四半期報告書-第97期第2四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/11/11 9:03
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、各国オペレータが5Gサービスを開始していますが、5Gミリ波の技術的課題や、米国Cバンド(*1)の商用化スケジュールの遅れなどにより、5Gスマートフォンの普及速度は緩やかになっています。ミリ波による5G商用化の普及が遅れていた米国においては、Sub6GHz帯であるCバンドによる商用化に向けて基地局の建設等が開始されており、基地局の建設保守用の計測器需要が今後期待されます。
「Release 17」(*2)の標準化完了によって更に進展した5G利活用の領域では、Automotive分野での5G活用に向けた研究開発や、ローカル5Gのようなプライベート領域での5Gネットワーク構築に向けた調査や実証実験が始まっています。IoT分野では、米国のラストワンマイルで利用されるCPE(Customer Premises Equipment、顧客構内設備)の需要が増加してきており、5G無線モジュールの開発に加えてWi-Fi 6E(*3)の開発需要も生じています。さらに、次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。
5Gのネットワークでは、オペレータが無線ネットワークをより柔軟に構築できるよう、無線アクセスネットワークのオープン化に取り組むO-RANアライアンスが活動を進めてきました。これまでメーカー独自のインタフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダーでの無線アクセスネットワークの構築が容易になりました。これにより、世界各地のオペレータがO-RANの導入を進めています。
また、クラウドサービスの高度化や5Gサービスの進展によりデータ・トラフィックが急増し、ネットワークインフラを逼迫させつつあります。ネットワークの更なる高速化を進めるサービス・プロバイダでは、100Gbpsサービスの導入が本格化するとともに、ネットワーク機器メーカーでは、400Gbpsネットワーク装置の開発も進展しています。
新型コロナウイルス感染症については、変異株の感染再拡大など依然として先行きが不透明な状況が継続しています。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う地政学リスクの高まり、資源価格の高騰、世界的な半導体不足の長期化も企業業績に対する重要なリスク要因となっています。
半導体不足をはじめとした部品調達リスクに対しては、取引先と強固な関係を構築し、情報を速やかに把握する仕組み作りや、戦略的な部品在庫の確保などの対策を講じています。あわせて、リスクの高い部品については代替品への変更などによりリスクの最小化を図っています。
(*1)マイクロ波帯を分割する際の一つの周波数帯(4~8GHz)の呼び名
(*2)3GPPで標準化される規格番号
(*3)第6世代のWi-Fi 6の使用帯域を6GHz帯まで拡張した無線LAN規格
このような環境のもと、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
当第2四半期連結累計期間は、受注高は57,944百万円(前年同期比5.8%増)、売上収益は53,963百万円(同5.3%増)、営業利益は5,412百万円(同27.7%減)、税引前四半期利益は6,770百万円(同9.9%減)、四半期利益は5,105百万円(同7.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は5,100百万円(同6.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
① 通信計測事業
当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当第2四半期連結累計期間は、5Gチップセット及び携帯端末の開発需要やデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた開発・生産関連需要を獲得し、売上収益は前年同期と同水準となりました。費用面では、原材料価格の高騰に加え、世界的なインフレ、人件費上昇等による固定費の増加や販売促進費の増加が影響し、前年同期比で減益となりました。
この結果、売上収益は36,340百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は5,436百万円(同23.1%減)となりました。
② PQA事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当第2四半期連結累計期間は、米州を中心に食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要が堅調に推移しました。費用面では、販売活動の強化による販売促進費及び部品調達費や物流費等の増加も影響し、前年同期比で減益となりました。この結果、売上収益は11,926百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益は521百万円(同29.4%減)となりました。
③ その他の事業
その他の事業は、環境計測事業、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
2022年1月4日付で株式会社高砂製作所を連結子会社とし、前第4四半期連結会計期間より同社を連結対象としています。この結果、当第2四半期連結累計期間は、売上収益は5,697百万円(前年同期比45.5%増)、営業損失は67百万円(前年同期は164百万円の利益)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、42,970百万円となり、期首に比べ2,718百万円減少しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、3,202百万円のプラス(前年同期は9,319百万円のプラス)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で6,398百万円(前年同期は11,642百万円の獲得)となりました。これは、税引前四半期利益の計上及び、営業債権及びその他の債権が減少したことにより資金が増加した一方、棚卸資産の増加や営業債務及びその他の債務の減少によって資金が減少したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は2,903百万円(前年同期比393百万円増)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で3,195百万円(前年同期は2,322百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で8,194百万円(前年同期は7,647百万円の使用)となりました。これは、自己株式の取得による支出4,999百万円及び配当金の支払2,699百万円(前年同期の配当金支払額は3,367百万円)が主な要因です。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(新型コロナウイルス感染拡大の影響について)
新型コロナウイルス感染拡大による不透明な社会・経済状況が依然として継続しています。今後の新型コロナウイルス感染拡大の状況や収束時期によっては、経済活動の停滞が更に長期化するなど、当社グループの業績へ影響を及ぼす可能性があります。本影響は、会計上の見積り項目のうち、主に非金融資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性に関連がありますが、前期末に行った会計上の見積りの前提となる仮定に重要な変更は行っておりません。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により見積りが変化した場合には、将来の財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当第2四半期連結累計期間の研究開発投資の金額は、6,017百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。