有価証券報告書-第98期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、当期より、従来「その他事業」に含まれていた「環境計測事業」について報告セグメントとして記載する方法に変更しています。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
1) 財政状態及び経営成績の状況
通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、インフレによる5Gスマートフォン価格の高騰等もあり、世界的にスマートフォンの出荷台数の減少が継続していますが、AIを搭載した高機能スマートフォンの登場により、今後の市場の活性化が期待されます。
「Release 17」(*1)の標準化完了によって更に進展した5G利活用の領域では、Automotive分野での5G活用に向けた研究開発や、ローカル5Gのようなプライベート領域での5Gネットワーク構築に向けた調査や実証実験が始まっています。IoT分野では、米国のラストワンマイルで利用されるCPE(Customer Premises Equipment、顧客構内設備)の需要が増加してきており、5G無線モジュールの開発に加えてWi-Fi 7(*2)の開発需要も生じています。非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)としては、衛星を用いた通信サービスが相次いで始まっており、5G規格に準拠する端末のリリースが待たれています。2024年6月に標準化完了予定の「Release 18」(*1)では、AI/ML(Machine Learning)に関する仕様の策定により、AI搭載に関する強化が行われる予定です。また、2023年12月に開催された世界無線通信会議「WRC-23(World Radiocommunication Conference 2023)」において、5G-Advancedの周波数が合意されました。更に、次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。
5Gのネットワークでは、無線アクセスネットワークのオープン化に取り組むO-RANアライアンスが活動を進めてきました。これまでメーカー独自のインターフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダーでの無線アクセスネットワークの構築が容易になりました。これにより、世界各地のオペレータがO-RANの導入を進めています。
また、生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。ネットワークの更なる高度化を進めるサービス・プロバイダでは、100Gbpsサービスが本格化するとともに、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen5/6)(*3)の開発や400GE/800GEネットワーク装置の開発も進展しています。さらに、オール光化を目指すIOWN(*4)の研究開発も始まっています。
当社グループは、主としてモバイル市場の不振による通信計測事業の売上収益悪化の下、原材料価格の高騰やインフレに伴う費用の増加に対して、価格転嫁の推進や業務効率化に取組んでいます。以上の結果、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
当期は、受注高は107,277百万円(前年同期比2.6%減)、売上収益は109,952百万円(同0.9%減)、営業利益は8,983百万円(同23.5%減)、税引前利益は9,951百万円(同20.0%減)、当期利益は7,674百万円(同17.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7,675百万円(同17.2%減)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、161,085百万円となり、前期末に比べ8,847百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、35,559百万円となり、前期末に比べ837百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は、125,525百万円となり、前期末に比べ8,009百万円増加しました。
なお、当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 2) 財政状態」に記載しています。
(*1)3GPPで標準化される規格番号
(*2)第7世代のWi-Fi規格で、Wi-Fi 6の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現
(*3)第5/第6世代のPCI Express規格(シリアル転送方式の拡張スロット用インターフェース規格)
(*4)Innovative Optical and Wireless Networkの略で、IOWN Global Forumが検討を進めている、オール光ネットワークなど革新的技術を用いた新しい通信基盤
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。
① 通信計測事業
当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当期は、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要は堅調であるものの、世界的な5Gスマートフォンの開発投資需要の減少により、前年同期比で減収減益となりました。この結果、売上収益は71,005百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益は7,544百万円(同30.6%減)となりました。
② PQA事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当期は、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要が堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。費用面では、第4四半期に固定資産除却損317百万円が発生したことにより、営業利益は前年同期と同水準となりました。この結果、売上収益は25,373百万円(前年同期比2.1%増)、営業利益は1,295百万円(同2.7%減)となりました。
③ 環境計測事業
当事業は、EV・電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の映像監視用モニタリングソリューションの開発、製造、販売を行っています。
当期は、国内においてEV・電池向け試験需要が堅調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。この結果、売上収益は7,438百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は537百万円(同943.9%増)となりました。
④ その他の事業
当事業は、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当期は、売上収益は6,134百万円(前年同期比11.6%減)、営業利益は810百万円(同44.8%増)となりました。
2) キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、45,657百万円となり、前期末に比べ8,823百万円増加しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、12,929百万円のプラス(前期は897百万円のプラス)となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で16,573百万円(前年同期は6,114百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益の計上及び棚卸資産の減少により資金が増加したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は5,888百万円(前年同期比195百万円増)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で3,643百万円(前年同期は5,216百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で6,578百万円(前年同期は11,409百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額5,266百万円(前年同期の配当金支払額は5,332百万円)及びリース負債の返済による支出が主な要因です。
3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。
1) 経営成績
当社グループは、通信計測事業、PQA事業および環境計測事業の3つを報告セグメントとしています。
① 通信計測事業
当社グループの売上収益の65%を占める通信計測事業は、「モバイル市場」「ネットワークインフラ市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。
a. モバイル市場
モバイル市場には、携帯電話サービスを行うサービス・プロバイダの端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末、ICチップセット、その他関連電子部品メーカーの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向け計測器等を含めております。
当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセットメーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数等に影響される傾向があります。
現在、5G通信システムを用いたサービスが世界各国で開始されているものの、インフレによる5Gスマートフォン価格の高騰等もあり、世界的にスマートフォンの出荷台数の減少が継続していましたが、AIを搭載した高機能スマートフォンの登場等により、今後の市場の活性化が期待されます。
5G利活用の領域においては、Automotive分野における研究開発や、プライベート領域での5Gネットワーク構築調査、実証実験のフィールド用計測器の需要が継続しています。その他、米国等ではラストワンマイルで利用されるCPE (Customer Premises Equipment, 顧客構内設備)の需要が増加しています。
加えて、衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)等に関する3GPP Release18の仕様策定により、関連した開発の需要が見込まれます。また、2023年12月に開催された世界無線通信会議「WRC-23(World Radiocommunication Conference 2023)」において5G-Advancedの周波数が合意され、5Gの各性能をさらに高めた次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。
当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを提供するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
b. ネットワークインフラ市場
ネットワークインフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、ネットワーク機器メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。
当市場においては、クラウドサービスの高度化や5Gサービスの進展、生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。ネットワークの更なる高速化を進めるサービス・プロバイダでは100Gbpsサービスの導入が本格化し、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen5/6) のコンプライアンス試験や400GE/800GEネットワーク装置の開発が進展しています。これに伴い、関連する計測ソリューションの需要も堅調に推移しています。さらに、オペレータが無線ネットワークをより柔軟に構築できるように無線アクセスネットワークのオープン化が進められているほか、ネットワークのオール光化を目指すIOWN の研究開発も始まっています。
当社は、通信機器の研究開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。
c. エレクトロニクス市場
エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。
当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。IoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が増加しております。また、6Gに向けた研究開発の始まりに伴い関連する測定器の需要が顕在化しています。
当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
② PQA事業
PQA事業は、当社グループの売上収益の23%を占めています。当事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食の安全安心に関する意識の高まりや食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に大きな影響を受けます。
主力製品には、食品製造ラインにおいて高速搬送しながら高精度に計量する重量選別機や食品中に混入する金属や石等の異物を高感度に検出し製造ラインから排除する異物検査機器(X線検査機等)等があります。日本市場においては、原材料・エネルギー価格の高騰等から一部顧客で設備投資に慎重な姿勢がみられるものの、異物混入に対する顧客の関心は引き続き高く、食品生産ラインの自動化や省人化を目的とした設備投資はインバウンド需要の回復にも支えられ底堅く推移しました。
また、海外市場では、欧米の食肉市場の減速やアジアの設備投資抑制継続の影響を受けたものの、各地域での加工食品を中心とした市場の需要は堅調に推移しました。なお、当事業の海外売上比率は約5割となっています。
食品メーカーの品質検査への関心は高く、この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライチェーンの最適化とグローバルオペレーションの効率化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。
③ 環境計測事業
環境計測事業は、脱炭素、産業DX、社会インフラの3つの領域で社会課題の解決に貢献する事業を展開しており、当社グループの売上収益の7%を占めています。当事業は、EV・電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の遠隔監視用装置および帯域制御装置の開発、製造、販売を行っています。EV・電池向け試験装置の売上収益が大きな比重を占めており、当市場の需要は各国のEVシフトに向けた政策や税制優遇による顧客投資の環境変化に大きな影響を受けます。
世界的な脱炭素化の流れにより、自動車メーカーのEVシフトが加速しており、バッテリ、インバータ、モータ等の開発投資が拡大しています。子会社である㈱高砂製作所は、高度なエネルギー制御技術を活かした電源システムに強みを持ち、自動車メーカーや自動車部品メーカー、バッテリメーカー等に、EVの駆動系やバッテリの試験装置を提供しており、国内においてEV・電池向け試験需要が好調に推移しました。
産業DXの分野においては、工場の省人化や生産性の向上に貢献する遠隔監視システムを開発し市場展開を開始しました。社会インフラの分野における設備投資は底堅く推移しました。
脱炭素に向けた動きは世界的に拡大を継続しており、当社はこの分野に向けて積極的な開発投資を進めソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
2) 財政状態
① 資産
資産合計は、161,085百万円となり、前期末に比べ8,847百万円増加しました。主な増加要因は、現金及び現金同等物8,823百万円です。一方で、棚卸資産が1,968百万円減少しました。
② 負債
負債合計は、35,559百万円となり、前期末に比べ837百万円増加しました。主な増加要因は、その他の流動負債903百万円、その他の金融負債676百万円です。一方で、営業債務及びその他の債務が1,066百万円減少しました。
③ 資本
資本合計は、125,525百万円となり、前期末に比べ8,009百万円増加しました。主な増加要因は、その他の資本の構成要素5,344百万円及び利益剰余金2,621百万円です。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は77.9%(前期末は77.0%)となりました。
有利子負債残高は7,193百万円(前期末は6,584百万円)、デット・エクイティ・レシオは0.06(前期末は0.06)となりました。
(注)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分
3) キャッシュ・フロー
当社グループは、当連結会計年度末において45,657百万円の資金を保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の設備投資額は、4,167百万円(前年同期比22.4%減)となりました。主に新製品開発と原価低減に向けた投資を継続するとともに、事業活動に伴う温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電設備の増設を行いました。研究開発投資については、9,943百万円(前年同期比12.9%減)となりました。主に新製品開発とソリューションの競争力強化に向けた投資を実施しました。これらの設備投資額及び研究開発投資は、主に自己資金によって賄われました。
翌連結会計年度においては、約4,500百万円の設備投資と約10,000百万円の研究開発投資を予定しています。設備投資額は、開発環境基盤強化を目的とした投資等を見込んでおります。研究開発投資については、更なる事業拡大にむけて、主力の通信計測事業においては、競争力の強化、PQA事業については、グローバルビジネス展開を目的とした投資を行っていく他、環境計測事業においては、製品競争力の強化に向けた投資を行います。これらの設備投資額及び研究開発費投資を、主に自己資金によって賄う予定です。
4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、主に営業活動によって獲得した内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2023年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2026年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。
当期末の有利子負債残高は、7,193百万円(前期末の有利子負債残高は6,584百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.06(前期末は0.06)となりました。
今後ともROEの向上、CCC(注)向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化に取り組み、強固な財務体質の維持に努めてまいります。
当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、発行体格付が「A」、短期格付が「a-1」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、新たな経営ビジョンのもと、安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。
株主還元については、連結当期利益の上昇に応じて、親会社所有者帰属持分配当率(DOE:Dividend On Equity)を上げることを基本に、連結配当性向50%以上の配当を行うとともに、総還元性向も勘案した株主還元施策も機動的に行っていくことを基本方針としています。
また、剰余金については、5G市場における競争力強化、IoTを活用した産業分野への事業拡大、クラウドサービス市場等への事業展開、新成長分野の開拓及び6Gをはじめとした次世代技術の獲得等に向けた戦略的投資(含むM&A)のための資金需要等に備える計画です。このような新規事業への投資も含めて、企業価値の向上に取り組みます。
(注)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル
5) 経営戦略と今後の方針について
経営戦略と今後の方針は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、当期より、従来「その他事業」に含まれていた「環境計測事業」について報告セグメントとして記載する方法に変更しています。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
1) 財政状態及び経営成績の状況
通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、インフレによる5Gスマートフォン価格の高騰等もあり、世界的にスマートフォンの出荷台数の減少が継続していますが、AIを搭載した高機能スマートフォンの登場により、今後の市場の活性化が期待されます。
「Release 17」(*1)の標準化完了によって更に進展した5G利活用の領域では、Automotive分野での5G活用に向けた研究開発や、ローカル5Gのようなプライベート領域での5Gネットワーク構築に向けた調査や実証実験が始まっています。IoT分野では、米国のラストワンマイルで利用されるCPE(Customer Premises Equipment、顧客構内設備)の需要が増加してきており、5G無線モジュールの開発に加えてWi-Fi 7(*2)の開発需要も生じています。非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)としては、衛星を用いた通信サービスが相次いで始まっており、5G規格に準拠する端末のリリースが待たれています。2024年6月に標準化完了予定の「Release 18」(*1)では、AI/ML(Machine Learning)に関する仕様の策定により、AI搭載に関する強化が行われる予定です。また、2023年12月に開催された世界無線通信会議「WRC-23(World Radiocommunication Conference 2023)」において、5G-Advancedの周波数が合意されました。更に、次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。
5Gのネットワークでは、無線アクセスネットワークのオープン化に取り組むO-RANアライアンスが活動を進めてきました。これまでメーカー独自のインターフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダーでの無線アクセスネットワークの構築が容易になりました。これにより、世界各地のオペレータがO-RANの導入を進めています。
また、生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。ネットワークの更なる高度化を進めるサービス・プロバイダでは、100Gbpsサービスが本格化するとともに、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen5/6)(*3)の開発や400GE/800GEネットワーク装置の開発も進展しています。さらに、オール光化を目指すIOWN(*4)の研究開発も始まっています。
当社グループは、主としてモバイル市場の不振による通信計測事業の売上収益悪化の下、原材料価格の高騰やインフレに伴う費用の増加に対して、価格転嫁の推進や業務効率化に取組んでいます。以上の結果、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
当期は、受注高は107,277百万円(前年同期比2.6%減)、売上収益は109,952百万円(同0.9%減)、営業利益は8,983百万円(同23.5%減)、税引前利益は9,951百万円(同20.0%減)、当期利益は7,674百万円(同17.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7,675百万円(同17.2%減)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、161,085百万円となり、前期末に比べ8,847百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、35,559百万円となり、前期末に比べ837百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は、125,525百万円となり、前期末に比べ8,009百万円増加しました。
なお、当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 2) 財政状態」に記載しています。
(*1)3GPPで標準化される規格番号
(*2)第7世代のWi-Fi規格で、Wi-Fi 6の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現
(*3)第5/第6世代のPCI Express規格(シリアル転送方式の拡張スロット用インターフェース規格)
(*4)Innovative Optical and Wireless Networkの略で、IOWN Global Forumが検討を進めている、オール光ネットワークなど革新的技術を用いた新しい通信基盤
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。
① 通信計測事業
当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当期は、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要は堅調であるものの、世界的な5Gスマートフォンの開発投資需要の減少により、前年同期比で減収減益となりました。この結果、売上収益は71,005百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益は7,544百万円(同30.6%減)となりました。
② PQA事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当期は、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要が堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。費用面では、第4四半期に固定資産除却損317百万円が発生したことにより、営業利益は前年同期と同水準となりました。この結果、売上収益は25,373百万円(前年同期比2.1%増)、営業利益は1,295百万円(同2.7%減)となりました。
③ 環境計測事業
当事業は、EV・電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の映像監視用モニタリングソリューションの開発、製造、販売を行っています。
当期は、国内においてEV・電池向け試験需要が堅調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。この結果、売上収益は7,438百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は537百万円(同943.9%増)となりました。
④ その他の事業
当事業は、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当期は、売上収益は6,134百万円(前年同期比11.6%減)、営業利益は810百万円(同44.8%増)となりました。
2) キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、45,657百万円となり、前期末に比べ8,823百万円増加しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、12,929百万円のプラス(前期は897百万円のプラス)となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で16,573百万円(前年同期は6,114百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益の計上及び棚卸資産の減少により資金が増加したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は5,888百万円(前年同期比195百万円増)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で3,643百万円(前年同期は5,216百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で6,578百万円(前年同期は11,409百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額5,266百万円(前年同期の配当金支払額は5,332百万円)及びリース負債の返済による支出が主な要因です。
3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 通信計測(百万円) | 67,903 | 94.8 |
| PQA (百万円) | 25,308 | 101.9 |
| 環境計測 (百万円) | 7,541 | 119.7 |
| 報告セグメント計(百万円) | 100,753 | 98.0 |
| その他(百万円) | 6,157 | 91.7 |
| 合計(百万円) | 106,911 | 97.6 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 通信計測 | 68,897 | 97.2 | 22,968 | 101.6 |
| PQA | 25,089 | 102.1 | 6,585 | 100.6 |
| 環境計測 | 7,254 | 95.0 | 3,750 | 94.4 |
| 報告セグメント計 | 101,240 | 98.2 | 33,303 | 100.5 |
| その他 | 6,036 | 86.0 | 1,372 | 97.4 |
| 合計 | 107,277 | 97.4 | 34,676 | 100.4 |
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 通信計測(百万円) | 71,005 | 97.6 |
| PQA (百万円) | 25,373 | 102.1 |
| 環境計測 (百万円) | 7,438 | 116.7 |
| 報告セグメント計(百万円) | 103,817 | 99.8 |
| その他(百万円) | 6,134 | 88.4 |
| 合計(百万円) | 109,952 | 99.1 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。
1) 経営成績
当社グループは、通信計測事業、PQA事業および環境計測事業の3つを報告セグメントとしています。
① 通信計測事業
当社グループの売上収益の65%を占める通信計測事業は、「モバイル市場」「ネットワークインフラ市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。
a. モバイル市場
モバイル市場には、携帯電話サービスを行うサービス・プロバイダの端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末、ICチップセット、その他関連電子部品メーカーの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向け計測器等を含めております。
当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセットメーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数等に影響される傾向があります。
現在、5G通信システムを用いたサービスが世界各国で開始されているものの、インフレによる5Gスマートフォン価格の高騰等もあり、世界的にスマートフォンの出荷台数の減少が継続していましたが、AIを搭載した高機能スマートフォンの登場等により、今後の市場の活性化が期待されます。
5G利活用の領域においては、Automotive分野における研究開発や、プライベート領域での5Gネットワーク構築調査、実証実験のフィールド用計測器の需要が継続しています。その他、米国等ではラストワンマイルで利用されるCPE (Customer Premises Equipment, 顧客構内設備)の需要が増加しています。
加えて、衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)等に関する3GPP Release18の仕様策定により、関連した開発の需要が見込まれます。また、2023年12月に開催された世界無線通信会議「WRC-23(World Radiocommunication Conference 2023)」において5G-Advancedの周波数が合意され、5Gの各性能をさらに高めた次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。
当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを提供するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
b. ネットワークインフラ市場
ネットワークインフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、ネットワーク機器メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。
当市場においては、クラウドサービスの高度化や5Gサービスの進展、生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。ネットワークの更なる高速化を進めるサービス・プロバイダでは100Gbpsサービスの導入が本格化し、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen5/6) のコンプライアンス試験や400GE/800GEネットワーク装置の開発が進展しています。これに伴い、関連する計測ソリューションの需要も堅調に推移しています。さらに、オペレータが無線ネットワークをより柔軟に構築できるように無線アクセスネットワークのオープン化が進められているほか、ネットワークのオール光化を目指すIOWN の研究開発も始まっています。
当社は、通信機器の研究開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。
c. エレクトロニクス市場
エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。
当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。IoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が増加しております。また、6Gに向けた研究開発の始まりに伴い関連する測定器の需要が顕在化しています。
当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
② PQA事業
PQA事業は、当社グループの売上収益の23%を占めています。当事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食の安全安心に関する意識の高まりや食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に大きな影響を受けます。
主力製品には、食品製造ラインにおいて高速搬送しながら高精度に計量する重量選別機や食品中に混入する金属や石等の異物を高感度に検出し製造ラインから排除する異物検査機器(X線検査機等)等があります。日本市場においては、原材料・エネルギー価格の高騰等から一部顧客で設備投資に慎重な姿勢がみられるものの、異物混入に対する顧客の関心は引き続き高く、食品生産ラインの自動化や省人化を目的とした設備投資はインバウンド需要の回復にも支えられ底堅く推移しました。
また、海外市場では、欧米の食肉市場の減速やアジアの設備投資抑制継続の影響を受けたものの、各地域での加工食品を中心とした市場の需要は堅調に推移しました。なお、当事業の海外売上比率は約5割となっています。
食品メーカーの品質検査への関心は高く、この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライチェーンの最適化とグローバルオペレーションの効率化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。
③ 環境計測事業
環境計測事業は、脱炭素、産業DX、社会インフラの3つの領域で社会課題の解決に貢献する事業を展開しており、当社グループの売上収益の7%を占めています。当事業は、EV・電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の遠隔監視用装置および帯域制御装置の開発、製造、販売を行っています。EV・電池向け試験装置の売上収益が大きな比重を占めており、当市場の需要は各国のEVシフトに向けた政策や税制優遇による顧客投資の環境変化に大きな影響を受けます。
世界的な脱炭素化の流れにより、自動車メーカーのEVシフトが加速しており、バッテリ、インバータ、モータ等の開発投資が拡大しています。子会社である㈱高砂製作所は、高度なエネルギー制御技術を活かした電源システムに強みを持ち、自動車メーカーや自動車部品メーカー、バッテリメーカー等に、EVの駆動系やバッテリの試験装置を提供しており、国内においてEV・電池向け試験需要が好調に推移しました。
産業DXの分野においては、工場の省人化や生産性の向上に貢献する遠隔監視システムを開発し市場展開を開始しました。社会インフラの分野における設備投資は底堅く推移しました。
脱炭素に向けた動きは世界的に拡大を継続しており、当社はこの分野に向けて積極的な開発投資を進めソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
2) 財政状態
① 資産
資産合計は、161,085百万円となり、前期末に比べ8,847百万円増加しました。主な増加要因は、現金及び現金同等物8,823百万円です。一方で、棚卸資産が1,968百万円減少しました。
② 負債
負債合計は、35,559百万円となり、前期末に比べ837百万円増加しました。主な増加要因は、その他の流動負債903百万円、その他の金融負債676百万円です。一方で、営業債務及びその他の債務が1,066百万円減少しました。
③ 資本
資本合計は、125,525百万円となり、前期末に比べ8,009百万円増加しました。主な増加要因は、その他の資本の構成要素5,344百万円及び利益剰余金2,621百万円です。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は77.9%(前期末は77.0%)となりました。
有利子負債残高は7,193百万円(前期末は6,584百万円)、デット・エクイティ・レシオは0.06(前期末は0.06)となりました。
(注)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分
3) キャッシュ・フロー
当社グループは、当連結会計年度末において45,657百万円の資金を保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の設備投資額は、4,167百万円(前年同期比22.4%減)となりました。主に新製品開発と原価低減に向けた投資を継続するとともに、事業活動に伴う温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電設備の増設を行いました。研究開発投資については、9,943百万円(前年同期比12.9%減)となりました。主に新製品開発とソリューションの競争力強化に向けた投資を実施しました。これらの設備投資額及び研究開発投資は、主に自己資金によって賄われました。
翌連結会計年度においては、約4,500百万円の設備投資と約10,000百万円の研究開発投資を予定しています。設備投資額は、開発環境基盤強化を目的とした投資等を見込んでおります。研究開発投資については、更なる事業拡大にむけて、主力の通信計測事業においては、競争力の強化、PQA事業については、グローバルビジネス展開を目的とした投資を行っていく他、環境計測事業においては、製品競争力の強化に向けた投資を行います。これらの設備投資額及び研究開発費投資を、主に自己資金によって賄う予定です。
4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、主に営業活動によって獲得した内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2023年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2026年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。
当期末の有利子負債残高は、7,193百万円(前期末の有利子負債残高は6,584百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.06(前期末は0.06)となりました。
今後ともROEの向上、CCC(注)向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化に取り組み、強固な財務体質の維持に努めてまいります。
当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、発行体格付が「A」、短期格付が「a-1」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、新たな経営ビジョンのもと、安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。
株主還元については、連結当期利益の上昇に応じて、親会社所有者帰属持分配当率(DOE:Dividend On Equity)を上げることを基本に、連結配当性向50%以上の配当を行うとともに、総還元性向も勘案した株主還元施策も機動的に行っていくことを基本方針としています。
また、剰余金については、5G市場における競争力強化、IoTを活用した産業分野への事業拡大、クラウドサービス市場等への事業展開、新成長分野の開拓及び6Gをはじめとした次世代技術の獲得等に向けた戦略的投資(含むM&A)のための資金需要等に備える計画です。このような新規事業への投資も含めて、企業価値の向上に取り組みます。
(注)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル
5) 経営戦略と今後の方針について
経営戦略と今後の方針は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。