有価証券報告書-第152期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 13:51
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【項目】
151項目
3. 重要な会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社により支配されている企業をいいます。当社がある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社は当該企業を支配していると判断しています。
子会社の財務諸表は、当社が支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。連結会社相互間の債権債務残高及び内部取引高、並びに連結会社相互間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
支配の喪失を伴わない子会社に対する持分変動があった場合には、資本取引として会計処理しています。
支配の喪失を伴う子会社に対する持分変動があった場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は当期の純損益で認識しています。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、当社が当該企業に対し、財務及び経営の方針に重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。
共同支配企業とは、当社を含む複数の当事者が経済活動に対する契約上合意された支配を共有し、その活動に関連する財務上及び経営上の戦略的な決定を行う際に、支配を共有する当事者すべての合意を必要とする共同支配の取決めに基づき、それぞれの当事者が投資先の純資産に対する権利を有する当該投資先をいいます。
関連会社及び共同支配企業への投資は、重要な影響力又は共同支配を獲得した日から喪失する日まで、持分法によって会計処理しています。
関連会社及び共同支配企業が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社及び共同支配企業の財務諸表に調整を加えています。
関連会社及び共同支配企業に対する重要な影響力又は共同支配を喪失し、持分法の適用を中止したことから生じた利得又は損失は当期の純損益で認識しています。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しています。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債並びに当社及び連結子会社が発行する持分金融商品の支配獲得日における公正価値の合計として測定しています。
非支配持分は、個々の企業結合ごとに、公正価値又は支配獲得日における識別可能な純資産に非支配持分比率を乗じて測定しています。
取得対価、非支配持分の認識額、及び支配獲得日以前に保有していた被取得企業の持分の支配獲得日における公正価値の合計が、識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合には、連結財政状態計算書においてのれんとして計上し、下回る場合には、直ちに連結損益計算書において当期の純損益として計上しています。
また、取得関連費用は、発生時に費用処理しています。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社及び連結子会社の各機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。
公正価値で測定する外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しています。
換算又は決済により生じる換算差額は、純損益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産、及び適格キャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分から生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
② 在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産及び負債については期末日の為替レート、収益及び費用については、為替レートに著しい変動のない限り、期中の平均レートを用いて日本円に換算しています。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しています。在外営業活動体の換算差額の累計額は、在外営業活動体が処分され支配、重要な影響力又は共同支配を喪失した場合に当期の純損益へ振り替えています。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
当社及び連結子会社は、非デリバティブ金融資産について、償却原価で測定する金融資産、当期純利益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。この分類は、当初認識時に決定しています。金融資産のうち、株式及び債券は約定日に当初認識しており、その他のすべての金融資産は取引の実施日に当初認識しています。
非デリバティブ金融資産のうち、IFRS第15号において認識する売上債権については取引価格で当初測定し、その他については公正価値(直接帰属する取引費用を加算後)で当初測定しています。
(ⅰ) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて資産を保有している。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識後は実効金利法による償却累計額を加減し貸倒引当金を調整した金額で測定しています。
(ⅱ) 公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は公正価値で測定しており、公正価値で測定する金融資産については、その保有目的に応じて、以下の区分に分類しています。
・その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
主に取引関係維持・強化を目的として保有している資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識後の公正価値の変動をその他の包括利益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定した金融資産からの配当金については、金融収益の一部として当期の純損益として認識しています。また、認識を中止した場合、その他の包括利益として認識していた累積利得又は損失を利益剰余金に振り替えています。
・当期純利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されない金融資産を、当期純利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
当期純利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識後の公正価値の変動を当期の純損益として認識しています。
(ⅲ) 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。予想信用損失とは、契約に基づいて当社及び連結子会社が受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと当社及び連結子会社が受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の現在価値です。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増加しているかどうかを評価しており、著しく増加していない場合には、12ヵ月の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定し、著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。なお、信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかについては、支払期日を超過した事実に基づき、債務者の営業成績の実際又は予想される著しい変化等を総合的に勘案し判断しています。以下に該当した場合には、信用減損していると判断しています。
・発行者又は債務者の重大な財政的困難
・契約違反(債務不履行又は期日経過事象など)
・借手が破産又は他の財務上の再編を行う可能性が高くなったこと
上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない売上債権及び契約資産については、全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。
貸倒引当金の戻入れが生じる場合には、純損益で認識しています。
(ⅳ) 金融資産の認識の中止
当社及び連結子会社は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は、金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転し、かつ当社及び連結子会社が金融資産の所有のリスクと経済的便益を実質的に全て移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。
② 非デリバティブ金融負債
当社及び連結子会社は、非デリバティブ金融負債について、当期純利益を通じて公正価値で測定する金融負債、又は償却原価で測定する金融負債に分類しています。この分類は、当初認識時に決定しています。すべての金融負債は、取引の実施日に当初認識しています。
すべての非デリバティブ金融負債は公正価値(直接帰属する取引費用を控除後)で当初測定しています。
(ⅰ) 当期純利益を通じて公正価値で測定する金融負債
条件付対価に係る負債は、当期純利益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しています。当期純利益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識後の公正価値の変動を当期の純損益として認識しています。
(ⅱ) 償却原価で測定する金融負債
当期純利益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。償却原価で測定する金融負債は、当初認識後は実効金利法による償却累計額を加減した金額で測定しています。
(ⅲ) 金融負債の認識の中止
当社及び連結子会社は、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しています。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社及び連結子会社は、為替リスクをヘッジするために、先物為替予約等のデリバティブを利用しています。これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初測定し、その後も公正価値で再測定し、再測定の結果生じる利得又は損失を純損益に認識しています。ただし、キャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分はその他の包括利益として認識しています。
当社及び連結子会社は、ヘッジ開始時に、ヘッジ会計を適用しようとするヘッジ関係並びにヘッジを実施するに当たってのリスク管理目的及び戦略について、公式に指定及び文書化を行っており、ヘッジ取引に使用されているデリバティブがヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を高い程度で相殺しているか否かについて、ヘッジ取引開始時及びそれ以降も継続的に評価しています。
ヘッジ会計に関する要件を満たすヘッジは、以下のように会計処理しています。
(キャッシュ・フロー・ヘッジ)
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに連結損益計算書において当期の純損益として認識しています。
その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が損益に影響を与える時点で当期の純損益に振り替えています。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金及び随時引き出し可能な預金から構成されています。なお、現金及び現金同等物は償却原価で測定する金融資産に分類しています。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しています。取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所と状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。取得原価の算定に当たっては、仕掛品のうち注文製品については個別法、仕込製品については総平均法を使用しています。原材料及び製品については原則として総平均法を使用しています。
正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額です。
(7) 有形固定資産
有形固定資産の測定については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用が含まれています。
減価償却は、一般的な資産区分、構造及び利用方法に従って見積られた耐用年数を用いて、主として定率法により償却していますが、一部の資産は定額法により償却しています。
見積耐用年数は、建物及び構築物が3年から50年、また、機械装置及びその他の有形固定資産が2年から20年です。
なお、耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、少なくとも各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんは、償却をせず少なくとも1年に一度の減損テストを実施しており、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
② 無形資産
無形資産は、当初認識時に取得原価で測定し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
開発活動による支出については、信頼性をもって測定可能であり、技術的かつ商業的に実現可能であり、将来的に経済的便益を得られる可能性が高く、当社及び連結子会社が開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資質を有している場合のみ、無形資産として資産計上しています。
企業結合により取得した無形資産は、当初認識時に公正価値で測定しています。
耐用年数を確定できる無形資産は、主に自社利用目的のソフトウェア及び顧客関連資産であり、見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。その見積耐用年数は、ソフトウェアは概ね3年から5年、顧客関連資産は概ね10年から30年です。
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
耐用年数を確定できない無形資産は、償却をせず少なくとも1年に一度の減損テストを実施しています。
(9) リース
当社グループは、リースの借手として、リース期間が12ヵ月以内に終了するリース及び原資産が少額であるリースを除く全てのリースについて、原資産を使用する権利である使用権資産とリース料の支払義務であるリース負債をそれぞれ認識しています。
使用権資産は取得原価で当初測定しています。取得原価は、リース負債の当初測定額や当初直接コスト、原資産の解体・除去及び原状回復費用等で構成されています。当初認識後の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。減価償却は、耐用年数とリース期間のいずれか短い年数にわたって、当社グループが所有する固定資産に対する減価償却と同様の方法により償却しています。
リース負債は、リース開始日時点での残存リース料を、主に借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分しています。
(10) 非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社及び連結子会社の非金融資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については少なくとも1年に一度、同時期に減損テストを実施しています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。個別の資産について回収可能価額の見積りが不可能な場合、資産を他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合して、回収可能価額を算定しています。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合に当期の純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しています。
のれんに関連する減損損失の戻入れは行っていません。その他の資産については、過去に認識した減損損失の戻入れに関して、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を評価しています。回収可能価額が帳簿価額を上回った場合は、減損損失を戻入れています。減損損失は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費及び償却費を控除した後の帳簿価額を上限として戻入れています。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
当社及び連結子会社は、従業員の退職給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を運営しています。
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて算定しています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しています。算定の結果、当社及び連結子会社にとって確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの将来の払戻額又は制度への将来拠出額の減額の形で享受可能な経済的便益の現在価値を限度として確定給付資産を計上しています。
確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の再測定による変動は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
制度改訂時に生じる過去勤務費用は、発生した期の純損益として認識しています。
確定拠出制度への拠出額は、従業員が関連する勤務を提供した期の費用として認識しています。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、従業員が関連する勤務を提供した時点で費用として計上しています。
賞与については、支払を行う法的又は推定的な債務を負っており、信頼性のある見積りが可能な場合に、支払われると見積られる額を負債として認識しています。
(12) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社及び連結子会社が、現在の法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しています。貨幣の時間的価値が重要である場合、引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に固有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いています。
(13) 収益
当社及び連結子会社は、IFRS第9号に基づく利息及び配当収益等を除き、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するに応じて)収益を認識する。
家庭電器・半導体・産業用機器等の大量生産製品は、顧客が製品を受け入れた時点で収益を計上しています。一部の検収を必要とする製品は、顧客が製品を受け入れ、当社及び連結子会社が当該製品に関して所定の性能が達成されていることを実証し、顧客による最終的な動作確認のうち重要となり得ないものを残すのみとなった時点で収益を計上しています。取引の対価は、履行義務を充足したのち概ね1年以内に受領しています。
保守契約は、契約期間にわたり保守を実行し、その期間に応じて収益を計上しています。
一定の要件を満たす特定の工事請負契約は、進捗度を合理的に測定できる場合には、当該進捗度に応じて収益を計上しています。進捗度を合理的に測定できない場合には、原価回収基準を適用しています。進捗度は、当期までの発生費用を工事完了までの見積総費用と比較することにより測定しています。工事完了までの見積総費用については、工事の進捗等に伴い発生費用に変更が生じる可能性があることから、その見積り及び仮定を継続的に見直しています。
保守契約及び一定の要件を満たす特定の工事請負契約の取引の対価は、履行義務の充足とは別に契約期間中に段階的に受領するとともに、残額については履行義務をすべて充足したのち概ね1年以内に受領しています。
進捗度に応じて収益を認識することにより計上した対価に対する権利として契約資産を認識しています。契約資産は、対価に対する権利が無条件となった時点で売上債権に振り替えています。契約の履行に先立ち顧客から受領する前受対価を契約負債として認識しており、当該前受対価に係る契約について収益を認識するにつれて取り崩しています。
収益を認識する金額は、製品又はサービスと交換に権利を得ると見込んでいる対価を反映した金額としています。製品、機器、据付及び保守等の組み合わせを含む複数の要素のある取引契約については、提供された製品・サービス等が単品として独立の価値をもつ場合に、各構成要素を個別の履行義務として取り扱い、各構成要素の独立販売価格の比に基づいて取引価格を配分しています。
リベート、値引き等、事後的な対価の変動を含む取引契約については、見積りと実績に重要な乖離が生じない範囲で当該変動価格を考慮し、取引価格を決定しています。
履行義務の充足と顧客の支払時点が異なり、財務的に著しい便益を受ける取引契約については、貨幣の時間的価値を反映するように取引価格を調整して決定しています。当該調整部分については、利息費用・収益として計上しています。
価格決定の裁量権がない、在庫リスクを有していない、契約履行に関して他の当事者が主たる責任を負っている等の取引契約については、収益を純額ベースで認識しています。
販売価格の確定している契約において予想される損失は、その金額が信頼性をもって見積られる場合、連結損益計算書に計上しています。また、特定の契約条件等に応じ判明した偶発事象に対し、信頼性をもって見積られる引当額を計上しています。
(14) 法人所得税
法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されています。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識する項目を除き、当期の純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で測定しています。税額の算定にあたっては、報告期間の末日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法に従っています。
繰延税金は、報告期間の末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上していません。
・のれんの当初認識から生じる加算一時差異
・企業結合取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・連結子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、報告期間の末日において制定されている、又は実質的に制定されている法定税率及び税法に基づいて資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率及び税法によって測定しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、及び異なる納税主体であってもこれらの納税主体が純額で決済することを意図している場合に相殺しています。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しています。
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識し、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識しています。
「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号の修正)」(以下、修正IAS第12号)は、第2の柱モデルルールに関する税制から生じる税金(以下、第2の柱の法人所得税)について、繰延税金の認識および開示を不要とする一時的かつ強制的な例外規定を設けています。
当社グループは、当連結会計年度より、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って、当該例外規定を遡及して適用し、第2の柱の法人所得税に関する繰延税金を認識せず、かつ、繰延税金に関する注記にも含めておりません。
なお、修正IAS第12号では、第2の柱の法人所得税に関する当期税金費用(または収益)および当社グループにおける第2の柱の法人所得税に対するエクスポージャーの開示が要求されています。当該開示要求は、2023年1月1日以降開始する年次報告期間から適用されるため、当連結会計年度においては適用されておらず、これらの開示を行っておりません。
(15) 1株当たり利益
基本的1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。
希薄化後1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益は、希薄化効果を有する全ての潜在的普通株式の影響を調整して計算しています。
(16) 政府補助金
資産に関する政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に、補助金の金額を公正価値で測定し、資産の取得価額から直接控除して当該資産の帳簿価額を算出する方法により認識しています。