポンプ、アンモニア燃料船舶の利用拡大 | 以下のことから、液体アンモニアポンプ、液化水素ポンプ、アンモニア燃料船舶向けポンプの収益機会(注14)は拡大すると予想します。 ・1.7℃上昇の事業環境においては、再生可能エネルギーのうちでも水素、アンモニアは脱炭素排出型エネルギーとして重要な選択肢とされ、発電、輸送、産業の様々な分野の低・脱炭素化に貢献すると見込まれる。 | 大 |
| (1.7℃上昇の事業環境) <産業用ポンプ・システム、発電プラント向け水質調整装置>CO2回収・貯留(CCS)やそれに利用を加えたCCUS前提の火力発電所や原子力発電所の新規建設・更新 | 同発電所向けの当社の従来型製品サービスの収益機会は維持または一部増加すると予想します。 | 小 | ||
<経営戦略・対応策>
| ◆ 当社グループは、再生可能エネルギー・システムの社会的実装までにはさらに時間を要すること、電力の安定性、機動的調整力またエネルギー安全保障の観点からも、天然ガス、LNGを含む化石燃料システムは低炭素社会においても一定の役割を果たすものと見込みます。引き続きクライオジェニックポンプなどLNG向け関連事業の収益向上に注力します。 ◆ 上記とあわせて、低炭素社会への移行を見据え、液化水素ステーション分野(注15)、水素・アンモニア分野(注16)、省エネルギー・高性能社会関連分野へ経営資源を適時適切に配分し、気候関連のリスクと機会に適合していきます。 |
(注12)合成メタン:水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を反応させ、天然ガスの主な成分であるメタン(CH4)を合成して製造する。メタンは燃焼時にCO2を排出するが、合成メタンの原料として、発電所や工場などから回収したCO2を利用すれば、燃焼時に排出されたCO2は回収したCO2と相殺されるため、大気中のCO2量は増加しないとされる。
(注13)アンモニア混焼・専焼:火力発電の燃料の一部/全部をアンモニアに置き換える手法。アンモニア(NH3)は炭素を含まないため、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、CO2排出削減の有力な技術とされる。
(注14)アンモニアポンプの収益機会:『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(経済産業省2021年)は、2030年までに石炭火力への20%アンモニア混焼の導入・普及、2050年までに混焼率の向上(50%)や専焼化技術の実用化を目指すとします。需要量は、国内では2030年に年間300万トン、2050年に3000万トンと想定される。また、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告『INNOVATION OUTLOOK RENEWABLE AMMO NIA』(2022年)によると、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑えるためのシナリオに沿うと、世界全体のアンモニア需要は2020年代後半から船舶用燃料、水素キャリア、燃料混焼用途で伸びを見せて、2050年に約6億8800万トンに達し、2025年の予測需要から3倍以上伸びると予想される。
(注15)液化水素ステーション分野の当社グループの取組:米国所在の当社連結子会社グループ CE&IGグループは、米国および韓国において、バスや大型トラック向けを中心に液化水素ステーション用の機器の製造からステーションの建設およびメンテナンスまで一貫して手掛けています。
(注16)水素・アンモニア分野の当社グループの取組:水素を燃料とする水素航空機向けとして、液化水素をエンジンに送り込む過程で使うブースタポンプの開発を継続しており、2025年度の地上実証向け納入を目指します。また、火力発電所向けの液体アンモニア用ポンプについては、国内では、早ければ2027年度にも火力発電所で20%のアンモニアを混ぜた商業運転をする計画があり、当社グループは2026年に市場投入する計画です。液体アンモニアポンプの大型化を図り、混焼率引き上げへの対応や、アンモニア基地 PC タンク用途への展開を進めます。
| 航空宇宙事業 |
<主要な製品・サービス>民間航空機向け炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形品
<移行リスク>
| 時間軸 | リスクの種類 | リスクの内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 中期 長期 | 技術 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) ・航空機搭載機材の軽量化分野への新規参入者の増加、当社の得意とするCFRP製逆噴射装置の代替品の出現 | ・競争激化、軽量化技術の開発投資の増大による収益圧迫 | 中 |
| 市場 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) ・水素、バイオ燃料のコストが上昇、航空機運賃が割高となり、航空機利用客が減少 | ・現在、国際民間航空機関(ICAO)が国際航空分野で2050年までにCO2排出を実質ゼロにする目標を採択するなど、民間航空業界は運航改善、航空機等の技術革新、SAF(注17)の活用等航空燃料の低炭素化などによって、脱炭素社会構築の実現に向かっています。 ・この移行過程において、水素、バイオ燃料が化石燃料よりも高くなったり、炭素税が広く導入されたりする場合には、航空運賃の値上がりの可能性も予想され、航空機利用客の減少、民間航空機への投資意欲が減速、後退することも予想されます。 | 中 | |
<機会>
| 時間軸 | 機会の 種類 | 機会の内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 短期 中期 長期 | 資源の 効率性 | (1.7℃上昇、2.4℃上昇の事業環境) ・民間航空機の機体軽量化のさらなる進展 ・eVTOL(注18)など電力駆動の次世代移動手段向けの装置設備等の軽量化需要の拡大 | 以下のことから、1.7℃上昇または2.4℃上昇のいずれの事業環境においても、機体の軽量化に貢献する当社グループ製品の収益機会は維持・増加するものと予想します。 ・1.7℃上昇の事業環境においてはもちろんのこと、2.4℃上昇の事業環境においても、CO2排出規制、省エネルギー、省資源に向けた世界的な気運が逆行するとは考え難いこと ・また民間航空機の需要は中期的には拡大すると予想され、民間航空業界は機材、部品の軽量化、燃費効率の向上を一層強く求めること | 大 |
<経営戦略・対応策>
| ◆ 当社グループは、CFRP(注19)成形品加工で培った軽量化技術、ノウハウ、人材を保有し、40年以上にわたる実績があることから、民間航空機の機材、部品等の軽量化と燃費効率の向上に貢献することができます。民間航空業界における脱炭素社会移行の世界的基調を見据え、次世代の熱可塑材料や速硬化材料を用いた製品の開発を進めます。 ◆ 上記とあわせて、民間航空機部品の製造で蓄積したCFRP加工技術を活用し、衛星事業、eVTOL、水素燃料航空機など、従来の民間航空機部品の製造にとどまらない事業展開を確実に進め、バランスのとれたポートフォリオを構築することによって、気候関連のリスク及び機会に適合する方針です。 |
(注17)SAF: Sustainable Aviation Fuel.「持続可能航空燃料」。植物や廃油などから作ったバイオ燃料で、CO2の排出を従来の燃料よりも大幅に削減した航空燃料。
(注18)eVTOL :Electric Vertical Take-Off and Landing 「電動の垂直離着陸機」。2024年1月、当社グループはJoby Aviation社へ同社が開発するeVTOLに使用されるCFRP製の構造部品を初出荷しました。
(注19)CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics. 「炭素繊維強化プラスチック」。CFRPはプラスチックと繊維の特性を併せ持ち、比重1.5〜1.7(鉄の20%、アルミニウムの60%)と非常に軽い素材で、炭素繊維の種類や配向方向などによっては鉄の10倍の比強度(重さに対する強度)を持つのが大きな特徴。航空機部品の素材としては、強度を保ちながら軽量化できることから、燃費の向上によるコスト削減や環境負荷の低減につながるとされる。
| メディカル事業 |
<主要な製品・サービス>血液透析関連製品
<移行リスク>
| 時間軸 | リスクの種類 | リスクの内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 中期 長期 | 技術 リスク | (1.7℃上昇、2.4℃上昇の事業環境) 人工透析に代替する医療技術の実用化 | 対抗のための開発投資額、先行設備投資額の負担増、人工透析関連資産の減損 | 大 |
| 市場 リスク | (1.7℃上昇の事業環境) エネルギー価格の上昇 | ・1.7℃上昇の事業環境においては、エネルギー価格の上昇が顧客医療機関の経営を圧迫する場合、血液透析装置の購入サイクルの延長、製品価格の値下げ要求による価格競争激化等により、当社血液透析製品の採算性が低下するリスクも予想されます。 | 中 | |
| 短期 中期 長期 | 市場 | (1.7℃上昇、2.4℃上昇の事業環境) 省資源、省エネルギー、エネルギー効率性、廃棄物の減量と再資源化を求める市場の創出 | ・1.7℃上昇または2.4℃上昇のいずれの事業環境においても、省資源、省エネルギー、エネルギー効率、廃棄物の減量と再資源化などに関する当社顧客の医療施設の期待に応えることで、収益増の機会となります。 ・他方、国内顧客の医療施設の医業収益が公的医療保険制度による医療計画、医療費予算によって規定されている現状では、増加する研究開発費用を回収できない懸念があります。 | 大 |
<機会>
| 時間軸 | 機会の 種類 | 機会の内容 | 財務的影響 | |
| 内容 | 重要度 | |||
| 短期 中期 長期 | 市場 | (1.7℃上昇、2.4℃上昇の事業環境) 省資源、省エネルギー、エネルギー効率性、廃棄物の減量と再資源化を求める市場の創出 | ・1.7℃上昇または2.4℃上昇のいずれの事業環境においても、省資源、省エネルギー、エネルギー効率、廃棄物の減量と再資源化などに関する当社顧客の医療施設の期待に応えることで、収益増の機会となります。 ・他方、国内顧客の医療施設の医業収益が公的医療保険制度による医療計画、医療費予算によって規定されている現状では、増加する研究開発費用を回収できない懸念があります。 | 大 |
<経営戦略・対応策>
| ◆ 気候変動リスクに高い関心を持つ医療施設、医療関係者、患者さんの期待に応えるため、製品製造過程における原材料や部品の再利用による環境対策にかかる取り組みを強化し、さらに部品点数減少、軽量化、エネルギー使用量低減、3R(Reduce、Reuse、Recycle)等の循環型の製品開発を行います。 ◆ 透析装置および関連システムに搭載する各種資源の使用量を低減する機能(透析液使用量低減、熱交換器、熱回収ヒートポンプによる熱エネルギー効率向上等)を強化し、資源使用量低減につなげます。 ◆ 2024年から、血液透析装置など血液透析関連製品を製造する国内基幹工場である金沢製作所において、消費する電力全量を実質的な再生可能エネルギーに切り替える計画を進めています。(前掲 注10) |