有価証券報告書-第64期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/30 9:22
【資料】
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【項目】
142項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
創立以来、「英知と創造」を経営理念として、
① 技術者集団のさらなる水準向上を図りながら、“simple is best”を基本に、価格・品質・納期で顧客満足度向上を目指します。
② ソフトウェア設計・ハードウェア設計・制御設計による設計革新と、設計者の思いを形にする加工技術・組立技術・検査技術による生産技術革新により、創造的製品の開発を目指します。
すなわち、独自の「熱・圧力制御技術」を基本に先端技術との融合を図りながら、独創的で高性能・高品質な製品開発を通じて、お客様の新製品開発・生産効率向上・省力化に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画(2019年6月期~2021年6月期)では、最終年度である2021年6月期の目標として、売上高4,300百万円、営業利益380百万円を掲げております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
(中期経営計画「革新と創造への挑戦 ~独創性で輝き続けるKITAGAWAへ~」)
今後の経済見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が長期化する懸念や米中貿易摩擦、世界経済の不確実性や国際政治情勢の混迷が強まっており、予断を許さない状況が続くものと予想されます。
当社グループを取り巻く今後の経営環境は、プリント基板業界における構造変化が一層進み、スマートフォン分野は当面主要な位置を占めるものの、自動車分野における自動運転をはじめとする技術革新、AI・IoT時代の到来、次世代通信5Gの本格稼動などにより、新たな成長機会が表れるものと考えております。
このような状況のなか、当社グループは、2019年6月期から2021年6月期までの3か年を期間とする中期経営計画「革新と創造への挑戦 ~独創性で輝き続けるKITAGAWAへ~」に基づき、環境の変化に合わせ、より機動的・能動的に新たな市場の動きを捉えて事業化を目指すとともに、安定的・持続的な成長基盤を構築するため、引き続き次の3つの重点項目に取り組んでまいります。
① 独自コア技術の新分野・新市場への積極展開
・当社のコア技術である温度・圧力・真空・動作の制御技術を未進出の成長分野に浸透させ、将来の収益の柱となる新事業を開拓する。
② 徹底した工程管理と原価削減による収益性・競争力・製品/サービス品質の向上
・生産性の向上により、採算改善と納期短縮を実現し、競争力を強化する。
・顧客視点での品質改善を徹底することにより、市場での信頼を更に高める。
③ 創造性と自主性に溢れ、継続的な成長を支える活力ある強い組織作り
・「独創的発想力」「困難へ挑戦する行動力」「コミュニケーション力」を重視し、環境変化に柔軟に対応できる企業風土を醸成する。
・計画的な人材教育により、技能継承と若手の早期育成を実現する。
この中期経営計画を全社一丸となって精進し、安定的な黒字化を実現し、復配が来年度(期末5円を予定)行えるよう努力してまいります。
なお、経済産業省の平成29年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)に当社の提案した研究開発計画(大型で積層構成自由度の高いCFRTP一方向連続繊維積層板の量産技術開発)が採択され、2017年8月から2020年3月まで約3年間にわたり、共同研究実施機関と研究開発を行ってまいりました。本研究開発は、世界的に環境やエネルギー問題への関心が高まっている中、当社としても気候変動、地球温暖化に対応するために、軽量化部材の開発によって自動車の燃費性能改善とCO₂排出削減に貢献したいとの思いで開発を開始したものです。
近年自動車メーカーでは、自動車部材を金属から、より軽量で高強度な素材であるCFRP(炭素繊維強化樹脂)に代替して、車体を軽量化する取り組みがなされていますが、開発の材料として使える大きさ・品質を備えたCFRP積層板が市場で入手できないとの声が多くありました。そこでCFRPの実用化に向け、当社技術によって高品質なCFRP積層板を早く安定して生産する方法及び装置の開発を目的に研究を行ってまいりました。
この研究開発が2020年3月に完了し、7月20日に名古屋大学ナショナルコンポジットセンターで開催されたNCC次世代複合材料研究会で研究成果の紹介を行い、来場者やWeb視聴者より高い評価を得ました。
今後は、この成果であるCFRPの積層成形装置のPR活動を行い、受注獲得を目指してまいります。
これからも、独自の温度・圧力・真空・動作の4つの制御技術の融合である「複合制御システム」を基本に先端技術との融合を図りながら、独創的で高性能、高品質な製品の開発に努め、業容の拡大を図ってまいります。
(人材育成)
当社グループは、持続的な成長のため、多様な人材の採用とこれまで蓄積した技能・技術を次世代へ確実に伝承し若い世代の成長の後押しを図るとともに、法令を遵守した組織・働きやすい職場環境の整備により人材の強化と組織の活性化を図ってまいります。そして、独創的で高性能・高品質な製品の開発を通じ、ユーザーの生産効率向上・省力化を図る等、生産工程を含め環境に配慮した製品の開発に努め、環境負荷の一層の低減にも努めてまいります。
(コーポレート・ガバナンス体制の強化)
当社は、コーポレート・ガバナンスの構築を、経営上の重要な課題のひとつと位置付けており、経営理念である「英知と創造」のもと、経営判断の迅速化、経営の効率化・健全性の向上・透明性の確保に取り組むなどコーポレート・ガバナンス体制の強化を図り、企業活動を支えているすべてのステークホルダーとの良好な関係の構築と、当社の持続的な企業価値の向上を目指してまいります。