有価証券報告書-第120期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/22 13:55
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当社グループは、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、今後緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントや、効率化のためのモダナイゼーション(注1)への投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用、IoT(モノのインターネット)など、デジタル化に向けた投資は、今後急速に拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)(注2)を牽引し、社会課題の解決に貢献する「DX企業」への変革を目指します。そのため、取締役会及び独立役員会議などの場で議論を重ねて新たな経営方針を策定し、2019年9月に発表いたしました。
<経営方針概要>今後は、AI、データ活用などのテクノロジーをベースとしたDXビジネスと、DXに必要なクラウド移行などのモダナイゼーションとを合わせて「デジタル領域」とし、これを成長させていきます。
デジタル領域において、次の施策を進めてまいります。
DXビジネスを加速するため、これに特化したコンサルティング会社を設立します。経営戦略及び各業種に特化したコンサル、ソリューションをベースとしたコンサルなど、様々な切り口で企画・提案を行い、社内外から最適なサービス・製品を用いてテクノロジーを実装し、ワンストップで提供してまいります。
そして、DXを支えるテクノロジーとして、コンピューティング、AI、5Gネットワーク、サイバーセキュリティ、クラウド、データマネジメント、IoTの7つを重点技術領域として定め、リソースを集中し強化してまいります。また、テクノロジーの強化に加え、ビジネス機会創出と新事業を推進するための投資を実行します。コーポレートベンチャーキャピタルやベンチャー企業への投資、M&Aへの投資も適宜行ってまいります。
併せて、当社グループのDXを加速するため、社内プロセスや情報インフラの刷新を行い、社内改革を実行してまいります。
当社グループが強い顧客基盤を持つ従来型ITビジネスについては、一層の効率化を推し進めるとともに、商談機会を確実に獲得することで、利益を確保してまいります。
海外ビジネスについては、成長軌道に乗せるためのビジネスモデル変革に引き続き取り組んでおり、特に欧州は、NWE(Northern & Western Europe)及びCEE(Central & Eastern Europe)の2リージョンに分け、それぞれに責任者を置いて機動的にビジネスを展開してまいります。
また、非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループは、SDGs(Sustainable Development Goals)(注3)を経営の中心に据えて取り組んでおります。これまでも責任ある企業として、世界各地域において、それぞれテーマに沿って活動しておりましたが、今後は、グローバルに統一したテーマのもと、活動を進めてまいります。人権や多様な価値観、心身ともに健康であることを目指すウェルビーイング、地球環境、倫理・コンプライアンス、コミュニティ活動などのカテゴリーごとに目標を定め、社会課題の解決に取り組むとともに、グローバルに持続的な成長を目指してまいります。
上記の施策を推し進め、グローバルでの競争力を高めながら、DX企業への積極的な変革に取り組んでまいります。当社は、急速に変化する世界のなかで創立から100年(2035年)を超えて繁栄していくため、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを制定しました。このパーパスの実現に向けて、中期経営目標として、2022年度には、本業のテクノロジーソリューションにその他全社消去を加味した値として、売上収益3兆5千億円、連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
<コンプライアンスへの取り組み>なお、当社グループは、企業価値の維持・向上の観点から、コンプライアンスを含む内部統制体制の構築及び運用を経営の最重要事項の一つと認識し、FUJITSU Wayの「行動規範」に則り、その徹底を図っております。コンプライアンスに関する取り組みの一層の強化も対処すべき課題と位置づけ、今後も、継続して取り組んでまいります。
<新型コロナウイルスへの対応>当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、お客様、お取引先様、従業員とその家族の安全確保・感染予防と感染拡大の防止、事業継続に向けた対応に取り組んでいます。海外を含む全拠点において、各国政府の指示に従い、自宅勤務などの対策を適宜進めております。またお客様に対しても、Web会議システムなどを活用したリモートでのサポートを実施しております。今後も、各国政府及び関係機関の指示に従いながら、ITを活用した最大限の取り組みを行ってまいります。
<新型コロナウイルスによる市場環境の変化>新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模で経済活動に影響が出ており、その回復の見込みはいまだ不透明な状況にあります。外出・移動制限による個人消費の落ち込みや世界各国における貿易制限措置によるサプライチェーンリスクの顕在化など、各産業において様々な影響が出ています。一方で、これまで対面で行われていた生活やビジネスのシーンが、今後オンラインの場に移行すると予想されており、テレワークやオンライン教育などへのIT関連需要は拡大すると予測されています。より人を中心にデータが複雑につながっていく中、当社はデジタルテクノロジーと多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
(注)1.現状の資産を活用しながら、変化対応力を備え、先進技術を素早く活用できるシステムへ変革していくこ
と。
2.デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらすもの。
3.2015年に国連で採択された国際社会が環境や社会、経済活動を未来に向けて持続可能とするための世界共通
の開発目標。
(2)気候変動・エネルギー問題への対応
気候変動は国・地域を超えて世界に影響を与える問題であり、グローバルに活動する当社にとって重要な課題であると認識しています。
気候変動に伴う影響は、事業活動に様々なリスク(注1)をもたらします。例えば、近年、発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、部品やエネルギー等調達を困難とします(物理リスク:急性)。また、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招くなど(物理リスク:慢性)、当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。さらに、温室効果ガス(以下、GHG)の排出規制等の様々な規制の強化が考えられ、これらに適合ができない場合には、企業レピュテーションが低下したり(移行リスク:評判)、省エネ製品・サービスの開発が不十分な場合に規制への適合を条件とする入札に参加できなくなったりする可能性があります(移行リスク:市場/技術)。また、これらの規制等に適合するために必要なコストが増加する可能性があります(移行リスク:政策・法規制)。従って、さらなる省エネの強化や、低/ゼロGHG排出エネルギーの利用の推進と、サプライチェーン管理の強化が必要です。
一方、気候変動への対応は、当社グループのお客様においても課題であることから、気候変動の緩和と適応に貢献する製品やサービスの開発と提供は、お客様とともに課題克服のイノベーションを創出する機会につながります。ICTにより多様なモノやサービスをデジタルにつなげることで、物流や交通、ものづくりなど様々な分野でエコシステムを形成し、社会システム全体としてのエネルギーの最適利用を実現するとともに、先進テクノロジーをレジリエントな社会インフラの構築などに活用することが可能です。
こうした背景を踏まえ、当社グループは、グローバルICT企業として、気候変動対策において果たすべき役割や実現すべき未来の姿を明確にした2050年までの中長期環境ビジョン「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定しました。本ビジョンは、ICTを活用し自らの「脱炭素化」にいち早く取り組むこと、及び、そこで得たノウハウと当社のデジタルテクノロジーをソリューションとしてお客様・社会に提供し、ビジネスを通して気候変動の緩和と適応に貢献することを狙いとしています。
本ビジョンの実現に向け、2018年に、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギー(以下、再エネ)とすることを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しました。国内外の富士通グループ拠点で消費する電力を2050年までに100%再エネ由来とすることを目指すと共に、エネルギーのマネジメントや貯蔵などの研究開発や技術実証に取り組み、社会全体の再エネの普及拡大にも貢献していきます。
自らの「脱炭素化」について具体的には、2050年までに自らのCO2ゼロエミッションを掲げていますが、そのCO2削減シナリオは、「2℃目標」(注2)達成のために科学的に根拠のある水準であると認められ、自社及びサプライチェーンにおける排出削減目標(2030年目標、2050年目標[自社のみ])として、国際的なイニシアチブ「Science Based Targets initiative(SBTi)」(注3)に承認されています。今後、SBTiの「1.5℃目標」の承認取得を目指します。また、長期目標の達成に向け策定した、GHG排出削減や再生可能エネルギー使用量等を含む短期目標「第8期富士通グループ環境行動計画(2020年目標)」において、設備の省エネ対策、製造プロセスの見直しによる効率化、オフィス空調温度の適正化等により、2018年度の温室効果ガス排出量削減目標を達成しました。2018年度の温室効果ガス排出量は、直接排出(Scope1)が147千トン、間接排出(Scope2)が808千トンでした。
こうした気候変動に係るリスクと機会に関する具体的な方針や目標の管理は、代表取締役社長を主宰とし、グループ全体に関わる環境を含むサステナビリティ関連事項の提案・決定・指示を行う委員会である「サステナビリティ経営委員会」において実施され、経営会議での最終決定の後に取締役会に報告されます。さらに、取締役会の監督の下、全社レベルのリスクマネジメント体制において各部門でのリスク分析結果を踏まえ統合的に気候変動関連のリスク分析と対応が行われます。リスク管理のプロセスにおいては、最初に識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、関連する委員会等で回避・軽減・移転・保有などの対策を決定し、進捗管理を行います。重要リスクについては定期的に取締役会に報告しています。
当社は、2019年4月にTCFD(注4)による気候変動情報開示への提言に賛同を表明し、比較可能性や一貫性に配慮した開示に努めています。
最新の情報と詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。
(注)1.気候関連財務情報開示タスクフォース(注4参照)では、気候変動関連リスクを、(1)低炭素経済への移行に関連した「移行リスク」と、(2)気候変動の物理的影響に関連した「物理リスク」に分類。移行リスクには、「政策及び法規制のリスク」、「技術のリスク」、「市場のリスク」、「評判上のリスク」が含まれ、物理リスクには、異常気象の激化などによる「急性リスク」と長期的な気温上昇などによる「慢性リスク」が含まれます。
2.「産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑える」という目標。国連気候変動枠組条約第21回締約国会議において、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組みとして採択され、2016年11月にパリ協定において発効されました。
3.2015年に国連グローバルコンパクト、WRI(世界資源研究所)などの団体が共同で設立したイニシアチブ。産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるために、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標の設定を企業に働きかけています。
4.気候関連財務情報開示タスクフォース。気候変動に係る金融市場の不安定化リスクを低減するため、G20の要請で金融安定理事会が設立。2017年6月に、気候変動がもたらすリスク、及び機会についての情報企業・団体等が自主的に把握、開示することを推奨する提言を発表しました。

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