有価証券報告書-第50期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 13:07
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、金融商品取引法の規定及び我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、退職給付に係る負債等に関する見積り及び判断に対して、継続的に評価を行っております。経営陣は過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要素に基づき、見積り及び判断を行っております。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社では、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。本項については、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①収益の認識
当社グループの売上高は通常は顧客に対して商・製品が出荷された時点、工事売上に関しては当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準、その他の工事については工事が完成した時点で計上されます。特定のケースでは、注文書で顧客の検査に合格することが要求されており、その場合は顧客が当社グループの商・製品を検収した時点で売上を計上しております。不動産賃貸収入は、契約書に基づき、月単位で収益を計上しております。
②貸倒引当金
当社グループは顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
③たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の市場状況に基づく時価の見積額と取得原価との差額に相当する額について、評価損を計上しております。実際の将来需要又は市場状態が見積りより悪化した場合、追加の評価損が必要となる可能性があります。
④投資有価証券の減損
当社グループは、余資運用の一環として、業務上の関係を有する企業等の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれております。当社グループでは上場会社の株式への投資の場合、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%未満の下落の場合、下落継続期間等総合的に検討し時価の回復可能性無しと判断した場合、減損処理を行っております。非上場会社への投資の場合、実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下し回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は、簿価の回収不能が発生した場合の評価損の計上が必要となる可能性があります。
⑤繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、当該資産が将来の税金負担額を軽減する効果を評価するに当たっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を、今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を計上することになります。
⑥退職給付に係る負債
当社は従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しており、国内子会社の一部については、退職一時金制度を採用しております。退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、近年の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合又は、前提条件が変更された場合、その影響は累積され将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。割引率の低下及び年金資産運用での損失は当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼします。同様に割引率の上昇及び年金資産運用での収益は退職給付費用に好影響を与えます。過去勤務費用及び数理計算上の差異の償却は退職給付費用の一部を構成しておりますが、当社グループでは、過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(5年)により均等償却しております。数理計算上の差異は、各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(7年)による定率法によりそれぞれ発生の翌連結会計年度から損益処理しております。
(2)業績報告
①概要
当連結会計年度は、下半期の円安、株高により輸出産業を中心に景況感も上昇しました。また、雇用所得が着実に改善するなど景気は回復基調に推移いたしました。
土木建設業界におきましても、公共投資、民間設備投資とも、底堅く推移しましたが、土木建設需要の高まりに伴う人材不足及び労務費の高騰がつづく状況となりました。このような状況のもと、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ31百万円増の100億92百万円となりました。利益面では前連結会計年度に比べ営業利益では34百万円減の1億2百万円、経常利益は24百万円減の1億58百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等合計で前連結会計年度に比べ41百万円増の1億68百万円を計上したものの、固定資産売却益62百万円を計上したことにより、20百万円増の84百万円となりました。
②売上高
当連結会計年度のセグメント別売上高は、「切削機具事業」では、インフラ整備・耐震工事向けの切削消耗品等の売上が好調であった反面、コアドリル等の売上が減少し、前連結会計年度に比べ76百万円減の32億27百万円となりました。「特殊工事事業」は、人員不足等による受注不足により、上半期は苦戦しましたが、下半期に進捗の遅れを取り戻したことにより、前連結会計年度に比べ17百万円増の20億65百万円となりました。「建設・生活関連品事業」は、展示会による動員増等により、前連結会計年度に比べ9百万円増の34億43百万円となりました。「工場設備関連事業」は、主要顧客を中心に受注が増加したこと、また第二工場の稼働率の向上もあり、前連結会計年度に比べ1億39百万円増の6億36百万円となりました。「介護事業」は、デイサービスの介護報酬の減額により、前連結会計年度に比べ28百万円減の4億6百万円となりました。「IT関連事業」は受託開発の受注が減少し、前連結会計年度に比べ30百万円減の3億16百万円となりました。
③売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、原価圧縮に努め、前連結会計年度に比べ54百万円減の77億37百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、0.7ポイント減少して76.7%となっております。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億19百万円増の22億53百万円となりました。増減額の主な内訳は、人件費が66百万円増、事業税等が8百万円増、旅費交通費が9百万円増などであります。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、22.3%と前連結会計年度に比べ1.1ポイント増加しております。
④営業利益
営業利益は、売上総利益が85百万円増加したものの、人件費を中心とした販売費及び一般管理費の増加により、前連結会計年度に比べ34百万円減少し1億2百万円となりました。
⑤営業外収益、営業外費用
営業外収益は、前連結会計年度の59百万円から当連結会計年度は65百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度の13百万円から当連結会計年度は8百万円となり、前連結会計年度の46百万円の純収益が当連結会計年度は56百万円の純収益となりました。
⑥経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ24百万円減少し1億58百万円となりました。
⑦税金等調整前当期純利益
特別利益は、前連結会計年度において投資有価証券売却益など10百万円を計上しましたが、当連結会計年度は固定資産売却益62百万円、投資有価証券売却益32百万円、合計で94百万円となりました。また特別損失は、前連結会計年度の5百万円から当連結会計年度は0百万円となったことにより、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ65百万円増の2億51百万円となりました。
⑧法人税等
法人税等合計は、前連結会計年度に比べ41百万円増の1億68百万円となりました。
⑨非支配株主に帰属する当期純損益
前連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純損失4百万円から、当連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純損失0百万円となりました。
⑩親会社株主に帰属する当期純利益
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ、20百万円増加し当連結会計年度は84百万円となりました。
(3)流動性及び資金の源泉
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2億51百万円、減価償却費1億40百万円等収入の一方で、売上債権の増加額82百万円、法人税等の支払額99百万円等に使用したことで、2億38百万円の資金獲得(前連結会計年度は3億19百万円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入が取得による支出を15百万円上回ったこと、投資有価証券の売却による収入が取得による支出を37百万円上回ったこと、定期預金の払戻による収入が、預入による支出を18百万円上回ったこと等により獲得した資金は64百万円(前連結会計年度は資金使用1億52百万円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が長期借入れによる収入を1億63百万円上回ったこと、短期借入金の純減少額39百万円、配当金の支払額55百万円、自己株式の取得44百万円等により使用した資金は3億14百万円(前連結会計年度は84百万円)となりました。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度から21百万円減少し、10億40百万円となりました。
②資金需要
当社グループの運転資金のうち主なものは、材料・商品の購入の他、製造費、完成工事費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは人件費及び荷造・運搬費、通信費、家賃等の設備費用であります。
③財務政策
当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金又は銀行借入れにより資金調達することとしております。借入れによる資金調達に関しては、原則として運転資金については期限が1年以内の短期借入金で、設備投資資金については固定金利の長期借入金で調達しております。当連結会計年度においてグループ全体の所要資金として、金融機関より長期借入金として2億40百万円の調達を実施しました。この結果、当連結会計年度末の短期借入金の残高は前連結会計年度末より1億3百万円減少し4億64百万円、長期借入金の残高は前連結会計年度末より99百万円減少し5億93百万円となり合計10億57百万円(前連結会計年度末は12億59百万円)となっております。
当社グループは、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力及び不動産の担保余力等により当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。なお、本記載は平成29年3月末日時点における将来予測であります。