有価証券報告書-第152期(2022/04/01-2023/03/31)
②戦略
ア.短期・中期・長期の気候変動に係るリスクと機会
三菱電機グループは、気候変動に係るリスクと機会を選別・評価しています。


イ.カーボンニュートラルの推進
三菱電機グループは「責任」と「貢献」の二面から、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。事業を継続・成長させながら、自社からの温室効果ガス排出の実質ゼロ化を行うとともに、2050年のバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現を目指します。自社からの排出に関しては「2030年度に2013年度比50%にする」という中間目標を2022年5月に発表しましたが、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを目指す世界の潮流により積極的に加わるべく、2023年5月に中間目標を「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」へ変更しました。また、国内では経済産業省が主導する2050年カーボンニュートラル実現のための産官学民の協働の場であるGXリーグにも参加しています。
社内の取組みをビジネスに展開し、社会全体で取組みが進展することによる三菱電機グループへの好影響を再度ビジネスに還元し、相互に高めあうことでカーボンニュートラルの実現に取り組みます。

(ア)「責任」の取組み:バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロ
三菱電機グループは2050年にバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げています。うち、工場・オフィスにおける温室効果ガス削減に向けた取組みとして、①省エネ・電化・非エネルギー用途の排出削減、②太陽光発電等による自家発電拡大、③再エネ電力・非化石証書等の調達、④クレジット等の調達を進め、2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します。

(イ)「貢献」の取組み:カーボンニュートラルの実現に貢献する事業の創出・拡大
社会全体のカーボンニュートラルに向け、2050年までの開発ロードマップを定め、「グリーン by エレクトロニクス」「グリーン by デジタル」「グリーン by サーキュラー」の3つのイノベーション領域での研究・開発を加速していきます。
取組み例としては、東京工業大学と「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」を設置し、電力・熱・化学物質などの環境価値取引を含むエネルギー&カーボンマネジメント技術、カーボンリサイクル技術等の研究開発を推進しています。
カーボンニュートラル達成に向けた開発ロードマップ

ウ.シナリオに基づく分析とレジリエンス
IPCC*の気候シナリオ等に基づくシナリオ分析を通じて、三菱電機グループの企業活動を評価しています。評価に当たっては、平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えるための移行状況(社会動向)を示すシナリオ(2℃シナリオ)と、温暖化対策が従来の延長線上に留まることで気温が4℃近く上昇する場合のシナリオ(4℃シナリオ)を用いました。
* IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
シナリオ分析の対象期間は2050年までとし、期間は以下のとおり分類しました。
・長期:2050年までの期間(環境ビジョン2050最終年)
・中期:2030年までの期間
・短期:2025年までの期間

(ア)気候変動に係る「リスク」と三菱電機グループの取組み
気候変動に係るリスクは脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と、温暖化が進展した場合の物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)に大別されます。これらのリスクは、費用の増加(生産・社内管理・資金調達コスト等)、収益の減少などを招くおそれがあります。
2℃シナリオが進行する場合、脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガス排出抑制に対する社会的要望の増加、エネルギー需給の変動に伴う原材料コストの上昇、再生可能エネルギーによる発電量の増加などが進むと予測されます。その実現に向けて温室効果ガス排出に対する法規制の強化や技術開発負荷の増大といった移行リスクが顕在化するおそれが(物理的リスクに比して)相対的に高くなると考えられます。
また、4℃シナリオが進行する場合、大雨や洪水の多発や激甚化、慢性的な気温上昇等が予測され、災害による操業停止やサプライチェーンの寸断といった物理的リスクが顕在化するおそれが(移行リスクに比して)相対的に高くなると考えられます。
これらのリスクに対して、三菱電機グループでは「表1. 気候変動に係るリスクと三菱電機グループの取組み例」に示すような取組みを実施しています。
例えば、2℃シナリオ進行下で温室効果ガスの排出抑制が法規制により強化されたとしても、三菱電機グループでは既に環境計画の推進及びSBTへの参画を通じた温室効果ガスの排出削減に取り組んでおり、その影響を軽減することが可能です。原材料コストの上昇に対しても、既に取り組んでいる温暖化対策や省資源、リサイクル性の向上等を図る環境配慮設計をより一層推進していくことでその影響を軽減することが可能です。また、省エネ等の温暖化対策を含む、環境活動にかかる設備投資も実施しています。加えて、新技術の開発に関する研究開発投資についても、短期・中期・長期をバランスよく組み合わせて実施しています。
4℃シナリオ進行下で顕在化する洪水等の物理的リスクに対しては、BCP(Business Continuity Plan)を策定し、年1回の見直しを行うとともに、生産拠点の分散化を進めています。また、サプライチェーンにおいても複数社からの購買に努め、サプライヤーにも複数工場化に取り組んでいただくよう要請するなど、生産に支障をきたす事態を避ける取組みを進めています。
(イ)気候変動に係る「機会」と三菱電機グループの取組み
2℃シナリオもしくは4℃シナリオの進行に伴い、気候変動に起因する社会課題や、課題対応へのニーズがより顕在化していくものと予測されます。
例えば、2℃シナリオが進行する場合、再生可能エネルギーによる発電量の増加などが進むと予測されます。三菱電機グループでは大容量蓄電池制御システム、スマート中低圧直流配電ネットワークシステム、分散型電源運用システム/VPP(Virtual Power Plant)システム、マルチリージョン型デジタル電力供給システム(マルチリージョンEMS)などの提供により、再生可能エネルギー拡大や電源分散化に伴う電力の有効活用、系統安定化ニーズへの対応に貢献することが可能です。
また、4℃シナリオが進行する場合、大雨や洪水の頻発等が予測されます。三菱電機グループでは観測衛星を通じて気象現象・地球環境の監視強化、災害状況把握、防災などに貢献することが可能です。
三菱電機グループは多岐にわたる事業を有しています。気候変動に起因する社会課題の解決に貢献する製品・サービス・ソリューションを幅広く提供可能であることを強みとしており、「表2. 気候変動に係る機会と三菱電機グループの取組み例」に示すように、気候変動に起因する社会課題の解決を通じて短期から長期にわたる持続可能な成長機会を有していると考えています。
(ウ)気候変動に係る戦略のレジリエンス
このように、気候変動に係るリスクと機会とそれらに対する取組みを評価した結果、三菱電機グループは2℃シナリオもしくは4℃シナリオのいずれのシナリオ下にあっても、気候変動に係るリスクに対するレジリエンスと、気候変動に起因する社会課題の解決を通じた持続可能な成長機会を有していると評価しています。
ア.短期・中期・長期の気候変動に係るリスクと機会
三菱電機グループは、気候変動に係るリスクと機会を選別・評価しています。


イ.カーボンニュートラルの推進
三菱電機グループは「責任」と「貢献」の二面から、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。事業を継続・成長させながら、自社からの温室効果ガス排出の実質ゼロ化を行うとともに、2050年のバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現を目指します。自社からの排出に関しては「2030年度に2013年度比50%にする」という中間目標を2022年5月に発表しましたが、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを目指す世界の潮流により積極的に加わるべく、2023年5月に中間目標を「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」へ変更しました。また、国内では経済産業省が主導する2050年カーボンニュートラル実現のための産官学民の協働の場であるGXリーグにも参加しています。
社内の取組みをビジネスに展開し、社会全体で取組みが進展することによる三菱電機グループへの好影響を再度ビジネスに還元し、相互に高めあうことでカーボンニュートラルの実現に取り組みます。

(ア)「責任」の取組み:バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロ
三菱電機グループは2050年にバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げています。うち、工場・オフィスにおける温室効果ガス削減に向けた取組みとして、①省エネ・電化・非エネルギー用途の排出削減、②太陽光発電等による自家発電拡大、③再エネ電力・非化石証書等の調達、④クレジット等の調達を進め、2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します。

(イ)「貢献」の取組み:カーボンニュートラルの実現に貢献する事業の創出・拡大
社会全体のカーボンニュートラルに向け、2050年までの開発ロードマップを定め、「グリーン by エレクトロニクス」「グリーン by デジタル」「グリーン by サーキュラー」の3つのイノベーション領域での研究・開発を加速していきます。
取組み例としては、東京工業大学と「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」を設置し、電力・熱・化学物質などの環境価値取引を含むエネルギー&カーボンマネジメント技術、カーボンリサイクル技術等の研究開発を推進しています。
カーボンニュートラル達成に向けた開発ロードマップ

ウ.シナリオに基づく分析とレジリエンス
IPCC*の気候シナリオ等に基づくシナリオ分析を通じて、三菱電機グループの企業活動を評価しています。評価に当たっては、平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えるための移行状況(社会動向)を示すシナリオ(2℃シナリオ)と、温暖化対策が従来の延長線上に留まることで気温が4℃近く上昇する場合のシナリオ(4℃シナリオ)を用いました。
* IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
シナリオ分析の対象期間は2050年までとし、期間は以下のとおり分類しました。
・長期:2050年までの期間(環境ビジョン2050最終年)
・中期:2030年までの期間
・短期:2025年までの期間

(ア)気候変動に係る「リスク」と三菱電機グループの取組み
気候変動に係るリスクは脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と、温暖化が進展した場合の物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)に大別されます。これらのリスクは、費用の増加(生産・社内管理・資金調達コスト等)、収益の減少などを招くおそれがあります。
2℃シナリオが進行する場合、脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガス排出抑制に対する社会的要望の増加、エネルギー需給の変動に伴う原材料コストの上昇、再生可能エネルギーによる発電量の増加などが進むと予測されます。その実現に向けて温室効果ガス排出に対する法規制の強化や技術開発負荷の増大といった移行リスクが顕在化するおそれが(物理的リスクに比して)相対的に高くなると考えられます。
また、4℃シナリオが進行する場合、大雨や洪水の多発や激甚化、慢性的な気温上昇等が予測され、災害による操業停止やサプライチェーンの寸断といった物理的リスクが顕在化するおそれが(移行リスクに比して)相対的に高くなると考えられます。
これらのリスクに対して、三菱電機グループでは「表1. 気候変動に係るリスクと三菱電機グループの取組み例」に示すような取組みを実施しています。
例えば、2℃シナリオ進行下で温室効果ガスの排出抑制が法規制により強化されたとしても、三菱電機グループでは既に環境計画の推進及びSBTへの参画を通じた温室効果ガスの排出削減に取り組んでおり、その影響を軽減することが可能です。原材料コストの上昇に対しても、既に取り組んでいる温暖化対策や省資源、リサイクル性の向上等を図る環境配慮設計をより一層推進していくことでその影響を軽減することが可能です。また、省エネ等の温暖化対策を含む、環境活動にかかる設備投資も実施しています。加えて、新技術の開発に関する研究開発投資についても、短期・中期・長期をバランスよく組み合わせて実施しています。
4℃シナリオ進行下で顕在化する洪水等の物理的リスクに対しては、BCP(Business Continuity Plan)を策定し、年1回の見直しを行うとともに、生産拠点の分散化を進めています。また、サプライチェーンにおいても複数社からの購買に努め、サプライヤーにも複数工場化に取り組んでいただくよう要請するなど、生産に支障をきたす事態を避ける取組みを進めています。
(イ)気候変動に係る「機会」と三菱電機グループの取組み
2℃シナリオもしくは4℃シナリオの進行に伴い、気候変動に起因する社会課題や、課題対応へのニーズがより顕在化していくものと予測されます。
例えば、2℃シナリオが進行する場合、再生可能エネルギーによる発電量の増加などが進むと予測されます。三菱電機グループでは大容量蓄電池制御システム、スマート中低圧直流配電ネットワークシステム、分散型電源運用システム/VPP(Virtual Power Plant)システム、マルチリージョン型デジタル電力供給システム(マルチリージョンEMS)などの提供により、再生可能エネルギー拡大や電源分散化に伴う電力の有効活用、系統安定化ニーズへの対応に貢献することが可能です。
また、4℃シナリオが進行する場合、大雨や洪水の頻発等が予測されます。三菱電機グループでは観測衛星を通じて気象現象・地球環境の監視強化、災害状況把握、防災などに貢献することが可能です。
三菱電機グループは多岐にわたる事業を有しています。気候変動に起因する社会課題の解決に貢献する製品・サービス・ソリューションを幅広く提供可能であることを強みとしており、「表2. 気候変動に係る機会と三菱電機グループの取組み例」に示すように、気候変動に起因する社会課題の解決を通じて短期から長期にわたる持続可能な成長機会を有していると考えています。
(ウ)気候変動に係る戦略のレジリエンス
このように、気候変動に係るリスクと機会とそれらに対する取組みを評価した結果、三菱電機グループは2℃シナリオもしくは4℃シナリオのいずれのシナリオ下にあっても、気候変動に係るリスクに対するレジリエンスと、気候変動に起因する社会課題の解決を通じた持続可能な成長機会を有していると評価しています。