訂正有価証券報告書-第155期(2023/04/01-2024/03/31)
(2)重要課題に対する取組
サステナビリティ重要課題として、「環境(脱炭素と資源循環への貢献)」「レジリエンス(社会インフラの維持と迅速な回復に寄与)」「安全安心(安全安心な社会づくりに貢献)」「幸せな世界(心身ともに健康で豊かな人生に貢献)」「誠実な経営(企業倫理及び人権尊重の徹底)」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)(すべての人が生き生きと活躍できる社会への貢献)」のマテリアリティを特定しました。
当グループでは、下の図のように、2024中期経営計画において、めざす姿として「データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現して人々の幸せを支える」ことを新たに掲げ、経営戦略を進めています。プラネタリーバウンダリーの配慮に関しては、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」でバリューチェーンを通じて2050年度までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。ウェルビーイングは、一人ひとりが快適で活躍できる社会をめざし、社内外の取組をもう一段進歩させて人生100年時代に向けたイノベーションの創出を図っています。

①脱炭素・気候変動に関する取組(TCFDに基づく開示)
当社は、2018年6月に金融安定理事会(FSB)「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、同年に公開した日立サステナビリティレポート2018より、TCFD提言に基づく情報開示をしています。本有価証券報告書では、その抜粋を掲載します。
(イ)ガバナンス
当グループは、気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、気候変動に関するガバナンスについても、前項の「(1)ガバナンス及びリスク管理」に準じた体制で取り組んでいます。
(ロ)戦略
当グループでは、2016年度にパリ協定を踏まえて「環境ビジョン」、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」を策定しました。その後のIPCC「1.5℃特別報告書」「第6次報告書」を踏まえた、気温上昇1.5℃以内の実現に向け、当グループの事業所では2030年度まで、バリューチェーンでは2050年度までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、脱炭素化の取組を推進しています。

気候変動関連のリスク
気候変動に関するリスクについては、「脱炭素経済への移行リスク(主に1.5℃シナリオに至るリスク)」及び、「気候変動の物理的影響に関連したリスク(4℃シナリオに至るリスク)」に分類して分析・管理しています。
・脱炭素経済への移行リスク(主に1.5℃シナリオに至るリスク)
脱炭素社会への移行リスクとして一般的に大きなものとしては、「脱炭素社会が実現した世界では、現状のままで存続できない事業」において存在するリスクです。これは、化石燃料が使えなくなるリスクに該当しますが、現在の当グループの事業では、電気をエネルギー源とするものが多いため、重大なリスクはほとんど見つかりませんでした。
その他、当グループが想定する脱炭素社会への移行リスクとしては、炭素税、燃料・エネルギー費への課税、排出権取引などの導入に伴う事業コスト負担増や、脱炭素社会に向けた製品・サービスの技術開発の遅れによる販売機会の逸失などがあります。このなかで、脱炭素社会に向けた製品開発の遅れのリスクについては、機会と表裏一体であり、脱炭素社会に貢献する事業を進めることで、リスク回避が可能と判断しています。
・気候変動の物理的影響に関連したリスク(主に4℃シナリオに至るリスク)
気候変動に関する物理的リスクに関しては、気候変動の影響と考えられる気象災害、例えば台風や洪水、渇水などの激化(急性リスク)や、海面上昇、長期的な熱波など(慢性リスク)による事業継続のリスクが考えられます。
こうしたリスクの回避としては、工場新設時には洪水被害を念頭に置いて立地条件や設備の配置などを考慮する対策を行っています。
気候変動関連の機会
当グループでは、気候変動に関連する多くの機会が考えられます。
環境長期目標や「2024中期経営計画」に掲げたCO2排出量の削減目標を達成するには、事業所の脱炭素化はもちろん、バリューチェーン全体の排出の多くを占める、販売された製品・サービスの使用に伴うCO2排出の削減が重要です。省エネルギー化等による、CO2削減に貢献する製品・サービスの開発・提供は、顧客ニーズへの対応であり、社会の脱炭素化への貢献になります。また、顧客との協創によるカーボンフリーソリューションやサービスの普及のような脱炭素化に貢献するビジネスの拡大にも機会があります。GX(グリーントランスフォーメーション)への取組は、当グループの経営戦略として推し進めている「社会イノベーション事業」の大きな柱であり、短・中・長期にわたる大きな事業機会になります。
当グループの気候変動関連のリスクと機会について
気候変動関連のリスクと機会の検討の結果から、当グループでは気候変動関連の重大で対応が困難なリスクは現段階では見つからず、気候変動対策への貢献は機会として捉えることができることが分かりました。1.5℃及び4℃いずれのシナリオ下においても、市場の動向を注視し柔軟かつ戦略的に事業を展開することで、当グループは、中・長期観点から、脱炭素社会への移行において高いレジリエンスを有していると考えています。
(ハ)リスク管理
気候変動関連のリスク管理については、BU及びグループ会社ごとに環境負荷などを把握し、評価・査定しています。評価結果は、当社サステナビリティ推進本部が集約し、グループ全体として特に重要なリスクと機会を認識した場合には、経営会議で審議・決定し、必要に応じて取締役会でも審議します。
(ニ)指標と目標
当グループは、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」において、以下の目標を掲げています。
「中期目標:ファクトリー・オフィスにおいて2030年度までにカーボンニュートラル達成」
「長期目標:バリューチェーンにおいて2050年度までにカーボンニュートラル達成」
この実現に向けて、中期経営計画の期間(3年間)にあわせて2024年度を最終年度とする「2024環境行動計画」を策定しています。そのなかで指標と目標を設定し、進捗を管理しています。
気候変動の緩和と適応に関する指標のうち、ファクトリー・オフィスにおけるCO2排出量総量削減率に関する目標と実績は以下のとおりです。
(注)1. 本目標は、「2024環境行動計画」です。詳細は後日公開予定の日立サステナビリティレポート2024をご覧ください。
2. 2023年10月16日付で日立Astemo㈱が株式の一部譲渡により当社の連結子会社ではなくなったため、同社の数値は集計に含めていません。2023年度の実績が大幅に向上したのは、同社分の除外及び当グループ全体の削減努力によります。
当グループのGHG排出量(2023年度)
(注)1. 当社は、当社の定める「環境管理区分判定基準」に基づき、当グループ全事業所をA・B・Cの3区分に分類して管理しています。また、当連結会計年度末時点(2024年3月末)において在籍している会社を集計対象としています。上記のScope1及びScope2は、当グループの中で環境負荷が大きいA区分事業所及び発電事業を対象としています。
2. 当グループ内での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出
3. 当グループが購入した電気・熱の使用に伴う間接排出
②人的資本・多様性に関する取組
(イ)戦略
日立は、人的資本、すなわち人こそが価値の源泉であると考えており、世界中の従業員の力を結集することで顧客と社会に価値を提供し、サステナブルな社会の実現に貢献することをめざしています。
社会イノベーション事業のグローバルな展開を進めるなか、日立は、多様な人財が国・地域・事業体を超えてOne Teamでプロアクティブに業務を遂行し、変化が絶えない世の中に速やかに適応できる人財・組織を求めています。

日立では、以下の方針のもと人財の確保・育成と社内環境の整備に取り組んでいます。
i) ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)の推進
日立にはすべての人にとって居場所があり、お互いのバックグラウンド、年齢、性別、セクシュアリティ、家族構成、障がい、ニューロダイバーシティ、国籍、人種、民族、宗教や価値観等の多様性を歓迎します。こうした多様性が、市場の理解、優れたアイディアの創出、社会の進展に貢献するイノベーションの推進には不可欠と考えているからです。執行役社長によるトップコミットメントのもと、グローバル推進体制を敷き、当社役員層(執行役・理事)における女性比率及び外国人比率は、2024年度目標がそれぞれ15%であるのに対して、2024年6月1日現在において女性比率11.8%、外国人比率25.0%と、順調に推移しています。当グループのDEIテーマに沿った取組を引き続き進めていきます。
⦅当グループのDEIテーマとDEI推進に係る取組事例⦆
DEIテーマ

全社取組


各事業体・地域での取組

ii)グローバル人財マネジメント

社会イノベーション事業を推進するためには、顧客や社会の課題を探索し、これまでになかった新しいソリューションを顧客と協創していくことが重要となります。このため、日立では、2024中期経営計画に基づいた人財マネジメントとしてのMission・Visionを掲げました。具体的には、「社会貢献を志向する人財が集まり、生き生きと活躍する組織となるために、グローバル市場における“Employer of choice(選ばれる会社)”を実現する」というVisionのもと、心身の健康と安全の確保、リスクマネジメントの強化・徹底の2つを「Foundation」とした上で、「People」「Mindset」「Organization」の3つを人財戦略の柱に定め、それぞれ施策を推進しています。
● デジタル人財の確保・育成
デジタル技術を活用した社会イノベーション事業を加速し、日立の成長のドライバーであるLumada事業の成長を実現するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)をけん引する人財(デジタル人財)の確保と育成に力を入れています。
Lumada事業の成長に伴い、採用・事業買収を通じたグローバルでのデジタル人財の獲得が進んでいるほか、当グループのコーポレートユニバーシティ(企業内大学)である日立アカデミーを中心に、100コース以上にわたる独自のDX研修体系や実務経験を通じた育成プログラムの拡充、GlobalLogic社のメソドロジーを活用した内部の人財育成の強化に取り組んでいます。
⦅Lumada事業成長に向けたグローバルタレント強化⦆

⦅Lumada事業を推進する人財とそのケイパビリティ(例)⦆

(注)従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率。(「自社で働くことへの誇り」「働き甲斐のある職場であるか」「仕事へのやりがい・達成感」「当面自社で勤務する勤続意欲」の4点から測定)
⦅従業員エンゲージメントの向上・グローバルでの日立カルチャーの醸成のための取組事例⦆
全社取組

各事業体・地域での取組


● 経営リーダーの選抜、育成
この取組は、経営トップと指名委員会が協働しながら、Global Leadership Development(GLD)プログラムを通じて行います。次期・次々期のCEO、事業部門長など経営リーダー候補の育成にあたり、経営者ポジションを含むタフアサインメント等のOJT(On-the-job Training)及びOff-JT(社外トレーニング・コーチング)、や社外取締役と直接議論する機会の設定などを通じて、集中的な人財育成を行っています。
(注)1. Hitachi Leadership Profile Online
2. Global Talent Plus
⦅経営リーダーの選抜・育成状況⦆


● 適所適財の人財配置及び日本におけるジョブ型マネジメントへの転換
グローバルに最適な人財の確保・配置・育成を行うため、グローバル共通の人財マネジメント統合プラットフォームの構築とグローバルでのタレントモビリティを促進しています。人財マネジメント統合プラットフォームの構築においては、その運用範囲をグローバルに拡大すると共に、従業員のスキルやキャリア志向などをクラウドシステムで共有することで、グローバルでの人財検索やチームマネジメント等に活用しています。さらに、今後は自律的に学べる環境の整備に向けてグローバルでの教育プラットフォームを展開していく予定です。
⦅グループ共通の人財施策を通じて、成長に向けた行動定着を推進⦆

⦅日本での取組⦆
ジョブ型マネジメントへの転換を推進し、従業員一人ひとりの能力や意欲に応じた適所適財の人財配置を実践することで、個人と組織のパフォーマンスの最大化と従業員エンゲージメントの向上につなげ、組織と人財双方の成長の実現をめざしています。これまで「ジョブディスクリプション(職務記述書)」導入などによる職務・人財の見える化や、「学習体験プラットフォーム(LXP)」などの基盤構築を推進し、「社内外副業の試行」「上司-部下のキャリア対話強化」等の行動変容を促進する取組を強化してきました。今後は行動の習慣化に向けた取組と、国内グループ会社へのジョブ型人財マネジメントの拡大を推進していきます。

● 心身の健康と安全の確保
当社は、「安全と健康を守ることは全てに優先する」を基本理念とする「日立グループ安全衛生ポリシー」を世界の全グループ会社と共有しています。そして、コントラクターや調達パートナーを含む関係する全企業と連携しながら、グループ一丸となって、事業活動に関わる全ての人にとって安全・安心・快適で健康な職場づくりに努めています。
当グループは、事故のない安全な職場の構築をめざし、事業に適した労働安全衛生マネジメントシステムの構築・導入、定期的なリスクアセスメントや監査の実施、労働安全衛生に関する教育の展開等にグローバルで取り組んでいます。
(ロ)指標及び目標
具体的な人財施策の実行にあたっては、各施策が経営目標や主な経営戦略にどのように繋がっているかを整理し、それぞれの人財戦略・施策に対してKPIを設け、進捗をモニタリングしています。

上記のうち、特に重要性が高いKPIは以下のとおりです。
(注)1.当社単体の目標及び実績です。役員層は、当社執行役及び理事をいいます。
2.2024年4月1日付人事異動分を含みます。なお、「外国人比率15%以上」の目標は、2022年度に前倒しで達成することができました。今後もさらなる向上を図っていきます。
3.日立Astemoは除きます。
4.従来、「2024年度までに68%」の目標を設定していましたが、2022年度に前倒しで目標を達成したことから、新たな目標を設定しています。
5.Total Recordable Injury Frequency Rate(20万労働時間当たりの死傷者数)
6.2021年度実績:0.27
上表の「役員層における外国人比率」及び「従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率」については、当初目標を2022年度に前倒しで達成することができました。一方で、「死亡災害件数」については、現地工事において協力会社の死亡災害が発生していることを重く受け止め、工事を行う事業体から構成されるワーキンググループを立ち上げ、グループ共通安全強化施策の検討を開始しました。すべての災害は防ぐことができるという強いリーダーシップのもと、災害のない職場作りをめざして、今後も取組を継続します。
サステナビリティ重要課題として、「環境(脱炭素と資源循環への貢献)」「レジリエンス(社会インフラの維持と迅速な回復に寄与)」「安全安心(安全安心な社会づくりに貢献)」「幸せな世界(心身ともに健康で豊かな人生に貢献)」「誠実な経営(企業倫理及び人権尊重の徹底)」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)(すべての人が生き生きと活躍できる社会への貢献)」のマテリアリティを特定しました。
当グループでは、下の図のように、2024中期経営計画において、めざす姿として「データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現して人々の幸せを支える」ことを新たに掲げ、経営戦略を進めています。プラネタリーバウンダリーの配慮に関しては、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」でバリューチェーンを通じて2050年度までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。ウェルビーイングは、一人ひとりが快適で活躍できる社会をめざし、社内外の取組をもう一段進歩させて人生100年時代に向けたイノベーションの創出を図っています。

①脱炭素・気候変動に関する取組(TCFDに基づく開示)
当社は、2018年6月に金融安定理事会(FSB)「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、同年に公開した日立サステナビリティレポート2018より、TCFD提言に基づく情報開示をしています。本有価証券報告書では、その抜粋を掲載します。
(イ)ガバナンス
当グループは、気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、気候変動に関するガバナンスについても、前項の「(1)ガバナンス及びリスク管理」に準じた体制で取り組んでいます。
(ロ)戦略
当グループでは、2016年度にパリ協定を踏まえて「環境ビジョン」、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」を策定しました。その後のIPCC「1.5℃特別報告書」「第6次報告書」を踏まえた、気温上昇1.5℃以内の実現に向け、当グループの事業所では2030年度まで、バリューチェーンでは2050年度までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、脱炭素化の取組を推進しています。

気候変動関連のリスク
気候変動に関するリスクについては、「脱炭素経済への移行リスク(主に1.5℃シナリオに至るリスク)」及び、「気候変動の物理的影響に関連したリスク(4℃シナリオに至るリスク)」に分類して分析・管理しています。
・脱炭素経済への移行リスク(主に1.5℃シナリオに至るリスク)
脱炭素社会への移行リスクとして一般的に大きなものとしては、「脱炭素社会が実現した世界では、現状のままで存続できない事業」において存在するリスクです。これは、化石燃料が使えなくなるリスクに該当しますが、現在の当グループの事業では、電気をエネルギー源とするものが多いため、重大なリスクはほとんど見つかりませんでした。
その他、当グループが想定する脱炭素社会への移行リスクとしては、炭素税、燃料・エネルギー費への課税、排出権取引などの導入に伴う事業コスト負担増や、脱炭素社会に向けた製品・サービスの技術開発の遅れによる販売機会の逸失などがあります。このなかで、脱炭素社会に向けた製品開発の遅れのリスクについては、機会と表裏一体であり、脱炭素社会に貢献する事業を進めることで、リスク回避が可能と判断しています。
・気候変動の物理的影響に関連したリスク(主に4℃シナリオに至るリスク)
気候変動に関する物理的リスクに関しては、気候変動の影響と考えられる気象災害、例えば台風や洪水、渇水などの激化(急性リスク)や、海面上昇、長期的な熱波など(慢性リスク)による事業継続のリスクが考えられます。
こうしたリスクの回避としては、工場新設時には洪水被害を念頭に置いて立地条件や設備の配置などを考慮する対策を行っています。
気候変動関連の機会
当グループでは、気候変動に関連する多くの機会が考えられます。
環境長期目標や「2024中期経営計画」に掲げたCO2排出量の削減目標を達成するには、事業所の脱炭素化はもちろん、バリューチェーン全体の排出の多くを占める、販売された製品・サービスの使用に伴うCO2排出の削減が重要です。省エネルギー化等による、CO2削減に貢献する製品・サービスの開発・提供は、顧客ニーズへの対応であり、社会の脱炭素化への貢献になります。また、顧客との協創によるカーボンフリーソリューションやサービスの普及のような脱炭素化に貢献するビジネスの拡大にも機会があります。GX(グリーントランスフォーメーション)への取組は、当グループの経営戦略として推し進めている「社会イノベーション事業」の大きな柱であり、短・中・長期にわたる大きな事業機会になります。
当グループの気候変動関連のリスクと機会について
気候変動関連のリスクと機会の検討の結果から、当グループでは気候変動関連の重大で対応が困難なリスクは現段階では見つからず、気候変動対策への貢献は機会として捉えることができることが分かりました。1.5℃及び4℃いずれのシナリオ下においても、市場の動向を注視し柔軟かつ戦略的に事業を展開することで、当グループは、中・長期観点から、脱炭素社会への移行において高いレジリエンスを有していると考えています。
(ハ)リスク管理
気候変動関連のリスク管理については、BU及びグループ会社ごとに環境負荷などを把握し、評価・査定しています。評価結果は、当社サステナビリティ推進本部が集約し、グループ全体として特に重要なリスクと機会を認識した場合には、経営会議で審議・決定し、必要に応じて取締役会でも審議します。
(ニ)指標と目標
当グループは、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」において、以下の目標を掲げています。
「中期目標:ファクトリー・オフィスにおいて2030年度までにカーボンニュートラル達成」
「長期目標:バリューチェーンにおいて2050年度までにカーボンニュートラル達成」
この実現に向けて、中期経営計画の期間(3年間)にあわせて2024年度を最終年度とする「2024環境行動計画」を策定しています。そのなかで指標と目標を設定し、進捗を管理しています。
気候変動の緩和と適応に関する指標のうち、ファクトリー・オフィスにおけるCO2排出量総量削減率に関する目標と実績は以下のとおりです。
| 指 標 | 目 標 | 2023年度 実績 | ||
| 2030年度(中期) | 2024年度(短期) | 2023年度(短期) | ||
| ファクトリー・オフィスにおけるCO2排出量総量削減率(2010年度比) | カーボンニュートラル | 50%削減 | 35%削減 | 74%削減 |
(注)1. 本目標は、「2024環境行動計画」です。詳細は後日公開予定の日立サステナビリティレポート2024をご覧ください。
2. 2023年10月16日付で日立Astemo㈱が株式の一部譲渡により当社の連結子会社ではなくなったため、同社の数値は集計に含めていません。2023年度の実績が大幅に向上したのは、同社分の除外及び当グループ全体の削減努力によります。
当グループのGHG排出量(2023年度)
| 指 標 | 実 績 |
| Scope1(注)1、2 | 282kt-CO2e |
| Scope2(注)1、3 | 196kt-CO2e |
(注)1. 当社は、当社の定める「環境管理区分判定基準」に基づき、当グループ全事業所をA・B・Cの3区分に分類して管理しています。また、当連結会計年度末時点(2024年3月末)において在籍している会社を集計対象としています。上記のScope1及びScope2は、当グループの中で環境負荷が大きいA区分事業所及び発電事業を対象としています。
2. 当グループ内での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出
3. 当グループが購入した電気・熱の使用に伴う間接排出
②人的資本・多様性に関する取組
(イ)戦略
日立は、人的資本、すなわち人こそが価値の源泉であると考えており、世界中の従業員の力を結集することで顧客と社会に価値を提供し、サステナブルな社会の実現に貢献することをめざしています。
社会イノベーション事業のグローバルな展開を進めるなか、日立は、多様な人財が国・地域・事業体を超えてOne Teamでプロアクティブに業務を遂行し、変化が絶えない世の中に速やかに適応できる人財・組織を求めています。

日立では、以下の方針のもと人財の確保・育成と社内環境の整備に取り組んでいます。
i) ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)の推進
日立にはすべての人にとって居場所があり、お互いのバックグラウンド、年齢、性別、セクシュアリティ、家族構成、障がい、ニューロダイバーシティ、国籍、人種、民族、宗教や価値観等の多様性を歓迎します。こうした多様性が、市場の理解、優れたアイディアの創出、社会の進展に貢献するイノベーションの推進には不可欠と考えているからです。執行役社長によるトップコミットメントのもと、グローバル推進体制を敷き、当社役員層(執行役・理事)における女性比率及び外国人比率は、2024年度目標がそれぞれ15%であるのに対して、2024年6月1日現在において女性比率11.8%、外国人比率25.0%と、順調に推移しています。当グループのDEIテーマに沿った取組を引き続き進めていきます。
⦅当グループのDEIテーマとDEI推進に係る取組事例⦆
DEIテーマ

全社取組


各事業体・地域での取組

ii)グローバル人財マネジメント

社会イノベーション事業を推進するためには、顧客や社会の課題を探索し、これまでになかった新しいソリューションを顧客と協創していくことが重要となります。このため、日立では、2024中期経営計画に基づいた人財マネジメントとしてのMission・Visionを掲げました。具体的には、「社会貢献を志向する人財が集まり、生き生きと活躍する組織となるために、グローバル市場における“Employer of choice(選ばれる会社)”を実現する」というVisionのもと、心身の健康と安全の確保、リスクマネジメントの強化・徹底の2つを「Foundation」とした上で、「People」「Mindset」「Organization」の3つを人財戦略の柱に定め、それぞれ施策を推進しています。
● デジタル人財の確保・育成
デジタル技術を活用した社会イノベーション事業を加速し、日立の成長のドライバーであるLumada事業の成長を実現するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)をけん引する人財(デジタル人財)の確保と育成に力を入れています。
Lumada事業の成長に伴い、採用・事業買収を通じたグローバルでのデジタル人財の獲得が進んでいるほか、当グループのコーポレートユニバーシティ(企業内大学)である日立アカデミーを中心に、100コース以上にわたる独自のDX研修体系や実務経験を通じた育成プログラムの拡充、GlobalLogic社のメソドロジーを活用した内部の人財育成の強化に取り組んでいます。
⦅Lumada事業成長に向けたグローバルタレント強化⦆

⦅Lumada事業を推進する人財とそのケイパビリティ(例)⦆

| ● 従業員エンゲージメントの向上・グローバルでの日立カルチャーの醸成 | |
| 毎年、グローバルに従業員サーベイ「Hitachi Insights」を実施し、人財マネジメント施策を企画・推進しています。経営層及び各職場のマネージャーは、自組織のサーベイ結果を各組織のメンバーと共有し、組織としての課題を把握した上で、対策となるアクションを立案・実行してPDCAサイクルを継続的に回しています。 サーベイの結果によるエンゲージメント向上に向けたアクション立案・実行を推進する上で、課題特定手段の一つとして、エンゲージメント・ドライバー(エンゲージメントを高める上で相関性の高い項目)を特定し、取組の改善を実施しています。 | ![]() |
| なお、2024中期経営計画において、「従業員エンゲージメントスコア(注)」を2024年度までに68.0%とする目標を設定しましたが、2022年度に本目標を前倒しで達成しました。したがって、さらなる高みをめざして、新たな目標値を71.0%に設定し、2023年度は68.6%となりました。この結果を受け、エンゲージメントドライバーなどで特定した課題である、グローバルでの日立カルチャーの醸成やウェルビーイングの促進及び適所適財の推進、経営トップからのコミュニケーション強化などへのアプローチを通じて、当グループ全体で取組を行い、エンゲージメントの向上を図ります。 | |
(注)従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率。(「自社で働くことへの誇り」「働き甲斐のある職場であるか」「仕事へのやりがい・達成感」「当面自社で勤務する勤続意欲」の4点から測定)
⦅従業員エンゲージメントの向上・グローバルでの日立カルチャーの醸成のための取組事例⦆
全社取組

各事業体・地域での取組


● 経営リーダーの選抜、育成
| 事業戦略の変化により経営リーダーに求められる能力も変化する中で、日立における経営リーダーとなる人財として、グローバル化、DXに対応できることはもちろん、自身の知識・経験だけでなく、社内外の知見も得ながら最終的に自身の責任で判断・決断し、変革・実行する能力とパーソナリティが求められます。このため、タレントレビューや外部アプレイザル(HLPO (注)1)をグローバルに実施し、実績(“Performance”)だけでなく資質(“Potential”)も踏まえ、国籍・性別等を問わず多様な人財を経営リーダー候補のタレントプールである「GT+(注)2」の選抜と、経営リーダーへの早期登用をめざす優秀層向けのプログラム「Future 50」等を通じて育成に努めています。 | ![]() | |
| Future50と取締役の懇親会の様子 (ストックホルムにて) |
この取組は、経営トップと指名委員会が協働しながら、Global Leadership Development(GLD)プログラムを通じて行います。次期・次々期のCEO、事業部門長など経営リーダー候補の育成にあたり、経営者ポジションを含むタフアサインメント等のOJT(On-the-job Training)及びOff-JT(社外トレーニング・コーチング)、や社外取締役と直接議論する機会の設定などを通じて、集中的な人財育成を行っています。
(注)1. Hitachi Leadership Profile Online
2. Global Talent Plus
⦅経営リーダーの選抜・育成状況⦆


● 適所適財の人財配置及び日本におけるジョブ型マネジメントへの転換
グローバルに最適な人財の確保・配置・育成を行うため、グローバル共通の人財マネジメント統合プラットフォームの構築とグローバルでのタレントモビリティを促進しています。人財マネジメント統合プラットフォームの構築においては、その運用範囲をグローバルに拡大すると共に、従業員のスキルやキャリア志向などをクラウドシステムで共有することで、グローバルでの人財検索やチームマネジメント等に活用しています。さらに、今後は自律的に学べる環境の整備に向けてグローバルでの教育プラットフォームを展開していく予定です。
⦅グループ共通の人財施策を通じて、成長に向けた行動定着を推進⦆

⦅日本での取組⦆
ジョブ型マネジメントへの転換を推進し、従業員一人ひとりの能力や意欲に応じた適所適財の人財配置を実践することで、個人と組織のパフォーマンスの最大化と従業員エンゲージメントの向上につなげ、組織と人財双方の成長の実現をめざしています。これまで「ジョブディスクリプション(職務記述書)」導入などによる職務・人財の見える化や、「学習体験プラットフォーム(LXP)」などの基盤構築を推進し、「社内外副業の試行」「上司-部下のキャリア対話強化」等の行動変容を促進する取組を強化してきました。今後は行動の習慣化に向けた取組と、国内グループ会社へのジョブ型人財マネジメントの拡大を推進していきます。

● 心身の健康と安全の確保
当社は、「安全と健康を守ることは全てに優先する」を基本理念とする「日立グループ安全衛生ポリシー」を世界の全グループ会社と共有しています。そして、コントラクターや調達パートナーを含む関係する全企業と連携しながら、グループ一丸となって、事業活動に関わる全ての人にとって安全・安心・快適で健康な職場づくりに努めています。
当グループは、事故のない安全な職場の構築をめざし、事業に適した労働安全衛生マネジメントシステムの構築・導入、定期的なリスクアセスメントや監査の実施、労働安全衛生に関する教育の展開等にグローバルで取り組んでいます。
(ロ)指標及び目標
具体的な人財施策の実行にあたっては、各施策が経営目標や主な経営戦略にどのように繋がっているかを整理し、それぞれの人財戦略・施策に対してKPIを設け、進捗をモニタリングしています。

上記のうち、特に重要性が高いKPIは以下のとおりです。
| 指 標 | 目 標 | 実 績 |
| 役員層における女性比率 | 2024年度までに女性比率15% | 女性比率:11.8% |
| 及び役員層における外国人比率 (グローバルDEI目標)(注)1 | 2024年度までに外国人比率15%以上 (注)2 | 外国人比率:25.0% (2024年6月現在) |
| デジタル人財数 | 2024年度までに97,000人 (注)3 | 95,000人 (2024年3月末) |
| 従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率 | 2024年度までに71% (注)3、4 | 68.6%(2023年度) |
| 死亡災害件数 | 年間0件 | 4件(2023年度) |
| TRIFR(総災害発生率)(注)5 | 2024年度までに2021年度比半減(注)6 | 0.16(2023年度) |
(注)1.当社単体の目標及び実績です。役員層は、当社執行役及び理事をいいます。
2.2024年4月1日付人事異動分を含みます。なお、「外国人比率15%以上」の目標は、2022年度に前倒しで達成することができました。今後もさらなる向上を図っていきます。
3.日立Astemoは除きます。
4.従来、「2024年度までに68%」の目標を設定していましたが、2022年度に前倒しで目標を達成したことから、新たな目標を設定しています。
5.Total Recordable Injury Frequency Rate(20万労働時間当たりの死傷者数)
6.2021年度実績:0.27
上表の「役員層における外国人比率」及び「従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率」については、当初目標を2022年度に前倒しで達成することができました。一方で、「死亡災害件数」については、現地工事において協力会社の死亡災害が発生していることを重く受け止め、工事を行う事業体から構成されるワーキンググループを立ち上げ、グループ共通安全強化施策の検討を開始しました。すべての災害は防ぐことができるという強いリーダーシップのもと、災害のない職場作りをめざして、今後も取組を継続します。

