有価証券報告書-第91期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 12:46
【資料】
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【項目】
62項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。
経営理念
誠と和と意欲をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する
経営ビジョン
衆知を集めたイノベーションで“利益ある持続的成長”を実現する
経営方針
1. 衆知を集めた全員経営でハツラツとした組織へ
2. イノベーションで成長ドライバーの獲得
3. グローバル市場でマーケット・リーダーになる
4. 良き企業市民として人と地球にやさしい社会づくりに貢献
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、企業価値の最大化を目指してキャッシュ・フローを重視した経営を展開しております。また、投下資本が生み出した付加価値を評価する当社独自の指標「ACE」を各事業部門の業績評価の指標としております。投下資本の効率性の指標として「ROE」の目標も設定しております。
なお、2015年6月25日開催の第89期定時株主総会の決議及び同年7月30日開催の取締役会の決議に基づき、当社取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事向けに導入している業績連動型株式報酬制度(株式交付信託)において、当社株式交付規程に定める受益者に対して交付される当社株式の数の算定に際しては、「ACE」等の資本効率を示す指標のほか、利益の状況を示す指標、売上高の状況を示す指標等が用いられております。
(注)ACE (Anritsu Capital-cost Evaluation): 税引後営業利益-資本コスト
(3) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題等
今後の見通しにつきましては、世界経済は米国においては回復傾向で推移すると思われますが、英国のEU離脱問題に代表される欧州の政治経済の混迷や、朝鮮半島などにおける地政学的リスクの増大、中国経済のマクロ動向など、不安定な要素が増大し予断を許さない状況です。また、技術革新、市場環境や競争関係の変化、金融情勢の動向に常に的確に対応する必要があります。
当社グループは、このような市場環境を踏まえ、経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、中長期的な企業価値の向上に向けて必要な施策を展開してまいります。
① 中長期的な経営戦略
当社グループは、主力の計測事業を軸にICT(Information and Communication Technology)サービスに関わるビジネスを展開しております。ICT分野における成長ドライバーは、世界的なモバイル・ブロードバンド・サービスとIoT(Internet of Things)による新たな社会価値の創造です。そのプラットフォームとなるものが、中長期にわたるユーザー・エクスペリエンスの向上を目指すコミュニケーション・システムのイノベーションです。このイノベーションを実現するために、広帯域化を支えるLTE、LTE-Advanced、更に5Gへと続くモバイル通信技術の継続的開発や超高速広帯域な接続性の向上を支える通信ネットワークの再構築が進められています。また、幅広いモバイル・ブロードバンド・サービスのインフラとなることが期待される5Gの標準化及び商用化の前倒しの動きが具体化してきました。基本的な社会インフラからIoTによる新たな価値創造に至るまで、持続可能な社会の実現には「いつでも、どこでも、安全・安心、快適につながる」ネットワークが不可欠です。アンリツは、無線・有線のすべてをカバーする先進の計測カンパニーとして、社会とお客様のネットワーク課題を解決してまいります。
PQA事業の成長ドライバーは、安全・安心と健康の増進です。食品・医薬品関連市場を中心に、長期的には海外売上比率を50%まで引き上げることにより事業拡大を目指してまいります。北米・アジア市場を中心に事業展開を加速するため、海外の経営資源の拡充に努めます。
これら経営戦略を着実に遂行するためには、阻害要因となるリスクを適切に管理・対処し、競争優位の源泉に変えていくことが重要です。このため、当社は、内部統制システムの整備により確立した国内外のグループ会社との連携を更に強化し、リスク・マネジメント・システムを高度化してまいります。
② 経営環境、中期経営計画等
当社は、経営ビジョンにおいて示された「利益ある持続的成長」の実現に向けて10年スパンの時間軸で取り組む「2020 VISION」を掲げるとともに、そのマイルストーンとなる中期経営計画「GLP2017」(2017年度を最終年度とする3ヶ年計画)を策定しております。
「GLP2017」では、「さらなるグローバル化による事業拡大」、「顧客価値を高めるためのブランド力強化」、「事業創発の加速と事業領域の拡大」、「全社を挙げた継続的な利益体質への取組み」を基本方針としております。
当社は「GLP2017」に基づき継続して企業価値の向上に取り組んでまいりましたが、スマートフォン市場の構造変化を背景として、事業環境はこの数年間で大きく変化し、「GLP2017」は未達の見通しとなっています。
ついては、2016~2017年度の市場端境期に対する施策として、グループを挙げて経営構造改革施策(事業の選択と集中、利益体質の強化、ビジネスプロセス革新)に取り組んでまいります。
とりわけ、今年度(2017年度)は2018年度を初年度とする3ヶ年計画「GLP2020」の編成に向けて、成長ドライバーを確実にキャッチし成長性を回復するとともに、強靭な利益体質の構築に向けた基盤固めに努めます。
③ 事業部門別の具体的施策
主力の計測事業では、次世代のIoT/5G事業への積極的投資を行い、モバイル市場における収益基盤の足固めを強化するとともに、ネットワーク・インフラ市場での売上拡大を図り、目標の達成に向けて取り組みます。
モバイル市場では、引き続きLTE-Advancedの高速化(CA:Carrier Aggregation、MIMO:Multiple-Input and Multiple-Outputなど)向けソリューションの提供、新興市場開拓などを実行し収益の確保とともに、次世代の5G/IoT対応の新製品をタイムリーに市場投入できるよう努めます。
ネットワーク・インフラ市場では、サービスの拡大で爆発的に増加するデータ・トラフィックやデータセンター需要で拡大しつつあるネットワーク再構築(Network Reshaping)市場を獲得するために競争力強化を図っていきます。
PQA事業は、マーケットリーダーとしての日本市場における安定的な収益基盤を強化するとともに、成長する海外市場でのマーケットシェア拡大を図っていきます。海外市場での競争力を強化するために、販売体制の強化やグローバルなサプライ・チェーン体制を整備拡充していきます。主力の計測事業では、次世代のIoT/5G事業への積極的投資を行い、モバイル市場における収益基盤の足固めを強化するとともに、ネットワーク・インフラ市場での売上拡大を図り、目標の達成に向けて取り組みます。
④ コーポレートガバナンスの充実、CSR活動、ダイバーシティ推進等
当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を高めていくため、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と位置づけており、「コーポレート・ガバナンス基本方針」を制定し、当社グループにおけるより良いコーポレート・ガバナンスの実現を目指しております。監査等委員会設置会社への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置等に加え、取締役会の実行性評価を実施するなど、取締役会の監査・監督機能の強化を図り、今後も、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。
当社グループは、誠実な企業活動を通じてグローバルな社会の要請に対応し、社会的課題解決に貢献してこそ企業価値の向上が実現されると考えており、CSR活動にも積極的に取り組んでおります。製品・サービスを通じた安全・安心な社会づくりへの貢献をCSR活動の第一義に捉え、コンプライアンス、顧客満足(CS)、サプライ・チェーン・マネジメント、地球環境保護、ダイバーシティの尊重(女性や外国籍の人財が活躍できる環境の整備、障がい者雇用の促進等)、人権課題への対応(人権デューデリジェンスの実施等)、労働安全衛生など、様々な領域で企業に求められる役割を果たしてまいります。
仕事と育児等の両立支援については、出産・育児の前後における休暇・休業・職場復帰制度、時短勤務制度等の諸制度を設けるなど、職場環境の整備に積極的に取り組んでいます。諸制度の利用を希望する者が、性の別を問わず、共に安心して仕事と育児等の両立が図れるように、ダイバーシティ推進を総合的に所管する部門が中心となって、全社員に対し、関連する情報の提供・周知、意識啓発等を行い、理解促進に努めてまいります。なお、2016年度末時点におけるグローバルにみた女性の活躍状況は以下のとおりです。
日本米州EMEAアジア他全社計
全社員に占める女性社員の比率
<女性社員数/全社員数>
14%31%19%28%19%
男性の幹部職登用率を100とした女性の幹部職登用率
<(女性幹部職数/女性社員数)/(男性幹部職数/男性社員数)>
8%72%105%73%47%

(注)EMEA(Europe,Middle East and Africa): 欧州・中近東・アフリカ地域
当社グループが創業以来120年に亘って蓄積した通信技術・計測技術・検査技術などは、現在、計測事業やPQA事業、その他の事業などを支えるコア技術として、お客様からの厚い信頼を得ており、当社グループの企業価値の源泉となっています。さらに、取引先との強固な関係、信頼に基づく良好な労使関係も重要な経営資源であり、これらもまた当社グループの企業価値の源泉となっています。
当社グループは、「先進と信頼の企業ブランド」を、ブランド・ステートメント「envision:ensure」として発信し、より一層グローバルなブランドになるべくブランド戦略に取り組んでいます。「envision:ensure」に込めた思いは、「お客様と夢を共有しビジョンを創りあげるとともに、それをイノベーションによりお客様の期待を超える確かなかたちあるものへと創りあげる」というものです。
今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。
(4) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、2013年6月26日の第87期定時株主総会終結の時をもって、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を継続しないことといたしました。これは、「2020 VISION」及び中期経営計画の実現、並びにコーポレート・ガバナンスの整備・強化によって企業価値の向上に継続して取り組むこと、加えて、株主の皆様への利益還元を充実させ、株主・投資家の皆様との対話の一層の充実を図ることが、当社が最優先で取り組むべき課題であると判断したためです。これに伴う、株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 基本方針の内容
当社は、公開企業として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否か、ひいては会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の意思に基づき決定すべきものと考えます。一方で、当社は、企業価値の源泉となり株主共同の利益を構築している経営資源の蓄積を最大限に活かし、当社グループのブランド価値を高めていくためには、中長期的観点からの安定的な経営及び蓄積された経営資源に関する十分な理解が不可欠であると考えています。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者に、これらに関する十分な理解なくしては、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると考えています。
そのため、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切な者による大規模買付行為に対しては、株主の皆様のご判断に資するよう、大規模買付者への情報提供要求など積極的な情報収集と適切な情報開示に努めるとともに、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図るため、必要に応じ、法令及び定款によって許容される限度において、適切な措置を講ずるものとします。
② 基本方針の実現のための取組みの概要
当社は、株主の皆様の負託に応えるためには、利益ある持続的な成長により企業価値を向上させることが最重要課題と認識しており、より長期的な視点で企業価値の向上に取り組むために、10年スパンの時間軸で取り組む「2020 VISION」及びそのマイルストーンとなる中期経営計画を策定し、その実現に向けてグループを挙げて取り組んでおります。また、当社は、コーポレート・ガバナンスの強化のため、執行役員制度の導入や複数の独立性のある社外取締役の選任による経営監督機能の強化、報酬委員会・指名委員会の設置による経営の透明性の確保に努めております。さらに、当社は、これらの取組みを進化させることを目的として、「監査等委員会設置会社」に移行するなど、コーポレート・ガバナンスの一層の強化に努めております。
このような企業価値向上を核とした経営を進めることは、当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なう大規模買付者が現れる危険性を低減する方向に導くものとして、前記①の基本方針に沿うものと考えます。また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
当社は、これらの活動を通じて、2020年までに到達したい姿を描いた「2020 VISION」の中で掲げた「グローバル・マーケット・リーダーになる」・「事業創発で新事業を生み出す」という目標達成を目指すとともに、継続して企業価値の向上に取り組んでまいります。

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