有価証券報告書-第129期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/28 15:00
【資料】
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【項目】
170項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
①経営理念・経営信条
当社の創業者 早川徳次の言葉の一つに「他社がまねするような商品をつくれ」があります。この言葉には、次の時代のニーズをいち早くかたちにした“モノづくり”により、社会に貢献し、信頼される企業を目指すという当社グループの経営の考え方が凝縮されています。
当社グループは、1973年に、この創業の精神を「経営理念」「経営信条」として明文化しました。さらに、2016年には、早川創業者の「誠意と創意」の精神を、これからも変わらない当社グループの“原点”として受け継ぎ、オリジナリティ溢れる新たな価値を提供し続けることを世界中のお客様と約束する言葉として、新コーポレート宣言“Be Original.”を制定しました。
当社グループは、今後も引き続き、「経営理念」「経営信条」を体現し続けることで、社会の発展に貢献していきたいと考えています。
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②目指す方向性
当社グループは現在、「ESGに重点を置いた経営」の方針のもと、「技術力のさらなる強化」、「グローバルマインドの醸成」、「人を活かす経営」の3つに重点的に取り組むとともに、新規事業の創出を加速しています。
こうした取り組みを通じて、脱炭素社会の実現や医療・介護問題の解決、労働力不足の解消、多様なライフスタイルの実現等、現代社会が直面する様々な社会課題の解決に貢献することで、人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立を目指しています。
(2) 経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2023年度は、コロナ特需の反動や世界的なインフレ、エネルギーコストの高止まり、地政学問題等の影響により、昨年度に引き続き、全体的に需要が低調に推移する見通しです。なお、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション関連分野等については堅調な需要が見込まれると想定しています。また、半導体不足や原材料価格の高騰、物流コストの上昇等のサプライチェーンの混乱による影響については、足元では緩和傾向にあるものの、今後も不透明な状況が継続すると考えています。
こうした環境下、当社グループは今年度、年間黒字達成に向け「開源節流」、即ち、新商品/新市場/新事業への展開による事業拡大(開源)及びより筋肉質な経営体質の構築(節流)に、全社を挙げて取り組みます。さらに、ブランド事業を主軸とした事業構造の構築に向け、新規事業の具体化加速や“Be a Game Changer”を実現する革新技術、革新デバイスの開発等に取り組みます。
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当社グループは、事業変革のさらなる加速に向け、本年4月1日付で事業推進体制の見直しを行いました。具体的には、注力領域の明確化及び事業間シナジーの最大化を狙いに、事業グループの体制を「スマートライフ&エナジー事業」、「スマートオフィス事業」、「ユニバーサルネットワーク事業」の3つのブランド事業と、「ディスプレイデバイス事業」と「エレクトロニックデバイス事業」の2つのデバイス事業に再編しました。また同時に、技術力の強化を狙いに、全社のイノベーションを支える機能を束ねた「イノベーショングループ」を新設しています。
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加えて、今回、各事業グループ傘下に新規事業を専門に担う組織を設置しました。今後はこれらの組織が中心となり、将来の成長の柱となる事業の早期立ち上げに取り組んでいきます。
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(3) セグメント別重点取り組み
<ブランド事業>①スマートライフ&エナジー事業グループ
白物家電事業では、新規独自特長商品やソリューションの創出と海外事業の拡大の方針のもと、付加価値商品のシェア拡大や、日本及び米国スマートキッチンの拡大、ASEAN事業の高付加価値化などに取り組みます。
エネルギーソリューション事業では、堅調な再エネ導入需要を追い風に住宅用PV/蓄電池の販売拡大やアジアにおける大型発電案件の獲得などに取り組みます。
これにより、スマートライフ&エナジー事業では、前年に対して増収増益となる見通しです。
②スマートオフィス事業グループ
ビジネスソリューション事業では、ソリューション事業の強化とB2Bディスプレイ事業の収益改善の方針のもと、スマートオフィスの販売拡大やMFP事業のラインアップ拡充、商品力強化、デジタルイメージングソリューション事業のグローバル拡大などに取り組みます。
PC事業では、国内B2B事業の強化とソリューション事業の拡大を図るべく、国内B2B向け新商材の投入やPCマネジメントサービスの拡大に取り組みます。また、海外については、北米、アジア、オセアニア地域に集中した事業展開を推進していきます。
これにより、スマートオフィス事業では、売上高は前年に対して横ばいで推移するものの、利益は改善する見通しです。
③ユニバーサルネットワーク事業グループ
TVシステム事業では、商品力の強化及びサプライチェーン改革による収益性改善の方針のもと、XLEDのグローバル販売拡大や生産工場の競争力強化等に取り組みます。
通信事業では、スマートフォン事業のブランド力強化と非スマートフォン事業の拡大を図るべく、ハイエンド/ミドルエンド端末の構成比向上やルーター等のワイヤレス新商材の販売拡大などに取り組みます。
これにより、ユニバーサルネットワーク事業では、今年度の黒字化を見込んでいます。
<デバイス事業>①ディスプレイデバイス事業グループ
中小型パネル事業では、中型パネル事業の拡大と工場稼働の最大化/最適化の方針のもと、VR向け事業の拡大や車載向けパネルの販売拡大などに取り組みます。
大型パネル事業では、収益性改善を最優先した事業運営の方針のもと、パネル価格を睨んだ生産・販売活動を展開していきます。
これにより、ディスプレイデバイス事業では、赤字が大幅に縮小する見通しです。
②エレクトロニックデバイス事業グループ
カメラモジュール事業では、新規事業/新規顧客の開拓の方針のもと、XR市場向けデバイスの販売拡大に取り組むとともに、既存事業の収益構造の改善にも取り組んでいきます。
センサー事業では、新規分野の開拓を加速すべく、バイタルセンシングデバイスの販売拡大等に取り組みます。
しかしながら、エレクトロニックデバイス事業では、前年に対して減収減益を見込んでいます。
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(4) 目標とする経営指標
当社グループは昨年度、早期に業績回復を図るべく、コストダウンに加え、円安対策や不採算事業の構造改革、人員適正化、在庫削減等、様々な収益改善策を講じてきました。今年度も非常に厳しい事業環境が継続する見通しにありますが、2023年度はこうした取り組みを基盤として、全社で開源節流を徹底します。これによりブランド事業、デバイス事業共に大幅な収益改善を図り、年間黒字の達成を目指してまいります。
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