有価証券報告書-第119期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 16:54
【資料】
PDFをみる
【項目】
166項目
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、企業理念である「社会の信頼に応え、モノづくりを通じて、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献する」を体現するために、当社グループの目指す姿として「JTEKT GROUP VISION」を、共有すべき価値観として「JTEKT WAY」をそれぞれ定義し、これらをベースに日々の企業活動を実践しております。
「JTEKT GROUP VISION」においては、目指す姿として「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」を掲げ、その実現に向けて取り組むべきこととして、お客様の期待を超える「価値づくり」、世界を感動させる「モノづくり」、自らが“考動”する「人づくり」の3本柱を定めております。
「JTEKT WAY」は2016年4月1日に制定し、過去より受け継ぎ今後も伝えていくべき価値観として「和して厳しく」「技に夢を求めて」、当社グループの“考動”のベースとなる価値観として「お客様視点」「当事者意識」「たゆまぬ改善」の計5つを定めており、今後も、引き続きグループ全従業員に行き渡るよう浸透活動を展開してまいります。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは売上高、営業利益、営業利益率、たな卸資産回転月数、NET DEレシオ、ROE、及びROAを経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。
(3) 長期的な会社の経営戦略
社会を取り巻く環境は、温暖化等に代表される環境問題やエネルギー資源の枯渇、新興国の経済発展・人口増加に伴う水・食料の確保、先進国での高齢化対応等、様々な課題が顕在化しております。各産業分野で社会の持続的な成長に向けてテクノロジーにより社会的課題の解決が図られている中で、当社の売上高の約8割を占める自動車産業においても、CASEに代表される技術革新が急速に進み、100年に一度の大変革期と言われております。
このような状況の中で、当社は社会環境の変化に迅速に対応するため、中期経営計画を毎年ローリングし既存事業の競争力の強化を図るとともに、自動車産業に限定されない当社の基盤技術を活かした次世代に向けた新規事業の創出、及びこれらの事業戦略を中長期で支える基盤構築として、全社全業務の業務改革による抜本的な業務効率化、グローバルでの計画的な人材育成の仕組み構築、方針管理の強化、強靭な財務体質の構築に取り組んでおります。
(4) 経営環境
今後の世界経済は、各国による保護主義的な政策や、英国のEU離脱等が及ぼす世界経済への影響についての見通しが難しいものとなっており、特に米中貿易摩擦を巡る米中間合意、物品貿易協定に関する日米間の交渉の行方については、グローバルな影響が避けがたく、今まで以上に慎重に動向を注視し続ける必要があります。米国経済は個人消費を中心に引き続き底堅く推移する見込みでありますが、欧州経済はEU域外の需要減により減速し、中国でも国内経済への下押し圧力の強まりや消費の伸びの鈍化などにより、従来のような景気拡大が困難な見通しであります。日本経済は、内需による景気の下支えが見込まれるものの、輸出の低迷や設備投資の伸びの鈍化を受け、製造業を中心に弱含みの見通しであります。
このような経営環境のなか、当社グループは、より強力なリスクマネジメント体制を整備し、想定されるリスクに備えるとともに、「JTEKT GROUP VISION」で掲げた「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」の実現に向け、引き続き「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、当社グループ一丸となって取り組みを進めてまいります。
(5) 対処すべき課題
翌連結会計年度の主な課題としては、引き続き世界的な経済状況変化へのフレキシブルな対応に加え、各事業で推進している構造改革の成果出し、国内においては、環境変化に柔軟に対応するための戦略的な研究開発投資や、急速な少子高齢化に伴う労働人口の減少を見据えた人員の確保と生産性向上への対応等が挙げられます。当社グループは、これらの課題に対し、将来にわたり競争力を維持するために、高付加価値商品の開発加速、製造ラインの省人化や業務改革等を推進してまいります。また、100年に一度の大変革期といわれる自動車を取り巻く環境の激変に対し、自動車メーカー、自動車部品メーカーがしのぎを削るなか、当社としても従来の事業の生き残りをかけた変革に加え、当社の持つ独自の技術やノウハウを活かした新規事業にも積極的に取り組んでまいります。
なお、当社グループは、過去の軸受(ベアリング)等の取引に関する訴訟及び競争当局の調査に対して引き続き適時適切な対応をするとともに、再発防止に向けたコンプライアンス徹底の取り組みを継続してまいります。