有価証券報告書-第126期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。パーパス実現に向けては、当社の経営におけるマテリアリティの必要不可欠な貢献分野である地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上の3分野において、重点的に取り組むべき課題を設定し、ビジネスをはじめとする全ての企業活動において取り組みを推進しております。これを通じて、当社グループの企業価値向上と持続可能な世界の実現を目指しております。
財務資本、人的資本といった資本を投入し、重点戦略に沿ってマテリアリティに取り組み、財務・非財務の両面でアウトプットやアウトカムを生み出し、それをまたインプットとして投じる、これを継続することでステークホルダーへの提供価値の向上を図ってまいります。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、引き続き緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのモダナイゼーションや、クラウド化・デジタル化への投資は、今後も堅調に増えると予測されています。さらには、生成型AI(人工知能)に代表されるAIなどのテクノロジーやデータ分析・活用といった業務の高度化に向けた投資は、社会や企業の成長・発展へのニーズに加えて、社会システムや産業構造の変化に対するニーズも加わることで、今後も拡大すると想定されています。
<2025年度までの中期経営計画について>このような状況のもと、当社グループは、2023年度から2025年度までの3年間を2030年及びそれ以降の目指す姿の実現に向けて持続的な成長と収益力向上のモデルを構築する期間として位置付けた中期経営計画を定めました。2025年における当社のあるべき姿と、ステークホルダーへの提供価値の最大化を実現するため、事業モデル・ポートフォリオ戦略、カスタマサクセス戦略/地域戦略、テクノロジー戦略、リソース戦略の4つの重点戦略に沿って施策を推進し、目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。
<2025年度の進捗>2025年度における4つの重点戦略ごとの主な取り組みは以下の通りです。1つ目は、事業モデル・ポートフォリオ戦略における、Uvanceを中心とするサービスソリューションの拡大及びハードウェアソリューションの基盤強化です。
サービスソリューションでは、売上収益に占めるUvanceの割合が伸長しています。Uvanceの2025年度の売上収益は、当初計画の7,000億円を上回る7,093億円となり、2024年度の4,828億円から47%増と大幅に伸長しました。これにより、サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比は、2024年度の21%から30%に拡大しました。2025年度は、堅調に伸長しているテクノロジー基盤のHorizontal領域の売上収益に加えて、市場をクロスインダストリーでとらえたデジタルサービスを提供するVertical領域の売上収益がデータ&AI領域を中心に大きく伸長し、Uvance全体の売上収益に占めるVertical領域の売上収益の割合が4割を超えました。また、当社のコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」の拡大に注力し、コンサルティング主導によってお客様経営変革のアジェンダ策定から実装までをリードする商談も生まれております。また、UvanceのオファリングへのAIの適用やパートナーソリューションを組み合わせたオファリングの開発、グローバルでのオファリングの拡充など、商談のリカーリング比率も着実に伸長しました。
ハードウェアソリューションでは、当社グループ内に分散するハードウェアソリューションに関する研究開発から製造、販売、運用・保守といった一連の機能を集約・分社化することで、グローバルでの競争力強化を図っております。2024年4月に設立したサーバ・ストレージ事業を担うエフサステクノロジーズ株式会社は、製販一体体制により事業効率が向上し、ハードウェアソリューションセグメントにおける採算性の改善につながっています。また、2025年7月には、フォトニクスシステム及びモバイルシステムなどのネットワークプロダクト事業を担う1FINITY株式会社が発足し、事業を開始しました。企業におけるAIの活用が拡大し、今後ますます存在感を増し、欠かせないものとなっていく中、そのデータ活用を支えるハードウェアソリューションも、同じスピードでの進化や実用化が求められています。テクノロジー企業として、今後も各ソリューションの最適な提供体制を検討してまいります。
2つ目は、カスタマサクセス戦略/地域戦略における、モダナイゼーションビジネスの推進及び海外ビジネスの変革です。
モダナイゼーションビジネスは、受注、売上ともに順調に拡大しており、2025年度の売上収益は前期比24%増の大幅伸長となり、当初計画を達成しました。2025年度は、2024年度に引き続き、リソースの効率的かつ機動的なアサインや、当社でモダナイゼーションマイスターと認定している専門人材の育成のほか、言語の自動変換ツールの整備など、業務の高度化、効率化を図りました。Uvanceにつながるモダナイゼーションとして、UvanceのHorizontalのソリューションを統合した、デジタルトランスフォーメーションの提案を進めました。また、生成AIを活用した開発基盤の整備も行いました。
海外ビジネスについては、2025年度のリージョンズ(海外)セグメントの全体の売上収益は5,752億円、2024年度から約2.5%減となりましたが、事業ポートフォリオ変革や構造改革の効果により、営業利益率は2024年度の4.1%から、5.9%へと改善しました。引き続き、Uvanceを中心とするサービスビジネスの拡大を図っており、全エリアにおいて収益性の向上を図ってまいります。
3つ目は、テクノロジー戦略におけるコアテクノロジーの強化です。AI、コンピューティングを中心に、外部パートナーとの戦略的な提携も行いながら、サービスの差別化につながる技術の強化を行っております。
AIは、引き続き生成AIを中心に強化を進めており、マルチAIエージェントの社内実践やUvanceのオファリングへの実装も進んでおります。量子コンピューティングでは、256量子ビット機を開発し、2025年度第1四半期に提供を開始しました。また、2025年9月に本社であるFujitsu Technology Park(川崎市)に量子コンピュータの専用施設を竣工しました。2026年度には世界最大規模となる1,024量子ビット級の機器を開発し、本施設に設置予定です。
また、パートナーとの戦略的な協業も行いながら、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」の開発を進めております。2025年10月には、当社CPUとNVIDIA CorporationのGPUを搭載したコンピューティング基盤上で動作する、領域特化型のAIエージェントを組みあわせたAIインフラストラクチャの構築を目指す戦略的協業の拡大について発表し、開発を進めております。
引き続き、新たなテクノロジーの創出と実用化の両方を目指し、研究開発を加速させてまいります。
4つ目は、リソース戦略における、事業と連動した人材ポートフォリオの実現です。当社は、事業ポートフォリオに連動した人材ポートフォリオの変革を進めており、そのために必要な制度や人材マネジメントの見直しを継続して行っております。グローバルで人材の流動性を高めるために、ジョブ型人事制度に移行しており、2026年4月からは、新卒入社者に対しても、ジョブ型人事制度を適用し、ジョブレベルに応じた処遇を実施しております。2020年度に導入したポスティング制度はキャリア形成の手段として定着し、それに伴い、注力事業領域やキャリア形成に必要なスキルを自律的に学ぶリスキリングも活発になっており、制度や環境の整備が社員の行動変容につながっております。また、2025年10月には、グローバル共通の人事プラットフォームであるOnePeopleが日本で稼働し、順次グローバルに展開していく予定です。今後も、注力事業領域のリソースの強化やコーポレートの効率化、外部転身を含むリソースシフトなどを行いながら、事業成長と生産性の向上に向けた取り組みを継続してまいります。
以上4つの重点戦略に加えて、全社的な取り組みとしてサービスソリューション全体の収益性向上に向けた取り組みを継続して進めてまいりました。オフショアのシステム開発及びデリバリーを行うグローバルデリバリーセンター及び海外の開発拠点を日本側で統括するジャパングローバルゲートウェイを中心にデリバリーの変革を行い、サービスソリューション全体の収益性の向上に努めました。2025年度は、ジャパングローバルゲートウェイのさらなる活用の拡大や、標準デリバリーモデルの拡充等を進めました。お客様への提供価値に基づくプライシング戦略を拡大し、継続的な収益の増加に取り組みました。これらの施策を進めた結果、2025年度はグロスマージン率が2%改善しました。また、生成AIを活用した開発の効率化・標準化として、セキュアな状況で活用できる生成AIを用いた開発環境を整備し、まず日本国内のSE約3万人及び当社の協力会社に対し提供、2025年度下期からは海外36カ国への提供も開始しました。
<2025年度までの非財務面での取り組み>当社グループは、非財務の領域においても、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において2025年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいりました。環境でのKPIとして温室効果ガス削減量を定めており、2020年度と比較しScope1・2では当社グループで59.2%削減、Scope3(Category11)ではサプライチェーンで42.8%の削減を達成する見込みです。お客様については、お客様NPS®において2022年度比で20ポイント上昇を目指し、2025年度で27.4ポイントの上昇となりました。生産性については、従業員1人当たりの調整後営業利益において、2022年度比40%の上昇を目指し、2025年度で89%の上昇を達成する見込みです。人材では、従業員エンゲージメントについて、グローバルでのスコア75の達成を目指し、全従業員を対象としたサーベイの結果などをベースに様々な施策を進め、2022年度から2ポイント改善し2025年度はスコア71となりました。また、ダイバーシティリーダーシップの指標として、グローバルでの女性幹部社員比率を2022年度の15%から2025年度で20%に拡大することを目標としておりましたが、2025年度は17.5%となる見込みであり、いずれも目標達成には至らない見込みです。また、2024年度に引き続き、非財務面での取り組みが財務面に対しどのように寄与するかについての定量的な分析を進めました。
(注)1.お客様NPS®:お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS®)の略。お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標。
※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
2.従業員エンゲージメント:会社の向かっている方向性・パーパスに共感し、自発的、主体的に働き貢献したいと思う意欲や愛着を表す指標。
<2025年度までの3年間の振り返り>2025年度までの3年間で、事業及び人材のポートフォリオ変革及び経営基盤の強化をグローバルで進めた結果、収益力が着実に向上しております。調整後営業利益は、全社連結で4期連続過去最高益を更新しました。同じく、中核となるサービスソリューションにおいても、調整後営業利益は金額、率ともに着実に改善しており、2020年度からの中期経営計画の期間も含めて6期連続での伸長となりました。このように、本業での利益拡大に加えて運転資本の効率化によりコア・フリー・キャッシュ・フローはスタート地点となる2022年度と比較して1.8倍となり、キャッシュ創出能力が大きく改善されました。また、本業での改善に加えて、新光電気工業株式会社や株式会社富士通ゼネラル(現 株式会社ゼネラル)、FDK株式会社などノンコア事業のカーブアウト等の施策を行った結果、フリー・キャッシュ・フローは2022年度と比較して2.7倍まで改善し、今後の成長投資に向けた基礎体力が向上しました。
<中長期経営ビジョン2035>当社では、2023年度から2025年度までの中期経営計画の期間を持続的に成長できる企業となるための基盤づくりを行う準備期間と位置づけ、事業及び経営基盤において、そのための変革に取り組んでまいりました。2026年度以降は成長の期間と位置づけ、これまでの変革によって整えた環境を最大限に活用し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。これまでは、3か年のサイクルで経営計画を策定し、目標達成に向けて取り組んでまいりましたが、2026年度からの新たな経営計画は、2035年度をゴールとする10年での中長期ビジョンとして策定いたします。昨今、社会情勢は予測が難しい速さ、複雑さで変化しており、3か年での中期経営計画では、計画の策定時とゴールとなる3年後で戦略立案の前提としてきた事業環境が大きく変わり、施策や目標が実際の状況に沿わなくなること、また、将来の成長につながる新規ビジネスと現状からの拡大及び効率化に取り組む既存ビジネスは時間軸を分けて投資や施策の検討及び実行を行う必要があることから、10年後の当社のあるべき姿を定め、そこに向かって1年ごとに目標を定め、軌道修正しながら少し先の目標に向かう方針としました。
2035年度に向けて、当社の強みであるAI、コンピューティングといったTechnology-drivenでの価値創造を進めてまいります。信頼できるテクノロジーをコアに、スピードと規模を一層追求し、お客様や社会と共に成長する企業となることを目指してまいります。また、AI-driven経営の支援を成長の柱として、施策の検討及び実行を進めてまいります。当社の顧客基盤は、公共分野を含む全産業分野に及び、50年以上にわたって業務アプリケーション開発やその運用保守に携わってまいりました。AIをはじめとするテクノロジーの社会実装には、現在の業務やそれを支えるITの理解を通じての新たな業務設計や新技術の適用・実装が不可欠です。多様な業種・業務のお客様の経営から現場まで届く知見や対応能力をもって、Technology-drivenの顧客業務や社会の変容をリードすることを目指してまいります。
当社では、2035年に向けて対応が迫られる社会課題と、そこに対し当社がどのように貢献できるかを整理しました。今後AIやクラウドなどの技術への依存度が高まる一方で、その技術に関する主権のリスクが増大します。また、高齢化や労働人口の減少に伴い、生産性や産業競争力が低下していきます。特にものづくりの分野では、生産性の低下に加えて、熟練技術者のノウハウや暗黙知が継承されず、断絶していく懸念があります。そして、年々甚大化する自然災害が常態化することで、社会への被害も拡大していきます。これらの課題に対し当社は、よりエネルギー効率の高い安心安全なコンピューティングパワーを提供するSovereign Platform、ロボットと人が協調し自律的に進化していくPhysical AI、そして、大規模データをデジタルツインで分析し施策の高度化を行うIntelligent Societyの3つの領域を中心に、課題解決に向けたソリューションの開発及び提供に注力してまいります。そして、これらの3つの領域で、新たな事業を創出してまいります。

<2026年度の取り組み>2026年度は、サービスソリューションにおいて、引き続きUvance及びモダナイゼーションビジネスによる拡大に注力してまいります。また、これまでのリージョンごとのマネジメントから、業種軸でのマネジメントにシフトしてまいります。お客様や業種・業務への理解を深め、それぞれの課題に対しお客様と共に解決に取り組むビジネスモデルをグローバルで展開し、そこからクロスインダストリーでの社会課題解決への取り組みにつなげることを目指してまいります。採算性の向上では、開発プロセスの標準化や生成AIの活用拡大などの取り組みにより、引き続きグロスマージン率2%の改善を目指してまいります。また、大規模言語モデル「Takane」や、AI Platform Kozuchiを活用したAI技術、1万量子ビットを超える超伝導量子コンピュータの開発、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」等の先進的研究を中心に、投資をさらに強化してまいります。1年ごとの目標を着実に達成していくことで実績と信頼を積み上げ、テクノロジーによって新たな事業を創出しながら、2035年のビジョンに沿った施策を推進してまいります。
<2026年度以降の非財務面での取り組み>当社グループは、非財務の領域においても、引き続き、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において、経営の非財務指標を定めました。下記の図の通り、2026年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいります。
(注)1.お客様NPS®:お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS®)の略。お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標。
※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
2.従業員エンゲージメント:会社の向かっている方向性・パーパスに共感し、自発的、主体的に働き貢献したいと思う意欲や愛着を表す指標。なお、従業員エンゲージメントスコアは、中長期的に75以上の達成を目標としています。
<富士通の企業価値向上ストーリー>
※本スライドは、検討中(2026年6月時点)のものであり、変更される可能性があります。
当社は、持続的な企業価値の向上を実現するため、これまで培ってきた強みとそれを支える無形資本(人的資本、テクノロジー・知的資本、社会関係資本)を起点として、社会的価値と経済的価値を一体的に創出するための価値創造モデルを策定しております。本モデルでは、2035年までの中長期経営ビジョンで設定された2035年の目指す世界及び当社の2030年のありたい姿を念頭に、足元で遂行すべき重点戦略等の事業活動を踏まえ、持続的な成長に向けて解決すべき重要課題としてのマテリアリティが存在します。
本モデルの特徴は、非財務活動を企業価値の向上を支えるドライバーとして位置づけ、財務指標との関係性を構造的に整理している点にあります。具体的には、従業員エンゲージメントやお客様NPSの向上が生産性改善に繋がり、提供価値や顧客接点の拡大等を経て、売上成長へと接続する構造を可視化しております。また、温室効果ガス排出削減等の取り組みについても、社会的責任の成果を明示し、持続可能な事業運営を支える重要な活動として位置づけております。
当社は、事業戦略と連動した人材育成、テクノロジーの研究開発、パートナーシップ構築等の無形資本への投資を計画的に実行するとともに、これらを通じた持続可能な価値創出を実現するため、無形資本を基盤とした事業活動の成果を財務指標のみならず、非財務指標からも可視化・モニタリングすることで、価値創造基盤の強化を進めております。本モデルに基づき、社会的価値と経済的価値を同時に創出し、その成果を再投資することで、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
<財務非財務の関係性分析>当社は、企業価値向上ストーリー(価値創造モデル)に基づき、非財務活動を企業価値向上の主要ドライバーとして成長モデルを構築しております。また、非財務活動が財務指標に与える影響について、因果関係分析を通じて定量的かつ体系的に整理しております。例えば、従業員が機会の均等や充実感を感じることが、社員一人ひとりの自律的な行動変容やデジタルツールの積極的な活用を促し、業務効率及び業務品質の向上につながっていると考えられます。さらに、これらの変化が、顧客との対話機会の増加や提案活動の高度化を通じたパイプライン強化につながり、最終的に受注額を押し上げる関係性も確認しています。もっとも、本分析で得られた結果は、当社内の一部の事業領域における財務・非財務データに基づき、一定の仮定を元に実施したものであり、その結果が普遍的に適用されることや将来にわたり同様の効果が得られることを保証するものではありません。今後は、指標の整備及びデータ蓄積の進展を踏まえ、その有効性について継続的に検証を行うと共に、顧客に対するアクションの質・量に効果的な変化をもたらす、リスキリング・アップスキリングやAI・デジタルツール活用といった従業員の具体的な行動を把握するため、分析の高度化を進めていく予定です。
当社グループは、引き続きデータを活用して迅速な意思決定を行いながら、デジタルテクノロジーと、これまで培った多様な業種への実績・知見を活かし、安心・安全で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。パーパス実現に向けては、当社の経営におけるマテリアリティの必要不可欠な貢献分野である地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上の3分野において、重点的に取り組むべき課題を設定し、ビジネスをはじめとする全ての企業活動において取り組みを推進しております。これを通じて、当社グループの企業価値向上と持続可能な世界の実現を目指しております。
財務資本、人的資本といった資本を投入し、重点戦略に沿ってマテリアリティに取り組み、財務・非財務の両面でアウトプットやアウトカムを生み出し、それをまたインプットとして投じる、これを継続することでステークホルダーへの提供価値の向上を図ってまいります。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、引き続き緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのモダナイゼーションや、クラウド化・デジタル化への投資は、今後も堅調に増えると予測されています。さらには、生成型AI(人工知能)に代表されるAIなどのテクノロジーやデータ分析・活用といった業務の高度化に向けた投資は、社会や企業の成長・発展へのニーズに加えて、社会システムや産業構造の変化に対するニーズも加わることで、今後も拡大すると想定されています。
<2025年度までの中期経営計画について>このような状況のもと、当社グループは、2023年度から2025年度までの3年間を2030年及びそれ以降の目指す姿の実現に向けて持続的な成長と収益力向上のモデルを構築する期間として位置付けた中期経営計画を定めました。2025年における当社のあるべき姿と、ステークホルダーへの提供価値の最大化を実現するため、事業モデル・ポートフォリオ戦略、カスタマサクセス戦略/地域戦略、テクノロジー戦略、リソース戦略の4つの重点戦略に沿って施策を推進し、目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。
<2025年度の進捗>2025年度における4つの重点戦略ごとの主な取り組みは以下の通りです。1つ目は、事業モデル・ポートフォリオ戦略における、Uvanceを中心とするサービスソリューションの拡大及びハードウェアソリューションの基盤強化です。
サービスソリューションでは、売上収益に占めるUvanceの割合が伸長しています。Uvanceの2025年度の売上収益は、当初計画の7,000億円を上回る7,093億円となり、2024年度の4,828億円から47%増と大幅に伸長しました。これにより、サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比は、2024年度の21%から30%に拡大しました。2025年度は、堅調に伸長しているテクノロジー基盤のHorizontal領域の売上収益に加えて、市場をクロスインダストリーでとらえたデジタルサービスを提供するVertical領域の売上収益がデータ&AI領域を中心に大きく伸長し、Uvance全体の売上収益に占めるVertical領域の売上収益の割合が4割を超えました。また、当社のコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」の拡大に注力し、コンサルティング主導によってお客様経営変革のアジェンダ策定から実装までをリードする商談も生まれております。また、UvanceのオファリングへのAIの適用やパートナーソリューションを組み合わせたオファリングの開発、グローバルでのオファリングの拡充など、商談のリカーリング比率も着実に伸長しました。
ハードウェアソリューションでは、当社グループ内に分散するハードウェアソリューションに関する研究開発から製造、販売、運用・保守といった一連の機能を集約・分社化することで、グローバルでの競争力強化を図っております。2024年4月に設立したサーバ・ストレージ事業を担うエフサステクノロジーズ株式会社は、製販一体体制により事業効率が向上し、ハードウェアソリューションセグメントにおける採算性の改善につながっています。また、2025年7月には、フォトニクスシステム及びモバイルシステムなどのネットワークプロダクト事業を担う1FINITY株式会社が発足し、事業を開始しました。企業におけるAIの活用が拡大し、今後ますます存在感を増し、欠かせないものとなっていく中、そのデータ活用を支えるハードウェアソリューションも、同じスピードでの進化や実用化が求められています。テクノロジー企業として、今後も各ソリューションの最適な提供体制を検討してまいります。
2つ目は、カスタマサクセス戦略/地域戦略における、モダナイゼーションビジネスの推進及び海外ビジネスの変革です。
モダナイゼーションビジネスは、受注、売上ともに順調に拡大しており、2025年度の売上収益は前期比24%増の大幅伸長となり、当初計画を達成しました。2025年度は、2024年度に引き続き、リソースの効率的かつ機動的なアサインや、当社でモダナイゼーションマイスターと認定している専門人材の育成のほか、言語の自動変換ツールの整備など、業務の高度化、効率化を図りました。Uvanceにつながるモダナイゼーションとして、UvanceのHorizontalのソリューションを統合した、デジタルトランスフォーメーションの提案を進めました。また、生成AIを活用した開発基盤の整備も行いました。
海外ビジネスについては、2025年度のリージョンズ(海外)セグメントの全体の売上収益は5,752億円、2024年度から約2.5%減となりましたが、事業ポートフォリオ変革や構造改革の効果により、営業利益率は2024年度の4.1%から、5.9%へと改善しました。引き続き、Uvanceを中心とするサービスビジネスの拡大を図っており、全エリアにおいて収益性の向上を図ってまいります。
3つ目は、テクノロジー戦略におけるコアテクノロジーの強化です。AI、コンピューティングを中心に、外部パートナーとの戦略的な提携も行いながら、サービスの差別化につながる技術の強化を行っております。
AIは、引き続き生成AIを中心に強化を進めており、マルチAIエージェントの社内実践やUvanceのオファリングへの実装も進んでおります。量子コンピューティングでは、256量子ビット機を開発し、2025年度第1四半期に提供を開始しました。また、2025年9月に本社であるFujitsu Technology Park(川崎市)に量子コンピュータの専用施設を竣工しました。2026年度には世界最大規模となる1,024量子ビット級の機器を開発し、本施設に設置予定です。
また、パートナーとの戦略的な協業も行いながら、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」の開発を進めております。2025年10月には、当社CPUとNVIDIA CorporationのGPUを搭載したコンピューティング基盤上で動作する、領域特化型のAIエージェントを組みあわせたAIインフラストラクチャの構築を目指す戦略的協業の拡大について発表し、開発を進めております。
引き続き、新たなテクノロジーの創出と実用化の両方を目指し、研究開発を加速させてまいります。
4つ目は、リソース戦略における、事業と連動した人材ポートフォリオの実現です。当社は、事業ポートフォリオに連動した人材ポートフォリオの変革を進めており、そのために必要な制度や人材マネジメントの見直しを継続して行っております。グローバルで人材の流動性を高めるために、ジョブ型人事制度に移行しており、2026年4月からは、新卒入社者に対しても、ジョブ型人事制度を適用し、ジョブレベルに応じた処遇を実施しております。2020年度に導入したポスティング制度はキャリア形成の手段として定着し、それに伴い、注力事業領域やキャリア形成に必要なスキルを自律的に学ぶリスキリングも活発になっており、制度や環境の整備が社員の行動変容につながっております。また、2025年10月には、グローバル共通の人事プラットフォームであるOnePeopleが日本で稼働し、順次グローバルに展開していく予定です。今後も、注力事業領域のリソースの強化やコーポレートの効率化、外部転身を含むリソースシフトなどを行いながら、事業成長と生産性の向上に向けた取り組みを継続してまいります。
以上4つの重点戦略に加えて、全社的な取り組みとしてサービスソリューション全体の収益性向上に向けた取り組みを継続して進めてまいりました。オフショアのシステム開発及びデリバリーを行うグローバルデリバリーセンター及び海外の開発拠点を日本側で統括するジャパングローバルゲートウェイを中心にデリバリーの変革を行い、サービスソリューション全体の収益性の向上に努めました。2025年度は、ジャパングローバルゲートウェイのさらなる活用の拡大や、標準デリバリーモデルの拡充等を進めました。お客様への提供価値に基づくプライシング戦略を拡大し、継続的な収益の増加に取り組みました。これらの施策を進めた結果、2025年度はグロスマージン率が2%改善しました。また、生成AIを活用した開発の効率化・標準化として、セキュアな状況で活用できる生成AIを用いた開発環境を整備し、まず日本国内のSE約3万人及び当社の協力会社に対し提供、2025年度下期からは海外36カ国への提供も開始しました。
<2025年度までの非財務面での取り組み>当社グループは、非財務の領域においても、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において2025年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいりました。環境でのKPIとして温室効果ガス削減量を定めており、2020年度と比較しScope1・2では当社グループで59.2%削減、Scope3(Category11)ではサプライチェーンで42.8%の削減を達成する見込みです。お客様については、お客様NPS®において2022年度比で20ポイント上昇を目指し、2025年度で27.4ポイントの上昇となりました。生産性については、従業員1人当たりの調整後営業利益において、2022年度比40%の上昇を目指し、2025年度で89%の上昇を達成する見込みです。人材では、従業員エンゲージメントについて、グローバルでのスコア75の達成を目指し、全従業員を対象としたサーベイの結果などをベースに様々な施策を進め、2022年度から2ポイント改善し2025年度はスコア71となりました。また、ダイバーシティリーダーシップの指標として、グローバルでの女性幹部社員比率を2022年度の15%から2025年度で20%に拡大することを目標としておりましたが、2025年度は17.5%となる見込みであり、いずれも目標達成には至らない見込みです。また、2024年度に引き続き、非財務面での取り組みが財務面に対しどのように寄与するかについての定量的な分析を進めました。
(注)1.お客様NPS®:お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS®)の略。お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標。※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
2.従業員エンゲージメント:会社の向かっている方向性・パーパスに共感し、自発的、主体的に働き貢献したいと思う意欲や愛着を表す指標。
<2025年度までの3年間の振り返り>2025年度までの3年間で、事業及び人材のポートフォリオ変革及び経営基盤の強化をグローバルで進めた結果、収益力が着実に向上しております。調整後営業利益は、全社連結で4期連続過去最高益を更新しました。同じく、中核となるサービスソリューションにおいても、調整後営業利益は金額、率ともに着実に改善しており、2020年度からの中期経営計画の期間も含めて6期連続での伸長となりました。このように、本業での利益拡大に加えて運転資本の効率化によりコア・フリー・キャッシュ・フローはスタート地点となる2022年度と比較して1.8倍となり、キャッシュ創出能力が大きく改善されました。また、本業での改善に加えて、新光電気工業株式会社や株式会社富士通ゼネラル(現 株式会社ゼネラル)、FDK株式会社などノンコア事業のカーブアウト等の施策を行った結果、フリー・キャッシュ・フローは2022年度と比較して2.7倍まで改善し、今後の成長投資に向けた基礎体力が向上しました。
<中長期経営ビジョン2035>当社では、2023年度から2025年度までの中期経営計画の期間を持続的に成長できる企業となるための基盤づくりを行う準備期間と位置づけ、事業及び経営基盤において、そのための変革に取り組んでまいりました。2026年度以降は成長の期間と位置づけ、これまでの変革によって整えた環境を最大限に活用し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。これまでは、3か年のサイクルで経営計画を策定し、目標達成に向けて取り組んでまいりましたが、2026年度からの新たな経営計画は、2035年度をゴールとする10年での中長期ビジョンとして策定いたします。昨今、社会情勢は予測が難しい速さ、複雑さで変化しており、3か年での中期経営計画では、計画の策定時とゴールとなる3年後で戦略立案の前提としてきた事業環境が大きく変わり、施策や目標が実際の状況に沿わなくなること、また、将来の成長につながる新規ビジネスと現状からの拡大及び効率化に取り組む既存ビジネスは時間軸を分けて投資や施策の検討及び実行を行う必要があることから、10年後の当社のあるべき姿を定め、そこに向かって1年ごとに目標を定め、軌道修正しながら少し先の目標に向かう方針としました。2035年度に向けて、当社の強みであるAI、コンピューティングといったTechnology-drivenでの価値創造を進めてまいります。信頼できるテクノロジーをコアに、スピードと規模を一層追求し、お客様や社会と共に成長する企業となることを目指してまいります。また、AI-driven経営の支援を成長の柱として、施策の検討及び実行を進めてまいります。当社の顧客基盤は、公共分野を含む全産業分野に及び、50年以上にわたって業務アプリケーション開発やその運用保守に携わってまいりました。AIをはじめとするテクノロジーの社会実装には、現在の業務やそれを支えるITの理解を通じての新たな業務設計や新技術の適用・実装が不可欠です。多様な業種・業務のお客様の経営から現場まで届く知見や対応能力をもって、Technology-drivenの顧客業務や社会の変容をリードすることを目指してまいります。
当社では、2035年に向けて対応が迫られる社会課題と、そこに対し当社がどのように貢献できるかを整理しました。今後AIやクラウドなどの技術への依存度が高まる一方で、その技術に関する主権のリスクが増大します。また、高齢化や労働人口の減少に伴い、生産性や産業競争力が低下していきます。特にものづくりの分野では、生産性の低下に加えて、熟練技術者のノウハウや暗黙知が継承されず、断絶していく懸念があります。そして、年々甚大化する自然災害が常態化することで、社会への被害も拡大していきます。これらの課題に対し当社は、よりエネルギー効率の高い安心安全なコンピューティングパワーを提供するSovereign Platform、ロボットと人が協調し自律的に進化していくPhysical AI、そして、大規模データをデジタルツインで分析し施策の高度化を行うIntelligent Societyの3つの領域を中心に、課題解決に向けたソリューションの開発及び提供に注力してまいります。そして、これらの3つの領域で、新たな事業を創出してまいります。

<2026年度の取り組み>2026年度は、サービスソリューションにおいて、引き続きUvance及びモダナイゼーションビジネスによる拡大に注力してまいります。また、これまでのリージョンごとのマネジメントから、業種軸でのマネジメントにシフトしてまいります。お客様や業種・業務への理解を深め、それぞれの課題に対しお客様と共に解決に取り組むビジネスモデルをグローバルで展開し、そこからクロスインダストリーでの社会課題解決への取り組みにつなげることを目指してまいります。採算性の向上では、開発プロセスの標準化や生成AIの活用拡大などの取り組みにより、引き続きグロスマージン率2%の改善を目指してまいります。また、大規模言語モデル「Takane」や、AI Platform Kozuchiを活用したAI技術、1万量子ビットを超える超伝導量子コンピュータの開発、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」等の先進的研究を中心に、投資をさらに強化してまいります。1年ごとの目標を着実に達成していくことで実績と信頼を積み上げ、テクノロジーによって新たな事業を創出しながら、2035年のビジョンに沿った施策を推進してまいります。
<2026年度以降の非財務面での取り組み>当社グループは、非財務の領域においても、引き続き、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において、経営の非財務指標を定めました。下記の図の通り、2026年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいります。
(注)1.お客様NPS®:お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS®)の略。お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標。※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
2.従業員エンゲージメント:会社の向かっている方向性・パーパスに共感し、自発的、主体的に働き貢献したいと思う意欲や愛着を表す指標。なお、従業員エンゲージメントスコアは、中長期的に75以上の達成を目標としています。
<富士通の企業価値向上ストーリー>
※本スライドは、検討中(2026年6月時点)のものであり、変更される可能性があります。当社は、持続的な企業価値の向上を実現するため、これまで培ってきた強みとそれを支える無形資本(人的資本、テクノロジー・知的資本、社会関係資本)を起点として、社会的価値と経済的価値を一体的に創出するための価値創造モデルを策定しております。本モデルでは、2035年までの中長期経営ビジョンで設定された2035年の目指す世界及び当社の2030年のありたい姿を念頭に、足元で遂行すべき重点戦略等の事業活動を踏まえ、持続的な成長に向けて解決すべき重要課題としてのマテリアリティが存在します。
本モデルの特徴は、非財務活動を企業価値の向上を支えるドライバーとして位置づけ、財務指標との関係性を構造的に整理している点にあります。具体的には、従業員エンゲージメントやお客様NPSの向上が生産性改善に繋がり、提供価値や顧客接点の拡大等を経て、売上成長へと接続する構造を可視化しております。また、温室効果ガス排出削減等の取り組みについても、社会的責任の成果を明示し、持続可能な事業運営を支える重要な活動として位置づけております。
当社は、事業戦略と連動した人材育成、テクノロジーの研究開発、パートナーシップ構築等の無形資本への投資を計画的に実行するとともに、これらを通じた持続可能な価値創出を実現するため、無形資本を基盤とした事業活動の成果を財務指標のみならず、非財務指標からも可視化・モニタリングすることで、価値創造基盤の強化を進めております。本モデルに基づき、社会的価値と経済的価値を同時に創出し、その成果を再投資することで、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
<財務非財務の関係性分析>当社は、企業価値向上ストーリー(価値創造モデル)に基づき、非財務活動を企業価値向上の主要ドライバーとして成長モデルを構築しております。また、非財務活動が財務指標に与える影響について、因果関係分析を通じて定量的かつ体系的に整理しております。例えば、従業員が機会の均等や充実感を感じることが、社員一人ひとりの自律的な行動変容やデジタルツールの積極的な活用を促し、業務効率及び業務品質の向上につながっていると考えられます。さらに、これらの変化が、顧客との対話機会の増加や提案活動の高度化を通じたパイプライン強化につながり、最終的に受注額を押し上げる関係性も確認しています。もっとも、本分析で得られた結果は、当社内の一部の事業領域における財務・非財務データに基づき、一定の仮定を元に実施したものであり、その結果が普遍的に適用されることや将来にわたり同様の効果が得られることを保証するものではありません。今後は、指標の整備及びデータ蓄積の進展を踏まえ、その有効性について継続的に検証を行うと共に、顧客に対するアクションの質・量に効果的な変化をもたらす、リスキリング・アップスキリングやAI・デジタルツール活用といった従業員の具体的な行動を把握するため、分析の高度化を進めていく予定です。
当社グループは、引き続きデータを活用して迅速な意思決定を行いながら、デジタルテクノロジーと、これまで培った多様な業種への実績・知見を活かし、安心・安全で豊かな社会づくりに貢献してまいります。