有価証券報告書-第93期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に景気拡大が継続し、国内においても企業収益及び雇用情勢の改善が続くなど回復基調で推移しましたが、米中間の貿易摩擦や保護貿易主義による対立などにより不確実性を増しています。
情報通信分野においては、モバイル・ブロードバンド・サービスは質量ともに拡がりを見せ、データ通信量は急速に増加して、ネットワーク・インフラを逼迫させつつあります。それらの課題を解決するために、モバイル通信方式4Gは、LTE(Long Term Evolution)及びLTE-AdvancedそしてLTE-Advanced Pro(Gigabit LTE)と進化し続けています。加えて、次世代の通信方式5Gの仕様策定が3GPPで進行しています。2017年12月に5G NSA-NR(Non-Standalone New Radio)、2018年6月に5G SA-NR(Standalone New Radio)の標準化が完了し、5Gの超高速通信に関する主要機能の全仕様が規定されました。3GPPでは引き続き、ユースケースの拡張が期待される超低遅延及び多数同時接続の仕様策定を検討しており、2020年初旬に標準化完了が予定されています。
その結果、各国主要キャリアの5Gの商用化に向けたロードマップが具体化し、商用化スケジュールは順調に進展しています。2018年12月に北米や韓国でモバイル・ルーターを使用した先行的な5Gサービスが開始され、2019年4月からは5Gスマートフォンのサービスも開始されました。米国、アジアの主要端末ベンダーは、5Gスマートフォンサービスで使用される端末の開発を行い、MWC(Mobile World Congress)2019で相次いでリリースしました。
このような環境のもと、計測事業グループは、5Gの開発投資需要を獲得するためのソリューションの開発と組織体制の整備に注力し、5Gチップセット及び端末の初期開発需要を獲得しました。
PQA事業の分野においては、加工食品生産ラインの自動化投資が進むとともに、X線を用いた異物検出並びに包装に関する品質保証などの需要が堅調に拡大しています。PQA事業グループは、このような状況下でX線を軸としたソリューションの競争力強化と海外の販売体制の整備拡充に取り組みました。
この結果、受注高は100,819百万円(前年同期比13.9%増)、売上収益は99,659百万円(同15.9%増)、営業利益は11,246百万円(同128.9%増)、税引前利益は11,362百万円(同146.9%増)、当期利益は8,991百万円(同210.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は8,956百万円(同210.9%増)となりました。
なお、法人税の不確実性に係る未払法人所得税の見直しを行ったことなどにより、米国子会社の法人所得税費用が約5億円減少しています。この結果、法人所得税費用は2,371百万円(前年同期比39.2%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、130,467百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,277百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、44,789百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,912百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は、85,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,364百万円増加しました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。
当連結会計年度より、各事業セグメントの業績をより適切に評価するため、これまで各事業セグメントに配分していた一般管理費のうち本社管理費等を全社費用に含めるよう配分方法を変更しています。前連結会計年度の数値は、変更後の表示に合わせて組替再表示しています。
① 計測事業
当事業は、通信事業者、関連機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当連結会計年度は、モバイル市場において北米・アジアを中心に、5Gのチップセット及び携帯端末の初期開発需要が想定を上回って推移しました。また、ネットワーク・インフラ市場においては、米国の内需関連需要が堅調でした。この結果、売上収益は68,168百万円(前年同期比25.2%増)、営業利益は9,413百万円(同338.3%増)、調整後営業利益は9,413百万円(同274.5%増)となりました。
(注)調整後営業利益とは、営業利益から一過性の性格を持つ損益項目を排除した恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
(非監査情報)営業利益から調整後営業利益への調整表
(単位:百万円)
② PQA事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当連結会計年度は、食品・医薬品に対する安全・安心志向の高まりや、人手不足を背景とした検査工程を自動化する動きが加速しており、国内・海外とも食品市場の品質保証プロセスの自動化、高度化を目的とした設備投資が堅調に推移しました。一方、海外市場の販売力強化に向けた投資を行いました。この結果、売上収益は23,074百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は1,609百万円(同18.3%減)となりました。
③ その他の事業
その他の事業は、情報通信事業、デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当連結会計年度は、デバイス事業において価格競争激化の影響を受けるなど、全体として低調に推移しました。この結果、売上収益は8,416百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益は1,145百万円(同21.5%減)となりました。
2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、45,097百万円となり、前期末に比べ9,644百万円増加しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、11,631百万円のプラス(前期は4,014百万円のプラス)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で12,247百万円(前年同期は7,946百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益並びに減価償却費及び償却費の計上により資金が増加した一方、営業債権及びその他の債権の増加により資金が減少したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は4,386百万円(前年同期比101百万円増)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で616百万円(前年同期は3,932百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得により資金が減少した一方、その他の金融資産の売却により資金が増加したことが主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で2,052百万円(前年同期は8,201百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額2,198百万円(前年同期の配当金支払額は2,059百万円)が主な要因です。
3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注1)金額は販売価格によっております。
(注2)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注1)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注2)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。
1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。
2) 経営成績
当社グループは、計測事業、PQA事業の2つを報告セグメントとしています。
① 計測事業
当社グループの売上収益の68%を占める計測事業は、「モバイル市場」「ネットワーク・インフラ市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。
a. モバイル市場
モバイル市場には、携帯電話サービスを行う通信事業者の端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末やICチップセット、その他関連電子部品メーカーでの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向けの計測器等を含めております。
当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセット・メーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数などに影響される傾向があります。
現在、世界各国でLTE方式による多様なモバイル・ブロードバンド・サービスが展開されています。業界をリードする端末/チップセット・メーカーや通信事業者はサービスの更なる高度化・高品質化を目指し、LTE-Advanced 、LTE-Advanced Proへと通信システムの深化に取り組んでいるものの、端末製造市場ではスマートフォンの総出荷台数の飽和により投資抑制の動きが続いています。
一方で、LTEに続く次世代の通信方式(5G)では、2017年12月のNSA-NRに続いて2018年6月にSA-NRの規格仕様が策定され、第1フェーズの標準化が完了しました。これにより、2020年の本格的な5G導入に向けた開発案件が具体化し5G計測需要が顕在化してきました。加えて、5Gのユースケースとして期待されるIoT分野や自動車業界での自動運転・車載通信分野では、新たなサービスの実現に向けたモバイル通信技術の開発も事業機会として顕在化しています。
当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを開発・投入するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
b. ネットワーク・インフラ市場
ネットワーク・インフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、通信装置メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。
当市場においては、クラウドサービスの高度化やモバイル・ブロードバンド・サービスの普及によりデータ・トラフィックが急増しているため、ネットワークの更なる高速化を進める通信事業者や装置メーカーは100Gbpsサービスの普及促進、400Gbpsネットワーク装置の研究開発に注力しています。また、モバイル端末からの接続性を向上させるため、有線・無線通信技術を統合活用することにより基地局ネットワークを効率的に高密度化することが進められています。これらの市場動向の変化に伴い、有線・無線技術を最適化した計測ソリューションの需要が本格化しています。さらに、クラウドサービスを支えるデータセンターの増加などを背景に、高速データ通信装置の市場が拡大するとともに、高速光通信モジュールの研究開発や製造市場が増加基調にあり競争が激しくなっています。
当社は、通信機器の研究・開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。
c. エレクトロニクス市場
エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。
当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。モバイル・ブロードバンド・サービスやLPWA(Low Power Wide Area)デバイスなどを使用したIoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が増加しております。また、周波数資源の有効利用のために各種無線システムのデジタル化が進められ、新システムの製造及び保守用計測ソリューションの需要は堅調に推移しています。
当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
② PQA事業
PQA事業は、当社グループの売上収益の23%を占めています。当事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食の安全安心に関する意識の高まりや食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に大きな影響を受けます。
主力製品には、食品製造ラインにおいて高速搬送しながら高精度に計量する重量選別機や食品中に混入する金属や石などの異物を高感度に検出し製造ラインから排除する異物検査機器(X線検査機等)などがあります。日本市場においては異物混入に対する顧客の関心に加え、人手不足による自動化ニーズの高まりを背景に、食品生産ラインの自動化、省人化を目的とした設備投資が堅調でした。特に食品・医薬品の製造ラインにおいて、稼働状況を監視するとともに品質情報を収集分析し、歩留まり向上や品質管理強化を実現する総合品質管理用ソフトウェアソリューションの需要が高まりつつあります。
また、海外市場では、米州、欧州、中国などでグローバルに事業を展開する重要顧客の需要が堅調に推移し、当事業の海外売上比率は44%となっています。
食品メーカーの品質検査への関心は高く、世界のすべての地域で需要は堅調に推移するものと見込んでおります。この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発、提供に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライ・チェーンの最適化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。
3) 財政状態
① 資金需要と流動性の管理
当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2017年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2020年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。
当期末の有利子負債残高(リース債務除く)は、16,248百万円(前期末の有利子負債残高は15,944百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.19(前期末は0.20)、ネット・デット・エクイティ・レシオは△0.34(前期末は△0.25)となっております。当期の売上収益に対する期末平均棚卸残高の回転率は5.4回となりました。
今後ともACEの改善(投下資本コストを上回る税引後営業利益の達成)とCCC向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化を原資として、有利子負債の削減、デット・エクイティ・レシオの改善、株主資本の充実等、財務体質の強化に努めてまいります。
2019年3月期末の当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、短期格付が「a-1」、長期格付が「A-」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、財務安定性の改善に引き続き取り組んでまいります。
(注1)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分
(注2)ネット・デット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
(注3)ACE (Anritsu Capital-cost Evaluation): 税引後営業利益-資本コスト(5%)
(注4)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル
② 資産、負債及び資本
a. 資産
資産合計は、130,467百万円となり、前期末に比べ9,277百万円増加しました。主に現金及び現金同等物並びに営業債権及びその他の債権が増加した一方、有形固定資産並びにその他の金融資産が減少しました。
b. 負債
負債合計は、44,789百万円となり、前期末に比べ1,912百万円増加しました。主に従業員給付が増加した一方、営業債務及びその他の債務が減少しました。
c. 資本
資本合計は、85,678百万円となり、前期末に比べ7,364百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が増加したことによるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は65.6%(前期末は64.6%)となりました。
なお、有利子負債残高(リース債務を除く)は16,248百万円(前期末は15,944百万円)となり、デット・エクイティ・レシオは0.19(前期末は0.20)となりました。
4) キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
5) 経営戦略と今後の方針について
経営戦略と今後の方針は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に景気拡大が継続し、国内においても企業収益及び雇用情勢の改善が続くなど回復基調で推移しましたが、米中間の貿易摩擦や保護貿易主義による対立などにより不確実性を増しています。
情報通信分野においては、モバイル・ブロードバンド・サービスは質量ともに拡がりを見せ、データ通信量は急速に増加して、ネットワーク・インフラを逼迫させつつあります。それらの課題を解決するために、モバイル通信方式4Gは、LTE(Long Term Evolution)及びLTE-AdvancedそしてLTE-Advanced Pro(Gigabit LTE)と進化し続けています。加えて、次世代の通信方式5Gの仕様策定が3GPPで進行しています。2017年12月に5G NSA-NR(Non-Standalone New Radio)、2018年6月に5G SA-NR(Standalone New Radio)の標準化が完了し、5Gの超高速通信に関する主要機能の全仕様が規定されました。3GPPでは引き続き、ユースケースの拡張が期待される超低遅延及び多数同時接続の仕様策定を検討しており、2020年初旬に標準化完了が予定されています。
その結果、各国主要キャリアの5Gの商用化に向けたロードマップが具体化し、商用化スケジュールは順調に進展しています。2018年12月に北米や韓国でモバイル・ルーターを使用した先行的な5Gサービスが開始され、2019年4月からは5Gスマートフォンのサービスも開始されました。米国、アジアの主要端末ベンダーは、5Gスマートフォンサービスで使用される端末の開発を行い、MWC(Mobile World Congress)2019で相次いでリリースしました。
このような環境のもと、計測事業グループは、5Gの開発投資需要を獲得するためのソリューションの開発と組織体制の整備に注力し、5Gチップセット及び端末の初期開発需要を獲得しました。
PQA事業の分野においては、加工食品生産ラインの自動化投資が進むとともに、X線を用いた異物検出並びに包装に関する品質保証などの需要が堅調に拡大しています。PQA事業グループは、このような状況下でX線を軸としたソリューションの競争力強化と海外の販売体制の整備拡充に取り組みました。
この結果、受注高は100,819百万円(前年同期比13.9%増)、売上収益は99,659百万円(同15.9%増)、営業利益は11,246百万円(同128.9%増)、税引前利益は11,362百万円(同146.9%増)、当期利益は8,991百万円(同210.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は8,956百万円(同210.9%増)となりました。
なお、法人税の不確実性に係る未払法人所得税の見直しを行ったことなどにより、米国子会社の法人所得税費用が約5億円減少しています。この結果、法人所得税費用は2,371百万円(前年同期比39.2%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、130,467百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,277百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、44,789百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,912百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は、85,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,364百万円増加しました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。
当連結会計年度より、各事業セグメントの業績をより適切に評価するため、これまで各事業セグメントに配分していた一般管理費のうち本社管理費等を全社費用に含めるよう配分方法を変更しています。前連結会計年度の数値は、変更後の表示に合わせて組替再表示しています。
① 計測事業
当事業は、通信事業者、関連機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当連結会計年度は、モバイル市場において北米・アジアを中心に、5Gのチップセット及び携帯端末の初期開発需要が想定を上回って推移しました。また、ネットワーク・インフラ市場においては、米国の内需関連需要が堅調でした。この結果、売上収益は68,168百万円(前年同期比25.2%増)、営業利益は9,413百万円(同338.3%増)、調整後営業利益は9,413百万円(同274.5%増)となりました。
(注)調整後営業利益とは、営業利益から一過性の性格を持つ損益項目を排除した恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
(非監査情報)営業利益から調整後営業利益への調整表
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 | ||
| 営業利益 | 2,147 | 9,413 | 7,265 | 338.3% |
| (調整項目) | ||||
| 事業構造改善費用 | 366 | - | △366 | |
| 調整後営業利益 | 2,513 | 9,413 | 6,899 | 274.5% |
② PQA事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当連結会計年度は、食品・医薬品に対する安全・安心志向の高まりや、人手不足を背景とした検査工程を自動化する動きが加速しており、国内・海外とも食品市場の品質保証プロセスの自動化、高度化を目的とした設備投資が堅調に推移しました。一方、海外市場の販売力強化に向けた投資を行いました。この結果、売上収益は23,074百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は1,609百万円(同18.3%減)となりました。
③ その他の事業
その他の事業は、情報通信事業、デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当連結会計年度は、デバイス事業において価格競争激化の影響を受けるなど、全体として低調に推移しました。この結果、売上収益は8,416百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益は1,145百万円(同21.5%減)となりました。
2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、45,097百万円となり、前期末に比べ9,644百万円増加しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、11,631百万円のプラス(前期は4,014百万円のプラス)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で12,247百万円(前年同期は7,946百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益並びに減価償却費及び償却費の計上により資金が増加した一方、営業債権及びその他の債権の増加により資金が減少したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は4,386百万円(前年同期比101百万円増)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で616百万円(前年同期は3,932百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得により資金が減少した一方、その他の金融資産の売却により資金が増加したことが主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で2,052百万円(前年同期は8,201百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額2,198百万円(前年同期の配当金支払額は2,059百万円)が主な要因です。
3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 計測(百万円) | 69,652 | 128.8 |
| PQA (百万円) | 22,618 | 98.9 |
| 報告セグメント計(百万円) | 92,271 | 119.9 |
| その他(百万円) | 8,615 | 96.3 |
| 合計(百万円) | 100,887 | 117.4 |
(注1)金額は販売価格によっております。
(注2)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 計測 | 68,802 | 121.5 | 15,988 | 100.4 |
| PQA | 23,317 | 102.5 | 4,582 | 107.3 |
| 報告セグメント計 | 92,119 | 116.0 | 20,571 | 101.8 |
| その他 | 8,699 | 95.1 | 1,311 | 141.2 |
| 合計 | 100,819 | 113.9 | 21,882 | 103.6 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 計測(百万円) | 68,168 | 125.2 |
| PQA (百万円) | 23,074 | 102.3 |
| 報告セグメント計(百万円) | 91,242 | 118.5 |
| その他(百万円) | 8,416 | 93.7 |
| 合計(百万円) | 99,659 | 115.9 |
(注1)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注2)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。
1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。
2) 経営成績
当社グループは、計測事業、PQA事業の2つを報告セグメントとしています。
① 計測事業
当社グループの売上収益の68%を占める計測事業は、「モバイル市場」「ネットワーク・インフラ市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。
a. モバイル市場
モバイル市場には、携帯電話サービスを行う通信事業者の端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末やICチップセット、その他関連電子部品メーカーでの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向けの計測器等を含めております。
当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセット・メーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数などに影響される傾向があります。
現在、世界各国でLTE方式による多様なモバイル・ブロードバンド・サービスが展開されています。業界をリードする端末/チップセット・メーカーや通信事業者はサービスの更なる高度化・高品質化を目指し、LTE-Advanced 、LTE-Advanced Proへと通信システムの深化に取り組んでいるものの、端末製造市場ではスマートフォンの総出荷台数の飽和により投資抑制の動きが続いています。
一方で、LTEに続く次世代の通信方式(5G)では、2017年12月のNSA-NRに続いて2018年6月にSA-NRの規格仕様が策定され、第1フェーズの標準化が完了しました。これにより、2020年の本格的な5G導入に向けた開発案件が具体化し5G計測需要が顕在化してきました。加えて、5Gのユースケースとして期待されるIoT分野や自動車業界での自動運転・車載通信分野では、新たなサービスの実現に向けたモバイル通信技術の開発も事業機会として顕在化しています。
当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを開発・投入するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
b. ネットワーク・インフラ市場
ネットワーク・インフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、通信装置メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。
当市場においては、クラウドサービスの高度化やモバイル・ブロードバンド・サービスの普及によりデータ・トラフィックが急増しているため、ネットワークの更なる高速化を進める通信事業者や装置メーカーは100Gbpsサービスの普及促進、400Gbpsネットワーク装置の研究開発に注力しています。また、モバイル端末からの接続性を向上させるため、有線・無線通信技術を統合活用することにより基地局ネットワークを効率的に高密度化することが進められています。これらの市場動向の変化に伴い、有線・無線技術を最適化した計測ソリューションの需要が本格化しています。さらに、クラウドサービスを支えるデータセンターの増加などを背景に、高速データ通信装置の市場が拡大するとともに、高速光通信モジュールの研究開発や製造市場が増加基調にあり競争が激しくなっています。
当社は、通信機器の研究・開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。
c. エレクトロニクス市場
エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。
当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。モバイル・ブロードバンド・サービスやLPWA(Low Power Wide Area)デバイスなどを使用したIoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が増加しております。また、周波数資源の有効利用のために各種無線システムのデジタル化が進められ、新システムの製造及び保守用計測ソリューションの需要は堅調に推移しています。
当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
② PQA事業
PQA事業は、当社グループの売上収益の23%を占めています。当事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食の安全安心に関する意識の高まりや食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に大きな影響を受けます。
主力製品には、食品製造ラインにおいて高速搬送しながら高精度に計量する重量選別機や食品中に混入する金属や石などの異物を高感度に検出し製造ラインから排除する異物検査機器(X線検査機等)などがあります。日本市場においては異物混入に対する顧客の関心に加え、人手不足による自動化ニーズの高まりを背景に、食品生産ラインの自動化、省人化を目的とした設備投資が堅調でした。特に食品・医薬品の製造ラインにおいて、稼働状況を監視するとともに品質情報を収集分析し、歩留まり向上や品質管理強化を実現する総合品質管理用ソフトウェアソリューションの需要が高まりつつあります。
また、海外市場では、米州、欧州、中国などでグローバルに事業を展開する重要顧客の需要が堅調に推移し、当事業の海外売上比率は44%となっています。
食品メーカーの品質検査への関心は高く、世界のすべての地域で需要は堅調に推移するものと見込んでおります。この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発、提供に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライ・チェーンの最適化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。
3) 財政状態
① 資金需要と流動性の管理
当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2017年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2020年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。
当期末の有利子負債残高(リース債務除く)は、16,248百万円(前期末の有利子負債残高は15,944百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.19(前期末は0.20)、ネット・デット・エクイティ・レシオは△0.34(前期末は△0.25)となっております。当期の売上収益に対する期末平均棚卸残高の回転率は5.4回となりました。
今後ともACEの改善(投下資本コストを上回る税引後営業利益の達成)とCCC向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化を原資として、有利子負債の削減、デット・エクイティ・レシオの改善、株主資本の充実等、財務体質の強化に努めてまいります。
2019年3月期末の当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、短期格付が「a-1」、長期格付が「A-」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、財務安定性の改善に引き続き取り組んでまいります。
(注1)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分
(注2)ネット・デット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
(注3)ACE (Anritsu Capital-cost Evaluation): 税引後営業利益-資本コスト(5%)
(注4)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル
② 資産、負債及び資本
a. 資産
資産合計は、130,467百万円となり、前期末に比べ9,277百万円増加しました。主に現金及び現金同等物並びに営業債権及びその他の債権が増加した一方、有形固定資産並びにその他の金融資産が減少しました。
b. 負債
負債合計は、44,789百万円となり、前期末に比べ1,912百万円増加しました。主に従業員給付が増加した一方、営業債務及びその他の債務が減少しました。
c. 資本
資本合計は、85,678百万円となり、前期末に比べ7,364百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が増加したことによるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は65.6%(前期末は64.6%)となりました。
なお、有利子負債残高(リース債務を除く)は16,248百万円(前期末は15,944百万円)となり、デット・エクイティ・レシオは0.19(前期末は0.20)となりました。
4) キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
5) 経営戦略と今後の方針について
経営戦略と今後の方針は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
| 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
| - (開発費の資産計上) 日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「のれん及び無形資産」に計上しております。 この結果、連結財政状態計算書の「のれん及び無形資産」が1,269百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が320百万円増加し、「研究開発費」が562百万円減少しております。 (非上場株式の公正価値評価) 日本基準においては時価のない有価証券(非上場株式)は移動平均法による原価法により計上し減損を行っておりますが、IFRSにおいては公正価値を見積り、取得価額との差額をその他の資本の構成要素として遡及的に認識しております。 この結果、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」(非流動資産)が1,234百万円増加しております。 (退職後給付債務に関する会計処理の差異) 日本基準においては、退職給付債務から年金資産の額を控除した額及び未認識数理計算上の差異を退職給付に係る負債に計上しておりますが、IFRSにおいては確定給付制度の再測定に伴う調整額を発生時にその他の包括利益で認識する方法を選択しております。また、日本基準においては一部の子会社において小規模企業の簡便的な退職給付債務の計算を採用しておりますが、IFRSにおいては原則に従って計算しております。 これらの結果、日本基準の連結財政状態計算書において計上されている「退職給付に係る調整累計額」(その他の包括利益累計額)△581百万円が取り消されております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が191百万円減少し、「販売費及び一般管理費」が38百万円、「研究開発費」が5百万円増加し、その他の包括利益の「確定給付制度の再測定」が988百万円計上されております。 | (収益認識における会計処理の差異) 日本基準においては複数要素取引の収益認識について残余法による配分を行っておりますが、当連結会計年度より適用したIFRS15においては複数要素取引の中のそれぞれの構成要素が別個の履行義務として識別される場合に取引価格を独立販売価格に基づき比例的に配分し、それぞれの履行義務について収益を認識しております。 また、当連結会計年度より適用したIFRS15の適用にあたっては、適用開始による累積的影響を当連結会計年度の利益剰余金期首残高に対する修正として認識する経過措置に準拠して遡及適用を行っております。 この結果、連結持分変動計算書における利益剰余金期首残高について183百万円の増加を修正として認識しております。 (開発費の資産計上) 日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「のれん及び無形資産」に計上しております。 この結果、連結財政状態計算書の「のれん及び無形資産」が1,225百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が354百万円増加し、「研究開発費」が371百万円減少しております。 (非上場株式の公正価値評価) 日本基準においては時価のない有価証券(非上場株式)は移動平均法による原価法により計上し減損を行っておりますが、IFRSにおいては公正価値を見積り、取得価額との差額をその他の資本の構成要素として遡及的に認識しております。 この結果、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」(非流動資産)が1,317百万円増加しております。 (退職後給付債務に関する会計処理の差異) 日本基準においては、退職給付債務から年金資産の額を控除した額及び未認識数理計算上の差異を退職給付に係る負債に計上しておりますが、IFRSにおいては確定給付制度の再測定に伴う調整額を発生時にその他の包括利益で認識する方法を選択しております。また、日本基準においては一部の子会社において小規模企業の簡便的な退職給付債務の計算を採用しておりますが、IFRSにおいては原則に従って計算しております。 これらの結果、日本基準の連結財政状態計算書において計上されている「退職給付に係る調整累計額」(その他の包括利益累計額)△477百万円が取り消されております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が141百万円減少し、「販売費及び一般管理費」が80百万円、「研究開発費」が45百万円増加し、その他の包括利益の「確定給付制度の再測定」が96百万円計上されております。 |
| 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
| (有給休暇及び特別休暇等の債務計上) IFRSにおいて、当社及び一部の子会社の有給休暇及び一定の勤務年数を条件として付与される特別休暇や報奨金の見積額を債務として計上していることから、連結財政状態計算書の「従業員給付」(流動負債)が212百万円、「従業員給付」(非流動負債)が717百万円増加しております。 (繰延税金資産及び繰延税金負債における一時差異及び回収可能性検討の差異) IFRSにおいて、従業員給付等の連結財政状態計算書上の他の項目の調整に伴う一時差異が発生したこと及び繰延税金資産の回収可能性に関して将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性をIFRSに基づき検討した結果、連結財政状態計算書の「繰延税金資産」が397百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「法人所得税費用」が75百万円増加しております。 (政府補助金に関する会計処理の差異) 資産に対する政府補助金について、日本基準では対象資産の取得価額から減額する圧縮記帳を行っておりますが、IFRSでは当該政府補助金を繰延収益として計上し、資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識する方法によっております。 この結果、連結財政状態計算書の「有形固定資産」が1,146百万円、「その他の流動負債」が88百万円、「その他の非流動負債」が1,067百万円、それぞれ増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が14百万円、「販売費及び一般管理費」が28百万円、「研究開発費」が35百万円、「その他の収益」が88百万円それぞれ増加しております。 (IFRS移行時の累積換算差額) IFRSでは、IFRS初度適用における免除規定を適用し、日本基準においてその他の包括利益累計額に含めて表示しているIFRS移行時の在外営業活動体の累積換算差額△7,207百万円をゼロとみなし、連結財政状態計算書の「利益剰余金」に計上しております。 (資産計上された開発費に関連する支出) 日本基準において開発費に関連する支出は営業活動によるキャッシュ・フローに区分しておりますが、IFRSにおいては、資産計上された開発費に関連する支出は投資活動によるキャッシュ・フローに区分されることから、投資活動によるキャッシュ・フローが562百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローが同額増加しております。 | (有給休暇及び特別休暇等の債務計上) IFRSにおいて、当社及び一部の子会社の有給休暇及び一定の勤務年数を条件として付与される特別休暇や報奨金の見積額を債務として計上していることから、連結財政状態計算書の「従業員給付」(流動負債)が221百万円、「従業員給付」(非流動負債)が746百万円増加しております。 (繰延税金資産及び繰延税金負債における一時差異及び回収可能性検討の差異) IFRSにおいて、従業員給付等の連結財政状態計算書上の他の項目の調整に伴う一時差異が発生したこと及び繰延税金資産の回収可能性に関して将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性をIFRSに基づき検討した結果、連結財政状態計算書の「繰延税金資産」が162百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「法人所得税費用」が22百万円減少しております。 (政府補助金に関する会計処理の差異) 資産に対する政府補助金について、日本基準では対象資産の取得価額から減額する圧縮記帳を行っておりますが、IFRSでは当該政府補助金を繰延収益として計上し、資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識する方法によっております。 この結果、連結財政状態計算書の「有形固定資産」が1,068百万円、「その他の流動負債」が87百万円、「その他の非流動負債」が979百万円、それぞれ増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が7百万円、「販売費及び一般管理費」が48百万円、「研究開発費」が22百万円、「その他の収益」が88百万円それぞれ増加しております。 同左 (資産計上された開発費に関連する支出) 日本基準において開発費に関連する支出は営業活動によるキャッシュ・フローに区分しておりますが、IFRSにおいては、資産計上された開発費に関連する支出は投資活動によるキャッシュ・フローに区分されることから、投資活動によるキャッシュ・フローが371百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローが同額増加しております。 |